構造力学入門講座50問徹底解説集 - 一級建築士試験必勝合格マニュアル

構造力学入門講座50問徹底解説集
あなたは構造が苦手ですか?
それとも、構造はかなり得意ですか?
ちなみに、私はかなり苦手でした(笑)
過去問を解いてもさっぱり分かりませんでしたから。
ですが、試験当日には問題が解けるレベルになっていなければなりません。
今、どんな状況でも本番では最高の状態でのぞまなければならないのです。
野球選手で有名なイチロー選手も言っていましたが、ヒットを打つには、毎日確実に当てるトレ
ーニングをつむことだと。
確実に一つずつ当てることが出来るようになれば、本番でもきちんと当てることが出来るよう
になると言います。
確実なものを積み上げること。
一つが二つになり、二つが三つになり・・
そうすると、構造力学分野では、高い確率で満点近く取れるようになります。
たとえば、妻の美代子はこの勉強を繰り返したところ、本番では満点を取ることが出来ました。
最初から出来たわけではありません。
はじめは一桁の点数からのスタートでした・・
構造が得点出来るようになれば、一級建築士試験で他のライバルよりも優位に立てます。
「法規」と「構造」が満点近く狙える分野なので、できるだけ点数を確保しておきたいところで
す。
満点を取ろうと肩に力を入れるのではなくて、普段から問題演習を積んでいれば、自然と取れ
るようになります。
ですが、高得点を目指すには、まず通過しなければならないのは、足きり点数を突破すること
です。
今の時点で、苦手だとすると、いきなり満点を取れるようにはなりません。
通過点として、足きり点数(基準点)は最低でも突破してしまうことです。
ですから、今回の構造力学入門講座で、基本的なところからトレーニングが必要になるんです
ね。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題1』、『問題2』に取り組んで下さい。
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構造力学入門講座50問徹底解説集
『問題1』の解説
「曲げモーメント」の問題です。毎年、定番となっている問題ですが、きちんと自分で解答でき
るようにしておかなければなりません。それには、まず自分で解答を書く。出来なければ、模
範解答を書き写す。書き写す際には、問題の流れを理解しながら、省略せずに、書き込んで行
きます。
今回は、A点を境に、右側と左側に分けて考えます。
なぜなら、問題文に「A点に曲げモーメントが生じない」となっているからです。
それで「MA=0」として、左側だけでモーメントの釣り合いを考えるという問題です。頭の中
で、問題の解き方のイメージが出来るぐらい反復してください。
『問題2』の解説
手で書き直さないと頭に入りません。そして、切断した部分の左側を考えるとすると、C点だ
け分からないので、最初にC点の反力を出します。
図からC点はピン接合、D点はローラーになっています。そこで、C点、D点の曲げモーメント
は「0」と分かります。今回は、C点を出したいので、D点のモーメントを「0」として曲げモーメン
トの釣り合いを考えます。それで、C点の反力VCが分かります。それから、実際にABで切断
した図に分かっている力を書き込みをしていきます。すると、切断された先にある点線で示さ
れたE点を中心として、
曲げモーメントの釣り合いを考えていくのです。
E点はピン接合なのでもちろん曲げモーメントは「0」です。ABの軸方向力を求めるので、A
点に圧縮力NABがあると仮定して解きます。
圧縮と仮定して「+」なら、圧縮力です。「-」となれば、引張力となります。
計算すると軸方向力としてのNABが0となりました。つまり、NABには軸方向力はかかって
いない「0」ということです。
問題を解くカギ
解説が長くなってしまいましたが、問題集などに書いてある解答は、省略されていて詳しく書
かれていません。それを「自分なりの道筋を持って解く」というのが構造を攻略するステップに
なるので、あなたが持っている過去問題集には、そのように問題演習して解答を書いてくださ
い。
攻略する秘訣
誰かに教えているように勉強することです。あなたの隣に、これから一級建築士の勉強を、
はじめようとしている受験生に、子供でも分かるようなことばで丁寧に説明するようにすること
です。
教えるというのは、自分なりに理解していないとできないことなので効果的です。
私は、学生時代から中学生や高校生の家庭教師をしていて分かったことなんですが、中高
生の学力アップの秘訣も、一級建築士の試験と同じということでした。
勉強の基本は同じなのです。攻略する秘訣は、いつでもどんなときでも、自分なりの解釈を
持つということです。
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だいたい分かった・・という曖昧にしておくのではなく、自分なりの解釈を持って頭に入れると
いうことです。すると「自分の考え」というものが出来上がって来ます。
今、考えている「自分の考え」を一級建築士になったつもりで「一級建築士なら○○のように
考える」と置き換えてみてください。
試験に合格してから一級建築士なのではなくて、今から、一級建築士としての判断力を身に
