15.1.2 潮受堤防の安定・安全性 (1) 調査の結果の概要 1) 調査事項及びその選択理由 調査事項及びその選択理由は、表 6.15.1.2-1 に示すとおりである。 表 6.15.1.2-1 調査事項及びその選択理由 調査事項 選択理由 海水導入に伴う排水門周辺の洗掘、調整池の水位の変化、及 潮受堤防の現状 び塩分などの水質の変化により、潮受堤防の安定性、安全性 に影響が生じる可能性があることから、左記の情報を調査し た。 2) 調査地域 調査地域は、開門調査により構造物の安定・安全性への影響を受ける可能性のある 潮受堤防及びそれらの施設の周辺地域とした。 3) 調査手法 ① 施設の状況 A 文献その他の資料調査 潮受堤防に関する情報は、表 6.15.1.2-2 に示す資料により整理した。 表 6.15.1.2-2 資料名等 潮受堤防他技術資料整理業務報告 書(潮受堤防編) 調整池付帯施設機能診断調査業務 文献その他の資料調査状況 実施機関 調査期間 九州農政局 平成 11 年 九州農政局 平成 22 年 6.15.1.2-1 調査内容等 設計条件、基本構 造及び断面 施設機能診断 B 現地調査 潮受堤防に関する現地調査概要は表 6.15.1.2-3 及び表 6.15.1.2-4 に示すとおり で、調査地点を図 6.15.1.2-1 に示す。 表 6.15.1.2-3 調査地点 潮受堤防 現地調査状況 調査内容 潮受堤防の現状 調査期間 平成 22 年 6 月 16 日 ~平成 22 年 10 月 28 日 調査方法 遠隔目視調査 近接目視調査 ※)出典:「調整池付帯施設機能診断調査業務(平成 22 年 10 月 表 6.15.1.2-4 調査手法 九州農政局)」 現地調査地点及びその選定理由 調査地点 選定理由 備 考 潮 受 堤 防 (L=6.77km) は 背 後 地 既 設 堤防に代わる第一線堤防として築 造された捨石式傾斜堤防である。 遠隔目視調査 潮受堤防全体 北部・南部排水門の開放に伴い調整 池内の水位変化が生じるため、潮受 堤防全体の劣化状況について概略 把握する。 北部排水門の開放に伴う強流速の 近接目視調査 北部 排水 門 周 (定点調査) 辺 発生により、北部排水門周辺の潮受 堤防の裏法面被覆材の移動や流亡 S-1 地点 等生じる恐れがあることから近接 目視地点として選定した。 北部・南部排水門の開放に伴い調整 潮受 堤防 中 央 池内の水位変化が生じるので、潮受 付近 堤防の代表的な近接目視地点とし S-2 地点 て選定した。 南部排水門の開放に伴う強流速の 南部 排水 門 周 辺 発生により、排水門周辺の潮受堤防 の裏法面被覆材の移動や流亡等生 じる恐れがあることから近接目視 地点として選定した。 6.15.1.2-2 S-3 地点 潮受堤防 凡 L=7(km) 例 現地調査地点 :遠隔目視調査 ○ :近接目視調査 図 6.15.1.2-1 潮受堤防調査位置図 6.15.1.2-3 4) 調査結果 ① 施設の状況 A 文献その他の資料調査 イ 基本構造 潮受堤防の設計諸元を表 6.15.1.2-5 に示す。また、基本構造・断面を図 6.15.1.2-2 に示す。 表 6.15.1.2-5 施設名称 項 ○型 潮受堤防 潮受堤防の設計諸元 目 設計諸元 式 捨石式傾斜堤防 ○天端高 TP(+)7.00m ○天端幅 天端幅=5.0m ○基礎処理工 サンドコンパクションパイル工法 ○築堤材料 石材、砂、山土 ○法勾配 1:1.5~1:6.0 図 6.15.1.2-2 潮受堤防の基本構造 6.15.1.2-4 備考 B 現地調査 潮受堤防の現地調査結果は、表 6.15.1.2-6 に示すとおりであり、構造的に問題と なる劣化・損傷は特に無く、施設は健全を保っている。 表 6.15.1.2-6 調査手法 現地調査結果 調査地点 現地調査結果 備 考 潮 受 堤 防 (L=6.77km) の 遠 隔 目 視 調 遠隔目視調査 潮受堤防全体 査を実施した。施設は健全を保って おり、損傷箇所は認められない。 北部排水門周辺の潮受堤防の延長 近接目視調査 北部 排水 門 周 10m 区 間 に 対 し て 近 接 目 視 調 査 を (定点調査) 辺 実施した。特に現状では損傷個所は S-1 地点 認められない。 