◇論 文 テ レビ放送 創業期 の視聴者調査 一 『 二 人 で お 茶 を』 を 中 心 とす る視 聴 者 調 査 報 告 一 AudienceResearchintheearlydays-ofTV 岸 田 功 IsaoKishida 日本 で テ レ ビ放 送 が 始 ま っ た の は1953年 、2月NHK東 局 時 の 放 送 区 域 はNHKが 京 、8月NTV(日 本 テ レ ビ)で 、 開 東 京 都 ・神 奈 川 県 ・埼 玉 県 ・千 葉 県 の 各 一 部 、NTVが 東 京 都 、及 び 神 奈 川 県 ・埼 玉 県 ・茨 城 県 ・千 葉 県 の 各 一 部 で あ っ た(放 送 区 域 の この 違 い は 、NHKの ンテ ナ が ター ン ス タイ ル6段 ア ンテ ナ で 地 上 高73mで ス タ イル12段 ア ンテ ナ で 地 上 高143mで が 第3の の2局 あ っ た の に対 し、NTVが あ っ た こ と に よ る)。 こ の後 、1955年4月 テ レ ビ局 と して 開 局 す る まで の 約2年 送信 ア スーパー ター ン にTBSテ レビ 間 は 、 テ レ ビ放 送 事 業 体 とい え ばNHKとNTV しか な か っ た 。 この2局 時 代 に早 く も視 聴 率 競 争 が あ っ た と言 え る の が 、 以 下 に紹 介 す る 「『二 人 で お 茶 を』 を 中 心 とす る テ レ ビ ジ ョン放 送 番 組 視 聴 者 調 査 報 告 と そ の 分 析 」(1955年3月1日 編 成 局 制 作 部)と ・日本 テ レ ビ い う一冊 の 報 告 書 で あ る。 こ の 報 告 書 は 、 当 時 日本 テ レ ビの 番 組 の ミュ ー ジ カ ル ・コ メ デ ィ 『 二 人 で お 茶 を』(明 治 製 菓 提 供 ・1954年3月5日 ス ター ト ・毎 週 金 曜 昼12時15分 一45分)の ア シ ス タ ン ト ・プ ロ デ ュ ーサ ー だ っ た 私 が 明 治 製 菓 の援 助 を得 て 、調 査 設 計 ・実 施 ・報 告 を行 っ た もの で 、 ガ リ版 印刷 で50ペ ー ジ 、3万5千 字 を越 え る小 冊 子 で あ る 。 この 番 組 は当 時 と して も珍 しい 広 告 代 理 店 の い な い 番 組 、 す な わ ち 局 の 直 扱 い番 組 だ った 。 なぜ そ う な っ た の か 事 情 は 知 ら な い が 、 この た め に ア シ ス タ ン ト ・プ ロデ ュ ー サ ー は い わ ば 「営 業 担 当 」 の 役 割 も担 わ され る こ とに な り、 こ う した ス ポ ンサ ー と制 作 者 の 直 接 関 係 が 、制 作 部 に よる視 聴 者 調 査 とい う珍 しい 報 告 書 を作 らせ た と言 え る。 もっ とも 「 制 作 部 」 と い っ て も この 番 組 の制 作 者 は 、NTV音 ュ ー サ ー ・デ ィ レ ク ター(故 人)と 楽 班 の 緒 方 班 と呼 ばれ た緒 方 勉 プ ロ デ 、北 川 信 ア シス タ ン ト ・デ ィ レク ター(現 テ レ ビ新 潟 社 長)、 そ れ に私 の 三 人 だ け で あ っ た 。 調 査 の 方 法 と結 果 の 内容 は 本 文 を読 ん で 頂 く して 、 こ の報 告 書 を 印刷 し社 内 配 布 した と こ ろ 、 営 業 部 か ら ク レ ー ムが つ い た 。 第 六 表 「 視 聴 好 適 率 」 が 困 る とい う の で あ る。 テ レ ビ を視 聴 す る の に好 適 な時 間 は何 時 ご ろ か の 調 査 結 果 と して 、 夜 の 時 間が 昼 の 時 間 よ り圧 倒 的 に 多 い とい う 当 た り前 の 数 字 が 出 た の だ が 、 営 業 部 の苦 情 は これ を発 表 され て は昼 の番 組 が 売 りに く くな る とい う の で あ っ た 。 こ の ク レー ム の た め もあ っ て 、 報 告 書 の 「は じめ に」 で予 告 した 「第 二 部 」 の執 筆 は 中止 して し ま っ た 。若 か った こ ろ の 、 今 だ か ら話 せ る裏 話 で あ る 。 今 日の 時 点 で こ の42年 前 の 報 告 書 を読 み 直 す と一 、 二 気 づ くこ とが あ る 。 第 一 に 、 この調 査 は 『二 人 で お茶 を』 中 心 の 調 査 だ か ら 「『二 人 で お 茶 を』 につ い て は評 価 が 甘 くな っ て い る こ と を割 り引 き して み な けれ ば な らな い 」 と本 文 で 断 る な ど、 調 査 の信 頼 性 に つ い て か な り気 をつ か っ て い る こ と で あ る 。 第 二 に、 被 調 査 者 の 回 答 のintellectualityで あ る。 創 業 期 の 視 聴 者 は 番 組 やC 一69-一 一 Mに 対 して か な り積 極 的 か つ 批 判 的 意 見 を 自由 回 答 で寄 せ て きた 。 思 うに 初 期 の テ レ ビの 作 り手 た ち は 、 「『テ レ ビは 大 衆 メ デ ィア だ』 か ら大 衆 向 け番 組 を 」、 「大 都 市 の上 層 階 級 に 向 け て 、 送 っ て い た の で あ る。」(拙 稿 「変 わ る、 入 々 の テ レ ビへ の期 待 」 『現 代 の エ ス プ リ ・放 送 文 化 』至 文 堂, 1984,p.110)初 期 の テ レ ビ受 信 機 が 高 価 な贅 沢 品 で あ る こ と に気 づ か な か った 送 り手 の 思 い 込 み が 、 あ の 「一 億 総 白痴 化 」 とい う珍 妙 な非 難 を招 く結 果 とな っ た と も言 え よ う(そ れ に して も 天 国 の 大 宅 壮 一 氏 に 聞 い て み た い と こ ろ で あ る 。「結 局 、日本 国 民 は総 白痴 化 した の だ ろ うか?」)。 そ して 第 三 に 、 この 報 告 書 が 「視 聴 率 」 とい う こ とば の 初 出 ら しい とい う こ とで あ る(ビ デ オ リサ ー チ 社 史 編 纂 委 員 会 『ビデ オ リサ ー チ20年 の あ ゆ み 』 ビデ オ リサ ー チ,1982,p。26)。 当時 は ま だ ラ ジ オの 全 盛 時 代 で 、聴 取 率 、 聴 取 者 とい う こ とば は 頻 繁 に使 わ れ て い た が 、 ニ ュ ー メ デ ィ アで あ る テ レ ビ につ い て は聴 視 率 、 聴 視 者 と呼 ん で い た 。 そ れ は ラ ジ オ が 主 、 テ レ ビ は従 とい う当 時 の放 送 界 の 雰 囲 気 を反 映 して い た。 まだ 「テ レ ビ」 で は な く 「テ レ ビ ジ ョ ン」 と言 わ ね ば な ら な か っ た 時 代 で あ る。 しか し、 ラ ジ オ ・テ レ ビ兼 営 局 で な くテ レ ビ単 独 局 と して 自 己 主 張 を 始 め た ば か りの 日本 テ レ ビ社 員 と して は 、 「聴 視 率 、聴 視 者 」 とい う こ と ば を 記 述 す る こ と に は 心 理 的 に抵 抗 が あ った 。 こ の報 告 書 の 執 筆 段 階 で 私 は 、 思 い 切 っ て 「視 聴 率 、視 聴 者 」 に して し ま え と決 断 した記 憶 が あ る。(拙 稿 「視 聴 率 」 『マ ス ・コ ミュニ ケ ー シ ョ ン研 究 』 第50号,日 ス ・コ ミュ ニ ケ ー シ ョン学 会,1997,p.80参 本マ 照) 報 告 書 全 文 は50ペ ー ジ もあ る の で 、 本 稿 で は紙 幅 の都 合 上 、 後 半 の 一 部 を省 略 して 掲 載 す る。 テ レ ビ放 送 創 業 期 の 企 画 ・制 作 事 情 や 視 聴 者 の 嗜 好 な どが うか が え て 、 日本 の放 送 史 あ る い は放 送 調 査 史 の 一 ペ ー ジ と して活 字 に残 して置 く価 値 が 少 しは あ るか と愚考 す る次 第 で あ る 。 「二人でお茶 を」を中心 とするテ レビジ ョン放送番組視聴者調査報告書 とその分析 目 次 は じめ に 1テ レ ビ視 聴 時 間 につ い て IINTVとNHK-TVの 皿 比較 テ レ ビ番 組 「二 人 で お 茶 を」 につ い て A視 聴率 B嗜 好率 C俳 優 Dコ マ ー シャル は じめ に こ の調 査 報 告 は 、 明 治 製 菓 株 式 会 社 の 依 頼 に よ り、 昭 和29年12月27日 よ り昭 和30年2月5日 ま で の期 間 、 郵 送 法 に よ り実 施 した テ レ ビ番 組 調 査 の 結 果 で あ る。 調 査 地 域:東 京 都(郡 調 査 対 象:調 査 地 域 内 に住 む 昭 和28年12月 末 現 在 の テ レ ビ ジ ョ ン受 信 契 約 者6,893世 帯 。 従 っ 部 を含 む)及 び 横 浜 市 て家 庭 用 の み な らず 営 業 用 、 団 体 用 の 受 像 器 も含 まれ る。 一70一 調 査 方 法:層 化 無 作 為 任 意 抽 出法 に よ っ た 。 調 査 対 象6,893世 帯 の う ち か ら各 地 区 毎 に世 帯 数 に比 例 して サ ン プ ル1.,000世 帯 を乱 数 表(文 部 省 統 計 数 理 研 究 所 作 製)に よ りラ ン ダ ム に抽 出 し て被 調 査 世 帯 を決 定 し、1世 帯 毎 に3ペ ー ジ19項 目 に わ た る 質 問 票 を1部 つ つ 、昭 和29年12月27 日、 一 せ い に郵 送 し た。 