つけておくのがポイントです。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題3』、『問題4』に取り組んで下さい。
『問題3』の解説
集中荷重と等分布荷重の混合問題です。集中荷重は「P」ですが等分布荷重は「w」であらわ
します。集中荷重に置き換えると、
「p」=「w」×「l(長さ)」になります。【P=w×l】
これは基本中の基本なので覚えておいてください。
そして、曲げモーメントを利用して解いていきます。A点の曲げモーメントが「0」なので、釣り
合いから、反力となるVBを出します。
それからC点はピンなので曲げモーメントは「0」から、曲げモーメントの釣り合いの式を作り
ます。すると「P=wl」となりました。
問題は、Pとwlの比を聞いているので、「1:1」の比になり答えとなります。
基本が出来るようになると「勘」で解けるようになりますが、
私は凡人なので、あえて図を書いて答えを求めるようにします。
『問題4』の解説
トラスの問題です。問題2と似ていますが、AB材のある場所が違うので注意が必要です。
図が大きいので難しく感じますが、そんなに難しい問題ではありません。
まずは、両端の反力(VC、VD)を出します。よく見ると、C点とD点の間にPが3つあります。
均等にPが配置されているのに気づくと思います。それで、反力は上下で釣り合うので、下方
向にPが3つで「3P」。上方向に「VC+VD」があります。つまり、「3P=VC+VD」と釣り合い
ます。すると、「VC=VD=1.5P」となり反力が分かります。それから切断した図を描きます。
A-B間なのでABを切るように左側で考えます。図には分かっているところの軸方向力を記
入していきます。ここで考えて欲しいのは、トラス1つずつの形状が、LとLの大きさだと分かる
と思います。45度になっているので、
「比」を利用して解くと考えてください。比を利用することで、NABが解けるようになるのです。1
辺が45度の直角三角形の比です。中学生の頃にやりましたよね。
詳しくは、解答をみてください。
注意して欲しいのは、仮定した方向と答えとして出たNABの値です。図のように仮定して
「+」となっているので、NABは、A点から引っ張っていますよね。なので、引張力で「+」とい
う答えになります。
「+」なのか「-」なのかの判別は、重要なポイントですからよく復習しておいてください。
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問題を解くことに、だんだん慣れてきましたか?
最初は、構造力学の図を見ただけで、やる気がなくなっていた方もいることでしょう。私もな
ぜこんな問題をやらなくてはならないのか理解できませんでした。
なぜなら、私は構造が専門ではなく、意匠が専門なので、必要ないと思っていたからです。で
も、それでは試験に合格できないと分かったのです。当たり前の話ですよね。試験に出てくる
問題ぐらいは軽く解けてしまえないと、実務でも使えない頭になってしまいますから。
構造の問題が解けなくて、カッコ悪い思いをするのは絶対に嫌だったんです。
足きり点数すれすれで合格した・・という使えない資格ではなくて、基本を理解した使える資
格にしてしまいましょう。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題5』、『問題6』に取り組んで下さい。
『問題5』のヒント:
不静定構造の問題です。
公式:m=n+s+r-2k
『問題6』のヒント:
曲げモーメント図を求める問題です。
曲げモーメントが生じないところはどこかを考えると選択肢が絞れます。
※この問題はスペースの関係上、選択肢は4つしかありません。
『問題5』の解説
問題5は簡単だったと思います。しかし、問題6は曲げモーメント図なので、少し忘れてしま
っていたという方もいるかもしれません。
どちらも出来なかった・・という方はどちらともしっかりと復習しておきましょう。
では問題5のポイントをお伝えします。
不安定構造を選ぶ問題です。これも感覚で解ける方が多いようです。
しかし、試験なので正確に答えを出すトレーニングを積んでおきましょう。
まずは公式です。
公式:m=n+s+r-2k
n:反力数
s:部材数
r:剛接合
k:支点と接点の数
となります。
公式だけでは理解できないので、実際に部材の数を数えながら覚えてください。
nの反力は図を見ながら描きこみます。それから、sの部材数を数えます。rは、剛(ごう)の部
材のことで、曲がらない、動かない部材のところを数えます。
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『問題6』の解説
ラーメンの曲げモーメント図の問題です。一つ一つ曲げモーメントを求めても良いのですが、
最初に選択肢と見比べると簡単に解けます。すると、CD間には曲げモーメントがない「0」と分
かります。なぜかというとD点がローラーになっているので、横方向の反力がないからです。
選択肢を見ると1番と2番が該当します。この問題でポイントとなるのは、E点の大きさです。
E点を出すには、HA、VA、VDの、すべての反力を出してつりあいを考えて求めていきます。
解答が長くなってしまいますが、計算は省略せずに、そして、流れが分かるように書いてくだ
さい。
では次の問題も、はりきっていきましょう!
