食彩たより39号(PDF)

第 39 号
発 行 者 )東京医科歯科大学医学部
附属病院 臨床栄養部
こつそしょうしょう
発 行)平成26年12月
骨粗鬆症とは?
骨の量が減少したり、骨の質が劣化し骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
骨の老化現象ではなく、病的老化であり、明らかな疾患です。
骨の新陳代謝
栄養素
正常
(骨は常に入れ
替わっています)
骨形成
骨破壊
バランスが取れている。
骨破壊
破骨細胞が古く
なった骨を新しい
骨と入れ替える
為に破壊します。
(骨吸収)
骨形成
骨粗鬆症
骨芽細胞が新たに
骨を形成し、壊された
部分を埋めます。
③カルシウム、ビタミン D、ビタミン K を積極的に
摂取しましょう(骨の健康に関わる栄養素)
骨形成
骨破壊
骨破壊が進む→骨量が減少
骨粗鬆症と診断された場合、栄養・運動療法に合わせて薬物療法も組み合わせて
治療しなければなりません。
主な働き
推奨量
カルシウム
骨の材料
700-800 ㎎
ビタミン D
カルシウムの吸収促進 10-20μg
ビタミン K
骨の形成促進
上限量
過剰症
2500 ㎎ 泌尿器系結石
100μg
250-300μg なし
軟組織石灰化障害
-
積極的に摂りたい食品(1 回で使用する目安量)
【カルシウムが多い食品】
牛乳 1 杯
220 ㎎
【ビタミン D が多い食品】
鮭1切
25.6μg
【ビタミン K が多い食品】
納豆 1 パック 300μg
木綿豆腐 1/4 丁 90 ㎎
納豆 1 パック
45 ㎎
小松菜 1/4 束 136 ㎎
乾ひじき 10g
140 ㎎
干エビ(大さじ 1) 568 ㎎
さんま 1 尾
19.0μg
鰻(1 人前)120g 22.8μg
しらす干し(大さじ1)6.1μg
きくらげ 2 枚
8.7μg
鶏もも皮付 1/2 枚 64μg
※魚類・キノコ類に含まれる
小松菜 1/4 束 200μg
ブロッコリー 1/4 株 96μg
※ワーファリンを内服して
いる方は注意
カルシウムはビタミン D と一緒に摂取すると吸収率 UP
カルシウムは不足しやすく、工夫が必要。またビタミン D も不足しやすいので注意!
なぜ怖~い病気なのか!?
国民生活基礎調査(平成 22 年度)で
寝たきり原因第 5 位は骨折・転倒です。
これを機に寝たきりから認知症も発症しやすい
から怖いのです。
主菜は魚、大豆食品を中心に
(例)豚の生姜焼きから麻婆豆腐へ
変更
骨粗鬆症は生活の質を著しく低下させる
副菜に緑黄色野菜・海藻類を
積極的に!
小松菜浸しを追加
(ビタミン K もプラス)
疾患として問題になっています。
心当たりがある方は注意★
避けられない因子(体質)
避けられる因子(生活習慣)
・加齢
・食生活の乱れ
乳製品・小魚を食べない
・性(女性)
塩分の摂り過ぎ
早期閉経
インスタント食品の多用
遅い初経
アルコール・カフェインの摂り過ぎ
・家族歴(家族に骨粗鬆症の人がいる)
・喫煙
・運動不足
・過去に骨折歴がある
・日光に当たらない生活
・病気や薬剤の影響
※骨粗鬆症予防のため、自分で避けられる習慣は見直してみましょう☆
予防のための食生活ポイントは?
①適正体重の維持を
18-49
18.5-24.9
50-69
20.0-24.9
70 以上
21.5-24.9
BMI 指数=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
BMI=22
目標とする体重=目標とする BMI×身長(m)×身長
適正体重としている
(m)
まずは食べる量を知ることが大切です☆体重測定を心掛けましょう。
一つの食材に偏らず、様々な食品を組み合わせて摂取することが大切です。
主食+主菜+副菜
肉・魚・卵・大豆製品
主菜
(1-2 品)をそろえる
副菜(1-2 品)
主食
ひと工夫を♪
しらすご飯
鮭の塩焼き
ブロッコリーソテー
納豆 1 パック
小松菜浸し
牛乳 1 杯
ひじき煮物
小魚ふりかけにすると
手軽に摂取できる。
(ビタミン D もプラス)
摂り過ぎると塩分過剰
になりやすいので注意。
食事のみで過剰症になること
はないですが、サプリメントで
摂取する場合、お薬との相互
作用で負担になることや
過 剰 症 の リ ス ク があ り ます 。
かかりつけ医や管理栄養士に
ご相談ください。
カルシウム 694 ㎎ ビタミン D 29.3μg ビタミン K551μg
効率よく摂取するために…
牛乳×1回
納豆又は豆腐×1 回
これらを1日に
取り入れること
が大切です。
青菜料理 ×1-2回
魚料理×1回
摂り過ぎに注意☆
②1日3回規則正しく栄養バランスのとれた食事を
ことを目標に!
そろえるを目標に!
※様々な栄養素が
骨を作っています。
いつもの食事に
1 日にこんなメニューを組み合わせると充足できます♪
年齢(歳) 目標 BMI 指数
カルシウムだけ摂取してもダメ!
(カルシウム)
牛乳が苦手な人は
シチューやグラタンなど
料理に活用♪
野菜・きのこ・海藻類、
イモ類・乳製品など
~川柳~最後に一息♪
カルシウムの吸収を妨げる
カフェイン→コーヒー1 日 2 杯まで お茶もほどほどに
アルコール→日本酒 1 合を目安に(適量を)
リン→お菓子、インスタント食品の利用を控える
尿中にカルシウムを排泄
塩→減塩を心掛ける
してしまう
④適度な運動
骨に適度な刺激や負荷を与えましょう♪
骨を作る細胞の働きが活発になったり、カルシウムが骨に
定着しやすくなるといわれています。
(例)エレベーターの代わりに階段を。一駅歩いてみるなど
残すなよ 母の洋服スリーエル(3L)
⑤日光浴
幼少期から残さず食べるよう言われて
きましたが、残すことも大切です。
紫外線によって体内のビタミン D が活性化し、
カルシウムの吸収が高まります。
太陽の力は大きいのです♪
晴れた日なら 10-15 分、
曇りならば 30 分程度、屋外
で過ごしましょう。