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国内の研究者・学識経験者が集結し、「全国トース技術研究組合」の設立準備会
国交大臣認可組織の特別研究団体として、来年2月末にも正式認可か
特許工法「透水性保水型工法」
(ト
ース土工法)の研究者・アドバイザ
ーらが集結し、各分野の垣根を越え
て“骨材の透水性と保水性を併せ持
つ特性現象”に特化した研究団体
「(仮称)全国トース技術研究組合
(略称:ATTAC)」(理事長:大
川秀雄新潟大学教授)の設立準備役
員会は20日、技術発祥の地である
福岡県八女郡広川町で開催された。
設立準備会に出席した研究者・技術者
設立準備会にはまちづくり、交通、
地盤工学、都市、環境、法律、経済など国内の異分野の研究者・学識経験者ら17人が出席。
準備組合の新役員を決めたほか、国土交通大臣認可組織の技術研究組合としての設立に向け
ての申請手続きを行い、同工法に基づく環境対策、温暖化対策、防災対策、異常降雨対策な
どの技術研究に取り組むとともに、①治水まちづくり整備への提言、②災害に強い国土政策
提案、③国内外の経済の新たな索引産業としての確立―などを目指していくことを確認し合
った。
透水と保水の技術に専門分野の研究者が注目、様々な分野・用途に向けて研究開発へ
役員会後の会見で、大川理事長は「私自身が舗装の表面の
水を流す研究をしており、技術研究組合に近い内容であると
いうことで仲間に加えていただいた」、陣内和彦専務は「九
州のシラス、地下資源に関する研究に携わっており、10数
年前からトース土工法と出会い、非常に興味があり、面白い
工法である。これからの研究会活動で発展的な事業ができれ
ばと楽しみであり、期待感を持って協力していきたい」、杉
井俊夫常務は「地盤工学が専門で、土と水について研究して
おり、トース土工法は透水と保水の相反する両方を持つ材料
で、新しい効果が得られるではと期待している」、渡辺実監
事は「これからの洪水対策は、河川とか、下水とか線では
なく、街全体を水害に強いまちづくりにしていくという概
新役員紹介で挨拶する大川理事長
念に変えていかなければいけない。そこにトース土工法が効果的に機能するであろうと考え
られる」などとそれぞれ挨拶した。
都市型の洪水対策や東京オリンピック施設への参入検討、施工組合の免許制も
また、会見の中では、①国土交通大臣認可組織として研究組合設立申請を12月初旬に提
出し、来年1月10日に第1回目の承認予定で、早ければ2月末、遅くても3月末に設立認
可となる予定、②同工法は“まだまだ発展途上”の技術で、今後どのような分野に、どのよ
うな用途に使えるのかを、様々な分野から研究開発していこうというのが組合の位置づけ、
③研究分野については、土木・建設分野だけでなく、地盤工学、農業、スポーツ、環境、防
災、エネルギー、温暖化、ウイルス対策など多岐にわたる幅の広い様々な分野での活用が考
えられる。その一つとして、2020年に開催される東京オリンピック関連施設の地盤など
にも採用できないかという話もある、④技術研究の試験データや検証実験などを実際に行う
施工組合については、施工能力を一定のものにするために免許制度の導入なども検討してい
るーことなどが示された。
トース土工法は、測量設計業の㈱シーマコンサルタント(本社:福岡市中央区
中島観司
社長)が16年前に開発し、2006年に国土交通省NETISのQS-060005を取
得、今年になって設計比較対象技術―V認定を受けた。土に添加剤を配合し、土を団粒構造
に変え、透水性と保水性を向上させる工法で、公園・道路等の歩行者用道路や管理用道路、
グラウンドなどに用いられ、景観調和、ひび割れ防止、降雨後の水たまり防止、地表面の温
度上昇を抑える効果などがあるほか、太陽光発電施設下地の雑草などの発生を抑える防草効
果もある。
全国トース技術研究組合の役員メンバーは次の通り。
理事長=大川秀雄氏(新潟大学名誉教授)、
専務理事=陣内和彦氏(九州大学産学連携本
部)、常務理事=杉井俊夫氏(中部大学工学部
教授)、理事=桑野玲子氏(東京大学生産技術
研究所教授)、藤田一郎氏(神戸大学大学院工
学研究科教授)、井原徹氏(近畿大学産業理工
学部教授)
、沢田和秀氏(岐阜大学工学部附属
インフラマネジメント技術研究センター教
授)
、野々村善民氏(久留米工業大学工学部
組合のスタートに向け、頑張っていこうと手を合わせる
教授)、平瑞樹氏(鹿児島大学農学部助教)、厳島怜氏(九州大学持続可能な社会のための決
断化学センター助教)、渡辺亮一氏(福岡大学工学部准教授)、上俊二氏(徳山高等専門学校
教授)、監事=渡辺実氏(㈱まちづくり計画研究所長)、加藤久氏(加藤特許事務所・代表弁
理士)、内田悦司氏(内田悦司税理士事務所長)、近藤真氏(福岡国際法律事務所・弁護士)、
立野善史氏(立野社会保険労務士事務所長)