APEC 貿易担当大臣会合議長への書簡 【仮訳】

O APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニティを築く長期繁栄への道」
付属文干:A
仮訳】
APEC貿 易担当大臣会合議長への書簡 【
2014年 5月 7日
APEC貿 易担当大臣会合議長
中華人民共和国 商務部長
高 虎城 闇下
拝啓
APECビ ジネス諮問委員会 (ABAC)を 代表 し、私 どもの優先事項のい くつかと今年最初 の
提言 を、謹 んで大臣閣下とAPEC貿 易担当大臣の皆 さまに提 出いたします。本年後半 のAPEC
首脳 へ の報告の準備 も進める中、本年、私 たちが重 点的 に作業を進めているのは、地域経済統
合 の深化、 インフラ成長 とコネクテイビテイの推進、持続可能な発展 の奨励、中小・零細企 業 の
発展 と起業家精神の促進、 そして金融市場 の発展・統合 の推進 で現 APEC参 加エコノミーが、
・投 資 に対 して市坊 が け
日かれることと、長期的成長 の達成 を目指 し、上記の分野で協調 した
ノ
貿ノ
ザ
行動を取 るべ きであるとABACは 確信 してお ります。
世界貿場機関 (WTO)の 強力な支持者 として、 ABACは 2013年 12月 に開伴された第 911‖
WTO閣 僚会議 (MC9)の 成果を窄欠迎いたしま現 私たちは、APEC参 加国・地域がWTOド ーハ・
「バ リ・パ ッ
ラウンドを前進 させ、保護主義 と聞う努力 を倍加するよう奨励 しま坑 最も重要なのは、
ケー測 での合意、特 に貿易円滑化協定 (TFA:Tlわ ade Facihation Agreement)を 実行するこ
とで,毛 TFAが 実行 されれ Iふ 物品やサービスの流れにおけるコス ト削減 と効率化 に寄与するか
らですも 私 たちは大臣の皆 さまが TFAの 早期発効・実施に向けてジュネーブで交渉を主導するよ
う要望 しま坑 1司 様 に、 ABACが APECに 強力に要請するのは、5月 の貿易担当大臣会議終了
までに、 ビジネス上 重要なITA拡 大 を支持する姿勢 をより明確 にアピールすることですもその際
には、特 に、 センシテイブ品目を制限 し、初期 の ITA拡 大交渉が 目指 したような相 互にバ ランス
の取 れた野心的な自由化 を支持すべ きで現
私 たちが以前、 アジア太平洋 │'I由 貿易 │』 (FTAAP:Frce Trade Area of Asia― I)acific)ヘ
の潜在的道筋 として特定 した、複数の貿易協定で顕著な進展 があったことに注 目してお りま現 こ
のような進展 を踏まえ、ボゴールロ標達成の期限である 2020年 が近づいていることから、 ABAC
「 トップダウ刻 のアプローチが必要だと考えます。そのため
はFTAAPを 進 めてい くには、 より
には、全体的なビジョンの更なる明確化や、見込まれる利益 のしっか りした経済升紙 、そして透 明
性 の向上や ビジネスの要請 の特定 を目的とした対話 が必要になりま〕毛 従 って、 FTAAPの 実現
に向けた具体的な手段 、例え│よ ロー ドマ ップや工程表 の作成、実現可能性調査などを私 たちは
歓迎 しまづLこ のような取 り組みは、 APEC、 ABAC、 PECCに よる大規模な作業を前提 に行
われるべ きであり、環太平洋戦略的経済 連携協定 (T P P I Trans Pacinc Partnership)、 東 アジ
642014年 APEC首 脳へ の提言
APEC首 脳へ の提言 「アジア太平洋 コミュニテイを築 く長期緊栄への道」●
ア地域包括的経済連携 (RCEP:Regional Comprehensive Economic Partnership)、 太平洋
同盟 (PA:Pacinc Alliance)が FTAAPに 向けた重要な道筋 となるべ きと考えますЬ私たちは、
ビジネス界からの要望を伝えることで、そのプロセスに貢献する用意がありまうち
ABACは 、 これ らの交渉 の進展を歓迎 しま現 TPPは 妥結 に近づいているものの、 この交渉