そ の 結 果 、2月5日 現 在280世 帯 の 回 答 を 得 た の で 、 こ れ につ い て2月 6日 か ら集 計 を行 っ た。 尚転 居 そ の 他 の為 返 送 され た事 故 票 は 同 日 ま で に29世 帯 あ っ た 。 事 故 票 を 除 い た 回 答 率 は 、 従 っ て 、28.8%で 第 一表 地 千 区 名 代 中 田 央 港 新 宿 調 査 地区 の抽 出 と回答数 総 数 抽 出 数 次 に 回 答 数 の 内訳 は第 二 表 の 通 りで あ る 。 回 答 数 第 二 表(A)回 43 6 区 431 58 10 区 391 57 12 区 342 49 14 10代 24 10.8 10 16.7 34 12.1 38 7 20代 68 30.9 20 33.3 88 31.4 21 35.0 76 27.2 9 15.0 82 29.3 60 21.4 280 100.0 京 区 台 東 区 460 墨 田 江 東 品 目 男 実 数 女 % 67 19 30代 55 25.0 区 42 11 40代 38 17.4 区 102 15 4 35 15.9 川 区 249 35 11 黒 区 293 42 12 田 田 谷 渋 谷 区 481 70 23 区 474 69 24 区 275 39 11 区 180 杉 並 区 320 46 19 豊 島 区 222 33 6 区 112 16 6 26 17 板 橋 区 106 16 5 練 馬 区 67 10 9 足 立 区 69 10 4 飾 区 136 20 9 区 112 16 4 部 ・ 郡 部 237 42 11 横 浜 市 841 124 33 1,000 計 実 数 答 の 内訳 一 一職 業 別 数 % 業 50 17.8 業 48 17.2 オ 業 25 9.0 学 生 47 16.8 主 婦 36 12.9 人 由 ジ 4 市 .:・ 合 % 20.2 ラ 114 計 :. 数 57 商 区 川 220 第 二 表(B)回 自 川 戸 計 . 6 荒 葛 合 勤 野 北 50代 以 上 実 実 中 合 性 年代 :. 大 性 、年令 別 335 文 江 答 の内訳 区 248 世 あ る 。 調 査 地 区 別 抽 出 数 及 び 回答 数 は第 一 表 の 通 りで あ る 。 無 職 17 6.1 合 計 280 100.0 280 質 問 票 に付 した 、調 査 に対 す る協 力 の 懇 請 文 は次 の通 りで あ る 。 一71一 % NTV番 組 に 関 す る視 聴 者 調 査 に つ い て 日本 テ レビ放送網編成 局制作部 テ レ ビ ジ ョ ン は 、 ま だ まだ 生 ま れ た ば か りの赤 ん 坊 で す 。 これ を立 派 に育 て 上 げ て 一 人 前 の大 人 にす る 為 に は ど う して も、 テ レ ビ創 生期 の 視 聴 者 で あ る皆 さん と我 々番 組 制 作 者 の協 力 が 必 要 なの で す 。 こ の調 査 は 、 テ レ ビ番 組 を も っ と もっ と楽 しい もの に した い とい う 目的 で 行 わ れ る も の で す 。 ど う か次 の 調 査 用 紙(A:B:C)に 御 記 入 の 上 、 ポ ス トまで 足 を運 んで 下 さい 。 ま だ ラ ジ オ程 多 くな い 台 数 の現 状 で は 貴 方 の この 一 枚 の投 書 が テ レ ビの 番 組 を動 か し、 将 来 や が て は 世紀 の 怪 物 に な る で あ ろ うテ レ ビ ジ ョ ンに 大 きな影 響 を与 え る の だ とい う 自覚 の 下 に 、 ど うか 正 確 な御 記 入 を お願 い 致 しま す 。 こ こ で 、 今 回 の調 査 の性 格 に つ い て触 れ て お く必 要 が あ る。 今 回 の調 査 の特 色 は1)郵 と。3)家 送 法 に よっ た こ と。2)調 査 対 象 を約 一 年 前 の 視 聴 者 に 限 っ た こ 庭 用 テ レ ビの み で な く営 業 用 、 団 体 用 テ レ ビ も対 象 と した こ と。 の 三 つ で あ る 。 今 回 、郵 送 法 を用 い た理 由 は 、 面 接 法 よ り経 済 的 で あ る為 だが 、 そ の 代 り、 面接 法 に 於 け る よ り も 回 答 率 が 小 さい と い う短 所 の あ る こ とは 免 れ な い。 「最 もあ りふ れ た普 通 の 郵 送 法 に お け る 回 答 率 は5乃 至20%で 回 答 率28.8%は あ る」(Lundberg「 社 会 調 査 」)標 準 回 答 率 か ら比 べ れ ば 、 今 回 の 調 査 の 可 成 り好 成 績 で あ る 事 は確 か だ が 、 そ れ に して も周 到 な る プ リテ ス トと、 未 回 答 者 に対 す る 督 促 の努 力 が 行 わ れ た な ら ば(こ れ ら は い ず れ も費 用 の 点 で 出来 な か っ たが)更 に回 答 率 が 増 した の で は なか っ た ろ うか 。 従 っ て 以 下 の調 査 報 告 書 は 、視 聴 者 の具 体 的 意 見 を重 視 し て 出 来 る だ け 詳 細 に と り上 げ る こ と に した 。 そ れ は今 回 の 調 査 の性 格 か ら して て 小 標 本 の もつ 偏 りは 自由 記 入 項 目 の 方 が 選 択 項 目 よ り も小 で あ る為 で あ る 。 当 然 、読 者 は 、視 聴 率 よ り も嗜 好 率 を 重視 して 読 む 必 要 が あ る わ け で あ る 。 とは い っ て も 、今 回 の280の 回 答 は 、 第 一 表 に も見 ら れ る通 り相 当 程 度 よ く層 化 さ れ て居 り、 調 査 の結 果 出 て来 た 数 字 は 、少 く も相 対 的 に は可 成 り普 辺 化 出 来 る もの とみ て よい の で あ っ て 、 徒 らに調 査 結 果 を軽 視 す る事 は 却 っ て独 断 に陥 る 因 を なす だ け で あ ろ う。 こ こで 、 一 言 注 意 して 置 き た い こ と は 、郵 送 法 が しば しば パ ネ ル調 査 に於 て使 用 さ れ る 方 法 で あ る所 か ら 、 逆 に郵 送 法 に よ っ て で た らめ に調 査 した結 果 をパ ネ ル調 査 の 結 果 の如 く普 辺 化 す る 傾 向 に つ い て で あ る 。言 う まで もな く、 パ ネ ル調 査 法 とは 、 母 集 団 の代 表 標 本 を注 意 深 く抽 出 し、 こ れ を一 種 の 永 久 的被 調 査 者 団 体 と して 反 復 調 査 す るす る 方 法 で あ る 。 こ の場 合大 事 な こ とは 、 パ ネ ル メ ン バ ー を 、男 女 、 職 業 、年 令 な ど 、全 視 聴 者 の縮 図 と な る よ う に選 ぶ こ とで 、 こ れ を行 わ な い で た らめ の パ ネ ル を普 辺 化 して 考 え る こ と は非 常 に危 険 で あ る 。一 体 「無 作 為 」(random) とい う事 を 「で た らめ の」 とか 「何 ら考 え られ た 目的 な しの 」 とか い う意 味 に とる こ と は誤 りで あ っ て 、 「無 作 為 」 選択 で は 、 す べ て の 個 体 が 等 し く選 択 され る チ ャ ンス を保 証 さ れ て い る とい う要 件 を も っ て い な け れ ば な らず 、 この 為 に は通 常 、 注 意 深 い 計 画 と順 序 正 しい手 続 が 必 要 なの であ る。 今 回 の 郵 送 法 調 査 に於 て 、 乱 数 表 に よ る抽 出 を行 っ た の も全 く此 の意 味 か ら調 査 の 正 確 を 期 し た為 な の で あ る 。 最 も回 答 して くれ そ うな視 聴 者 の み を、 何 の考 慮 も な く選 ん で 質 問票 を送 る や り方 は 、如 何 に 回 答 率 が 高 くて もそ の結 果 の信 頼 度 は 遙 か に低 い もの で 、 これ を全 視 聴 者 の 考 え で あ るが 如 く普 辺 化 す る こ とは 無 価 値 以 上 に悪 い 事 で あ る か も しれ ない の で あ る。 一72一 次 に今 回 の調 査 が28年12月 末 現 在 の 視 聴 者 を対 象 と した理 由 の 一 つ は 、 テ レ ビが マ ス ・メ デ ィ ア と して登 場 した 最 も新 しい 形 態 で あ る為 そ の 番 組 の視 聴 率 や 人 気 は 、 新 しい視 聴 者 程 歪 め られ た もの とな る 事 を恐 れ た か ら で あ る 。 事 実 初 め て テ レ ビ を持 っ た家 庭 で は、 どん な 番 組 で も物 珍 ら し く、面 白 く、 一 日中 テ レ ビの前 に坐 っ て ダ イ ヤ ル をい ち り廻 して 飽 きな い こ と、 新 婚 夫 婦 の 如 き もの で は ない だ ろ うか 。 故 に 初 期 の テ レ ビ番 組 世 論 調 査 で は 、 落 語 や 中波 同 時 放 送 番 組 が 、 ラ ジ オ の 面 白 さか ら、 人 気 投 票 の 可 成 り上 位 を 占 め て い たの に 、次 第 に テ レ ビ番 組 に慣 れ て くる に従 っ て 、 人 々 は も っ と テ レ ビ的 な も の を 要 求 す る様 に な り、 ラ ジ オ の 人 気番 組 必 ず し もテ レ ビ で ヒ ッ ト しな い とい う結 果 を 生 む に至 っ た の で あ る 。 そ れ 故 、 テ レ ビ番 組 につ い て は矢 張 りあ る程 度 テ レ ビ に対 す る 目の 肥 え た 人 々 を対 象 にす る事 が 番 組 調 査 上 必 要 と な っ て く るの で あ る 。 