Economic Indicators 定例経済指標レポート テーマ:消費者物価(全国14年11月、東京都区部14年12月) ~CPIは先行き一段と鈍化へ~ 発表日:2014年12月26日(金) 第一生命経済研究所 経済調査部 担当 主席エコノミスト 新家 義貴 TEL:03-5221-4528 (単位:%) 全国 東京都区部 食料(酒類除 総合 生鮮除く総合 く)及びエネル 石油製品 ギー除く総合 13 14 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 0.3 0.7 0.9 0.7 0.3 0.2 0.7 0.9 1.1 1.1 1.5 1.6 1.4 1.5 1.6 3.4 3.7 3.6 3.4 3.3 3.2 2.9 2.4 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ - - 0.2 0.3 0.5 0.4 0.0 0.4 0.7 0.8 0.7 0.9 1.2 1.3 1.3 1.3 1.3 3.2 3.4 3.3 3.3 3.1 3.0 2.9 2.7 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ - 前年比 0.7 0.9 0.8 0.6 0.4 0.2 0.1 0.1 0.0 0.3 0.6 0.7 0.7 0.8 0.7 2.3 2.2 2.3 2.3 2.3 2.3 2.2 2.1 4.8 7.9 1.8 ▲ 0.9 ▲ 0.4 5.0 8.4 10.5 7.6 6.4 7.7 6.6 6.2 3.0 2.8 6.3 9.4 10.0 9.9 6.6 5.0 5.0 2.2 - 食料(酒類除 生鮮食品を除 総合 く食料 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ - 0.4 0.5 0.6 0.6 0.4 0.3 0.3 0.0 0.1 0.2 0.4 0.8 1.0 0.9 1.2 4.1 4.1 4.1 4.3 4.2 4.2 4.1 4.0 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 生鮮除く総合 く)及びエネル 石油製品 ギー除く総合 0.5 0.9 1.0 0.6 0.2 0.0 0.4 0.5 0.5 0.6 1.0 1.0 0.7 1.1 1.3 2.9 3.1 3.0 2.8 2.8 2.8 2.5 2.1 2.1 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ 0.5 0.6 0.5 0.3 0.1 0.2 0.3 0.4 0.2 0.3 0.6 0.7 0.7 0.9 1.0 2.7 2.8 2.8 2.7 2.7 2.6 2.6 2.4 2.3 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 前年比 0.9 1.0 0.8 0.7 0.3 0.4 0.4 0.4 0.4 0.2 0.2 0.3 0.3 0.5 0.4 2.0 1.9 2.0 2.1 2.1 2.0 2.1 1.8 1.8 3.8 7.0 ▲ 0.9 ▲ 1.7 0.0 6.2 9.5 9.9 7.6 5.7 7.0 5.8 7.3 2.9 3.8 6.2 9.5 10.2 9.5 5.5 4.8 5.3 1.8 ▲ 2.5 生鮮食品を除 く食料 前年比 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 1.0 1.1 1.2 0.8 0.7 0.6 0.4 0.1 0.2 0.4 0.4 0.6 0.5 0.6 1.0 3.5 3.7 3.6 3.7 3.6 3.8 3.6 3.7 3.4 (出所)総務省統計局「消費者物価指数」 ○ 伸びの鈍化が続く 総務省より発表された 2014 年 11 月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比+2.7%と、10 月の +2.9%から 0.2%ポイント鈍化した。消費税による押し上げの影響1を除けば+0.7%となる。4月の+1.5% (消費税要因除く)をピークとして前年比伸び率の縮小が続いている。先行きについても原油価格下落の影 響からCPIコアの伸び率は一段の鈍化が予想され、当面は下振れしやすい展開が続くだろう。 11 月の伸び率鈍化の主因はガソリンや灯油等の石油製品価格である。原油価格急落の影響から、ガソリン が前月比▲3.4%、灯油が前月比▲3.2%と大幅に下落し、前年比プラス寄与も縮小している(石油製品価格 のプラス寄与は前月対比 0.12%Pt 縮小)。また、石油製品以外では、テレビ等の教養娯楽耐久財やルームエ アコン等の家庭用耐久財、宿泊料などもプラス寄与を縮小させており、CPIの伸び率縮小に繋がっている。 食料・エネルギーを除く総合(米国型コア)は前年比+2.1%と、前月の+2.2%から 0.1%ポイント鈍化 した。増税による押し上げを除けば+0.4%である。6月以降、4ヶ月連続で+0.6%だったが、10 月、11 月 1 日本銀行の試算によると、増税によるCPIコア押し上げの影響は 2.0%Pt。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 よ2ヶ月連続で伸びが鈍化している。これまで米国型コアは緩やかな上昇傾向が続いていたが、ここにきて 鈍化が目立つ。消費増税後の消費不振の影響が出ている可能性は否定できないだろう。今後、エネルギー価 格の下落圧力が強まることが確実視されるだけに、仮に米国型コアの伸びまで鈍化が続くようだと、CPI コアの鈍化ペースが一段と速まることになる。 ○ 東京都区部も鈍化 2014 年 12 月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比+2.3%と、前月の+2.4%から伸び が 0.1%ポイント鈍化した。増税による押し上げの影響を除けば+0.4%(10 月:+0.5%)である。14 年4 月の+1.0%をピークに、前年比で緩やかに伸び率が縮小していく傾向に変化はない。原油価格下落の影響で 石油製品価格が前年比でマイナス転化したほか、生鮮食品を除く食料やテレビ等の教養娯楽耐久財などが押 し下げ要因になった。 米国型コアは+1.8%と、前月から変化はなかった。増税による押し上げを除けば+0.3%である。4月以 降は前年比+0.5%~+0.6%程度(消費税要因除く)の推移が続いていたが、11 月、12 月は+0.3%にとど まっており、鈍化が明確化している。季節調整値前月比で見ても概ね横ばいの推移である。頭打ち感が出て いることは否めず、増税後に景気が悪化していた影響が物価を下押ししている可能性が示唆される。 ○ 2015 年前半はゼロ%台前半での推移に 東京都区部の動向から判断すると、2014 年 12 月の全国CPIコア(消費税要因除く)は伸びが一段と鈍 化する見込みだ。原油価格下落の影響から石油製品価格が大きな下押し要因になるだろう。 その先も鈍化は続く。足元までの円安による物価押し上げ効果と原油価格下落による物価押し下げ効果を 比較すると、原油価格下落の影響の方がはっきり大きい。結果として、エネルギー価格主導でCPIコアは 伸びの鈍化が続くとみられ、2015 年前半はゼロ%台前半での推移が予想される。当面、物価の鈍化傾向に歯 止めがかかりそうにない。 原油価格下落は景気にとっては明らかにプラス要因だが、目先の物価にとっては下押し要因にならざるを 得ない。2015 年前半は、景気が回復感を強めていくなかでの物価鈍化となる可能性が高く、金融政策の舵取 りは非常に難しくなるだろう。 (%) 4 3.5 3 2.5 食料品 傷害保険料 電気代・都市ガス その他 東京都区部・消費者物価コア前年比 (%) 3 全国・消費者物価コア前年比 たばこ 石油製品 高校授業料 CPIコア 2.5 2 食料品 傷害保険料 電気代・都市ガス その他 たばこ 石油製品 高校授業料 CPIコア 1.5 2 1.5 1 1 0.5 0.5 0 0 -0.5 -0.5 -1 -1 1 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011 12 13 14 -1.5 1 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 9101112 12 13 14 (出所)総務省統計局「消費者物価指数」 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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