大谷レポートのさらに詳しい情報はPDFをご覧ください

2014 年 12 月 22 日号
調査情報部
今週の見通し
先週の東京市場は原油価格の急落をきっかけとした資源国や新興国の通貨下落を背景に、世界的なリスクオ
フの流れの強まりによって、日経平均は一時 17000 円の大台を大きく割り込んだ。しかし、FOMC の長期間緩和的
な政策を維持するとの声明を受けて NY ダウが急反発すると、円安も追い風となって日経平均は週末に 17600 円
台を回復した。円安、原油安メリット銘柄に加え、訪日外国人観光客関連の銘柄が相対的に堅調だった。為替市
場でドル円はロシア・ルーブルや新興国通貨の下落を受けて、リスク回避の円買いが進み、一時 1 ドル 115 円台を
付ける場面があったが、その後は FOMC 声明を受けて 119 円台へ円安が進んだ。ユーロ円はルーブル安やギリ
シャの政局不安を背景に軟調となり、一時 1 ユーロ 144 円台を付けた。
今週の東京市場は、クリスマスや年末接近で市場参加者が減少するなか、原油価格動向や為替市場の動きに
一喜一憂する展開となろう。下値には日銀の ETF 買いや個人投資家の押し目買いが見込まれるものの、上値を
積極的に買う主体に乏しく、戻り売りに頭を抑えられる可能性があろう。NY ダウは閑散商状の中、原油価格動向
次第でややボラタイルな動きとなろうが、堅調な経済指標が示されれば、戻りを試す展開となろう。為替市場も原
油価格動向や新興国通貨の動きなどを睨みつつ、やや荒い値動きが続くと見られる。ドル円は 1 ドル 118 円、ユー
ロ円は 146 円を、それぞれ中心としたレンジ相場となろう。
今週、国内では 22 日(月)に 12 月の日銀金融経済月報、26 日(金)に 11 月の労働力調査、家計調査、鉱工業生
産、毎月勤労統計が発表されるほか、24 日(水)から 26 日まで特別国会が召集され、首相指名選挙が行われたの
ち、第 3 次安倍内閣が発足する予定。一方、海外では 23 日(火)に 11 月の米個人所得・消費支出、耐久財受注、
新築住宅販売が発表されるほか、23 日にはギリシャ大統領選第 2 回投票が行われる。また、クリスマスのため、
24 日は米国が早じまい、25 日は米国はじめ、欧米、アジア、オセアニアなどの国々で休場となる。
テクニカル面で日経平均は、18 日にアイランドリバーサルが示現し、短期的な底入れのシグナルが灯ったもの
の、前週の週足が高値圏での包み足となっていることから、中期トレンドは下降に転じた可能性が残る。ただ、週
末に日足一目均衡表の転換線と基準線、25 日移動平均線を上回ってきたことから、10 日に空けた窓(17773 円)や
年初来高値(18030 円)を目指す動きが期待される。一方、下値のメドは日足一目均衡表の転換線(17282 円:19 日
現在)や 19 日に空けた窓(17274 円)となろう。 (大谷 正之)
-1-
各種指数の推移
(Bloomberg データより証券ジャパン調査情報部が作成)
-2-
投資のヒント
☆株価が 13 週・26 週の両移動平均線の上位に位置しGC形成前の主な銘柄群
日経平均は先週末まで 3 営業日続伸し、19 日には前日比 370 円高と上伸して 17600 円台を回復してきた。
一方、個別銘柄では出遅れ感の強い銘柄が多数存在していることから、テクニカル面で株価が 13 週・26 週の上位
に位置するものの、ゴールデンクロス形成前の銘柄群を中長期スタンスで注目したい。 (野坂 晃一)
-3-
今週の参考銘柄
日本電産 (6594・東 1)
12 月 12 日に今年度初めての M&A を発表、独の
自動車ポンプ大手の GPM 買収と中国 China
Tex MEE の事業資産取得。GPM は独 VW グルー
プや独ダイムラーなど向けに車載用ポンプを供給
する Tier1 メーカーで、来期の売上高は 500 億円
超(円ベース)に拡大する見通し。同社のモータと
GPM のポンプを組み合わせ、環境規制強化で需
要拡大が見込まれる電動ポンプ市場への本格参
入が可能になろうが、モジュール製品の開発や
GPM の販売チャネルを活用したクロスセルなどの
シナジー効果も出て来よう。また、China Tex
MEE は、SR モータを手掛ける。潜在市場が大き
い SR モータの開発加速が見込まれる上、中国市
場への参入の足掛かりとなりそう。今後も M&A を
積極的に活用し、車載部品事業を「第 2 の成長
期」の牽引役に育成する方針、2020 年の売上
高は前期の 8 倍以上となる 1 兆円という強気の
目標を掲げる。 (増田 克実)
クボタ (6326・東 1)
農業機械と鋳鉄管で国内首位。農機はトラクタや
コンバイン、田植え機など稲作に強い。建設機械
や水処理、環境リサイクルなどにも展開。15/3 期
第 2 四半期業績は売上高が前年同期比 2.2%増
の 7450 億円、営業利益が同 0.1%減の 1001 億円
と、増収減益となった。機械部門は国内の農業機
械が消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反