殊 に{二 人 で お 茶 を」 の 第 一 回放 送 は29年3月5日 で あ り、 少 く もそ れ 以 前 の視 聴 者 を対 象 に す る こ と は 、調 査 対 象 の 条 件 を 同一 に す る意 味 で 、 正 しか っ た わ け で あ る。 第 三 に今 回 の 調 査 で は 、 家 庭 用 テ レ ビ所 有 者 の み を対 象 とせ ず 、営 業 用 テ レ ビ(ラ ジ オ商 、 喫 茶 、 ホ テ ル 、 会 社 、 官 公 署 、 学 校 、 病 院)受 信 契 約 者 を も対 象 と した 。 何 故 な らば 、 テ レ ビ普 及 の 現 状 か らい え ば 、 番 組 に対 す る好 悪 、 視 聴 率 、 人 気 な ど は決 して 家 庭 に テ レ ビ を持 つ 一 般 有 産 階 級 の み に よ っ て形 づ くら れ て い る の で は な く、 喫 茶 店 の 女 給 や 、 ラ ジ オ屋 の 店 員 や 、 ホ テ ル の ボ ー イ や 、 学 校 の 先 生 や 、 会 社 の 給 仕 や 、病 院 の看 護 婦 等 々 、実 際 に ダ イ ヤ ル を ひ ね る 人達 の 手 に よっ て 大 き く左 右 され て い る か らで あ る 。 テ レ ビの 番 組 に 興 味 を持 た ず 、 又 持 っ て い て も番 組 の 選 択 権 を持 た ぬ最 多 数 の 、 テ レ ビ を所 有 しな い 一 般 庶 民 層 は 、事 実 上 此 の 人 達 に よ っ て テ レ ビ番 組 とい う も の に つ い て の知 識 を獲 得 しつ つ あ る の ぞ あ り、 新 聞 の テ レ ビ欄 を見 て ダ イ ヤ ル を ひ ね る此 の 人 達 の 手 に よ っ て テ レ ビ と い う も の につ い て の イ ン テ ス トを 深 め つ つ あ るの で あ る。 とす れ ば 、 こ れ らの 人 達 が 面 白い と思 う 、 又 これ らの 人 達 が 、 大 衆 が 面 白い と思 う だ ろ う と思 う番 組 は 如 何 な る種 類 の もの で あ るか を探 る 必 要 が 大 い に 出 来 て くる訳 で あ る。 そ れ は又 、CM効 果 の 調 査 上 に於 て も 、又 番 組 の 人 気 が 視 聴 者 に対 す る空 間 的 、 時 間 的 な 反 復 作 用 に よ っ て も形 成 され て 行 くe「 人 気 が 高 い の で 視 聴 率 が 高 ま る」 ば か りで な く 「 視 聴 率 が ふ え るか ら入 気 が 高 ま る」 と い う一一面 か ら云 っ て も絶 対 必 要 な こ と で あ ろ う。 しか も此 の 様 な 営 業 用 、 団体 用 テ レ ビの 役 割 は 、 ま だ ま だ こ こ当 分 の 間 は 増 大 こ そ す れ 、 決 し て減 少 す る こ とは ない と思 わ れ る。 従 っ て 、 テ レ ビ番 組 世 論 調 査 と銘 うつ 以 上 、 こ れ 等 の 人 達 を 無 視 す る 事 は視 聴 者 が 何 を欲 して い る か を正 し く知 る上 に大 な る誤 りで あ る事 は疑 い ない の で あ る。 この 調 査 報 告 で は 、 テ レ ビ番 組 の視 聴 層 に つ い て は あ ま り触 れ な か っ た。 そ れ は 今 回 の 調 査 の 性 格 か ら して も非 常 に難 しい 問 題 だ か らで あ る。 しか し、 現 在 の 日本 に於 け る テ レ ビ視 聴 層 の分 析 は、 種 々 の 問 題 を は ら ん で 居 り、 非 常 に興 味 あ る テ ー マ な の で 、 こ れ につ い て は 、 「二 人 で お 茶 を」 の視 聴 層 分 析 を 中心 と して 、 報 告 の 第 二 部 で研 究 して み た い と思 う。 そ の他 、 第 二 部 で は 「二 人 で お 茶 を」 に対 して 寄 せ られ た180余 に わ た る一 般 的 意 見 、 感 想 、 批 評 に つ い て も具 体 的 に 、 一 つ 一 つ 示 して 行 きた い と思 う。 昭 和30年3月1日 日本 テ レ ビ放 送 網 編 成 局 制 作 部 一73一 社員 岸 田 功 1.テ レ ビ視 聴 時 間 に つ い て 【質 問 】 お 宅 で は現 在 テ レ ビを 一 日の 中平 均 何 時 間 ご らん に な り ます か 。 周 知 の 通 りテ レ ビ ジ ョ ン の 放 送 時 間 は 、 現 在 昼 の 部 約1時 NHK-TVl1時55分 ∼1時40分)、 時 ∼9時25分)を 夜 の 部 約3時 間 半(NTV6時 間 半(NTVll時55分 ∼9時20分 ∼1時30分 、 、NHK-TV6 普 通 と して い る が 、 この 放 送 時 間 の 妥 当性 及 び 視 聴 者 は 一 日 の うち 平 均 何 時 間 を テ レ ビ の 前 に 過 し て い る か を 、 昼 、 夜 に わ け て 調 べ て み た 。 そ の 結 果 は 第 三 表 の 通 りで あ る 。 (数 字 は%) 第 三表 テ レビ視 聴 時間 [昼 の部] [夜の 部] 昼 の 部 を 全 然 見 な い11.8%の 職 業 別 0 0 ③ 内 訳 は次 の 通 りで あ る 。 勤 自 商 由 人 5.4 業 1.8 業 1.8 (以 下 略) 年 令 ・性 別 0 0 ③ 30代 男 5.4 20代 男 2.9 30代 女 1.4 (以下 略) 一方 、 夜 の 部 は 実 に よ く視 聴 さ れ て 居 り 、 ラ ジ オ に と っ て 代 っ た テ レ ビ の 地 位 を は っ き り と 示 し て い る 。 即 ち 、 全 体 の66.4%、 丁 度23の 世 帯 が 、 毎 日2時 けである。 一74一 間 以 上 を テ レ ビ の前 で 過 して い る わ 第 四表 職業 別視聴 時 間表(%) [昼の部] [夜 の 部] 1°以 上 1°位 30'位 35.1 28.0 26.4 3°以 上 勤 26.0 46.0 10.0 自 由 業 見ない 1°位 30'位 見な い 3° ∼2° 2c∼1° 29.8 33.3 26.3 7.0 1.8 1.8 42.0 26.0 22.0 6.0 2.0 2.0 一 し 勤 人 10.5 自 由 業 1 商 業 人 20.8 43.8 25.0 10.4 商 ラ ジ オ 商 20.0 X11 32.0 8.0 ラ ジ オ商 学 生 21.3 25.5 46.8 6.4 学 生 主 婦 11.2 30.5 50.0 8.3 主 婦 無 職 平 均 17.6 53.0 ?9.4 一 16.8 34.3 37.1 11.8 業 無 職 平 均 38.2 27.7 29.8 4.3 一 16.0 36.0 40.0 4.0 4.0 冖 36.2 34.0 一 一 一 55.5 1.9.5 2.8 一 一 一 一 i.1 0.7 .・ 22.2 4ユ.2 29.4 29.4 冖 32.1 34.3 27.9 3.9 こ れ を一 人 に つ き一 日当 りの平 均 視 聴 時 間 に換 算 す る と、 ◎ 昼 の部48分30秒 ◎ 夜 の部2時 間23分30秒 従 っ て 、 全 放 送 時 間 に対 す る 割 合 は第 五 表 の通 り。 第 五表 全 放 送 時 問(A) 昼 の 部 1°40' 夜 の 部 3°0, 5°00' 合 計 附 表 は28年8月 (附表)28年11月 平 均 視 聴 時 間(B} 48'30" 調 査NTV平 全 放 送 時 間(Al B/A 均視 聴 時間 平 均 視 聴時 間(B} B/A 48.5% 昼 の 部 ?°00' 1°12' 60.0 2°23'30" 71.8% 夜 の 部 4°00' 2°13' 55.0% 3°12' 64.0% 6°00' 3°25' 57.0% 末NTV開 合 計 局 ニ ケ 月 後 の調 査 で 、 往復 は が きを 用 い た 郵 送 法 で 、 当 時 の 東 京 都 内 全 テ レ ビ契 約 者1,887世 帯 を 対 象 と した も の で あ る 。 一 年 余 を経 た 今 日、 昼 の 部 と夜 の 部 の視 聴 率 の逆 転 した事 は 、 テ レ ビな ら内 容 を問 わ ず 何 で も見 た が っ た好 奇 的 な時 代 は過 ぎ去 って 、家 庭 受 像 器 の 増 加 と共 に 、漸 く視 聴 者 層 が じっ く り番 組 を視 る よ うに な って 来 た こ と を物 語 っ て い る。 【質 問 】 あ な た が テ レ ビ を 一 番 よ く ご ら ん に な る の は 、 何 時 ご ろ で す か 。 前 の質問が 「 何 時 間」 視 聴 す る か を聞 い た の に対 し、 今 度 は 「何 時 頃 」 が 視 聴 し易 い か 、 即 ち 視 聴 好 適 率 を調 べ て み た。 75一 第 六表 視 聴好適 率(%) 最 も見 易 い の は8時 か ら8時 半 で 、最 も見 に くい の は1時 か ら2時 の 間 で あ る。 少 く もテ レ ビ を所 有 す る 人 に と って は昼 の 時 間 よ り夜 の 時 間が 見 易 い の は 当 然 で あ ろ う。 注 目 され る の は 、 昼 の場 合12時 ∼12時 半 よ り も12時 半 ∼1時 の 方 が 僅 か なが ら高 率 を示 した こ と と、夜 は殆 ん ど放 送 終 了 時 ま で 見 る 人 の 多 い事 で あ る 。(9時 以 降 は お休 み 番 組 の 性 格 を も っ て い る 事 を 考 慮 す れ ば よい 。)現 在 の 普 通 放 送 時 間延 長 の 暁 に は 、終 了 時 を遅 らす こ とが 最 も妥 当 で あ る よ う に思 わ れ る。 