潮受堤防の代表断面として、延長 潮受 堤防 中 央 10m 区 間 に 対 し て 近 接 目 視 調 査 を 付近 実施した。特に現状では損傷個所は S-2 地点 認められない。 南部排水門周辺の潮受堤防の延長 南部 排水 門 周 10m 区 間 に 対 し て 近 接 目 視 調 査 を 辺 実施した。特に現状では損傷個所は S-3 地点 認められない。 出典:「諫早地区水門施設機能保全検討業務報告書(平成 21 年 3 月 「調整池付帯施設機能診断調査業務報告書(平成 22 年 10 月 6.15.1.2-5 九州農政局)」 九州農政局)」 (2) 予測の結果 1) 予測事項 予測事項は、調整池への海水導入・調整池からの排水に伴う海域・調整池水位の変 化による潮受堤防の安定性への影響とした。 開 門 調 査 海域から調整池 への海水導入 海域・調整池の流況変化 (調整池水位の外潮位連動) 1 調整池から 海域への排水 1 海域・調整池の流況変化による 潮受堤防の安定性の変化 図 6.15.1.2-3 潮受堤防の安定性 への影響 潮受堤防の影響の連関図 2) 予測地域 予測地域は、排水門の開放により構造物の安定・安全性への影響を受ける可能性が ある潮受堤防及びそれら施設の周辺地域とした。 3) 予測対象時期 予測時期は、数値シミュレーションによる計算結果を踏まえ、調整池への海水導入 による潮受堤防への影響が最大となる時期とした。 6.15.1.2-6 4) 予測手法 ① 予測手順 排水門の開門に伴う海域及び調整池の水位変化による潮受堤防の安定性への影響 に対する予測手順は図 6.15.1.2-4 に示す潮受堤防の安定計算(常時、地震時等)を 実施した。 安定計算モデルの設定 既往検討資料 計算条件の設定 主な設定条件 水位条件 構造条件 外力条件 安定計算条件 許容安全率 潮受堤防の安定計算 図 6.15.1.2-4 潮受堤防の安定性への影響予測手順 ② 予測ケース 予測ケースは、開門調査のケース別に 4 ケースとした。 6.15.1.2-7 ③ 予測条件 A 潮受堤防の安定計算条件 イ 計算手法 潮受堤防の安定計算を実施し、開門調査期間中における安定性を予測する。安定 計算式は、設計震度を考慮した計算式である修正フェレニウス法に準じた。 Fs c' l (W u0 b )cos tanφ' (W sin kh W h ) R ここに、 c' :有効応力に関する土の粘着力、 φ' :有効応力に関する土のせん断抵抗角 W :分割細片の全重量 l :細片の底面の長さ b :細片の幅、 R :すべり円の半径 u0 :地下水によって発生する間げき水圧 h :細片の重心~円弧中心までの高さ :円弧中心での法線と鉛直線のなす角度 k h :設計水平震度 図 6.15.1.2-5 修正フェレニウス法 ロ 外力条件 a 自重 自重は浸潤線以上の部分における湿潤単位体積重量 t を、浸潤線以下の部分につ いては飽和単位体積重量 sat を用いた。 b 静水圧 外水位及び内水位により、堤体内には静水圧が作用するが、静水圧の滑動モーメ ントへの寄与は図 6.15.1.2-6 のとおり考慮した。 図 6.15.1.2-6 静水圧の滑動モーメントへの寄与 c 間隙水圧 間隙水圧(中立間隙水圧)は、分割片の滑り面と側面に、垂直に作用するものと した。 6.15.1.2-8 d 地震時慣性力 地震時の検討に用いる地震時慣性力は浸潤線以上の部分については湿潤単位体 積重量 γ t に浸潤線以下の部分については飽和重量 γ sat に設計水平震度 K h を乗じたも ので、慣性力の作用位置は各分割片の重心の位置とし、水平方向に作用するものと した。 設計水平震度は「新耐震設計法(案)」(建設省土木研究所)の『第 2 編(土木構 造物関係)』に従って決定した。 K h K o 1 2 3 設計水平震度 Ko ここに、 :標準設計水平震度(=0.20) △1 :地域係数(地域区分 C で 0.7) △2 :地域の特性による補正係数(第 4 種地盤で 1.2) △3 :構造物の種別による補正係数(土構造物で 0.5) 以上より、 K h 0.20 0.7 1.2 0.5 0.084 【地域係数(△1)】 区分 係数 A 1.0 B 0.85 C 0.7 【地盤の種別による補正係数(△2)】 区 分 1種 2種 地 盤 種 別 1) 係 (1)第三期以前の地盤(以下岩盤と称する。) (2)岩盤までの洪積層 2) 0.9 の厚さが 10m 未満 (1)岩盤までの洪積層の厚さが 10m 以上 (2)岩盤までの洪積層 3) 数 1.0 の厚さが 10m 未満 3種 沖積層の厚さが 25m 未満でかつ軟弱層の厚さが 5m 未満 1.1 4種 上記以外の地盤 1.2 1)地盤種別は一応の目安を示したものであるが、建設地点の状況に応じて係数を判断 する。