動減で大きく減収となる一方、北米では主力のト
ラクタが景気回復に伴う需要増と新製品効果で好
調だったほか、欧州でもトラクタや建設機械、エン
ジンが伸びた。円安メリットは上期で約 110 億円
程度となったようで、通期では 1 ドル 105 円、1 ユ
ーロ 137 円前提で 170 億円程度が見込まれる。
下期は中国の農機補助金復活(15 年 1 月)で中国
の回復が見込まれるほか、来春には欧州新工場
の立ち上げにより欧米での大型トラクタ拡販が期
待される。 (大谷 正之)
-4-
IHI (7013・東 1)
15/3 期第 2 四半期業績は売上高が前年同期比
12.8%増の 6161 億円、営業利益は同 46.5%増の
289.3 億円、経常利益は同 38.4%増の 323.3 憶円、
純利益は同 64.2%増の 209.4 憶円と、売上高、経
常利益、純利益が 4‐9 月期として過去最高となっ
た。民間航空機向けエンジンやターボチャージャー、
橋梁、海洋構造物などが増収をけん引したものの、
ボイラーの工事採算悪化やターボチャージャーの
販管費増加などが響き、営業利益の伸びはやや
抑えられた。通期計画は据え置かれたが、民間航
空機向けエンジンや海外の社会基盤整備関連の
好調が続くと見られるほか、円安の寄与も拡大しよ
う。GE が開発中のボーイング「777X」用次世代エン
ジンの主要部品を同社が 10~12%のシェアで参
画する見通しと先に伝わっており、中長期的な航
空機関連事業の拡大が期待される。(大谷 正之)
その他
日立(6501)
来期は中期経営計画の最終年度となるが、目標値の 7%超達成が予想される。
日立化成(4217)
来期はリストラ、円安効果、台湾蓄電池子会社化寄与で、今期比大幅な増益が期待される。
三菱地所(8802)
既存ビルを中心にオフィス賃料の引き上げ、保有物件の売却などが見込まれ、今期の会社計画(営業利益 1470
億円)は上方修正される可能性も。
マツダ(7261)
円安効果、スカイアクティブ搭載車の構成比アップで収益拡大が予想される。
大成建設(1801)
通期の会社計画(営業利益 540 億円)は保守的にみえる。実質無借金で財務体質も健全。
トリドール(3397)
期間限定商品の投入、テレビ CM 効果などで既存店売上高が堅調に推移。
(増田 克実)
-5-
タイムテーブルと決算予定(予定は変更になる場合があります)
<国内スケジュール>
12月22日(月)
12月日銀金融経済月報(14:00)
11月スーパー売上高(14:00、チェーンストア協)
11月コンビニ売上高(16:00、フランチャイズチェーン協)
経済財政諮問会議(時間未定、官邸)
上場 インターワークス<6032>、イーレックス<9517>マザーズ
12月23日(火)
天皇陛下誕生日(81歳)
12月24日(水)
特別国会(26日まで)
首相指名選挙
第3次安倍内閣発足
11月民生用電子機器国内出荷(14:00、JEITA)
気象庁3カ月予報
上場 綿半ホールディングス<3199>東証2部、ヨシックス<3221>ジャスダック・名証2部、
データセクション<3905>マザーズ
12月25日(木)
11月18・19日の日銀金融政策決定会合議事要旨(8:50)
11月企業向けサービス価格指数(8:50、日銀)
黒田日銀総裁が経団連審議員会で講演(12:45、経団連会館)
11月住宅着工・建設受注(14:00、国交省)
上場 東京ボード工業<7815>東証2部、カヤック<3904>、エクストリーム<6033>マザーズ
12月26日(金)
経済対策閣議決定
11月全国、12月東京都区部消費者物価(8:30、総務省)
11月労働力調査・有効求人倍率(8:30、総務・厚労省)
11月家計調査(8:30、総務省)
11月鉱工業生産・出荷・在庫(8:50、経産省)
11月商業販売統計(8:50、経産省)
11月毎月勤労統計調査(10:30、厚労省)
11月自動車生産・輸出(13:00、自工会)
ダイエー<8263>東証1部上場廃止
上場 MRT<6034>マザーズ
<国内決算>
12月22日(月)
15:00~ ニトリHD<9843>
12月24日(水)
時間未定 ハイデ日高<7611>、パルコ<8251>
12月25日(木)
15:00~ シーズメン<3083>、WNIウェザー<4825>
時間未定 夢の街<2484>、Jフロント<3086>、ナガイレーベ<7447>、象印<7965>、しまむら<8227>、平和堂<8276>
12月26日(金)
16:00~ 高島屋<8233>
時間未定 ライトオン<7445>、タカキュー<8166>、さが美<8201>、オークワ<8217>
-6-
タイムテーブルと決算予定(予定は変更になる場合があります)
<海外スケジュール>
12月22日(月)
米 11月中古住宅販売
12月23日(火)
米 11月個人所得・消費支出
米 11月耐久財受注
米 7~9月期GDP確報値
米 10月住宅価格指数
米 11月新築住宅販売
ギリシャ大統領選第2回投票
12月24日(水)