勉強が充実していると仕事も充実して来ますよね。相乗効果だと思いますが、とにかく、ひと
つがうまくいくと、その他のことまで、すべてリズムよくこなせるようになるものです。
が・・・
そういうときでさえも合格する人は知っています。浮かれずに、あわてず冷静に取り組むこと
を。ビジネスも勉強もすべてつながっているのです。
仕事で、いつもは困難だと思っていたことが、やってみたら軽くできてしまった・・! と、ある
ことが達成できたとしても、それは当たり前のことで特別じゃない、と。
最後に勝つ人は、いつも冷静なものです。単純ですがこれが勝負の世界の必勝法です。「い
つでも冷静に」がキーワードです。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題7』、『問題8』に取り組んで下さい。
『問題7』のヒント:
弾性座屈荷重についての問題です。
材端がピンなのか固定なのかを注意してください。
『問題8』のヒント:
PとQを求めるのですが部材を切断したときに、どうなるかを考えてください。
『問題7』の解説
弾性座屈荷重を求める問題です。ポイントは部材の両端がピンなのか固定なのかを間違え
ないことです。すると両端がピンの場合には、座屈長さが1倍。固定なら0.5倍の座屈長さに
なるのです。片方がピンで片方が固定なら0.7倍。片方が固定で片方が自由なら2倍となりま
す。
座屈長さが分かればあとは、公式に当てはめるだけです。
『問題8』の解説
垂直応力度の問題です。まずは垂直応力度の公式を覚えてください。
公式を利用するためには、それぞれのN、A、M、Zが使えるかを考えておきます。
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部材が引張側にはたらくのか、または圧縮側にはたらいているのかを確認します。
図-2では左側が「0」右側に圧縮の「б」がありますが、圧縮なので符号はマイナス「-」に
なるので注意してください。図では、あくまでも「大きさ」でしかありません。問題を解いていくと、
あとは計算問題だと気づかれると思います。
計算間違いがないように、注意深く解いてください。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題9』、『問題 10』に取り組んで下さい。
『問題9』のヒント:
長方形断面材の応力度の問題です。この問題、正直、難しいと思います。
ですが、今から見ておいて欲しいので、あえて出題することにしました。
問題の後の方にも類似問題が登場するので、今回は難しいと思って解けなくても、次は解け
るようにしましょう。
公式:
引張応力度=P/A
曲げ応力度=M/Z
断面係数Z=?