の勢 いを持 続 させようとするならは 更なる政治的な方向性 の明示が必要になりますЬ ビジネスの
′
要求 を満たすためには、交渉 の道筋の H的 は質が 高 く、 ∫心的で包括的なものでなければなりま
せん。市場アクセスに関する仝ての二 国問交渉 は、野心 のレベルが下がらないよう注意深 く管理す
‐
る必 要がありま 元 力日えて、2011年 11月 に首脳たちが発 表 したTPPの 大枠 の概要 の中で示 され
た包括性原則 を支持できない交渉参加国がある場合、 その参加国によってTPPの 締結が遅れる
ことが ないようにすべ きですも RCEPも また、 TPPな どのFTAAPへ の他 の道筋 と肩を並べ ら
れるような、より早いペマスと高い野心 レベルで進展させる必 要がありますЬ私たちは可能な限り多
くのAPEC参 加国 。地域が、開かれた地域主義 の精神 に沿ったFTAAPへ の道筋 に参加するこ
とを奨励 します3私 たちは、 FTAAPが 、それぞれの道筋 の最高水準 に向けて収束してい くこと
ll卜
を確信 してお りまJち
ABACは 本年、サービス分野で様 々な取 り組みを開始しました。 グローバル・バ リューチェーン
でのサ ービス分野 の役 ilJの 特定や、APEC地 域でサービスの11由 化 に特 に関心 のあるビジネス団
体 の概 要作成、 APEC地 域 における臨 時 の経済活動従事者 の効率的移動 を管理する枠組 み
の開発、 そして、 APEC実 務者 とサービス貿易の課題について連携することで坑
長期間にわたっく 経済成長が持続するには、国内及び海外からの投資が地域経済内で増加し
ていかなければなりません。私たちは大臣の皆さまに、2013年 の首脳へ の提言の中で特定 した1釘
外直接投資 (FDI:よ )reign d予 ect investment)の 課題 に取 り組み、 ビジネス界 とAPECが 連
携 して作 り出したツールを活用することを要請 しまづЪttJえ Iよ APEC投 資円滑化行動計画のよう
な官民対話 のガイダンスや対話促進を企画 したツールの活用ですЬ更に、私たちは大臣の皆 さまに、
高度な投資専門家 グループの設 立提 案 を支持するよう要望 しま坑 その 目的は、投 資実績評価指
数へ の信頼 を高め、その価値 を社会 に広めるためのツールとしな 数値 目標 の設定・活用 に関する
客観的助言 を行 うためで坑
ABACは 、 APEC地 域 のインフラとコネクテイビテイを強化するための、 APECの 総合的で
先進的な複数年 プログラムを賞賛 しますも △PEC地 域 には質の干jい インフラが整備 されておらi
経済的にAPEC地 域 と結 びついていない地域が未 だに存在 しま坑 ABACは 、新 しくて質の高
い、地域全体や国内を連 結するインフラ建設に関する全 てのAPECの 取組みが コネクティビテイ
の達成 を目指 して、 より協調 の取 れた方法 で運営 されることを奨励 します。 このような調整 はビジ
ネス投資家やユーザーにとって重要ですもそうすることによっ怠 実行可能なインフラ計画が増加し、
含送網 の質 を高 くし、 グローバル・バ リューチェーンを強化することになりまサ毛 グローバルなデー
中
タ規格 (GD S iglobal data standards)が より広範にAPEC地 域内で取り上げられることにより、
機能性及び域 内サ プライチェーンを大 いに強化 し、その結果バ リューチェーンの強化 を支 えること
・売 私 たちはAPECが GDSに 関する作業計画を現在手
に進してい
になるとABACは 確信 していま
2014年 APEC首 脳への提言 65
● APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニテイを築く長期繁栄への道」
ることを賞賛 しま坑
特 に懸念 されるのは、地域 のインフラヘ の非常 に高いニーズと、政府 の資金供給能力のギャッ
プで現 注意 しなければならないの は、国際基 準設定機関がアジア太平洋地域 で投 資を行 う長