グ ラ フ に 表 れ た 数 字 の他 に も、 夜 間放 送 時 間 の延 長 を希 望 す る 声 は多 か った が 、 そ の 中 で は 、 少 く も10時 ま で放 送 して くれ とい う の が圧 倒 的 だ っ た 。 以 上 の テ レ ビ視 聴 時 間 の うち 、NTVとNHK-TVの 次 に こ れ を調 べ て み た 。 一76一 占 め る視 聴 率 の 割 合 は ど うで あ ろ うか 、 II.NTVとNHK-TVの 比較 【質 問 】 お 宅 で はNHK-TVとNTVの ど ち らを 多 く見 ます か 。 この 質 問 で は 1.NHKの 方 を 多 く見 る。 2.NTVの 方 を 多 く見 る。 3.NHK、NTV両 方 と も半 々 位 い に 見 て い る 。 4.殆 ん どNHKし か 見 な い。 5.殆 ん どNTVし か 見 な い。 の 五 項 目 を 併 記 し 、 該 当 す る も の に ○ 印 を つ け て も ら っ た 。 こ の 結 果 は 第 七 表 の 通 り。 NTVを 見 る 者 の 方 がNHK-TVを 見 る 者 よ り圧 倒 的 に 多 く 、37.2%対7.1%と 第 七 表NTV、NHK-TVの なっ 殆 ん どNTVし か見ない。 3.6 NTV て い る。 NTVの こ の 結 果 か ら 、NTVとNHK-TVの 聴 率 勢 力 分 布 図 は65%対35%と 視 方 を 多 く見 る 。 半 々に見ている。 な り、NTV NHKの 33.6 55.7 方 を 多 く見 る 。 6.4 NHK が は るか に勝 って い る わ け で あ る 。 皿.テ 比 較(%) 殆 ん どNHKし か見ない。 0.7 レ ビ 番 組 「二 人 で お 茶 を 」 に つ い て A、 視 聴 率(そ の1) 【質 問 】 毎 週 金 曜 日の 昼 、NTVか ら放 送 され る 「二 人 で お 茶 を」 ご ら ん に な った こ とが あ りま すか。 第八表 ミ ュ ー ジ カ ル ・コ メ デ ィ 「二 人 で お 茶 を」 は29年3月5日 、 フ ラ ン キ ー堺 、 中 村 メ イ コ 、 沢 村 い き 雄 、桜 京 美 、四 人 の 出 演 で 第 一 回 「明 [ い つ もみ る 12.5 大ていみ る 16.8 時 々み る 27.8 た ま にみ る 25.7 み .. 日 は僕 の 入 社 試 験 」 を放 送 して 以 来 、 毎 回 テ ー マ を変 え て 、 毎 週 金 曜 日 の12時15分 た か ら45 分 ま で 一 度 も欠 か す 事 な く調 査 時 ま で43回 の み た こ とが ない 。 放 送 を続 け て来 た 。 こ の 間 、 フ ラ ンキ ー堺 は 第13回 「二 人 でお茶 を」累 積視聴 率(%) 無 答 16.0 1.2 以 降 、 千 葉 信 男 と 、 中 村 メ イ コ は 第36 回 か ら宮 城 ま り子 と、夫 々 代 り、 他 に 第25回 頃 か ら逗 子 とん ぼ が 事 実 上 の レギ ュ ラ ー と して 参 加 した 。 そ の 他 、 丘 寵 兒 、旭 輝 子 、 春 江 ふ か み な どが 代 役 と して 出 演 した 。 作 構 成 も、 は じめ 、 し の ざ き凡 、 藤 善 平 両 氏 の 交 代 執 筆 だ っ た が 第27回 か ら しの ざ き氏 と能 見 正 比 古 氏 の コ ン ビ と代 っ た 。所 で 今 回 の 調 査 で は 、 第 一 回放 送 以 前 の視 聴 者 を対 象 と して い る の で 「二 人 で お 茶 を」 に関 一77一 す る限 り、 全 く同 一 条 件 に あ る わ け で あ る 。 「み た 事 が な い 」16%は ち11.8%は 一 寸 多 い 様 で あ る が 、 テ レ ビ視 聴 時 間 の 項 で 既 に 述 べ た 如 く 、 こ の う 昼 間 の 部 を 見 な い 層 で あ る か ら 、 実 際 に は4.2%が 、NHK-TVを 見 て い るか 、 或 は 全 く興 味 の な い 無 関 心 層 と い う事 が 出 来 る 。 こ れ に 反 し 、 「い つ も 見 る 」 「大 て い み る 」 欄 に ○ 印 を 記 入 し た 層 は 一 応 こ の 番 組 の フ ァ ン と み な し て も よ い と す れ ば 、 全 体 の29.3%、 約3割 が 「二 人 で お 茶 を 」 を 期 待 を 持 っ て 見 守 っ て い る と い う 事 に な る わ け で あ る 。 こ れ を性 別 に す る と 、 男 の26.8%に 対 し 、 女 性 の38.4%と 人 気 の あ る 事 を 示 し 、 累 積 視 聴 率 で は 、 昼 間 家 庭 に 居 な い 勤 人 の60.2%に 生 は94.5%と 番 部 他 の 番 組 と比 べ て み る と ど う で あ ろ う か 、NTV、NHK-T 通 じて の 同 種 類 の 番 組 と 比 較 し て み よ う 。 第 九表 昼 の 対 し、 同 じ条 件 で も 学 生 活 の 余 裕 を 示 し て い る 。(詳 細 な る 視 聴 層 分 析 は 第 二 部 で 述 べ ら れ る) 所 で 、 こ の 累 積 視 聴 率82.8%を Vを 、女性 に 組 名 ドラマ テ ィカル ・テ レビ番組 累積 視聴 率比 較表 放 送 日時 放送局 29.12.27現 在 放送 回数 「み た ことがな い」率 累積視聴 率(除 無 答) (金)12.15∼45 NTV 43 16.0% 82.8% (土)12.15--45 NTV 39 28.9 62.1 当世娘気質 (水)12.15∼30 NTV 8 33.6 59.3 青 春 カ レ ン ダー (木)12.15--35 NTV 11 34.6 57.5 二人でお茶 を エ ンゼ ル ・ケ ー キ 僕 の 見 た も の 聞 い た もの (日)7.15∼30 NHK 3.2 93.9 夜 エ ノケ ンの水戸 黄門漫遊記 (月)7.30∼8,00 NTV 14 8.6 .. の 私のお母 さん (水)6.45∼7.00 NTV 15 23.9 71.ユ 部 若 い 日記 (火)8.00-8.30 NHK 24.3 69.3 人生劇場 (木)7.111 NTV 26.4 .. 6 当 然 の事 なが ら、① 回数 多 く放 送 す る事 、② 有 名 人 の 出 演 す る事 、③ 視 聴 者 の 見 易 い 時 間 を選 ぶ こ と、等 が 、視 聴 率 を高 め る 上 に効 果 あ る事 実 が結 論 的 に引 き出 され る。 テ レ ビ文 化 度 の 低 い 日本 の現 状 で は 、 ま だ ま だ 、構 成 や 演 出 の 良 さが 視 聴 率 に影 響 す る に は程 遠 い の か も しれ な い 。 A.視 聴 率(そ の2) 【質 問 】 去 る12月10日 放送 の 「二 人 で お 茶 を 」 第41回 「借 金 に 関 す る 十 章 」 を 、 ご ら ん に な り ま した か 。 【質 問 】12月17日 放 送 の 第42回 「催 眠 術 に 御 用 心 」 は ご ら ん に な り ま し た か 。 【質 問 】12月24日 放 送 の 第43回 「聖 し こ の 夜 」 は ご ら ん に な り ま し た か 。 次 に本 来 の 意 味 の視 聴 率 を 、 三 回 に わ た って 調 べ て み た 。 こ れ は 、 見 な か っ た 場 合 、 そ の 理 由 も記 入 して も らっ た 。 丁 度12月 も押 し迫 っ た 頃 で 、視 聴 率 を調 べ る に は最 悪 の 時 期 で あ っ たが 、 止 む を得 な か っ た 。恐 ら く以 下 の 結 果 は 「二 人 で お 茶 を」 の 視 聴 率 と して は最 低 に近 い もの で あ ろ う。 一78一 第十 表 回数 題 名 「二人 でお茶 を」 視聴 率表(%) み 放 送 日時 た みなかっ た 無 41 借 金に関する十章 12/1012.15∼45 30.4 52.1 1.5 42 催 眠術 に御用心 12/1712.15--45 32.5 47.8 3.7 43 聖 しこ の 夜 12/2412.15∼60 41.1 38.2 4.7 註.「 二 人 で お 茶 を 」 を 見 た こ と の な い 人16.0%は 第43回 「聖 しこ の夜 」 が 前2回 答 表 か ら省 い た 、 に比 べ て1割 以 上 も視 聴 率 が 高 い の は 、 ク リ ス マ ス 特 別 放 送 と し て45分 番 組 に した 為 で あ る。 総 じて 特 別 番 組 、記 念 番 組 は視 聴 者 の注 意 を惹 き、普 通 番 組 よ り も視 聴 率 の 増 加 を もた らす こ とは 紛 れ もな い 事 実 で あ る。 上 の 三 回 の 平 均 視 聴 率 は34.7%と な る が 、 た また まNTV調 査 で 対 象 と な っ た 「二 人 で お 茶 を」 第44回 査 課 が12月 末 行 っ た番 組 視 聴 率 調 「僕 と私 の十 大 ニ ュ ー ス」 は40.5%の 視 聴 率 を示 して お り、 この 事 と、 暮 の 忙 しい 時 の 調 査 で あ る こ と を考 え合 わ せ る と、平 均 視 聴 率 は30%と40%の 問 、 む しろ40%に 近 い の で は な い か と考 え ら れ る 。 こ の事 は 次 の 「何 故 見 な か っ た か 」 の理 由 を 分 析 す る と一 そ う判 然 と して く る。 