ここでいう地層の厚さは地表面からの厚さとする。 2)沖積層の締った砂層、砂礫層、玉石層を含む。 3)崖くずれなどによる新しい堆積層を含む。 【構造物の種別による補正係数(△3)】 種 別 鋼 構 造 物 コンクリ-ト構造物 鉄骨鉄筋コンクリ-ト構造物 巨大な剛体状の構造物 土 構 造 物 6.15.1.2-9 係 数 1.0 0.5 ハ 水位条件 潮受堤防の設計段階における安定検討の水位条件は、内外水位差が最も大きくな るケ-スを想定し設定されている。設計段階における内外水位差と、数値シミュレ ーション結果に基づく開門調査時の内外水位差を整理すると、表 6.15.1.2-7 のとお りである。 表 6.15.1.2-7 ケ-ス 設 常 すべり方向 時 計 段 階 開 地震時 ケース 1 門 調 ケース 2 査 (第 1 段階) 時 ※ 潮受堤防の設計段階及び開門調査時の内外水位差 ケース 3 内外水位差 諫早湾 調整池 TP.m TP.m 海域側 -5.1 (-)2.9 (+)2.2 調整池側 6.1 (+)4.9 (-)1.2 海域側 -1.9 (-)2.9 (-)1.0 調整池側 3.7 (+)2.5 (-)1.2 海域側 -2.1 (-)2.5 (-)0.4 調整池側 1.9 (+)0.9 (-)1.0 海域側 -1.6 (-)2.8 (-)1.2 調整池側 3.7 (+)2.6 (-)1.1 海域側 -1.9 (-)2.8 (-)0.9 調整池側 3.2 (+)2.5 (-)0.7 ※)数値シミュレーション結果に基づく開門調査時の内外水位差 設計段階の常時検討では、高潮及び洪水を考慮し、最も内外水位差が生じるケ- スで検討している。これに対し、開門調査時に生じる内外水位差は、この内外水位 差の半分程度である。また、地震検討では、常時に比べ内外水位差は小さく、開門 調査時に生じる内外水位差と同程度である。しかし、ケ-ス 1 では、設計段階で想 定している以上の内外水位が生じている。 ケース1の内外水位差と数値シミュレーション結果の水位、現行管理水位を踏ま え、水位条件を表 6.15.1.2-8 のとおり、設定した。 6.15.1.2-10 表 6.15.1.2-8 開門調査時の安定性検討の水位諸元 内外水位 ケ-ス すべり方向 差 (m) 開 海 域 TP.m TP.m 常 海域側 -5.1 (-)2.9 (+)2.2 時 調整池側 6.8 (+)4.9 (-)1.9 海域側 -1.9 (-)2.9 (-)1.0 海域側 -2.1 (-)2.9 (-)0.8 調整池側 3.7 (+)2.5 (-)1.2 門 調 査 時 地 震 時 備 調整池 考 海域水位:朔望平均大潮干潮位 調整池水位:計画洪水位 海域水位:高潮時 調整池水位:開門時の調整池最低 水位 海域水位:朔望平均大潮干潮位 調整池水位:調整池操作上限水位 海域水位:朔望平均大潮干潮位 調 整 池 水 位 : 海 側 水 位 +開 門 時 の 最大内外水位差(+2.1m) 海域水位:朔望平均大潮満潮位 調整池水位:調整池操作下限水位 ニ 許容安全率 上記の関連基準書、並びに既往の検討条件を考慮し、安定計算における許容安全 率を表 6.15.1.2-9 のとおり設定した。 表 6.15.1.2-9 検討ケース 常 設計安全率 許容安全率 出 典 時 1.3 港湾の施設の技術上の基準・同解説(H14.4) 地震時 1.1 諫早湾干拓事業での採用値 6.15.1.2-11 ホ 安定計算ケース 安定計算の予測ケースは、既往の検討条件、並びに開門調査時の数値シミュレー ションの結果を踏まえ、上記までの計算時期、計算方向、水位条件等を組合せて表 6.15.1.2-10 のとおり設定した。 