ニューラルネットワークを用いた味質判別の検討 研究者:井下元気(指導教員:髙松竜二) 1. 背景および目的 人間には視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚と呼ばれる感覚器官が備わっている.その中でも味覚は味を感じる器 官であるが,環境や体調などにより味の感じ方には個人差がある.食品などの製品開発の際,味を客観的に表現 することができれば,簡単に比較することができる.このような問題を解決するために開発されたものが味覚セ ンサである.この味覚センサの受容部には 8 つの電極があり,そこから得られる 8 つの電位パターンによって, 味を認識・識別する.しかし,この電位パターンを見ても一般の人には味を識別できているかどうか分かりにく い.そこで本研究では,脳の神経を模様したニューラルネットワークを使用し,電位パターンから味質を判別で きるものを作成することが目的である. 2. R 言語 R とは主に統計解析に利用されるソフトウェアである. R 以外にも統計ソフトが存在する中で R を使用する 理由はメリットが多く存在するためである.メリットとして,フリーソフトであり,プログラムコードが全て公 開されていること,最新の統計手法や幅広い OS に対応しているなどという点がある.本研究では,この R を用 いることにした. 3. ニューラルネットワーク ニューラルネットワークとは人間の脳をモデル化したもので, ニューロンの基本的な働きは情報(信号)の入力と出力である. ただし,入力された情報をそのまま出力するのではなく,一定の 閾値を超えたときのみ出力される.ニューロンは相互に信号伝達 を行う相互結合型や一方向のみに信号伝達を行う階層型があり, その信号伝達効率は一様ではないため,それぞれの入力に対し結 合荷重を設定し,その重み付きの入力の総和が各ニューロンに設 定されている閾値を超えたとき,他のニューロンに信号を送ると 図 1:階層型ニューラルネットワーク いう原理である.これまでの研究では,図 1 に示すような階層型 ニューラルネットワークを用いていたことから,本研究でも同様 の手法を用いる. 4. 研究内容および結果 これまでの研究では,MATLAB を使用して いたが,本研究では R を用いるため,R の使 用法について学習を行った.例として図 2 にベ クトルの計算結果を示す.このように行列計算 も行えるため,MATLAB の代わりに使用でき >veca [1] 1 2 3 4 5 ←veca の定義 >vecb [1] 2 4 6 8 10 ←vecb の定義 >veca+vecb [1] 3 6 9 12 15 ←veca+vecb の足し算結果 るのではないかと思われる. 図 2:ベクトルの足し算結果 5. 今後の課題 まずは,これまでのプログラムおよびニューラルネットワークの解析を行う.その後,R を用いて行えるかど うかを検討し,可能であれば R でプログラムを作成し,これまでの結果と比較・検討を行っていく.
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