海道通信No.18

海 の 駅 の ある町 づくりを目指す情 報 交 流 誌
みな
物 と
語 15
−1枚の写真−
船舶による水運の発達は物流に大きな変化をもたらした。当然、
その
船舶が航行する際に必要な川湊も数多く作られ、山間地と河口域を
結ぶ拠点として経済を支えた。岡山県北部、真庭市勝山町に残る
「高瀬舟船場跡」は、室町時代末期に始まった旭川での「高瀬舟」に
「地域でのネットワークづくり促進」−⑥
よる水運の発着点として、年貢の米や林産物などの集積地として賑
わった。町は1985年岡山県下で初めて指定された「町並み保存地
No.18(Vol.3)
January 1, 2015
区」
となり、川湊跡はもちろん、
白壁の土蔵や商家の町並みも保全され観光客で賑わう。高瀬
関門海峡から響灘周辺の海の駅を訪ねて
て
舟とは慶長年間、角倉了以が京都∼伏見間で開いた高瀬川の運行にちなんで名づけられ
−しんもじ海の駅/むなかた おおしま海の駅−
たもので、長さ約八間(14.
5m)、幅八尺(2.
4m)
の木造帆船。舵は後方ついて、舵取り1人、
●海を舞台に多彩なプレイメニュー具現化をめざすマリーナとして−しんもじ海の駅−1
前方に船頭2人。棹は長さ四間(7.
2m)
で、紀州の杉か檜の材であった。勝山から岡山まで
●オーナーには海を楽しむイベント、市民には海遊びの啓発活動−しんもじ海の駅−2
の16里(64km)
を下り荷には鉄、木炭など約千八百貫(約6.
8トン)
を積み、途中真庭郡落
●玄界灘に浮かび、古の歴史と大型海上釣堀で人気の島−むなかた おおしま海の駅−1
いにしえ
合に1泊して岡山に。上り荷には塩や砂糖など約二百貫(約0.
8トン)の生活必需品を積み、
帆走あるいは馬や人間が曳いて約4日間で勝山へ戻ったという。現在の旭川は浅く、高瀬舟
が航行するシーンをイメージできない。ただ、貴重な発着場であった護岸が残されている。
勝山町「町並み保存地区」の上流にある神橋から中橋方向を見る。商家の裏には階段が川岸まで降り、高瀬舟への
荷揚げや荷降ろしが行われた。
海道通信 No.18(Vol.3)
発 行 日:平成27年1月5日
発
行:一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
海の駅ネットワーク
企画・制作:株式会社オズ クリエイティブ
デ ザ イン:株式会社 友デザイン事務所
■ 海の駅関連ホームページ http://www.umi-eki.jp
■ 海の駅ブログ http://www.uminoeki.org
不許複製
瀬戸内海と日本海を結ぶ海の道の要衝「関門海峡」
を空から見る。下には山口県下関市、上に福岡県
北九州市門司。古くから日本の海のドラマを紡いできた
(写真提供/北九州市観光協会)
私たちは﹁海道通信﹂を応援しています。
−⑥
特 集 「地域でのネットワークづ くり促進」
マリーナ アルパマ
【おおむらわん海の駅】
http://www. yamaha-marine.ne.jp/
ラグナマリーナ
【がまごおり海の駅】
関門海峡は日本の歴史を彩る海の道。
瀬戸内海と日本海を結 び、多彩なマリンライフへのプロムナード。
−しんもじ海の駅/むなかた おおしま海 の駅−
http://www.laguna-gamagori.co.jp
小樽港マリーナ
【おたる海の駅】
http://www.mw-otaru.jp
フィッシャリーナ天草(株)
【あまくさ海の駅】
http://www.f-amakusa.jp
内海フィッシャリーナ
【うつみ海の駅】
http://www.geocities.jp/utsumi_fisharina/
(株)マリーナ河芸
【みえ・かわげ海の駅】
http://www.marina-kawage.co.jp
横浜ベイサイドマリーナ
【よこはま・かなざわ海の駅】
http://www.ybmarina.com
クレイトンベイホテル
【くれ海の駅】
日本海
http://www.clayton-bay.jp
中国地方
藍島
大島 小倉
ニューポート江戸川
下関
男島
山口県
宗像 門司
【えどがわ海の駅】
