第26回日本臨床微生物学会総会・学術集会 ランチョンセミナー 9 薬剤感受性試験における 最新の知見 座長 菅野 治重 先生 公益財団法人 鹿島病院 感染症診療支援センター長 EUCAST Expert rulesおよび 耐性菌検出法ガイドラインについて 演者 豊川 真弘 先生 大阪大学医学部附属病院 臨床検査部 感染微生物検査室 薬剤感受性試験と感染症診療、感染制御 演者 中村 敦 先生 名古屋市立大学大学院医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 病院教授 日時 2015年 2月1日(日)11:40〜12:40 場所 京王プラザホテル 第5会場(4 階「扇」 ) 〒160-8330 東京都新宿区西新宿2-2-1 セミナーチケット配布につきまして ■日時:2月1日 (日)8:00〜11:00 ■場所:京王プラザホテル 5F『コンコードホワイエ』 *整理券配布は先着順といたします。 *ランチョンセミナー開始 5分後に無効となります。 共 催:第26回日本臨床微生物学会総会・学術集会/塩野義製薬株式会社 薬剤感受性試験における最新の知見 EUCAST Expert rules および 耐性菌検出法ガイドラインについて 豊川 真弘 大阪大学医学部附属病院 臨床検査部 感染微生物検査室 近年、用法用量に応じた薬剤感受性判定基準(臨床的ブレイクポイント)の再設定や次々に出現する新たな薬剤耐性菌 への対応など、薬剤感受性試験をとりまく環境は大きく変化している。これに伴い、薬剤感受性試験の複雑化・多様化が著 しく進行しており、 “ いかにして検査の質を確保するか?”が重要な課題となっている。日本国内の微生物検査室では主に米 国 CLSI 法に基づき薬剤感受性試験を実施している。CLSI 法は世界的にも標準法として汎用されている方法であり、 CLSIドキュメントには感受性測定法のみならず、耐性菌検出法や精度管理法、さらには日常検査において注意すべき事柄に ついても詳細に記載されている。これらの内容は国内の微生物検査室にも大いに役立つものであるが、日米における抗菌薬使 用方法や耐性菌流行状況の違いにより、国内ではそのまま利用できないものも散見される。一方、欧州では、各国で独自に 設定されていた薬剤感受性試験法の統一化を目的に 1997 年に European committee on Antimicrobial Susceptibility Testing(EUCAST)が発足され、感受性試験の標準化が推し進められている。EUCAST では設立当初より PK/PD 理論 を積極的に活用し、臨床的ブレイクポイントの設定に力を注いでいる。また、検査精度の向上を目的とした Expert rules や耐 性菌検出法ガイドライン等の情報提供にも精力的に取り組んでおり、これらドキュメントは国内の微生物検査室にとっても非常に 有益な情報である。本講演では、薬剤感受性試験に関する話題として、EUCAST より発行されている Expert rules および 耐性菌検出法ガイドラインについて紹介する。 薬剤感受性試験と感染症診療、 感染制御 中村 敦 名古屋市立大学大学院医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 病院教授 感染症の診療において有効な治療をおこなうためには、感染症の病像を把握し、治療薬の特性を理解した薬剤選択をす るとともに、病原微生物の薬剤感受性の情報を得ることが極めて重要であることはいうまでもない。薬剤感受性試験の結果が判 明するまでは感染症の部位や臨床像によって原因菌を推定したエンピリック治療をおこない、薬剤感受性が判明し次第、使用 薬剤の是非を再検討して、必要に応じて治療戦略を軌道修正するのであるが、このエンピリック治療を開始するにあたり重要 な情報源となるのがアンチバイオグラムである。自施設における各種病原菌の薬剤感受性率をまとめて微生物検査室から臨床 にフィードバックされるアンチバイオグラムを参考にすることにより従来の経験的治療に比べてより適切な初期治療がなされるよう になった。 感染制御の観点では、感染症治療のコンサルテーションなどの場面で薬剤の選択を推奨する際に、安易な広域抗菌薬の使 用を控えるための科学的根拠としてアンチバイオグラムを活用したり、デ・エスカレーションを提言する際の参考にするなどにより、 適正な抗菌薬治療を推進し耐性菌の出現防止や医療費を軽減させることに寄与している。また継時的な耐性菌の消長を把 握することにより、抗菌薬選択の使用状況の問題点を明らかにする役割も担っている。 本講演では薬剤感受性試験について、臨床医がアプローチする感染症診療、感染制御の実際について述べる。 FBX- E -171 (A1)
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