断面の縁の応力度のことを「縁応力度」。
断面の中立軸に対して曲げモーメントが作用すると、引張りと圧縮の縁応力度がはたらきま
す。
『問題 10』のヒント:
二層構造物の問題です。選択肢に、せん断力、軸方向力、水平荷重があるので、それぞれ
求めます。今までの中では一番やっかいな問題です。
この問題はクリアしておいて欲しいので、じっくり取り組んでください。
『問題9』の解説
長方形断面材の応力度を求める問題です。長方形断面材の左端のところにPという荷重が
部材を引張っています。こういう場合には、長方形断面材の中心の応力度を考えます。
分かりやすくするために図のように、X軸とY軸を一点鎖線で書きこみします。それと見る方
向となる「視点1」と「視点2」の大きな矢印も書いてください。
斜めから見ると理解しやすくなります。中心Pの荷重でそれぞれの応力度を求めます。図を
見ると、最大となる引張応力度はC点だと分かります。そして、最大となる圧縮応力度はD点だ
と分かります。
このように、だいたいの検討をつけてから計算に入ると、間違いが少なくなります。
最終的に①、②、③のように計算していくと、④までたどりつきます。
プラス(+)かマイナス(-)の違いで、引張側か圧縮側を見分け答えを求めます。
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『問題 10』の解説
二層構造物のせん断力を求める問題です。せん断力は、部材に対して垂直にはたらいてい
る力です。なので、縦方向でせん断だったものが、90度回転させると、水平方向(横方向)にな
るところがポイントです。
①、②、③、④をそれぞれ計算して求めます。
最後に⑤ですが、2階床のせん断力の総和を求める場合には、まずは、R階の曲げモーメン
トと2階床の曲げモーメントを足して、長さで割ったものが、R階のせん断力となります。それか
ら1階部分の柱に生じるせん断力を求めることで、2階床レベルの水平荷重になるということで
す。
二層になっている上部から考えるので、注意しなければなりません。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 11』、『問題 12』、『問題 13』に取り組んで下さい。
『問題 11』のヒント:
ラーメンの曲げモーメントの問題です。
『問題 12』のヒント:
曲げモーメントの問題です。
『問題 13』のヒント:
トラスの軸方向力を求める問題です。
『問題 11』の解説
曲げモーメント図を求める問題です。とても基本的な問題です。
図が出てきたら、いつでも最初に反力を求めます。それから各点の曲げモーメントを計算し
ます。正か負の符号の違いがあるので注意してください。
『問題 12』の解説
ラーメンの曲げモーメントを求める問題です。これも最初に反力を求めます。それから各点
の曲げモーメントを求めていきます。
『問題 13』の解説
トラス部材の軸方向力を求める問題です。最初に反力を求めます。それから切断法を利用し
て図を描きます。切断した部分を見ると45度の三角形を利用すれば、比で求めていくことが可
能です。
それから節点についてですが、節点から外に出ている矢印は、「+(正)」となり引張力がは
たらきます。
逆に、節点に向かっている矢印は、「-(負)」となり圧縮となるので注意して下さい。
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それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 14』、『問題 15』、『問題 16』に取り組んで下さい。
『問題 14』のヒント:
トラスにおける軸方向力の問題です。
『問題 15』のヒント:
またまたトラスの問題です。そろそろ慣れて来たと思いますがどうでしょう。
『問題 14』の解説
切断位置が斜めになるので注意したいところです。いつもと同じように反力を求めてから、切
断法によって図を描いてから、NAB部材を図のように仮定します。
「仮定」するというのがポイントです。
『問題 15』の解説
この問題もトラスです。ただ、切断する位置を間違えないで下さい。
最初に反力を求めてから、部材NAを求めます。今回は、仮定した向きと逆方向になりました。
点に向かって矢印になると、点を圧縮していることになるので、圧縮力(-)がはたらきます。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 16』、『問題 17』を取り組んで下さい。
『問題 16』のヒント:
断面二次モーメントIと断面係数Zを求める問題です。
『問題 17』のヒント:
弾性たわみを求める問題です。
解説の前に注意点があります。
断面二次モーメントIと断面係数Zの問題、そして、弾性たわみの問題になります。公式がそ
れぞれあります。公式って覚えるのが苦手という方も多いと思いますが、図を描きながら手で
覚えるようにして下さい。
すると・・・ 自然と公式が使えるようになります。384だったかな・・・ 5だったかな・・・と、中
途半端ではなくてきちんと覚えて下さい。