http://www.newportmarine.co.jp
四国
福岡
女島
赤間神宮
関門海峡
NTPマリーナりんくう
九州
【りんくう・とこなめ海の駅】
響灘
下関市
門司市
太平洋
http://www.ntp.co.jp/marina
レトロタウン
●
彦島
NTPマリーナ高浜
宗像大社
中津宮
【たかはま海の駅】
http://www.ntp.co.jp/marina
セントラル(株)
関門海峡を後に響灘から新門司マリーナへ戻る。変化にとんだ景観、
クルージング、
ボートフィッシング、
セーリングと、
様々なボート遊びが可能なフィールドを満喫した
西福岡マリーナ マリノア
【ふくおか・マリノア海の駅】
海峡で変わる変化にとんだ水域と景観を満喫。
歴史を訪ね、美味を楽しみ、豊富な魚種での釣り三昧
http://www.marinoa.co.jp/
幅約500m、深さ約47mの関門海峡は、潮流の速さで鳴門海峡、来島海峡
(株)マリーナ秋田
に次ぐ3番目の最大潮流(約9.4ノット)
を誇る。狭い海峡を航行する船舶は
【あきた海の駅・おが海の駅・ゆりほんじょう海の駅】
一日約560隻を数え、下関や門司、小倉といった観光地を結ぶ観光船や大
http://www.marinaakita.co.jp/
巌流島
玄界灘
神湊
周防灘
しんもじ海の駅
八幡
芦屋町
遠賀川
洞海湾
小倉市
●
●
【きさらづ海の駅】
http://www.central-boat.co.jp
若松
地ノ島
むなかた おおしま海の駅
和布刈神社
宗像大社
宗像市
●
福岡県
小倉城
松本清張記念館
小倉祇園太鼓
北九州空港
「新門司・宗像」海の駅マップ
しんもじ海の駅【新門司マリーナ】 093-481- 6233
むなかた大島】 0940-72-2361
むなかた おおしま海の駅【(株)
型客船、貨物船などが行き交う。今回紹介する
「しんもじ海の駅」は、周防灘
(株)ベーシックシステム
【Confer
tas Of
f
ice】
http://www.basic.gr.jp/
(株)アイル・ジャパン
【スリーエムジャパン(株)特約加工店】
http://www.aisle-jp.co.jp
*表示は受付順です。また、バナー広告へのお問い合わせは、
までどうぞ。
海道通信編集部([email protected])
1
の西端にあり、関門海峡までは約15分の距離にある。目の前の比較的静か
な水域と、海峡をくぐるとタフな響灘から玄界灘までをマリンプレイエリアとす
る。一方、福岡県宗像市の沖合に浮かぶ大島は周囲15km、人口約700人
の小さな島。大島港渡船ターミナル近くの「大島海洋体験施設∼うみんぐ大
島」
を拠点とする
「むなかた おおしま海の駅」は、大きな海上釣堀の他、
シーカ
ヤック体験など市民のマリンスポーツ入門施設にもなっている。
2
特 集 「地域でのネットワークづくり促進」− ⑥
海を舞台に多彩なプレイメニュー具 現化をめざすマリーナとして
−しんもじ海の駅−1
瀬戸内海&響灘・玄界灘の異なる水域で
充実マリンライフ
瀬戸内海の西、周防灘の西端に位置
する「しんもじ海の駅」にとって、関門海
峡は変化にとんだマリンプレイを提供して
くれる間仕切りのようだ。
どちらかといえば
表 情が穏やかな水 域の伊 予 灘と周 防
灘。一方、
日本海に通じる響灘や玄界灘
では、季節によるがタフな気象・海象が
自らもヨットマンの吉田さんの
舵取りに期待したい
多々ある。とはいえ、保管艇オーナーに
とっては、
クルージングも、
ボートフィッシン
グもその日の気象・海象の状況や、気分でフィールドが選べる。事
業部長の吉田晴彦さんは
「マリーナの保管可能隻数は水域約100
艇、
ボートヤードには約200艇のスペースを用意しています。スタッ
フはサービス含め6名で対応しております。海の駅認定は平成18
訪れる人の気分も爽快になるマリーナ情景
年になります。
ビジターバースは中央桟橋の外側に5∼10艇分を
確保。関門海峡を挟んで瀬戸内海∼九州を行き交う方など、年間
約100艇強
(クルーザーが79艇、
ボートが30艇)
の寄港艇を数えま
す。