第 十 一 表(A)「 二 人 で お 茶 を」(41,42,43回) を 見 な か っ た 理 由(%) 外 出 中(テ 第 十 一 表(B)み レ ビ の前 に い な か っ た) 仕事 で多忙 面 白 くな い の で(NHK-TVを そ の他(故 見 て い た を含 む) 障 、 病 気 な ど) 無 答 40.2 外 出中 36.0 仕 事で多忙 計 み な か っ た 人 の 大 半76.2%が ., 16.5 9.1 面 白 く ない の で 4.2 2.3 その他 1.1 無 5.7 12..4 合 な か っ た 理 由(%) 答 合 100.0 外 出 中(会 社 、 学 校 、 そ の 他)又 っ て い る 。 こ れ を全 視 聴 者 を基 数 に して み る と第 十 一 表(B)の 計 は仕 事 中 で 、 暮 の 忙 し さ を物 語 如 くに な る 。 全 体 の 中 で 「二 人 で お茶 を」が 面 白 くな い の で 見 ない とす る 積 極 的 な 否 定 意 見 は4.2%で こ の 内 訳 を示 す と、 面 白 くな い の で 2.4/ NHK-TVを 1.5 見 ていたので 子 供 向 きで な い の で 0.2 ラ ジ オ を聞 い て い た の で 0.1 一79 45.9 あ るが、 B.嗜 好率 【 質 問 】 毎 週NHK、NTVか ら放 送 され て い る次 の テ レ ビ番 組 の 面 白 さ につ い て該 当 す る欄 に ○ を つ け て 下 さい 。 非常に面白い 面 白 い あ ま り面 白 くな い 全然 つ ま らな い み た こ とが な い エ ノ ケ ンの 水 戸 黄 門漫 遊 記 エ ン ゼ ル ・ケ ー キ シ ルエ ッ トク イ ズ 人生劇場 ゼ ス チ ャ ー(NHK) ゼ スチ ャ ー ク イズ(NTV) 青 春 カ レン ダー 当世娘気 質 浪 花 演 芸 会 新 芸 座 シ ョー 何 で もや りま シ ョー 二 人でお茶 を 僕 の 見 た もの 聞 い た も の マ リ オ ネ ッ ト 若 い 日記 私のお母 さん (五十音順) 現 在 の 種 々 雑 多 な テ レ ビ番 組 の 中 か ら、報 道 、教 養 関 係 を 除 い た レ ギ ュ ラー 生 番 組 を抜 き出 し、 更 に 「最 もテ レ ビ的 な テ レ ビ番 組 」 を基 準 と して音 楽 番 組 、 中 波 同 時 中継 番 組 を除 き、 又 子 供 の み を対 象 に した 番 組 を 除 い た 所 、NTV、NHK-TVを 通 じ上 表 の 如 き番 組 が 残 っ た 。 こ れ ら の 中 「浪 花 演 芸 会 新 芸 座 シ ョー」 は 中波 同 時 中 継 だ が 、 ラ ジ オ番 組 を テ レ ビ ・シ ョー 化 しよ う と 努 力 して い る注 目 す べ き番 組 で あ り、又 「マ リ オ ネ ッ ト」 は 、完 成 芸 術 の 中 継 的 要 素 を含 む が 非 常 に テ レ ビ的 で あ る とい う意 味 で 、 表 に採 り入 れ る事 に した 。 か くて と り上 げ た14の 番 組 を 更 に 区分 す る と次 の通 りで あ る。 (1)ド ラマ テ ィカ ル 番 組 種 ド 類 ラ 番 マ 組 名 放 送 日時 放送局 若 い 日記 (/」8.00--8.30 NHK 29.12.27 現 在 放送 回 数 主 な 出 演 者 相原巨典 人生劇場 休)7.30∼8.00 NTV 6 ミュ ー ジ カ ル ド ラ マ 私 のお母さん (水>6.45∼7.00 NTV 15 近藤圭子 ミュー ジ カ ル コ メデ ィ ク F エ ノ ケ ンの 水戸 黄 門 漫 遊 記 (月>7.30∼8.00(隔 NTV P4 エ ノケン 〃 二 人で お茶 を (金)12.15∼45 NTV 43 千葉信男、宮城 まり子、沢村いき雄 〃 エ ン ゼ ル ・ケ ー キ q,ユ2.15∼45 NTV 39 〃 NHK 週) 僕 の 見 た も の 聞 い た もの (日>7.15--7.30 ミュ ー ジ カ ル シ ョー 当世娘 気質 (水>12.15--12.30 NTV 8 コ 青 春 カ レン ダー (木>12.15∼12.35 NTV 11 メ デ ィ :1 市 村 俊 幸 、楠 トシ エ 星和子 小 金 馬 、 貞 鳳 、猫 八 (2)ク (3)そ イズ番組 ゼ ス チ ャー ク イズ (水)6。15--6.45 NTV ゼ ス チ ャー (金)7.45--8.15 NHK 三 木鮎郎 69 水之江滝子、柳家金吾楼、青木アナ シ ル エ ッ トク イズ (金)7.30-8.00 NTV 51 木 下華 声 、 茂 木 ア ナ 何 で もや り ま シ ョー (..1)7.30--8.00 NTV 69 三 国 一朗 浪 花 演 芸 会 新 芸 座 シ ョー (木)7.30∼8.00 NHK マ リ オ ネ ッ ト (日)6.30∼7.00 NHK の他 以 上 の 中 、 ドラ マ テ ィ カ ル番 組 を集 計 した 結 果 は 第 十 二 表 の順 位 とな っ た 。 第十 二表 ドラ マテ ィカル番組 比較 表(%) 非常に面白い 面 白い あまり面 白くない 全然っまらない みた事がない 無 答 総合点 :. 43.6 .: 2.5 16.0 2.5 165 僕 の 見 た もの 聞 い た もの 17.1 42..5 30.0 4.3 3.2 2.9 107 3 若 い 日記 17.5 27.1 21.1 3.6 6.4 95 4 エ ノケ ンの水戸黄 門漫遊記 11.8 42.8 25.7 8.6 2.5 66 36.4 19.6 5.8 26.4 6.8 43 2.9 ., 9.0 21 3.9 34.6 7.9 ll頁 位 番 1 二 人でお茶 を 2 5 6 7 組 人生劇場 エ ン ゼ ル ・ケ ー キ 青春 カレンダー 5.0 25.7 28.1 5.4 26.1 5.4 22.1 24.3 8.6 19 8 私のお母 さん 8.0 39.2 37.1 15.7 23.9 5.0 一26 9 当生娘気 質 3.9 18.2 25.4 11.8 33.6 7.1 一64 順 位 は非 常 に面 白 い+2、 面 白 い+1、 あ ま り面 白 くな い 一1、 全 然 つ ま ら ない 一2、 回 答 数 を基 準 に して総 合 点 を求 め 、 この 点 数 順 と した 。 こ の 点 数 制 に す る と、0点 最 高560か ら最 低 一560ま で の1.120点 の 間 に分 散 して 位 置 す る わ け だ か ら、7位 と して を 中 心 に して まで は 一 応 平 均 点 以 上 を と っ て い る と見 て よい わ け で あ る 。 調 査 の 性 質 が 「二 人 で お 茶 を」 中 心 の調 査 で あ り、 「二 人 で お 茶 を」 の 説 明 的 質 問 もあ る為 、 あ る程 度 の 甘 い評 価 の あ る こ と も割 引 して み な け れ ば な らな い が 、そ れ に して も 「二 人 で お 茶 を」 の 人 気 は非 常 に高 率 で あ る こ とが わか る 。 「二 入 で お 茶 を」 以 外 の 番 組 につ い て は 、 そ の よ うな偏 りは な い とみ て よ い が 、2位 の 「 僕の 見 た もの 聞 い た もの 」 はNHK-TVで も、 最 も長 い寿 命 を持 つ 番 組 で あ る こ と と、 市 村 、楠 の 強 力 な キ ャ ス トに よ る も の と思 わ れ る 。 「二 人 で お 茶 を」 の 千 葉 、宮 城 の コ ン ビが 、 この 「 僕の 見 た 」 の コ ン ビ と酷 似 して い る こ と も面 白 い 。 「若 い 日記 」 が 視 聴 率 の高 い 「エ ノ ケ ン」 を しの い で3位 で あ り、 受 け な い と云 わ れ る テ レ ビ ドラ マ の為 に万 丈 の 気 を吐 い て い る こ とは 、 テ レ ビ 視 聴 層 の 健 全 さ を示 す もの と して 、NTVの 番 組 に 示 唆 を与 え る もの で は な か ろ うか 。 あ ま り有 名 な キ ャ ス トの い な い 「人 生 劇 場 」 が 近 藤 圭 子 の 「お 母 さ ん」 の 上 位 に あ る の は、 や は り原 作 の 一81一 強 み で もあ ろ うか 。 時 間 も放 送 回 数 も殆 ど同 じ条 件 で 出 発 した 「青 春 カ レ ン ダー 」 と 「当 生 娘 気 質 」 は視 聴 率 が 殆 ど同 じな の に 、面 白 さ に お い て 格 段 の差 を示 し、 視 聴 者 は 「青 春 カ レ ン ダ ー」 的 な番 組 の 方 を、 よ り好 む こ とを表 わ して い る 。 最 近 急 激 に人 気 の 上 昇 して い る とい わ れ る 「青 春 カ レ ン ダ ー」 は 、(30年1月NTV調 査 課 発 表 の 視 聴 率 順 位 に よ る と、 こ こ に上 げ た 番 組 の 中 で は 、 「二 人 で お茶 を」 につ い で 第2位)今 後 視 聴 率 の 増 加 と共 に嗜 好 率 も高 ま る だ ろ う。 「面 白 い 」 と 「面 白 くな い 」 の 二 つ に わ け て 回 答 数 を グ ラ フ にす る と次 の 通 り。 第 十三 表 お た も僕 150 面100 白 い 50 i與 日 く な い 50 100 (第十 四 表 〔 「ドラマ テ ィ カ ル 番 組 嗜 好 率 」(第 十 二 表 か ら 「み た事 が な い 」 「無 答 」 を 除 い て 百 分 比 を示 した 表)〕 削 除) 一82一 次 に 、代 表 的 な ク イ ズ番 組 四 つ につ い て み よ う。 