期的投資家の行為を、意図せ ず に阻害 してしまわないようにすることですも正 しい条件 の下では、
政府系フアンドや国営企業、年金・保険基金などによる投資が、投 資の主な供給源 となり得ま現
海夕1資 本 をな きつ け活用するための手引きを用意することを日的に、2013年 ABACは インフラ
投 資の環境整備 チェックリストを作成しました。 ビジネス界 との対話 が増えている中、 このチェッ
クリストを活用するよう、 ABACは APECに 求 めます。その際、 ABACと 連携 しなが ら自己
「 APECイ ンフラ開発・投 資 に関する複数年計画 (MYPH)I I Multittear Plan on
評 価 し、
lnfrastructure Development and hvestment)」 の中で実務的なベ ンチマーク・ツールのひとつ
と考えていただければ幸甚で坑
ABACは 、大臣の皆 さまが金融市場管理当局や関係機関に対 して民間部門と協力するよう促
すことを要請しますЬその際 は、貿易やサプライチェーン・フアイナンスを円滑化 し中小企業の金融
アクセスを拡大し、インフラ投資をより促進するようアジア太平洋金融 フォーラム (APFF:Asia―
Pacinc Finandal Forum)を 活用ください。
ABACの 作業計画 には、 APEC地 域 のビジネス環境 の改善 に関連する他 の複数の進行中の
イニシアチブも含みますも これらの イユシアテイブの進捗状況 は添付 の付属文書 に記載 されており
ます。大臣閣下が主継 されます青島での会合 に参加 し、 これらの提言を詳細に伝 えることができま
`
すよう期待 してお りま先
敬具
2014年 ABAC議 長
寧
高寧
66 2014年 APEC首 脳への提言
APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニティを築く長期緊栄への道」●
その他の課題に関する▲PEC貿 易担当大臣への進捗報告
].イ ンフラ投 資 の障害を取 り除くパー トナーシップの設立
インフラ開発に焦点を広げることにより、 インフラ投資 の障害 に関する課題 に対応したAPEC
の努力 は、インフラけ
H発 及び投資 に lす る複数年i汁 世iを 策定したこと、 また1イ 民パー トナーシッチ
センターをインドネシアにおいて設 立したことにより示 されたが、 ABACは 本努力を称賛する。サ
プライチェーンの働 きや投資の競争力を決める基礎 的な要因として、新 たにインフラを作 ることおよ
び既存 のプロジェクトに再投資を行うことは、アジア太平洋地域 の長期的成長 を推進する助けとな
る。 民間セクターの資本及び専門性 は政 府が将来の需要に応え、現存するギャップに対応するた
めに必要 となるであろう。 ビジネスにとっての固有の関心事 は、規制やリスクに関係する不適切な
調整や準備、および不確実性に起因する、 インフラ・プロジエクトの承認段 階から実行段階 に到
るまでの時間と費用 である。 APECの 複数年計画の初期段階でこれ らの課題に対応することは、
llえ
プ ロジェクトの開発 プロセス年数を短縮し、プロジェクト費用を数百万 ドル削減 し、 また資金調達
にすばやく弾 みをつ けると共に、計画段階にあるプロジェクトを新たに実行可能なものに変えてゆく
ことができる。
この重要な取 り組みを前進 させるために、 ABACが 作成 した補完的インフラ投 資の環境整備
チェックリス トをAPEC参 加 国・地域 の政府 が活用 し、 この重要な問題 に関ししっか りした、内
容 の波 い対話をすることでビジネス界 を関与せしめることをABACは 奨励する。 このチェックリス
トは実績 を評価 し、インフラ部門へ FDIを 誘致 し効果的に活用するために必要な複雑な政策や制
度の履行へ の理解を深めるよう作 られている。また、 このチェックリストは、全てのAPEC参 加国・
奥起すると共に、潜在的投 資家 との新 たな連
地域でのインフラ環境における前進 と成果 に注意をΠ
携 を作 るためのまたとないチ ャンスを提供することになる。