また、新門司マリーナとして会員制レンタルボートシステム「サン
スクエアクラブ」
も始めており、
そこからのオーナー化も顕著になっ
ています」
と語る。年間イベントには展示・試乗会をはじめ、操船ス
キルアップ講習会、釣り
(タイラバ)講習会、春の爽やか藍島クルー
ズ、季節の魚フォトコンテストなど。またマリンスポーツ育成支援事
業としてヨットレース講習会、
ジュニアヨット体験教室、新門司ク
ルーザーレース、北九州市民ヨットレース、新門司マリーナヨット
レースなどを開催している。吉田さんは「首都圏の方のセカンドマ
マリーナからの多彩な
プレイマップもパネルで紹介
リーナとして、北九州空港を活用した保管艇確保を目指したいです
リーズナブルな保管料、変化にとんだ水域な
ね。アクセスの良さ、
クラブハウス全景。右手前は結婚式エリア
ど、
メリットをアピールしたい」
と語る。
クラブハウス内にあるレストラン
「アーネストムーン」。但し結婚式のある場合は貸切と
貸切となる
(写真提供/アーネストムーン)
クラブハウスデッキからの眺め。
テーブルの上にはお洒落な演出
スタッフのパワーがオーナーたちの期待に応える
3
ボートヤードには、
中型から大型のクルーザーが並ぶ
4
特 集 「地域でのネットワークづくり促進」− ⑥
オーナーには海を楽しむイベント、市 民には海遊びの啓発活動
−しんもじ海の駅−2
クルーズもボート釣りも、
水域選んで海遊時間を満喫
ハーバーマスターの一 木 泰 志さんと
ショートクルーズに出た。快晴、周防灘は
鏡のような表情を見せている。進路は関
門海峡を目指し北上、海峡手前の航路
標識を確認。潮流の向き、速さなど電光
掲示板で表記され状況が事前に確認で
きる。一木さんは「マリーナの前はカキ筏
周辺水域情報はすべて把握
の一木さんは、
この道20年
も多いので、見張りの徹底が必要です。
また、海峡は春先から初夏にかけて霧が
出ますから要注意。速い潮流に船舶の波、
それが護岸ではね返る
波などありますので、常にスロットルの加減で航行して欲しいです
ね」
と語る。大型貨物船や客船、漁船、
プレジャーボートに観光船
など、様々な船舶が航行する。関門大橋の左手には、和布刈神社
藍島は平らで小さな島。のんびりとした雰囲気の漁港と家々
が見える。橋を潜ると右手に赤間神宮、左手には門司のレトロゾー
ンがあるが、残念ながらボートでは中に入れない。跳ね橋の手前か
らちょっぴり見える観光スポットを覗いた。海峡をさらに西へ、右手
に巌流島が見え、正面には小倉のビル群、右手に進路をとれば、
新日鉄住金などコンビナートが並ぶ。ここまで来ると正面には響灘
しら
あいの
ふたおい
門司の見所レトロゾーンを海から眺める
の島々が望める。水平線に浮かぶ白島、白洲の灯台、藍島、蓋井
釣りファンに好評のタイラバ講習会
(写真提供/新門司マリーナ)
島を眺めながら、毎年オーナークルーズで遊ぶ藍島へスロットルを
釣りファンなら垂涎の大きな鯛
もゲット
あげる。藍島には江戸時代の密貿易船を見張る番所跡に旗柱台
が残る。島の南端には小さな砂浜もあり、海水浴や新鮮な魚介類
の美味を楽しみながらのキャンプ、
また周辺水域ではスナメリウォッ
チングも楽しめるという。響灘の気象・海象について一木さんは「冬
場から春先は北西の風が強くあまりお奨めできません。
でも5月のGW
の頃には東の風になり凪いできます。こちらで遊ぶには初夏から秋
未来のヨットマン育成にジュニア
ヨット教室
11月までがいいと思います」
と説明してくれた。
周防灘側の関門海峡航路標識
5
下関側には平家物語の赤間神宮が佇む
響灘のパノラマ
今では橋の下に鎮座する和布刈神社
武蔵と小次郎の像が
像が 建つ巌流島
藍島からの帰途、海峡を臨む
マリーナオープン20周年記念以来
のクルーザーレース
海上から式場へ、若い人に人気のマリンウエディング
(写真提供/アーネストムーン)
6
特 集 「地域でのネットワークづくり促進」− ⑥
いにしえ
玄界灘に浮かび、古の歴史と大型海 上釣堀で人気の島
−むなかた おおしま海の駅
寄港艇への利便性と海遊びの楽しさの
場所と機会の提供
宗像市から海上8.