検討断面としては、既往の検討結果より、潮受堤防の代表断面位置で最も安定性 が課題となる SD.2+400 地点、並びに長崎県により建設された3箇所の付帯施設設置 地点(駐車場 SD.4+0、北部Uターン地点 SD.5+500、南部Uターン地点 SD.2+420) を照査地点とした。 表 6.15.1.2-10 CASE 1-1 断 安定計算ケース一覧(開門方法ケース 1 の場合) 面 区分 潮 受 堤 防 SD.2 +400 常時 滑 り 設 計 方 向 水平震度 海 域 調整池 円弧の 盛土内 水 位 水 制 位 限 クラック 海域側 - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし 調整池側 - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1-4 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1-5 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし 海域側 - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし 調整池側 - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1-9 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1-10 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1-2 1-3 地震時 1-6 潮 堤 受 防 1-7 駐車場 1-8 SD.4+0 地震時 常時 潮 受 常時 海域側 堤 防 北部 1-12 調整池側 U ターン SD.5 地震時 1-13 海域側 +500 1-11 1-14 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1-15 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 潮 受 常時 海域側 堤 防 南部 1-17 調整池側 U ターン SD.2 地震時 1-18 海域側 +420 1-16 1-19 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1-20 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし 6.15.1.2-12 5) 予測結果 A ケース 1 ケース 1 の場合における潮受堤防の安定計算結果を表 6.15.1.2-11 に示す。いず れのケースにおいても所要の安定性を確保しており、潮受堤防の安定性への影響は ないものと予測される。 表 6.15.1.2-11 CASE 断 面 区分 1-1 潮 受 常時 1-2 堤 防 設 潮受堤防の安定計算結果(ケース 1) 滑 り 計 方 向 水平震度 海 域 調整池 円弧の 盛土内 水 位 水 制 位 限 クラック 許容 計算 安全率 安全率 判定 海域側 - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし 1.3 1.41 OK 調整池側 - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 1.3 1.46 OK 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1.1 1.11 OK 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1.1 1.11 OK 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし 1.1 1.17 OK 海域側 - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし 1.3 1.47 OK 調整池側 - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 1.3 1.37 OK 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1.1 