第十 五表 槓位 番 組 非常に面白い ク イズ番 組比較 表(%) 面 白い i ゼ ス チ ャー 48.9 36.4 2 何 で もや り ま シ ョー 39.6 32.5 3 ゼ ス チ ャー ク イ ズ 23.9 4 シ ル エ ッ トク イ ズ --.1 あまり面 白くない 111 42.8 みた事がない 全然っ まらない 答 総合点 2.1 1.1 2.9 340 17.5 6.8 2.9 0.7 226 20.0 3.9 4.6 3.2 180 31.8 6.1 3.6 4.6 59 流 石 に ク イ ズ 番 組 は 視 聴 率 は 高 い 。 「シ ル エ ッ トク イ ズ 」 の 第4位 TVの 無 8.6 は 回 数 の 短 い こ と 、NHK- 「ゼ ス チ ャ ー 」 と 同 時 刻 放 送 で あ る 為 と思 わ れ る 。 こ の 「ゼ ス チ ャ ー 」 とNTVの も や り ま シ ョ ー 」 は 面 白 い も の ほ ど%が 第十 六表 番 1頂位 組 非常に面白い 「何 で 高 く 出 た 。 この 種 番 組 の 両横 綱 と云 うべ きか 。 クイ ズ番組 嗜好 率(%) 面 白い 計(嗜 好 率) あまり面 白くない 全然つ まらない 合 計 ゼ ス チ ャー 50.9 37.9 ... 2.3 11.2 2 何 で もや り ま シ ョー 41.1 33.7 74.8 18.2 7.0 25.2 3 ゼ ス チ ャー ク イ ズ 25.9 48.2 74.1 21.7 4.2 25.9 4 シ ル エ ッ トク イズ 12.1 46.6 58.7 34.6 6.7 41.3 1 .・ 次 に 「浪 花 演 芸 会 新 芸 座 シ ョー」 及 び 「マ リ オ ネ ッ ト」 につ い て は 第 十 七 表 、 第 十 八 表 の如 く で あ る。 第十 七表 q頁位 番 組 答 総合点 あ まり面白 くない 全然っまらない 浪 花 演 芸 会 新 芸 座 シ ョー 13.2 33.9 22.9 8.6 16.4 5.0 57 2 マ リオ ネ ッ ト 12.8 26.1 23.3 7.8 24.6 5.4 36 第十 八表 嗜好 率(%) it頁 位 番 1 浪 花 演 芸 会 新 芸 座 シ ョー 2 マ リオ ネ ッ ト 計(嗜好率) みた事がない 無 面白い 1 組 非常に面白い 比 較表(%) あま り面白 くない 全然つまらない 合 面 白い .: 43.1 59.9 29.2 10.9 40.ユ 18.3 37.3 55.6 33.3 11.1 111 計 非常に面 白い 以 上 の14の 番 組 を人 気 の 順 に並 べ て 、 嗜 好 率 を記 入 す る と第 十 九表 の 如 くに な る 。 一83一 第十 九表14番 ilkT,i. 番 組 組 の人 気及 び嗜 好率 局 得 点 嗜好率 順 〔%) 位 ■ 1 ゼ ス チ ャー NHK 34Q .. 74.8 3 1・ 2 何 で もや り ま シ ョー NTV 226 3 ゼ ス チ ャー NTV 180 74.1 4 4 二 人でお茶 を NTV 165 76.4 2 5 僕 の 見 た もの 聞 い た もの NHK 107 63.5 6 6 若 い 日記 NHK 95 64.4 5 7 エ ノケ ンの 水 戸 黄 門 漫遊 記 NTV 66 61.4 8 8 シ ル エ ッ ト ・ク イ ズ NTV 59 58.7 10 浪 花演 芸 会 新 芸 座 シ ョー NHK 57 59.9 9 ・ク イ ズ 1 9 1 ]0 人生劇 場 NTV 43 11 マ リオ ネ ッ ト NHK 36 12 エ ン ゼ ル ・ケ ー キ NTV 21 NTV 19 62.0 7 55.6 it 54.0 13 54,8 ].2 47.2 14 37.3 15 ■ ■ 1 13 青 春カ レンダー 1 私 のお母 さん 14 当世娘気 質 15 NTV 一26 NTV 一64 以 上 の 表 に 明 ら か な 如 く 、 「二 人 で お 茶 を 」 はNHK-TVの 76.4%を 占 め 、NTVの 厂ゼ ス チ ャ ー 」 に 次 い で 、 嗜 好 率 代 表 的 人 気 番 組 と し て の 地 位 を 確 保 して い る わ け で あ る 。 次 に 、 「二 人 で お 茶 を 」 に つ い て 、12月 中 に 放 送 し た3回 の嗜 好 率 を夫 々調 べ て み た 。 【 質 問 】 第41回 「借 金 に 関 す る 十 章 」 は 、 面 白 か っ た と思 い ま す か 。 【質 問 】 第42回 「催 眠 術 に 御 用 心 」 は 、 面 白 か っ た と 思 い ま す か 。 【質 問 】 第43回 「聖 し こ の 夜 」 は 、 面 白 か っ た と 思 い ま す か 。 こ の 質 問 で は 、 各 回毎 に面 白 か っ た 理 由 、 又 は つ ま らな か っ た理 由 を記 入 して も ら っ た 。 こ の 結 果 は 第 二 十 表 に示 す 。 第 二十 表(B)各 第 二 十表(A)各 回 回比 較表(%) 面 白 か っ た つま らなかった 無 答 回嗜 好率(%) 面 白 か っ た(嗜 好 率) みなかった つ まらなかった 第41回 82.5 17.5 第42回 69.4 30.6 第41回 23.6 5.0 1.8 第42回 21.8 9.6 0.7 67.9 第43回 87.6 12.4 第43回 35.4 5.0 1.4 58.2 平 79。8 20.2 .・. 均 3回 の う ち で は 、面 白 か っ た 順 は43回 、41回 、42回 の 順 に な る 。 又 、 第 十 九 表 に あ ら わ れ た 「二 人 で お 茶 を 」 の 標 準 嗜 好 率 と比 べ る と 、43、41回 は 水 準 以 上 、42回 は以 下 とい う こ とに な る わ け で あ る。 で は 、 ど こが 面 白 く、 ど こ が つ ま ら な か った の か 、 この 内 訳 を出 来 る だ け 詳 細 に記 し して み た 。 ., 第二 十 一表 内 面白かった理由 題 材 の 着想 がよい 「 借 金 に関 す る十 章」(作 ・構成 訳 時 節 に合 致 した セ ン ス が 良 い3 思 い つ きが い い4 8 脚 本が よ い 今 の 私 の 生 活 に 関係 が あ る か ら面 白 い … 演技が 良い つまらなかった理由 内 題材がつ ま らぬ 2 あ りふ れ た テ ー マ だ1 脚本がつ ま らぬ 訳 身 に つ ま され て 面 自 くな い1 シ ナ リオ が悪 い1 世 相 諷 刺 が よ くき い て い た4 構 成 が単 純 だ1 借 金 の 方法 に も い ろ い ろ あ る と感 心 した ・…3 内容 が 低俗 だ1 バ ラ エ テ ィに富 ん で い る所 が 良 か っ た ・… …3 区切 りが 多す ぎて 、 一貫 した 面 白 さが な い・2 す れ 違 い 加 減 のh手 15 ・・1 能 見正 比古) さ2 7 馬 鹿 々 々 しい2 バ カ バ カ し い所 が 面 白 い2 演 技 … …1 タ レ ン トがつ ま らぬ1 内 容 が 充 実 して い た1 演 出 … …1 配役が不適当だ1 各 人 の 演 技 が 上 手 か っ た2 そ の 他 … ・1 】 ピンとこない1 千 葉 、 桜 、 丘 が 上 手 か っ た1 4 演 出が よ い 宮 城 ま り子 が よか っ たi 眼 のLで 楽 しめ たi だ れ な い で ス ム ー ズ に運 ん だ2 4 全 体 と して よい 気 持 が 大 変 よ く出 て い た1 明 る くユ ー モ ラ ス だ5 気 が 利 い て い る1 い や み が な い1 時 間 の 経 つ の を忘 れ た。 短 かす ぎる … … … ・1 9 全 体 と して よい1 (第二 十 二 表 ∼ 第 二 十 四 表 〔 「催 眠 術 に御 用 心 」 「聖 しこ の夜 」 の 自 由 回 答 等 〕 省 略) 以 上 の 内 訳 に出 て来 た 意 見 は 、 そ の 回 の み で な く 「二 人 で お 茶 を」 全 体 に対 す る批 評 と して傾 聴 すべ き もの が 少 くな い 。 熟 読 玩 味 すべ きで あ ろ う。 大 衆 は 決 して馬 鹿 で は な い。 面 白 さ とつ ま らな さの 区 別 は は っ き り知 って い る の で あ る 。 以 上 の 結 果 で は人 々 は 「二 人 で お 茶 を」 に豊 富 な ギ ャグ と奇 抜 な着 想 と タ イ ム リー な企 画 を望 ん で い る様 に 感 ぜ られ る 。 しか し何 よ りも望 まれ て い る の は 、 や は り筋 の つ なが りの 自然 な こ と、 構 成 の 正 確 さで は な か ろ うか 。 こ れ らは 何 れ も筋 立 て の 問題 で あ り、脚 本 の 重 要 性 が こ こで も痛 感 され る の で あ る。 C.俳 (1)レ 優 ギ ュラー出演 者 「二 人 で お 茶 を」 は 決 して い わ ゆ る ス タ ー シス テ ムで は な く、 筋 の面 白 さ を 中心 に 、 各俳 優 の 組 合 せ の ア ンサ ンブ ル の 良 さ を誇 る番 組 で あ る が 、 こ こ で は 「二 人 で お 茶 を」 に 出演 して い る レ ギ ュ ラー 俳 優6人 の 人 気 を探 っ て み た 。 尚 、 か つ て の 出演 者 で 最 近 急 に 人 気 者 に な りつ つ あ る 中村 メ イ コ を 人 気 の バ ロ メ ー ター 的 意 味 で参 考 に付 し た。 い う まで もな い こ とで あ る が これ は あ く まで 「人 気 」 の 調査 結 果 で あ っ て 、 演 技 の 上 手 、 下 手 とは 無 関 係 で あ る とい う事 で あ る 。 一85一 【 質 問 】 「二 人 で お 茶 を」 に 出 て い る次 の 出 演 者 の うち 、 あ な た の好 き な 人 に○ をつ け て 下 さ い 。 