ＭＤＣＴＮ通信第5号 2015年1月トランスレーショナル・メディカルセンター(TMC)の将来ＭＤＣＴＮ運営委員長武田伸一 2008年10月設立されたトランスレーショナル・メディカルセンターには，二つの大きな役割があります．その一つは，バイオリソースの管理体制の整備と利活用であり，もう一つは，臨床研究の推進です．バイオリソースに関しては，厚労省の政策として採り上げられ，メディカル・ゲノムセンターとして，大きく発展しようとしています．一方，臨床研究に関しては，NCNPの主要なテーマの一つである希少性の難治性神経・筋疾患について，患者さんの登録制度 (Remudy)を作って，日本のどこに，どの位の数の患者さんがいるのか把握することから始めました．また，医療機関を対象として，小牧先生を中心に，筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク(MDCTN)が形成され，活発に活動を進めていることは，皆さんもご存知の如くです．TMCは，将来どのように発展してゆくのでしょうか．私は，Remudyについては，日立ソリューションズ（株）と進めているWeb化を通じて，他の多くの希少性疾患の登録や難病（特定疾患）の医療給付制度に役立てることが重要であると考えます．MDCTNに関しては，筋ジストロフィーに関する臨床試験の実施を介して培われてきたknow-howを，academic research organization (ARO)として，どのように他の疾患に応用するかが鍵であり，それは，将来を担う皆さんに託されていると考えています．お知 ◆ 筋ジストロフィー研究班合同班会議らせ ◆筋ジストロフィーのCNS障害研究会日時：2015年1月9日（金）9時50分～日時：2015年1月11日(日） 10時～会場：JA共済ビルカンファレンスホール東京都千代田区平河町2-7-9 TEL 03-3265-8716 会場：大阪大学中之島センター講義室703 プログラムはこちらどなたでもご参加いただけます（申込不要） ※お知らせ欄掲載 [email protected] まで ◆筋強直性ジストロフィー市民公開講座日時：2015年1月12日(月・祝）会場：大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホールテーマ：知っておきたい筋強直性ジストロフィー詳細はこちらＭＤＣＴＮ２歳の誕生日を迎えてＭＤＣＴＮ事務局代表小牧宏文明けましておめでとうございます．今年も皆様にとってよい年でありますようお祈りしております．ＭＤＣＴＮは昨年の１２月をもって設立から２年を迎えました．ＭＤＣＴＮは５０年近く年引き継がれてきた筋ジストロフィー臨床研究班の発展型として設立し成長してきました．皆様のご協力，ご理解あっての今であり，深く感謝申しあげます．ＭＤＣＴＮは目の前の課題をクリアするＯＪＴ（onthe-job training）スタイルで体制整備を行いつつ，エビデンス創出を目的とした臨床研究を計画してきました．課題は山積していますが，私たちはこれからも楽しみながら，最善を尽くし，一日も早くよりよい医療を待っている患者さんご家族のために本プロジェクトを進めていきます．今後とも皆様にはＭＤＣＴＮに関っていただき，課題を共有し，前向きなご提案をいただけるとありがたいです．また多くの方のご協力をいただきながら準備を進めてきました，ポンペ病スクリーニング調査研究，アウトカムメジャー研究の2つの臨床研究を開始できる見込みとなりました．研究実施の面でも多くの方にご協力いただくことになりますが，どうぞよろしくお願いいたします．新年にあたり思いつくまま話題（課題）提供させていただきます．１．デュシェンヌ型筋ジストロフィー（ＤＭＤ）を対象とした治験が予想を超える勢いで提案され，この流れはしばらく続くと予想します．とても喜ばしい状況ですが，特に治験に参加できる小児ＤＭＤ患者と小児患者に対して安全に治験を実施できる施設の不足が目前の問題となりつつあります．２．疾患の自然歴（Natural history）を知る必要がありますが，創薬に用いることのできる情報が少ないのが現状です．ＭＤＣＴＮとしても検討したいと考えています．３．より適切な臨床評価方法（アウトカムメジャー）を見いだすことが重要で，ＭＤＣＴＮでも医師，理学療法士を中心に運動機能評価に関する検討を行っていますが，アウトカムメジャーはＱＯＬ／ＰＲＯや画像診断など多岐にわたり，多面的な検討が求められます．４．小児ＤＭＤを対象とした治験の次の段階を考える時期にきています．成人ＤＭＤ患者，他の筋疾患患者を対象とした臨床試験をどのように進めるとよいのでしょうか？では本年もよろしくお願いいたします． 2014.11.29. MDCTN加盟施設会議にて【MDCTN事務局】独立行政法人国立精神・神経医療研究センター内〒187-8551 東京都小平市小川東町4丁目１番１号 ☎042-341-2711（内線3052）ホームページ http://www.mdctn.jp/ 編集：MDCTN広報担当