校長室の窓から(12月号) - 茨城県立石岡商業高等学校

校長室の窓から
〈12月〉
【特色ある学校づくり推進事業―外部講師による学習会】
12月に,日商簿記検定2級合格,ITパスポート合格を目標とした課外が保護者面談
期間中(12月15日~18日)の午後を利用して行われました。学校法人立志舎のご協
力の下,高橋先生(情報処理,写真1)高野
先生(簿記,写真2),を東京本部からお迎
えし,連日熱の入った講義が2年生対象に行
われました。また,1年生対象に行われた日
商簿記3級合格のための課外では,50周年
記念事業でもお世話になった本校OGの嘉指
優子先生がご指導くださいました。校外のエ
キスパートや卒業生のご協力をいただきなが
ら,居ながらにしてハイレベルの課外が受け
【写真1】
られる生徒は幸せです。
午後5時過ぎ,最寄りの東田中駅(かし
てつバス)で課外を終えた2年4組の生徒
たちと一緒になりました。「疲れたでしょ
う?」とねぎらうと,「そんなに疲れませ
ん」「授業がわかりやすかった」と頼もし
い声が返ってきました。
この「外部講師による上級資格取得のた
めの学習会」は,平成26年度特色ある学
【写真2】
校づくり推進事業として行ったものです。
また,商業教育について,体験してそのよさを知っていただくべく,中学校への出前授
業をさせていただきたいと念じていたところ,12月に,石岡市立城南中学校の2年生2
クラスで,12月11日に,本校教務主任の生田目先生(商業科)による学校紹介と体験
授業を実現できました。城南中学校様にはご要望を頂きまして,ありがとうございました。
「あなたの隣にある商業教育」を少しでも感じていただけたでしょうか?これからも,小
中学生さんを対象に,商業の出前授業や授業見学を随時実施してまいります。どうぞご要
望をお寄せください。
【少林寺拳法部関東大会壮行会,見事入賞】
関東高等学校少林寺拳法選抜大会(12月20日群馬県みどり市)に出場する,本校1
年の佐藤結衣,上田七海両拳士に対して,12月12日,生徒会が放送による壮行会を開
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いてくれました。これは,現在体育館の耐震工事中で全校集会が開けないためです。二人
は慣れないマイクロフォンに戸惑いながらも,しっかりとした決意を語ってくれました。
12月20日の大会では,佐藤選手が
女子規定単独演武の部において,7位
に入賞することができました。
写真は,
11月16日に県武道館で行われた新
人大会(関東大会,全国大会の予選を
兼ねる)での二人の演武の模様です。
また,大きな大会はなくても,寒風
の中練習に励む陸上部,野球部,ハン
ドボール同好会,弓道部,ソフトテニ
ス部,サッカー部など,また室内では
バトミントン部,卓球部,吹奏楽部な
ど,頑張っている生徒の姿は,文武両道を目指す本校の活力です。
【閉講式校長講話から―『アナ雪』ヒットは言語の違いを超えてピンチをチャンスに!? 】
平成26年の世相を映すものに,ディズニー映画「アナと雪の女王」の世界的ヒットが
あります。映画のストーリーやヒロイン像も好評でしたし,音楽も大人気でした。
映画を監督したジェニファー・リーとクリス・バックはニューヨークタイムズのインタ
ビューに答えて「若い女性に支持されるキャラクターづくりに苦心した」と語っています。
これはマーケティングの勝利といえますね。「私もシンデレラは好きだけれど,人に左右
される受け身の存在はいや。人間として自立したヒロインであってほしい」「プリンセス
といえば通常は守られる存在。けれど彼女らは国を背負って立つ存在だから,その重みを
担うプリンセスにしたい」こうして作られた「美しく(かわいく),不条理や運命の無情
に苦悩しつつ,しかし自ら行動を起こし,助け合って困難を乗り越えようとする」ヒロイ
ン像は多くの人に支持されて新しいブランドになりました。
また,ミュージカルナンバーの訳詩者が水戸芸術館の芸術監督を務める高橋知伽江さん
(水戸在住)であることから,茨城県民としては音楽も一層身近に感じます。原詞の英語
と訳詩の日本語では言語の仕組みがまったく異なるため,日本語にする過程で英語の持つ
意味の多くを切り捨てていかなければなりません。これは原詞が魅力的であればあるほど
不利なこと(ピンチ)ですね。何を捨てて何を残すかは,もはや創作活動にも等しい戦略
的な頭脳戦といえるでしょう。エルサの苦悩と決意の中から,日本人に共感されやすい部
分を丁寧に抑えながら,登場人物の口の形に合わせて言葉を当てはめていくという離れ業
を,高橋さんは見事にやり遂げ,ピンチをチャンスに変えました。以下は,高橋さんへの
インタビューの答から抜粋したものです。
「日本語の特性からいって、英語をそのまま訳しても曲に入りきりません。歌の大事なエ
ッセンスを抜き出して歌詞に込めるようにするので、日本語のボキャブラリーを豊かにす
るように気を付けています。面白いというよりも苦しい作業ですが、言葉が音にぴたりと
はまったときは快感です。この歌はエルサの心の変化がつづられ、全体がドラマになって
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います。それを的確に表現できるように気を付けました。何といっても、たびたび顔がア
ップになるので、口の動きに合わせねばならないところが多く、相当大変でした。
日本語で「ありのままの」と歌っている部分は、英語では「Let It Go,
Let It Go」です。
メロディを大事にすれば、日本語の音は6つしか入りません。しかも、口の形がアップに
なるので、3つ目と6つ目の音の母音は「お」に限定されます。この制約の中で原語が伝
えたいメッセージをどう伝えるか、ディレクターと何度も何度もメールをやりとりして試
行錯誤しました。その結果が「ありのままの」なのです。自分を押し殺して生きてきたエ
ルサが、はじめて「ありのままの」自分を受け入れようと決意するフレーズ。美しくて力
強いと思います。」
高橋さんの講演会が1月24日石岡市で開かれることになりました。ぜひご本人の話を
聞きたいと楽しみにしています。
『アナ雪』のヒット現象は,ヒットの陰にあるマーケティング戦略や,プロの仕事人の
情熱が垣間見られて,舞台裏もまた面白いのではないでしょうか。
*この講話は,放送によって行いました。また,年末年始休業に向けて,年度後半の学校
生活を顧みて,特に「交通事故(自転車と車の接触事故と,事故後の対応について)」「イ
ンターネットの適切な利用(国のネットいじめの実態調査結果と利用者としての心構えに
ついて)」の注意喚起を行いました。
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