休場 独、スイス、イタリア、メキシコ、フィリピン、ブラジル(クリスマス・イブ)、
米(クリスマス・イブ 株式・債券・商品は短縮取引、為替は通常取引)
12月25日(木)
休場 米、英、カナダ、メキシコ、ブラジル、独、仏、スイス、オランダ、スペイン、イタリア、ベルギー、香港、
韓国、インド、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、豪、NZ、南ア(以上クリスマス)、
パキスタン(ジンナー生誕記念日)
12月26日(金)
休場 英、カナダ、独、スイス、オランダ、スペイン、イタリア、ベルギー、豪、NZ、南ア(以上ボクシングデー)、
香港、インドネシア、フィリピン(以上クリスマス翌日)
12月28日(日)
クロアチア大統領選
<海外決算>
特になし
-7-
投資にあたっての注意事項
●手数料について
○国内金融商品取引所上場株式の委託取引を行う場合、一取引につき対面取引では約定代金に対して最大
1.2342%(税込)
(但し、最低 2,700 円(税込))の委託手数料をご負担いただきます。また、インターネット
取引では、「約定毎手数料コース」においては、1 取引の約定代金が 100 万円以下の場合は1取引につき 540
円(税込)、1 取引の約定代金が 100 万円超の場合は 1 取引につき 1,080 円(税込)の委託手数料をご負担い
ただきます。
「1 日定額コース」においては、1 日の約定代金 300 万円ごとに 1,620 円(税込)の委託手数料を
ご負担いただきます。
募集等により取得する場合は購入対価のみをお支払いただきます。※1 日定額コースは、取引回数(注 1)が
30 回以上の場合、現行の手数料に加えて 21,600 円(税込)の追加手数料を加算させていただきます。(注 2)
※1 取引回数=約定に至った注文の数
※2 複数市場へのご注文は市場ごとに 1 回の注文となります。
○外国金融商品取引所上場株式の外国取引を行う場合、売買金額(現地約定代金に買いの場合は現地諸費用を加
え、売りの場合は現地諸費用を差し引いた額)に対して最大 0.8640%(税込)の取次手数料をご負担いただき
ます。
○非上場債券(国債、地方債、政府保証債、社債)を当社が相手方となりお買付けいただく場合は購入対価のみ
をお支払いいただきます。
○投資信託の場合は銘柄ごとに設定された販売手数料及び信託報酬等諸経費等をご負担いただきます。
○外貨建て商品の場合、円貨と外貨の交換、または異なる外貨間の交換については、為替市場の動向に応じて当
社が決定した為替レートによります。
●リスクについて
○株式は、株価変動による元本の損失を生じるおそれがあります。また、信用取引を行う場合は、対面取引にお
いては建玉金額の 30%以上かつ 100 万円以上、インターネット取引においては建玉金額の 30%以上かつ 30 万
円以上の委託保証金の差し入れが必要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができる
ことから、損失の額が多額となり差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。外国株式の場合、為
替相場によっても元本の損失を生じるおそれがあります。
○債券は、金利水準の変動等により価格が上下することから、元本の損失を生じるおそれがあります。外国債券
は、金利水準に加えて、為替相場の変動により元本の損失を生じるおそれがあります。
○投資信託は、銘柄により異なるリスクが存在しており、各銘柄の組入有価証券の価格の変動により元本の損失
を生じるおそれがあります。各銘柄のリスクにつきましては目論見書等をよくお読み下さい。
●お取引にあたっては、開設された口座や商品ごとに手数料等やリスクは異なりますので、上場有価証券等書面、
契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読み下さい。これら目論見書等、資料のご請求は
各店の窓口までお申出下さい。
●銘柄の選択、投資に関する最終決定はご自身の判断でお願いいたします。
●本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全性を保証したものでは
ありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判
断で随時変更することがあります。また、本資料のコンテンツ及び体裁等も当社の判断で随時変更することが
あります。
2014 年 12 月 19 日現在、金融商品取引所の信用取引の禁止措置等の規制銘柄は当レポートより除外してお
ります。今後、金融商品取引所等により新たな規制が行われる可能性があります。
●当社の概要
商号等:株式会社証券ジャパン 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 170 号
加入協会:日本証券業協会
コンプライアンス推進部審査済 2014 年 12 月 19 日
-8-