『問題 16』の解説
断面二次モーメントと断面係数を求める問題です。
断面二次モーメントはX軸を中心として図の斜線部分を全体から引くという考え方を利用して
求めます。I=(全体)-(斜線部分)×2
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『問題 17』の解説
弾性たわみを求める問題です。この問題は、公式そのものなので簡単だったと思います。
関連して、たわみに関する公式を覚えて下さい。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 18』、『問題 19』『問題 20』に取り組んで下さい。
『問題 18』のヒント:
はりの中央のたわみが等しくなる問題です。
『問題 19』のヒント:
弾性座屈荷重の理論値PA、PB、PCの大小を求める問題です。
『問題 20』のヒント:
問題19と類似問題です。
『問題 18』の解説
集中荷重Pと等分布荷重wのたわみの問題です。
問題文に「はり中央のたわみが互いに等しくなるとき」とあります。それぞれのたわみを求
めて、たわみが等しくなる条件からwlとPの比を求めます。
『問題 19』の解説
弾性座屈荷重Pkを利用して求めます。大きさなを比較するので、必要な値を出していきま
す。
『問題 20』の解説
この問題も、弾性座屈荷重の理論値であるPkを利用して求めます。座屈長さを、それぞれ
求め大きさを比較して、最終的にPkの大きさを求めます。
分母に座屈長さが来るので注意して下さい。
今回で前半の最後になります。ここまで頑張りましたね。「問題を解く」という習慣が身につい
たと思います。まだまだ足を踏み入れた段階です。しかし、今まで勉強してきたことをステップ
にすれば、必ず乗り越えることができることでしょう。次回から、いよいよ本番です。ここまでの
問題を何度も反復復習しておいて下さい。
さて、今回は4問あります。3問ではなくて4問です。いつもと同じように、何も見ないで解答
を手で書いてみてください。頭で考えるのではなくて、きちんと紙に書くことです。計算過程も、
省略しないできちんと書いて下さい。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 21』、『問題 22』、『問題 23』、『問題 24』に取り組んで下さい。
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『問題 21』のヒント:
ラーメンのせん断力の大小を求める問題です。
『問題 22』のヒント:
今度は、ラーメンの固有周期を求める問題です。
『問題 23』のヒント:
崩壊荷重を求める問題です。だんだん難しくなってきましたよ。難しい感じがしますが・・・私
はこの辺がとても苦手でした。しかし、崩壊したときの図が描いてあるので難しくありません。
『問題 24』のヒント:
この問題もだんだんと難しいかもしれませんね。しかし、やり方を覚えてしまえば難しくあり
ません。前半戦のラストスパートです。 頑張れ!
問題を解く前に注意点です。今回の問題で前半戦の最終回です。問題数は24問になりまし
た。簡単だなぁと思える問題。そして、ぜんぜん出来なかった・・という方もいらっしゃることでし
ょう。私も受験当時は全く分かりませんでした。
しかし、分からないものが少しずつ理解できるようになってくると、とても楽しくなります。
ここで、マスターするまでの道のりについて話したいと思います。マスターするためのステッ
プとしては、「誰かに教えているように勉強する」です。
机の前に誰かが座っているとして、その人に向かって分かりやすく説明しているように話す
ことです。一人でやっていると、ある意味変な感じですが・・これは一番効果があるので、いつ
でも誰かに話しているように勉強してください。
すると・・・脳の回路が早くなります。理解力が早くなって来て、集中力がついてきます。簡単
なことですが実践している人は、たった1%しかしてないので、あなたは、すぐに実践してみて
下さい。
『問題 21』の解説
ラーメンに水平力Pがはたらいている問題です。δをそれぞれ求めてから、せん断力Qを求
めます。「δ→Q」のステップです。そして梁は伸び縮みしない剛体なので、それぞれのδが
等しくなるという点がポイントです。
『問題 22』の解説
固有周期Tを求める問題です。公式を覚えていれば出来る基本問題です。
『問題 23』の解説
梁の崩壊荷重と全塑性モーメントの問題です。最初に外力の仕事、内力の仕事を求めます。
最後に(外力の仕事)=(内力の仕事)を利用して崩壊荷重を求めます。
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『問題 24』の解説
正方形断面の軸圧縮力Nと、曲げモーメントMを求めます。問題の図を自分なりに描き直す
と分かりやすくなります。
ここまでの24問が前半部分になります。いかがでしたか?この解説集とあわせて問題を解
いていって下さい。それでは、後半部分を始める前に、前回までの復習として、問題1から24