1.12 OK 1-9 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1.1 1.12 OK 1-10 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし 1.1 1.11 OK 1-11 潮 受 常時 海域側 堤 防 北部 調整池側 U ターン SD.5 地震時 海域側 +500 - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし 1.3 1.36 OK - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 1.3 1.51 OK 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1.1 1.11 OK 1-3 1-4 SD.2 +400 地震時 1-5 1-6 潮 堤 1-7 駐車場 1-8 SD.4+0 地震時 1-12 1-13 受 防 常時 1-14 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1.1 1.11 OK 1-15 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし 1.1 1.18 OK 1-16 潮 受 常時 海域側 堤 防 南部 調整池側 U ターン SD.2 地震時 海域側 +420 - TP(-)2.9m TP(+)2.2m なし なし 1.3 1.41 OK - TP(+)4.9m TP(-)1.9m なし なし 1.3 1.37 OK 0.084 TP(-)2.9m TP(-)1.0m 5H なし 1.1 1.11 OK 1-17 1-18 1-19 海域側 0.084 TP(-)2.9m TP(-)0.8m 5H なし 1.1 1.11 OK 1-20 調整池側 0.084 TP(+)2.5m TP(-)1.2m 5H なし 1.1 1.10 OK ※)判定は、(許容安全率)<(計算安全率)で「OK」、それ以外で「OUT」とした。 B ケース 2 第 1 段階の水位条件は、ケース 1 の水位条件の範囲内に収まり、ケース 1 の安定 計算の結果から、潮受堤防の安定性への影響はないと予測される。 第 2 段階、第 3 段階は、それぞれケース 3-1、ケース 1 と同様の水位条件となる ので、これらと同様、潮受堤防の安定性への影響はないと予測される。 6.15.1.2-13 C ケース 3-1 ケース 3-1 の場合における調整池の水位変動範囲は、ケース 1 の変動範囲よりも 安全側の水位条件となる。ケース 1 において潮受堤防の安定性に問題ないことから、 ケース 3-1 においても所要の安定性を確保でき、潮受堤防の安定性への影響はない ものと予測される。 D ケース 3-2 ケース 2 の第 1 段階と同様である。 (3) 環境保全措置の検討 開門調査の実施における潮受堤防の安定性への影響はないと予測される(排水門周 辺の流速変化による洗掘の防止に係る措置は排水門の項で検討)ことから、環境保全 措置の検討の必要性はない。 (4) 事後調査 潮受堤防の安定性については、環境保全措置を実施しないため、事後調査は実施し ない。 (5) 評価の結果 1) 評価手法 調査及び予測結果から、開門調査の実施による潮受堤防の安定性・安全性への影響 の程度を開門調査の実施前後で比較することにより評価した。 また、潮受堤防の安定性・安全性への影響がある場合、実行可能な範囲内でできる 限り回避又は低減されているかについて評価した。 2) 評価結果 ① 開門調査の実施前後の比較 開門調査による海域側及び調整池側の水位条件の変化による潮受堤防の安定性へ の影響を安定計算により検討した。 結果としては、ケース 1、ケース 2(第 1~3 段階)、ケース 3-1、ケース 3-2 のい ずれの場合でも、潮受堤防は十分な安定性を確保していることから、開門調査に潮 受堤防の安定性への影響はないものと考えられる。 6.15.1.2-14
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