回 答 は 、 「二 人 で お 茶 を 」 を 視 た こ と の あ る 人232名 第 二 十五表 俳 優 俳 優 の人気 尚 、特 に 千 葉 信 男3、 信 男 154 宮 まり子 127 41.0 い き雄 90 38.8 14.7 沢 村 逗 子 とんぼ 34 藤 村 有 16 6.9 181 1 附 1中 弘 桜 京 美3、 宮 城 ま り子4、 で ある。 54.8 美 京 沢 村 い き 雄6、 .. 95 桜 あ る。 「大 好 き」 と 答 え た も の は 、 中 村 メ イ コ8、 a/232(%) 票(a) 千 葉 城 を 対 象 と した 。 従 っ て 最 高 点 は232で 表 村 (2)出 ・イ・1 したい俳優 【質 問 】 以 上 の 出 演 者 の外 に 、 どん な人 に 出演 して も らい た い と思 い ます か 。 この 質 問 に対 して 、 回 答 数 は 一 人 で 二 人 以 上 あ げ た もの も含 め て281、74名 に 及 ん だ 。3人 以 上 が あ げ た俳 優20名 を順 番 に あ げ る と、 第 二 十 六 表 の通 りで あ る 。 第二十 六 表 三 1 木 内 訳 男 女 27 19 8 11 山 田 周 19 4 11 雪 優 亟 ホ の り平 俳 「二 人 でお茶 を」 に出 したい俳優(票) i 亜 T 優 内 訳 男 女 1 平 6 4 2 村 いず み 6 3 3 11 三遊亭 小金馬 6 6 0 4 14 笠 置 シヅ子 5 4 i 2 15 江 利 チエ ミ 4 2 2 13 3 16 エ ノ ケ ン 3 2 1 13 8 5 16 曉 テル子 3 2 1 2 ト ニ ー 谷 23 3 有 島 一 郎 17 11 6 3 フラ ンキ ー堺 17 13 5 森 繁 久 彌 16 14 5 市 村 俊 幸 16 7 丹 下 キ ヨ子 8 楠 トシエ 9 堺 10 柳 9 7 2 16 星 和 子 3 2 1 二 8 7 1 16 一竜斉 貞 鳳 3 3 0 金語樓 7 5 2 16 美 ひば り 3 0 3 俊 家 俳 空 三 木 の り平 、 フ ラ ン キ ー堺 は 男 性 女 性 共 に変 りな く人 気 が あ るが 、 トニ ー 谷 、森 繁 久 彌 は 男 性 に多 く、丹 下 キ ヨ子 は女 性 に 多 くの 支 持 層 が あ る 。 又 「青 春 カ レ ン ダ ー 」 の 三 遊 亭 小 金 馬 、 一 竜 斉 貞 鳳 は 、 女 性 に推 す 者 な く、 美 空 ひ ば りは男 性 に推 す もの が なか っ た 。 年 令 別 で は 、 フ ラ ン キ ー 、小 金 馬 は若 い 男 性 層 に 、 楠 トシ エ は40∼50代 の 男 性 層 に、 丹 下 キ ヨ :・ 子 は20代 以 下 の 男 性 と30代 の 女 性 層 に 人 気 が あ る と い う面 白 い 結 果 と な っ た 。 他 に2名 以 上 が あ げ た者 は 、 江 戸 屋 猫 八 、 小 野 田 勇 、 古 川 緑 波 、 岸 井 明 、 西 川 敬 三 郎 、 若 尾 文 子 、 古 賀 さ と子 、 沢 村 貞 子 、 水 之 也 清 美 らで 、又 、 一 名 の み が あ げ た もの の う ち に は 、 南 田 洋 子 、 久 我 美 子 、 山 本 富 士 子 、左 幸 子 、 関 千 恵 子 、 浅 茅 しの ぶ 、 久 保 菜 穂 子 等 の映 画 女 優 、 越 路 吹 雪 、 藤 沢 嵐 子 、 神 楽 坂 は ん 子 、 高 英 男 、 旗 輝 夫 、 ジ ョ ー ジ 川 口 な ど軽 音 楽 人 、 コ ロ ン ビ ア ・ ト ッ プ 、 ラ イ ト、 漫 才 の 国 友 昭 二 、 南 道 郎 、 伊 藤 雄 之 助 、 河 合 坊 茶 、 有 木 三 太 、 山 茶 花 究 、渡 辺 篤 、清 川 虹 子 、 ミ ミー 宮 島等 の 他 、 力 道 山 、 三 船 敏 郎 、 水 谷 八 重 子 、 三 味 線 豊 吉 、 ヘ レ ン ヒ ギ ン ス 、 藤 村 富 美 男 、NTV結 城 アナ な ど と い う の もあ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら感 じ られ るの は 、 テ レ ビ ジ ョ ンに よっ て 俳 優 を 知 っ た 、或 は テ レ ビに よ って し か 知 ら な い と い う 視 聴 者 が 非 常 に 多 い こ と で あ る 。 こ れ を 裏 返 せ ば マ ス ・メ デ ィ ア と し て の テ レ ビ の 影 響 力 の 強 大 さ を 物 語 る も の で あ っ て 、 「テ レ ビ ス タ ー 」 と い う も の が 実 力 は 二 の 次 と し て 、 非 常 に 生 れ 易 い 条 件 を も っ て い る こ と を 示 す の で あ る 。 テ レ ビ 受 像 器 の 増 加 と 共 に 、 「テ レ ビ ス タ ー 」 も今 後 続 々 と 誕 生 し て ゆ く の で あ ろ う 。 D.コ マ ー シ ャル 【質 問 】 「二 人 で お 茶 を」 の ス ポ ンサ ー(広 告 提 供 主)は 明 治 製 菓 で す が 、 そ れ を御 存 知 で す か 。 第 二十 七表 「二 入 で お 茶 を 」 を見 た事 の あ る人 に つ い スポ ンサ ー知名 率表(%) て 、 ス ポ ンサ ー知 名 度 を調 べ て み た。 そ の 結 93.3 知 って い る 果 は 第二 十 七 表 の 通 りで あ る 。 こ の93.3%と 6.7 知 ら なか っ た い う数 字 は 、 テ レ ビが 広 告 媒 体 と して如 何 に 強 力 で あ るか を遺 憾 な く発 揮 して 余 す 所 が な い 。 「二 人 で お 茶 を」 を見 た 事 の あ る 人 の 殆 どが 、 同時 に明 治 製 菓 を 記憶 して い る の で あ る 。 テ レ ビ に 於 て は 、 まだC.Mに 対 す る 「心 理 的失 明 者 」 は殆 どい な い わ け で あ る。 こ の 内 訳 を年 令 、 性 別 に 示 す と次 の通 り。 第 二十 八表 知 名率 性 年代 知ってい る 知 らなか った 年 令性 別知 名率(%) 男 10代 91.3 8.7 20代 30代 女 40代 50代 以 上 96.6 91.9 84.4 92.6 3.4 8.1 15.6 7.4 平 均 92.1 7.9 10代 20代 100.0 100.0 0 0 30代 93.3 6.7 40代 以 上 100.0 0 平 均 97.9 2.1 若 い 年 令 層 と女 性 に、 関 心 度 の 高 い 事 が わ か る。 これ は 、 そ れ だ け劇 中 に 溶 け込 ん で見 る為 か。 一87一 【 質 問 】 「二 人 で お 茶 を」 の 明 治 製 菓 の コ マ ー シ ャ ル(広 告 放 送)を ど う思 い ます か 。(該 当 す る も の を ○ 印 で か こん で 下 さ い) いや ら しい 。 くどい 。 普通 で ある。 商 品 名 が 頭 に残 る。 広 告 効 果 と して は上 出来 だ 。 誇大 でいやだ。 洗 練 さ れ て い る。 ・) そ の 他( この 質 問 も 、前 の 質 問 で 明 治 製 菓 を 「知 っ て い る」 と答 え た もの の み に つ い て 調 べ て み た。 この 質 問 は一 人 で 二 つ 以 上 の 答 を した も 第二十 九 表 コ マ ー シ ャル を ど う思 うか(%) の も全 部 計 算 した 。 そ の 結 果 第 二 十 九 表 の い や ら しい 1.3 如 く非 常 に 良 い結 果 が 出 た。 テ レ ビ に於 け 10.2 く どい る コマ ー シ ャ ル の 問 題 は非 常 に 難 し く、現 誇大 でいやだ 状 は まだまだ実験 的な段階 にあるが、殊 に 「二 人 で お 茶 を」 で は 、 コ マ ー シ ャ ル を如 何 に して 不 自然 で な く、 しか も印 象 強 く宣 伝 効 果 十 分 に演 出 す る か に非 常 に 苦 心 を払 1.3 普通 である 42.6 商 品名 が頭 に残る 23.6 洗練 されている 12.8・ ・ … ・ 否 定 的 な もの 9.3 26.2・ … 広告効果 としては 上出来だ い 、 各 種 の 試 み を為 して 来 た。 そ の 努 力 が 無答 以 上 の 如 き好 結 果 を得 しめ た の だ とい う こ 肯 定 的 な も の 16.9 3.6 とが 出 来 る 。 コ マ ー シ ャ ル に つ い て の 否 定 的 な 意 見12 .8%の 2.6%に うち 対 し 「く ど い 」 と い う も の は10.2%と4倍 「い や ら し い 」 或 は 「 誇 大 だ」 と思 う もの 近 い 数 字 を 示 した 。 即 ち 不 快 感 を伴 う、 ア ク ドイ宣 伝 方 法 と い う印 象 は決 して視 聴 者 に は 与 え て い な い の で あ る が 、 しか し、 い く ら さ っ ぱ り し たC.Mで も 、 こ れ を 何 回 も見 せ ら れ て は 少 々 ウ ン ザ リ す る と い う 事 な の で あ る 。 だ が 、す べ て の 否 定 的 意 見 を 合 計 し て も 、わ ず か12.8%で 以 下 で あ る こ と は 、先 ず 先 ず あ り 「広 告 効 果 と し て 上 出 来 」の16.9% 「二 人 で お 茶 を 」 の コ マ ー シ ャ ル は 成 功 し て い る と い っ て よ い だ ろ う 。 逆 に い え ば 、 現 在NTVのC.Mの 方 法 の 中 に は 、 あ ま り目 に 余 る もの が 多 す ぎる か ら な の か も知 れ な い 。 次 に 「そ の 他 」 の 意 見 を ま と め て み た 。 