までの問題をもう一度復習して下さい。つまり再度トライするのです。今覚えているときに復習
するのが大事です。準備が出来たら先に進んで下さい。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 25』、『問題 26』に取り組んで下さい。
『問題 25』のヒント:
トラスの問題です。基本の問題ですが、これはちゃんと理解していないと、あとから応用が
出来なくなるので、じっくり取り組んでください。
『問題 26』のヒント:
弾性たわみδを求める問題です。δBをδAであらわします。
解説の前に注意事項です。また、基本から戻りますが、徐々にレベルアップしています。簡
単だなぁ・・ と思えてくれば、ペースがつかめてきたと言えるでしょう。
しかし、まだ出来ない方はあせらずに取り組んでください。ここで再度お知らせしますが、復
習が重要です。指が曲がるぐらい・・というのは言い過ぎかもしれませんが、それぐらい問題を
書いてください。頭で分かっていても書けないと解けたことにはなりません。それに、試験本番
では公式を必ず書いてから問題を解いていきます。本番であせらずにすむように、自然と公式
が出るまで書いて覚えてください。
『問題 25』の解説
トラスの部材の圧縮力と引張力を求める問題です。それぞれの点ごとに図を描いて答えを
求めます。「示力図」を描きます。たとえば、A点に向かって矢印が来れば、A点に対して「圧縮
力」がはたらいていると考えます。逆にA点から離れて行けば「引張力」となります。ということ
で図を描くことが出来れば解ける基本的な問題です。
『問題 26』の解説
たわみの公式を覚えていればすぐに解ける問題です。試験ではあわてずに公式を書き出し
てから、問題を解いていきます。
どうでしょう。「構造」って意外とラクだと思えて来ませんか?他の科目も同じですが、まずは
基本となる解き方をマスターして行くと、レベルアップしてくると思います。そうなれば、集中力
が高まり、頭がさらに鋭くなって来ます。一級建築士試験の先にあるものが見えて来ますよね。
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つまり、一級建築士試験は、一つの通過点でしかないということです。ですが、合格するまで
は気を抜かずに取り組んで下さい。
それでは、問題演習をはじめましょう!
『問題 27』、『問題 28』、『問題 29』に取り組んで下さい。
『問題 27』のヒント:
それぞれの反力を求める問題です。
『問題 28』のヒント:
崩壊荷重を求める問題です。これは一つの山場になる問題ですね。
『問題 29』のヒント:
崩壊機構を求める問題です。あることを知っていれば、かなり簡単に解ける問題です。図を、
よ ~ く 見て下さい。
『問題 27』の解説
片持ち梁のたわみから反力の比を求める問題です。最初に片持ち梁のたわみの公式を書
き出します。それから、右側と左側で片持ち梁を分けて図を描きます。
たわみδAとδBはピンで接合されているため、たわみ量は同じになるのがポイントです。
それぞれのPA、PCを求めれば、反力も同じになるので、すぐに答えが出ます。
『問題 28』の解説
外力による仮想仕事と内力による仮想仕事から求める問題です。始めに外力を求めます。
そして、内力を求めます。外力と内力で求め方が違うので注意して下さい。
『問題 29』の解説
問題文に崩壊機構が形成されていないものとあるので、図が剛になっているものを選ぶ問
題です。
ポイントは、ピンとピンで接合されていない部材を見つけ出せるかどうかです。
一級建築士試験での構造レベルが徐々に上がっていると思いませんか?
私は確信しているんですが、あなたが頑張っている姿が想像できます。
そして、試験本番では午後の試験となる、構造において点数が取れている姿です・・
「成功イメージ」は、あの長島茂雄さんや、イチロー選手も言っているとおり、本当だと思いま
す。私も勉強しながら、出来ない自分を責めるんじゃなくて、本番では簡単に解けている姿をイ
メージしながら、毎日勉強していました。
考え方(マインドセット)が間違っていなければ、学習スピードや集中力は、自分でも思ってい
ないほど極限まで高まります。今は、簡単でないとしてもイメージすることです。一級建築士試
験に合格することは、そんなに難しいことじゃないと。
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さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 30』、『問題 31』、『問題 32』に取り組んで下さい。
『問題 30』のヒント:
C点における曲げモーメントが0になるときのαの値を求める問題です。
『問題 31』のヒント:
曲げモーメントを求める問題です。B点からD点へ、どのように曲げモーメントが伝わるのか
を考えて下さい。
『問題 32』のヒント:
曲げモーメントを求める問題です。曲げモーメントですが、だんだんと慣れて来たと思います。
しかし、気を抜かずにきちんと解答してしまいましょう。