2.官 民対話を通 じた官民パー トナーシップ (P
P P i public‐
pttvate partnership)の ため
の環境整備
アジア太平洋インフラ・パー トナーシップ (APIP:Asia― Pacinc lnttastructure Partnership)
はインフラ開発 と資金調達 のためのPPP進 展 を推 し進めるために必 要不可欠な要因についてアド
バ イスを大臣及び政府高官に提供 している。先進国および開発途上国双方の地域経済 において、
インフラ設備の強化 は依然 として開発 を行なう際 の主要な課題であり、達成されればその地域にお
ける経済成長 と物品及びサービス貿易の多大 な効率化に著 しく貢献するものである。 高品質のイン
フラは地域 経済 の連携向_上 の可能性 を高め、サプライチェーンに組み込まれることによる便益 を経
済 が享受する機会 を切 り開くものである。 より確実 な投 資手llFlの 必要性とインフラのための資金調
達 ニーズには強い関係がある。 インドネシアが PPPに 関する研究センターの次期設立を模索 して
いることに伴 いAPIPが 同国を支援する作業を行なっていること、及び中国がインフラに優先的に
取組 んでいることを支持する作業 をAPIPが 行なっていることについく 我 々は強力に支援する。
我 々はこれらのメッセージを本年後半にAPECリ ーダーに伝える予定である。
2014年 APEC首 脳 へ の提言 67
● APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニテイを築 く長期繁栄への道」
3.WTOt情 報技術協定交渉 の完結
情報技術│ガJ定 (ITA:InformatiOn Technology Agreement)は 世界貿易機構 (WTO)の 貿
易協定の中でも商業的見地から見て最 も効果的なものの一つであり、先進国、発展途上 回の双方
において、成長、 イノベーションそして雇用創出を牽引 している。 ITAは 、革新的でより手頃な価
格 の情報通信技術 (ICT:in負 )rmation and communた ation technologyl製 品を消費者の手元
にもたらし、 この結果、 APEC域 内そ して世界中におけるイノベーションの推進 に重大な貢献 を
・
│:を 持 つ ICT製 !I11に 必要とされる部‖1を 大手可能とし、 こ
果 たした。 さらに、ITAは 、∴ごい価布
支術分野 におけ
れらの装置の製造に関わる世界的なバ リューチェーンのより広い統合 を促進 した。↓
る途方 もない イノベーション、何千にもおよぶ新 たなICT製 品の市場 へ の登場にもかかわらず(過
去 18年 間、rTAに 付け加 えられた関税 品日は、1つ もない。 この協定 を最新 の状況に合 わせる
ために、ITA加 盟国は 2013年 中に毎月のようにジュネーブにて交渉会合 を開催した。 ITA拡 大
‐
のためのこのような大 きな努力にも拘 らず(協 定に刈 する各国の意見の相異 を縮めることはかなわ
伏 交渉 は昨年 の 11月 から中断している。
ABACは 、ITA交 渉 を完 結 しようとの機連が失 われたことに失望させ られた。5月 の貿易担
当大臣会合 の成果、特 に ITA拡 大交渉においてセンシティビティ品目を限定し、相互に均衡 が取
れ意欲 的な自由化 目標 を打 ち出すとの合意 を通 じて、 APECが 商業的にも意義あるITA拡 大 と
い う主張 により大 きなリー ダーシップを発揮 することをABACは 要請する。 そ のような成米 は
WTOと 世界経済 に対するAPECに よる意義深 い貢献 となろう。
4.サ プライチ ェ■ン・コネクティビティの強化
回境 を越 える物品・サービスの取引をより容易により低 コス トでより早く実行できるようにすること
により域 内の競争力を強化するというAPECの 取組みをABACは 強く支持する。2013年 の世界
経済 フォーラムの報告 によれ Iふ 国境管理や輸送・通信 インフラに関わるサプライチェーンの全て