5km、連絡船で約
15分の大島に「むなかた おおしま海の
駅」
はある。周防灘西端にある新門司と、
福岡・小戸の中間点にあり、九州各地と
瀬戸内海を結ぶ海道巡りの格好の寄港
地となっている。桟橋は「うみんぐ大島」
こんな立派な釣果が期待できるのが人気となっている
釣堀とはいえ、
の愛称で親しまれている海洋体験施設
施設の効率的な運営を模索
する河野さん
の一角にある。
30フィートクラスなら3艇。
指定管理者となる
(株)
むなかた大島の
館長河野幸一さんは「運営を始めて今年で4年目。繁忙期は3月
末から10月。なかでも連休や夏休みが大変です。施設全体では大
型の海上釣堀や、
シーカヤック、艪漕ぎ体験、磯観察、
ビーチコーミ
ングなど、多彩な海遊びが人気で年間約18,
000人を数えます。海
島の南側は静かな水域がある。初心者
島の南側は静かな水域がある
には格好の海遊びエリアだ
(写真提供
/
(株)
むなかた大島)
の駅寄港艇は年間30艇前後です。今では水道、給電はOK、給油
も漁港で可能です。ここには食事施設がないので、
それ
(株)
むなかた大島)
太公望
太公望にはたま
らない海上釣堀全景
(写真提供/
(株
市民と海洋レジャーを結ぶマリンフェスタも好評
(写真提供/
(株)
むなかた大島)
)
が課題です」
と語る。島民がスタッフの会社の職員は3名、
非常勤として3名(釣りやカヤックのインストラクターなど)
に、
シーズンには応援を頼んでいるという。宗像市産業振
興部元気な島づくり課の中野晃浩係長は「島の海洋体
験施設は、大島全体の観光・離島振興での活性化を目
標に、平成16年にスタートしました。ほぼ10年が過ぎ、観
観光の魅力が島起こしの起爆剤。
いろいろな宣伝ツールが島にお出でよ
伝
島
よと呼びかける
び
光拠点と島民自らがその役割を担うコミュニティ拠点とし
ての両輪が回り始めました」
と語る。島には宗像大社中
津宮が鎮座し、島巡りのトレッキングコースも人気が高
い。航海の途中で立ち寄り、小さな島でのゆったりとした
時間を過ごすのにお奨めの海の駅といえる。
うみんぐ大島のクラブハウス。事務所や研修施設がある
子どもたちによる稚魚放流も開催。海の大切さを学ぶ
(写真提供/
(株)
むなかた大島)
静かな水域でシーカヤック
の魅力を満喫(写真提供
/
(株)
むなかた大島)
スタッフには地元の漁師の方も運営に参加している
7
大型海洋釣堀の入口。
ここから有料施設となる
子どもたちに人気のビーチコーミング。貝殻などでフォトフレーム作りを楽しむ
8
特 集 「地域でのネットワークづくり促進」− ⑥
関門海峡から響灘、玄界灘の海道巡りで楽しめる郷
郷 土自慢
関門海峡は瀬戸内海と響灘を結ぶ海道
巡りのポイント。門司港のレトロな町並みを
楽しみ、
由緒ある和布刈神社も参拝できる。
レンタカーなど使いちょっと足を伸ばし下関
へ出かけ、
名物
「フグ」
の美味を楽しみ、
平家
物語の舞台となった
「壇ノ浦」や「赤間神
宮」、
ついでに宮本武蔵と佐々木小次郎決
闘の場所「巌流島」
を見るのもいい。
また、
大島に寄ったら対岸の宗像大社辺津宮の
響灘の美しい夕焼けに心和むひと時
宝物館で、
遠い昔の歴史にぜひ触れたい。
お問い合わせ先
■ 北九州市観光協会
093-541-4151
■ 宗像市産業振興部商工観光課観光係
0940-36-0037
響灘や玄界灘の新鮮なアジやイカなどたっぷりと味わえる
(写真提供/宗像市)
宗像大社秋季大祭
の初日
(10月1日)
を
飾るのが 海 上 神 幸
「みあれ祭」。約120
とは、
「 神の御生
(みあ)
隻の漁船による海上 「みあれ」
れ」のことで、再生や蘇りの意。そ
パレードは圧巻
れぞれの願いと感謝を祈念する札
日本海
藍島
中国地方
大島小倉 下関
宗像 門司
宗像市の15km沖合に浮かぶ大島には、宗像大社中
社中 津宮があり宗像三女神の次女である
「田湍津姫神
(たぎつひめのかみ)」を祭る
四国
福岡
男島
山口県
赤間神宮
女島
九州
関門海峡
下関市
太平洋
響灘
和布刈神社
門司市
レトロタウン
●
宗像大社
中津宮
若松