『問題 30』の解説
C点における曲げモーメントが0になるためのαの値を求める問題です。問題文にあるとお
り、C点の曲げモーメントが0は、必ず使いますから、それをヒントに問題を解いていきます。
『問題 31』の解説
曲げモーメントの値を求める問題です。最初に曲げモーメントが図のときの分割率を求め、
分割モーメント、そして到達モーメントを求めていきます。到達モーメントは、到達する箇所が
固定であるときは、半分の1/2になるので注意して下さい。
『問題 32』の解説
図の曲げモーメントを求める問題です。BA材とBD材の二つの部材を分けて曲げモーメント
を出したあとで曲げモーメント図を合成することで求めます。図の描き方の問題でもあります。
注意して描いて下さい。ただ、試験では丁寧すぎてもだめです。
時間を見ながら適度な図を描いて下さい。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 33』、『問題 34』を取り組んで下さい。
『問題 33』のヒント:
弾性座屈荷重Pの大小を求める問題です。
『問題 34』のヒント:
矩形断面材の問題です。
『問題 33』の解説
弾性座屈荷重Pの大小関係を求める問題です。それぞれの特徴を表のように書き出します。
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構造力学入門講座50問徹底解説集
今回は表にまとめましたが、問題のポイントで座屈荷重での座屈長さの大小関係であると分
かれば、座屈長さだけの計算で求めることが出来ます。
注意しなければならないのは、座屈荷重が分母に来るので、座屈荷重の大きさは「逆」にな
ることです。
『問題 34』の解説
問題文が降伏応力度δyに達するときのPyの値ということですが、つまり「δyの縁応力度を
求める問題」です。問題文で間違えないで下さい。中身は公式を覚えていれば簡単に解けま
す。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 35』、『問題 36』、『問題 37』に取り組んで下さい。
『問題 35』のヒント:
長方形断面材のB点に生じる応力度を求める問題です。
『問題 36』のヒント:
T型断面の全塑性モーメントを求める問題です。
『問題 37』のヒント:
固有周期Tの大小関係を求める問題です。
『問題 35』の解説
断面SのB点に生じる応力度を求める問題です。
X軸方向とY軸方向で引っ張りなのか圧縮なのかを確認します。
『問題 36』の解説
T型断面の全塑性モーメントを求める問題です。
引張合力Tと圧縮合力Cが等しいので、それぞれTとCの値を求めます。
中心間距離jを出し、最終的に全塑性モーメントを求めます。
『問題 37』の解説
固有周期Tの大小関係を求める問題です。そして、kの式、δの式、使って式を変形して固有
周期Tを求め、大小関係を求めます。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 38』、『問題 39』に取り組んで下さい。
『問題 38』のヒント:
軸方向力の引張りか圧縮を求める問題です。
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構造力学入門講座50問徹底解説集
『問題 39』のヒント:
断面係数Zと塑性断面係数Zpを求める問題です。
『問題 38』の解説
軸方向力の引張りか圧縮を求める問題でした。
最初に反力を出して、それぞれの部材の判定をしていきます。
図を描くと間違いが少なくなるので、簡単な図を描いてから解き方を覚えて下さい。
『問題 39』の解説
断面係数Zと塑性断面係数Zpを求める問題でした。
H形断面なので、大きな■の部分と小さい■の部分で考えます。
(大きい■)-(小さい■)×2 で求めます。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 40』、『問題 41』、『問題 42』に取り組んで下さい。
『問題 40』のヒント:
たわみからδの値とθの値とを求める問題です。
『問題 41』のヒント:
トラスに図のように荷重を受けるときのδの値を求める問題です。
『問題 42』のヒント:
単純ばりに等分布荷重が作用するときのδの比を求める問題です。
『問題 40』の解説
たわみからδの値とθの値とを求める問題でした。
片持ちばりに集中荷重、モーメントが生じるときのδとθを求めていきます。
最初にδ1=δ2のときのモーメントMAの値を求めます。それから、θ1=θ2のときのモ
ーメントMBの値を求めます。仮定した回転の方向に注意しながら答えを出します。
『問題 41』の解説
トラスに図のように荷重を受けるときのδの値を求める問題でした。
トラスのした任意の点の変位は仮想仕事から求めていきます。反力を求めてから、図にそれ
ぞれの部材の力の方向を書き込みます。すると、単位力の図でCD、DB間以外は、「0」になっ
ていると分かります。意外と簡単な問題です。
公式と、図が描けるかどうかが重要ですね。
『問題 42』の解説