の国における効率 を世界最高水準 の半分程度 に高めることができれ Iよ 世界 のGDPは 2.6兆 ドル、
輸出額 は 1.6兆 ドル増加すると試算される。
サプライチェーン・コネクティビテイに関す る包 括 的なキャパ シテイ・ビルディング計画やサプ
ライチ ェーンに特 化 した APEC貿 易・投 資 の 自由化 。円滑化 (TILF:APEC Trade and
lnvestment Liberalization and Facilttation)サ ブファンドの創設 を含め、サプライチェーンの能
力向上のためのAPECの 体系的 な取 り組 みを ABACは 支持する。 アジア太平洋 において取引を
している企業や団体 は、域 内を通じて物品・サービスを途切れることなく、迅速に、そして安価 に
移動 させることに関わる貴重 な経験 を持 って いる。 それ故 に、 ABACは 、 APECに 対 し、
A2C2(APEC Allianceお r Supply Chain Connectivitylす なわち、APECの サプライチェー
ン・コネクテイビテイに関す る包 括 的 なキャパ シテイ・ ビル ディング計 llに 関連す る提 言 を各
ll「
エ コノミー とともに策 定 し、 実 施 す るための 官民 フォー ラムの創 設 を承 認す ることを求 める。
さらに ABACは 、 APEC各 エ コノミーがA2C2を WTOの 貿易円滑化協定 (TFA:Trade
Facilitation Agreement)の 義務履行を促進する手段 として活用することを勧 める。
68 2o14年 APEC首 脳への提言
APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニティを築く長期繁栄への道J●
5.効 果的なグローパ ル ・パ リューチェ■ンの構築
グローバル・バ リューチェーン (GVC:global value chttns)は 、すべての発展段階の国 。地域
に関与 し、世界経済で支配的な現象 となっている。バ リューチェーンがグローバル化すれ I武 各エ
コノミーの貿易・投資政策 はより相互依存性が高まり、保護主義 のコス トは、より高く、より直接的に、
より広範なものとなる。 このため、 ローカルコンテンツ要求のような新 たな貿易歪曲措置の拡散を防
止する政策手段が必要である。 ローカルコンテンツ要求 は、 時々バ リューチェーンを向上させる方策
のメリットを減殺する
と兄なされるが、実際には、投資哄境を劣化 さ志 貿易円滑化 のための措怪と
‐
な二 すべ ての取引主体 に深刻な経済的影響 をもたら元 国境 を越 えた生産活動 の分業が増加 し
ているため、 関税 、非関税障壁そしてその他の制限的措置は海外 のサプライヤーのみならず国内生
産者にも影響 を与えるので、各エコノミーにとっては、貿易・投資に関わる制度をオープンく かつ
予測可能怠 透明なものとする必要が増している。 また、これは、物品のみなら或 サービス、投傑
競争、知的財産、経済活動従事者 の一時的移動なども含 め GVCの 多様 な要素を網羅することによ
/J協 定 を日指すことが重要であることを強調 している。
り最大限の効果 を持 つ質の高い貿炉
GVCは 企業に新たな要求を課する。特 に生産段階お よび各国・地域 の間でしっか りとした整合
をとり効率的な連携 を図ることにおいてである。 ABACは 、APECの グローバル・バ リューチェー
ン戦略的ブループ リントの策定 にあたって民間部門を専 門知識 の源 として活用することを勧 める。
APEC参 加国・地域 はGVCへ のより大幅な参画を促進するためには、輸出入規制の撤廃・削減
に力点 をお くべ きである。 APEC実 務考 は主導力をぢき獅 し、 GVCの 多様 な要素をなるべ く肘1広
く網羅 した質の高 い貿易協定を支持するべ きである。
6.良 き規制慣行の推進
この数年間、 自由な貿易 と投資 に対する不必要な非関税 障壁 を生み出す国内規制の問題を克