地ノ島
むなかた おおしま海の駅
八幡
芦屋町
遠賀川
洞海湾
巌流島
小倉市
●
●
玄界灘
神湊
門司港の繁栄を誇る料亭「三宣楼」
( 昭和6年建造木造3階建て)
の3階廊下の粋な丸障子
彦島
宗像大社
宗像市
●
福岡県
しんもじ海の駅
周防灘
小倉城
松本清張記念館
小倉祇園太鼓
北九州空港
港
「新門司・宗像」海の駅マップ
一面のコスモス畑が美しい大島(写真提供/宗像市)
ダイナミックな関門海峡花火大会
(写真提供/北九州市観光協会)
9
宗像大社は天照大神の御子神である三姉妹の姫神(宗
像三女神)
をまつる神社。全国に6,
400ある宗像神社の総
本宮で末女神の「市杵島姫神
(いちきひめのかみ)
」
を祭る
(写真提供/宗像市)
宗像市の60km沖合に浮かぶ沖ノ島には、宗像大社沖津宮があり宗像三女神の長女である
「田心姫神(たごりひめのか
か
み)」
を祭る。23ヶ所の祭祀跡からは8万点にのぼる神宝が発見され「海の正倉院」
と呼ばれる
(写真提供/宗像市)
松本清張の小説「時間の習俗」にも登場する和布
刈神事
(写真提供/北九州市観光協会)
大島は観光地としても人気があり、四季折々の景観や、新鮮な魚介類を楽しめる 門司観光の目玉レトロな建築物。左は門司港駅舎、右は旧三井倶楽部
(写真提供/北九州市観光協会)
(写真提供/宗像市)
10
海 の 駅 の ある町 づくりを目指す情 報 交 流 誌
みな
物 と
語 15
−1枚の写真−
船舶による水運の発達は物流に大きな変化をもたらした。当然、
その
船舶が航行する際に必要な川湊も数多く作られ、山間地と河口域を
結ぶ拠点として経済を支えた。岡山県北部、真庭市勝山町に残る
「高瀬舟船場跡」は、室町時代末期に始まった旭川での「高瀬舟」に
「地域でのネットワークづくり促進」−⑥
よる水運の発着点として、年貢の米や林産物などの集積地として賑
わった。町は1985年岡山県下で初めて指定された「町並み保存地
No.18(Vol.3)
January 1, 2015
区」
となり、川湊跡はもちろん、
白壁の土蔵や商家の町並みも保全され観光客で賑わう。高瀬
関門海峡から響灘周辺の海の駅を訪ねて
て
舟とは慶長年間、角倉了以が京都∼伏見間で開いた高瀬川の運行にちなんで名づけられ
−しんもじ海の駅/むなかた おおしま海の駅−
たもので、長さ約八間(14.
5m)、幅八尺(2.
4m)
の木造帆船。舵は後方ついて、舵取り1人、
●海を舞台に多彩なプレイメニュー具現化をめざすマリーナとして−しんもじ海の駅−1
前方に船頭2人。棹は長さ四間(7.
2m)
で、紀州の杉か檜の材であった。勝山から岡山まで
●オーナーには海を楽しむイベント、市民には海遊びの啓発活動−しんもじ海の駅−2
の16里(64km)
を下り荷には鉄、木炭など約千八百貫(約6.
8トン)
を積み、途中真庭郡落
●玄界灘に浮かび、古の歴史と大型海上釣堀で人気の島−むなかた おおしま海の駅−1
いにしえ
合に1泊して岡山に。上り荷には塩や砂糖など約二百貫(約0.
8トン)の生活必需品を積み、
帆走あるいは馬や人間が曳いて約4日間で勝山へ戻ったという。現在の旭川は浅く、高瀬舟
が航行するシーンをイメージできない。ただ、貴重な発着場であった護岸が残されている。
勝山町「町並み保存地区」の上流にある神橋から中橋方向を見る。商家の裏には階段が川岸まで降り、高瀬舟への
荷揚げや荷降ろしが行われた。
海道通信 No.18(Vol.3)
発 行 日:平成27年1月5日
発
行:一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
海の駅ネットワーク
企画・制作:株式会社オズ クリエイティブ
デ ザ イン:株式会社 友デザイン事務所
■ 海の駅関連ホームページ http://www.umi-eki.jp
■ 海の駅ブログ http://www.uminoeki.org
不許複製
瀬戸内海と日本海を結ぶ海の道の要衝「関門海峡」
を空から見る。下には山口県下関市、上に福岡県
北九州市門司。古くから日本の海のドラマを紡いできた
(写真提供/北九州市観光協会)