第 三十 表 ① コ マ ー シ ャ ル に つ い て の そ の 他 の 意 見(票) 肯 定 的 な意 見 内 訳 印 象 的 で 非 常 に面 白 い3 商 品 が 菓 子 な の で他 の 番 組 よ り 自然 だ2 ② 批 判 的乃 至 建 設 的 な意 見 内訳 商 品 の 数 が 多 す ぎて ピ ン とこ な い5 セ リ フ にC.Mを 入 れ る な、 画 面 の み で よい2 商 品 を画 面 に ア ップ で 正 面 に 出 す な 、バ ッ クだ け で よい3 .. 劇 の 中 に 入 れ る な 、前 と後 だ け で よい3 さ さや か に 、 上 品 に 、 あ っ さ り と、 す っ き り と7 大 会 社 の ス ポ ンサ ー を知 ら な い 者 は な い の だか ら もっ と ア ッサ リ と入 れ た 方 が よ い2 も っ と研 究 せ よ3 キ ャ ラ メ ル の 箱 を ち らつ か せ る だ け で 十 分 効 果 が あ る1 子 供 中心 のCMで 、 これ に適 当 に 大 人 を結 び つ け る よ う にせ よ1 前 と後 に 宣 伝 マ ン ガ映 画(例 、 パ ー ル ち ゃ ん とお 月 様 の よ うな)を 入 れ よ1 菓 子 製 造 過 程 の 如 きP.R的 な もの を入 れ た ら ど うか1 現 在 以 上 に コマ ー シ ャ ル を増 や す な。 現 状 が 無 理 の ない 所 だ1 商 品 の数 が 多 す ぎて ピ ン と来 な い とい う批 評 は 、 年 末 、 年 始 用 贈 答 品 の コマ ー シ ャル の こ とを 指 して い る の で あ ろ う。 ドラ マ テ ィ カ ル番 組 で 現 在 用 い られ て い る テ レ ビの コマ ー シ ャ ル の方 法 は 、 番 組 の前 後 に 入 る もの の外 に 、 大 別 して 三 つ に わ け られ る 。 ① 劇 中 の 俳 優 にセ リフ の み で 入 る方 法(音 ② 画 面 の み で 見 せ る方 法(画 ③ ① と② の両 方 を用 い る 方 法 の み) の み) ① の方 法 は最 近 ラ ジ オ で も少 しつ つ 用 い ら れ て い る よ うだ が 、 よ ほ ど上 手 くや ら ない と失 敗 す る率 が 大 きい 。 ② は 一 部 の 映 画 で も使 用 され て い る もの で 、 バ ッ ク に 明 滅 す る ネ オ ンや 、 小 道 具 と して 、 さ りげ な く使 用 さ れ る 。 ③ は 、 は っ き りコマ ー シ ャル と して劇 中 に挿 入す る もの で 、① や ② よ り効 果 は あ るが 、 あ ま り くどす ぎ る と反 感 を もた れ て逆 効 果 に な る恐 れ が あ る。 「二 人 で お 茶 を 」 の 場 合 、① は 、 「明 治 の お 菓 子 の よ う に甘 い何 々 」 と俳 優 が セ リ フで し ゃべ る場 合 だ が 、 これ は わ ざ と ら し くな る恐 れ が あ る し、 又 あ ま り印 象 的 で は な い 。 この 方 法 で成 功 した の は 、 第35回 「恋 に は 二 枚 の 舌 が い る」 で 、 ウ ソ発 見 器 の テ ス トの シ ー ンで 、 ラ ジ オ を か け る と 「自衛 隊 は軍 隊 で は あ りま シ ェ ん」 と議 会 中 継 が 聞 こえ て くる 、 す か さず ウ ソ発 見 器 の ブ ザ ーが ブ ー ブ ー と鳴 る。ダ イ ヤ ル を廻 す と 「可 愛 い い お 子 様 に は味 と栄 養 の 明 治 の お 菓 子 を ど う ぞ」、 ブザ ー が 鳴 らな い 。 とい っ た方 法 が あ っ た 。 こ の場 合 、 ラ ジ オ のC.Mを 用 い た 自然 さ と、 視 聴 者 の 注 意 を ウ ソ発 見 器 に集 め て お い て コ マ ー シ ャ ル を思 い が け な い 時 に入 れ た こ とが 成 功 の 原 因 で あ ろ う。 ② の例 は 、公 園 の シ ー ンで 明 治 チ ョ コ レ ー トと書 い た ベ ンチ を置 い た り、小 道 具 に キ ャ ラ メ ル を用 い た り、 喫茶 店 の シー ンで ポ ス ター を壁 に は っ た り、 とい っ た 方 法 が 用 い られ たが 、 こ れ ら は劇 の 進 行 を阻 害 しな い代 り、 印 象 は③ よ り薄 い の と、 あ ま り く ど く用 い る と、 や は り① と同 様 に い や ら し く な っ て くる 。 勿 論 、 劇 の必 然 性 を無 視 した小 道 具 や 置 道 具 を用 い る こ とは論 外 で あ る が 、 最 も応 用 の 広 い 、用 い 易 い方 法 で あ る 。 ③ は 、 前 の 二 者 と比 べ 最 も劇 の進 行 を 阻害 し易 い 、従 って 逆 効 果 に な る恐 れ の 多 い方 法 だ が 、 効 果 は 最 も大 きい か ら、 上 手 に や る と成 功 す る。 第51回 「無 精 天 国 」 で 無 精 者 の 大 助 が 来 客 が あ っ た の で 横 に な っ た ま ま、 ひ もを 引 くと 、天 井 か ら明 治 の 紅 茶 とチ ョコ レー トが 盆 に乗 っ て お り て くる とい う例 は 成功 した 部 類 で あ る。 こ れ も何 が お りて くる か に視 聴 者 の注 意 を集 め て お い て 、 コ マ ー シ ャ ル を入 れ た か ら 「うけ た 」 の で あ ろ う。 又 、 カル タ と りの 賞 品 と して 用 い た り(第45 回 厂金 色 系 図 」)、お八 つ に チ ョコ レー トを使 用 し た り(第39回 .. 「恐 怖 の 報 酬 」、第53回 「八 百 年 後 に御 招 待 」)、催 眠 術 にか か った 主 人 が 女 房 の い うが ま ま に次 々 にヘ ソ ク リ を 出す う ち に 、 ポ ケ ッ トか らキ ャ ラ メ ル が 出 て来 た り(第42回 「催 眠術 に御 用 心 」)、い ろ い ろ の 方 法 が用 い ら れ た 。 調 査 に現 れ た 「そ の 他 の意 見 」 の う ち 、 これ らの 方 法 にふ れ て い る もの は 、 俳 優 が セ リ フ で 言 う こ と を否 定 す る もの8、 画 面 に出 して も ク ロ ー ズ ・ア ップ で 出 す こ と を否 定 す る もの6、 劇 の 中 に 入 れ る こ とを 全 然 否 定 す る もの3、 と な っ て い る 。 確 か に 劇 の 中 に コマ ー シ ャ ル を入 れ る こ とは 、余 程 自然 に や ら な い と、 視 聴 者 は 興 覚 め の 思 い が す る わ け だ ろ う。 そ の結 果NHK-TV の 方 に ダ イヤ ル を廻 して し ま う事 が あ っ て は 大 変 で あ る。(そ う書 い て 来 た視 聴 者 もあ っ た 。)目 と耳 か ら来 る テ レ ビの 印 象 の強 さ を考 え る 時 、 テ レ ビの コマ ー シ ャ ル は あ く まで テ レ ビ的 な考 え 方 を す べ きで 、 い か に 「自然 に」 入 れ る か に最 大 の考 慮 が は らわ れ ね ば な る まい 。 そ の 上 で 、 方 法 と して は 、 や は り、 何 度 も く り返 して 時 間 多 く 「コマ ー シ ャル 」 よ りは 、 あ る… つ の シ ー ン、 一 つ の シ ョ ッ トに シ ャー プ に用 い る こ とが 最 も効 果 をあ げ る だ ろ う 。 そ の コマ ー シ ャ ル が 非 常 に 面 白 く、 か え っ て視 聴 者 を笑 わせ る よ うな ら ば大 成 功 な わ け で あ る 。KRの 捕 物 控 」(三 共 製 薬 提 供)で 人 気 番 組 「銭 形 平 次 、 ガ ラ ッ八 が ミネ ビ タ ー ル の 愛 用 者 と して 現 れ るが 、 これ を平 次 が い つ もか らか う とい う形 式 を用 い て い る の で 、 い や ら し くな く効 果 を上 げ て い る(雑 誌 「放 送 」 に よる)。 ラ ジ オ の 劇 中 コマ ー シ ャ ル は 非 常 に 難 しい が 、 これ な どは 以 て 他 山 の石 と なす べ きか 。 今 回 の 調 査 が 郵 送 法 に よ っ た為 、 自 由記 入 項 目 に傾 聴 す べ き意 見 が 少 くな か っ た こ と は は じめ に述 べ た が 、こ の よ う な コマ ー シ ャ ル につ い て の 質 問 で 、 しか も選 択 項 目 の 他 に設 け た 「そ の 他 」 の欄 で 記 入 して くれ た 意 見 が 一 割 以 上 もあ っ た こ とは 、 面 接 法 で は な か な か 得 ら れ な い 長 所 で あ る。 放 送 番 組 調 査 は 、 面 接 法 に よ る よ り も郵 送 法 の方 が よい 意 見 が あ らわ れ 、 番 組 制 作 上 有 益 な 助 言 と忠 告 を得 ら れ る 場 合 が 少 くな い 。 こ の 点 か ら、視 聴 率 調 査 は 別 と して 、 番 組 の細 か い 意 見 を 聞 く為 に 「二 人 で お 茶 を」 の今 後 の 調 査 は 、 今 回得 られ た 回答 者 を 中心 と した パ ネ ル ・メ ンバ ー を 定 め て 、 パ ネ ル調 査 を行 う こ とが 可 成 り有 効 で は な い か と思 わ れ る。 (情報 学 部 教 授) 一90一
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