服する必要があるとの認識 が高まってきている。企業、特 に中小 ・零細 企業 (SMME Ismall,
medium and mた ro― enterprise)に とって、 コンプライアンス費用の増加 は国際競争力の低下 を招
き、経済資源の最も効率的な活用 を困難 なものとする。
ABACは 、 APECホ ノルル宣言 で合意 された三つの良き規市1慣 行 (GRP:Good Regulatory
Practice)と ともにAPECバ リ宣言 で特 定 された三つ の GRPツ ールの実施 を APECが 促 進
することを要請する。 この 関連 では、 ABACは 、 APECの 第 1回 高級実務者会議 (SOM:
Senior Ottidals Meeting)で 承認 された、 インターネット時代 においての規制立案 に対する公 開
の協議 に関わる提案を在
欠迎 し、各国・地域が情報技術を利用 してのパ ブリック・コンサルテーショ
ンを一屑促 進 できるように実用的な意見陳述を行 うことを心待 ちにしている。特 に、 ABACは 、
APEC各 国・地域 の規制を世界 のベストプラクテイスにより近い ものにすること、理念より実績重
視 の規制を活用すること、産業重視 の規制を促進する制度設計 をすること、そして説明責任 を強
プラクテイスを促進すべ く ち議機関を活用 して官民連携 を強化する
ll工 学習 を促 し、 ベスト
化 し、オ
lイ
ことなどの努力を支援する。
フ.中 小・零細企業 の育成支援
中小 ・宥ヽ細企業 (SMME)は
APEC地 域 の基幹 であり、経済成長 と雇用機会の源泉 として欠
くことのできない存在である。 SMMEの 発展や適応能力、持続性 に資する環境 が重要であると
2014年 APEC首 脳 への提言 69
O APEC首 脳への提言「アジア太平洋 コミュニティを築 く長期緊栄への道」
ABACは 考えてお り、大臣に以下の検討を要請する。(a)SMMEが 国際市錫ネットワークヘ のア
クセスや参画の機会を得 られるような能力構築 プログラムの創出、(b)ICTや 電子商取引など効
果的で利用可能な技術 を紹介 しSMMEの 国際化チャネルを拡大、(c)官 民対話やパー トナーシッ
・
プの拡大、(d)新 たな革新的なビジネス・イニシアテイブに対する障壁 の排除、(e)イ ンターネット
ファイナンスなど革新的なチャネルを通してSMMEの 効果的な金融アクセス支援。
ABACは 、伝統的な金融 メカニズムに存在するSMMEに 対するPr壁 に対処するとともに、エ
クイティ・キャピタルやクラウド・フアンディングなどSMMEの 成長 を後押 している革新的で非伝統
的な金融 メカニズムを支援するよう大臣に呼 びかける。
ABACは 、SMMEの 革新的な成長を加速するために、起業家精神 を促進 し市場主導 で先端
技術 の発展、普及、商業化が行われるような政策を通じた包括的なアプローチをとるよう大臣に提
言する。ABACは 法や規制の障害の簡素化によりSMMEの 機会 が拡大するよう大臣に要請する。
ABACは 域 内の国境 を越 えた協力 と技術普及のためのオープン・イノベーション・プラットフオー
ムに関するイニシアティブの可能性を引き続 き検討 している。
8.女 性 の経済 へ の参加 の推進
APECは 女性 の経済参Wiを 拡大するための三要な取 り組みを行ってきている。 こうした取 り組
みの進 展 は、女性やその家族の生活 の改善につながるという社会的な責務 であるばか りではなく、
経済的な要請で もある。 にもかかわらi APEC域 内の女性は、資本 の獲得、市場 へ のアクセス、
能力 のFH発 、 ネットワークヘ のアクセス、指導的地位の獲得 において障壁 に直面 している。 こうし
た障壁 によりAPEC域 内には多大 な生産力が活用されずに残 っている。 このような障壁 を排除す
る政 策 を支援するようABACは 大臣に要請する。 障壁 に対処 し、官民 を問わず女性 を経済 の主
流に迎え入れ ること怠 域内の経済成長 と安定 を促進することとなる。
9.グ リエン成長の促進