単純ばりに等分布荷重が作用するときのδの比を求める問題でした。
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最初に公式を書きます。それから共通項となっている箇所を探して、シンプルなカタチにして
考えます。すると、断面二次モーメントの比とスパンの比が分かれば、解ける問題だと分かり
ます。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 43』、『問題 44』、『問題 45』に取り組んで下さい。
『問題 43』のヒント:
水平力が作用する三層構造物の問題です。
『問題 44』のヒント:
剛体に水平力Fが作用するときの問題です。
『問題 45』のヒント:
崩壊機構の問題です。
『問題 43』の解説
水平力が作用する三層構造物において、各層の層間変位が等しくなるときの各層の水平剛
性Kの比を求める問題でした。各層の水平変位δが等しいことをおさえておきます。それから
水平力は、各層のせん断力と等しいことを利用して解いていきます。
『問題 44』の解説
剛体に水平力が作用するときに、剛体が転倒しはじめるときの水平力Fと重力Wの比を求め
る問題でした。
水平力(横方向)と重力(縦方向)に分けて考えます。すると「水平力>重力」となったときに転
倒しはじめると分かります。
『問題 45』の解説
崩壊機構の問題です。はじめに、図にθの値とδの値を書き込みます。するとθとδ、長さ
の関係からδの値が分かります。それから、外力の仕事、内力の仕事を出していくと、最終的
なPuの値を求めることが出来ます。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 46』、『問題 47』を取り組んで下さい。
『問題 46』のヒント:
矩形断面材が全塑性の状態に達する場合の水平荷重Qを求める問題です。
『問題 47』のヒント:
ラーメンに作用する荷重Pによる崩壊荷重Puを求める問題です。
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崩壊機構もだいぶ理解してきましたか?難しくないですよね。
『問題 46』の解説
矩形断面材に水平力と軸方向力が作用しているときに、a-a断面における垂直応力度分布
が全塑性状態に達する場合のQの値を求める問題でした。
最初にa-a断面の引張力と圧縮力を求めます。それからa-a断面にMというモーメントが
作用するのが分かるので、MはQ×lで求めることが出来ます。
軸方向力をあまり意識しないで、横方向である水平力を利用して解く問題でした。
『問題 47』の解説
崩壊機構の問題でした。崩壊機構に関してはかなり習得できているのではないでしょうか。
簡単に解けたと思います。
さて、次の問題に取り掛かりましょう。
『問題 48』、『問題 49』、『問題 50』に取り組んで下さい。
『問題 48』のヒント:
固有周期の問題です。
『問題 49』のヒント:
図のない文章問題です。不適当なものを選びます。
何が間違っているのかをきちんと見分けてください。
『問題 50』のヒント:
崩壊荷重Puが作用するときの全塑性モーメントの大小を求める問題です。
『問題 48』の解説
固有周期Tと応答せん断力Qの大小関係を求める問題でした。
まずは固有周期Tの公式を使います。するとTの大きさの比が分かります。それを図-2にT
の大小関係を書き込みます。
図より応答加速度の値が分かります。大小関係を求めているだけなので、αAの値は、0.8
gとなるのです。
最後に、応答せん断力を求めます。
『問題 49』の解説
今回の講座で初めての文章問題でしたね。文章問題の解答のポイントは、間違い(不適当)
を見つけることです。
マニュアルに書いているので、詳しくは問題を解いてから読み直してください。
すると、応答スペクトルの図が分かれば解ける問題だと分かります。
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構造力学入門講座50問徹底解説集
『問題 50』の解説
崩壊機構の問題です。図を描いて間違えないようにして下さい。
(外力による仕事)=(内力による仕事)で求めます。
以上で、50問の問題は終了しました。
最後まで完走しましたね。本当にご苦労様でした。
そして、今回の講座の目的は、足きり点数を突破するために、力学分野の問題にしぼって解
いてきました。
しかし、私は頑張っている姿が見えるので、最低点数ではなく、本番で70%以上、つまり17
問、18問を解答できるレベルにいけると思っています。
年々、難易度が上がっていますが、構造が得意になれば20点は得点できるようになります。
現に妻の美代子は、構造が苦手で足きり点数の下にいたのですが、本試験では24点という高
得点を取る事が出来たのです。ですから、構造が苦手でなくなっているとすれば、次のステッ
プへとつながるはずです。
合格を願っております。
酒井利美
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