グリーン成長に向けたAPECの 具体的な取 り組みをABACは 称賛する。味境物品 54品 目の
。
関税率 を低減するというAPECの 取 り組みをきっかけにWTOの 14の 加握国 地域が同様 の協
議 を開始することに本年 1月 に合意し、国際交渉 の行 き詰まりを打破することに成功 した。APEC
はまた域内のエ ネルギー集約度 を 2035年 までに 45%削 減することも表明 している。省エ ネは最も
安価 で最 も入手 しやすいエ ネルギー源であり、45%と いう日標 を達成するうえで重 要な要素 となる。
こうしたlU定 が容易なベ ンチマークは実際的な取 り組みである。 グリーン成長 のアジェングを促進
するために、 ABACは APECに 以下を提言する。(a)2015年 末までの環境物品 54品 目関税削
減の確実 な実行。 また環境サ ービスに関する議論を深め、環境物品・サービスの非関税障壁 の特
11の 普及を推進 し、当該物 IIIIサ ービスの 自由貿
定 と排除の実施、 (b)省 エ ネを促逃 し、 省エ ネ製占
易 を円滑化する政策の導入。
10,エ ネルギー 安全保障へ の取 り組み
経済成長の核 となる電力の安定供給 はAPEC地 域で喫緊 の課題である。再 生可能エ ネルギー
は究 極の発電源 であるが、主要な発電源 となるには更なる技術革新 が必要である。多 くの回・地
70 2014年 APEC首 刷への提言
APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニティを築く長期繁栄への道」●
域 では化石燃料 を含むエ ネルギー・ ミックスを継続 せ ざるを得 ないが、その場合 は環境 への負荷
が大 きな課題 となる。経済成長 と環境保護 を両立させるために、 ABACは APECに 以下を提言
見制の整
, る 。 (a)再 生可能エ ネルギーの技術革新 の支援強化、(b)環 境負荷を軽減するための大
備、強化、徹底、 (c)発 電における化石燃料 の影響 を緩 和するため環境 フットプリントの小さい
技術 の採用、(d)ク リーン・コール・テクノロジーの採用拡大のため、必要に応 じて国際機関 と協
力しながら能力構築やフアイナンスを実施。
11.食 料安全保障へ の取 り組み
域内の食料安全保障問題 の解決 における民間部門の重要性をABACは 長 く主張 してきた。民
間部門 との協調 が重 要だとの大 臣の認識 に基 づ き設 立された APEC食 料安 全保障政策パー ト
ナーシップ (PPFS:APEC Policy Partnership on Food Security)は 、 ABACが 域内の食
料安 全保障を議論する主 たるメカニズムである。 PPFSが 2020年 までにAPEC域 内の食料安
全保障を達成するという目標を実現するためには、現在 PPFSが 直面する構造 上、連営上の 1果 題
を解消する必 要があるとABACは 考えている。
12.健 康 な労団力の重要性
急速な高齢化 と非感染性疾患 に起 因する負担増 は持続的な経済成長へ の大 きな課題 となってい
る。 この傾向は共同体 の相利 や長期的な介護費用、そして労働 生産性 の確保 に大 きな影御を及
ぼすD健 康 上の問題 に起因する常習的欠勤や障害、 生産性の低下は官民間わず重大な関心事 で
ある。 こうした傾向へ の理解を深めるためにABACは APEC生 命科学 イノベーション・フォーラ
ム (LSIF:APEC Life Sciences lnnovation Fbrum)と 共同で報告菩作成を委託 している。 こ
の調査 は、非感染性疾患 の生 産性 コス トの現状 を示 し、将来 へ の潜在的影響 を分析 し、 この重
大な課題に対する効果的な政策 を提示するための知識的基盤 を提供するものである。
ヘルスケア・システムヘ の賢明な投 資とビジネスに優 しい貿易・規制政策は、 APEC各 国・地
域が この傾向に対処する一助 となる。そのような政策により、民間部Pヨ が治療法や処置を新 しく開
発し、 タイムリーかつ安 全 に提供する能力を最大限に引きi■ すことが可能となる。例え│よ 複雑 で
多国籍 にわたるサプライチェーン上で製品を追跡するために企業は一貫性 のあるデータ・スタンダー
ドを利用することとなる。追加 のデータを得るために ABACは 本年、韓国と米国の大学 と共同で
パ イロット・プロジェクト1こ 着手する。 このプロジェクトでは、一般的なデータ・スタンダー ドを医薬
品の越境取引に適用 し、 費用効率や、 コンプライアンス・コストの削減 と低水準 の製品や偽造品
の流通Ⅲ[止 力池 者保護 にどの程 度資するかを訓介する。
13.成 長を推進する金融市場発展の加速
アジア太平洋金融フォーラム (APFF)が 設立され、金融市跳が国内消費と貿易、 インフラ投
資、 イノベーション、中小・零細企業の成長をサポー ト出来るよう官民 一体 の新 たな取 り組みが数
多く行なわれている。金融市場 が こうした役割 を果 たすためには、資金調達手段 の大幅な多様化
を実現するよう進化する必要があり、長期 ファイナンスを提供 できる、厚 みがあり流動性 の高い資
本市場 と金融機関がより大 きな役割を担 わなければならない。金融市場 はまたより開かれたものに
なる必要がある。 APFFは 現在保険会社 や年金などが投資をインフラに振 り向ける余力に影響 を
2014年 APEC首 脳への提言 71
O APEC首 脳への提言「アジア太平洋コミュニティを築く長期緊栄への道」
与える市蛎、規制、 オペ レーション上の課題 を特定 している。 また、中小・零細企業 (の 資金調達)
を支援する動産や消費者信用情報を広く利用するための法的および制度的インフラの改善 を支援す
るアクシヨン・プランを策定 している。 ABACは APEC財 務大臣およびリーダーにこれ らの事案
についての提言を提出する予定である。
14.貿 易金融およびサ プライチエ■ン・フアイナンスの推進
サプライチェーンは中小 ・零細企業 が貿易の成長からの利益 を享受すると共に、 白ら成長に貫献
する非常に重要な機会を提供する。現在、中小・零細企業 は新 たな規制、経済状況およびサプラ
イヤーが運転 資金を利用することを制限する業界 の傾向などにより貿易金融を取巻 く状況が急速に
変化 している事態に直面 している。 しかしなが ら、革新的な問題解決手法により、 より長期 の生
産お よび販売 サイクルに対 す る需要や、拡大 す る輸 出量 に対応することを可 能 にもして い る。
APFFは 貿易 金融に関するバーゼルⅢの適切かつ一貫性 のある適用を推進すること、バ ランスの
とれた顧客確認 ルールの適用、そして担保管理業界 の発展 を支援する法的、制度的改革に着日し
ている。 また、銀行支払確約 (BPO:Bank Payment Obligation)の ような革新的な取引決済手段、
電子商取引基盤、新興成長市場通貨のより広い普及の推進も取 り扱 っている。 AB△ Cは 大臣がよ
り広 い分野での官民連携 を推奨 しAPFFの 作業 を通 じた貿易金融及びサプライチェーン・ファイ
ナンスを推進することを強く主張する。
15.鉱 業分野における活発なパー トナーシップの 確 立
域内の持続可能な経済成長 を支 える上で、鉱物資源や金属 の大規模 な生産・消費地 である
APEC各 厘│・ 地域が効果的な規制珠境 を協調 して推進することは重要である。地域 社会、経
済、投資家 に有益 な結果をもたらすような責任ある投資が行 われるためには官民のパー トナーシッ
プや対話 の活性化 が必要である。 APECに はこの経済上 極 めて重 要な部門に焦点をあて、既
存 の官民協調 に倣 い、例 えばAPEC鉱 業 タスクフォース (APEC Mining Task Fbrce)な どの
ステークホルダーとビジネス界 の連携 を進めることを提言する。 ABACで は将来の議論 の糧 とす
るべ く、鉱業に関する調査委託 の準備 を進めている。 この調査 の内容 は、鉱業 が域内経済 に及
ぼす影響 や、投 資を促進する政策、そして責任ある鉱 業 のベストプラクテイスの特定 などである。
722o14年 APEC首 脳 への提言