SUPER BRAZELINER

クラッドフィン不要、フラックス塗布不要 の ろう材塗布チューブ
SUPER BRAZELINER
三菱アルミニウム株式会社
研究開発部
熱交開発室
1.開発の背景
⾃動⾞⽤アルミニウム熱交換器では軽量化のために、製品の性能向上が図られると共に、各部材(チ
ューブやフィン)の薄⾁化が進んでいる。しかし、ブレージングシートからなるフィンではろうによる
芯材の侵⾷によって更なる薄⾁化が困難となっている。⼀⽅、押出チューブは耐孔⾷性を改善する⽬的
でZn溶射が広く⽤いられているが、この費⽤がチューブのコストを上げている。このようなことから、
更なる薄⾁化を進めるためにフィンをブレージングシートから裸材とし、チューブ表⾯にろうとZnを
低コストで付着させる技術が切望されていた。
2.SUPER BRAZELINER の特徴
2.1 塗膜構成
微細 Si 粉末
・粉末ろう(微細Si粉末
粒径≦10μm)
Zn 置換フラックス
バインダ
・Zn 置換フラックス
・バインダ
チューブ
図 1 SUPER BRAZELINER の模式図
2.2 従来ろう付技術と SUPER BRAZELINER の違い
組付け
従来ろう付技術
フラックス塗布
ろう付
N2 雰囲気 600℃
ブレージングシートヘッダー
Zn 溶射チューブ
完成
ブレージングシートフィン
SUPER BRAZELINER
組付け
ろう付
N2 雰囲気 600℃
SUPER BRAZELINER チューブ
ベアフィン
図 2 従来ろう付技術と SUPER BRAZELINER の比較
3.SUPER BRAZELINER の特性
3.1 ろう付性
写真 1 にフィンとチューブの接合部断⾯を⽰す。
・⼗分な⼤きさのフィレットが形成され接合される。
・フィンとチューブの接合率はほぼ100%。
(※接合率=健全接合部⻑さ/全接合部⻑さ×100)
・チューブのエロージョン深さは平均〜10μm。
写真 1 フィン/チューブ接合部
3.2 耐⾷性
写真 2 に SUPER BRAZELINER チューブの腐⾷形態を⽰す。
・腐⾷形態は全⾯腐⾷型 (Zn溶射チューブと同じ)。
チューブの腐⾷深さを⽰す。
(チューブ:1050、フィン:3003+1.5%Zn)
・
試験期間 20 ⽇後の SUPER BRAZELINER
チューブにおいて 70μm程度の腐⾷深さ。
Maximum corrosion depth(μm)
図 3 にSWAATにおける SUPER BRAZELINER
200
150
100
50
0
0
写真 2 SUPER BRAZELINER チューブの腐食形態
5
10
15
Test term(day)
20
25
図 3 SWAAT の試験期間とチューブの最大腐食深さの関係
4.まとめ
SUPER BRAZELINER の熱交換器への適⽤
・チューブの耐孔⾷性良好
・ブレージングシート不要→材料のベア化
・Zn溶射不要
・フラックス塗布不要
製品コスト削減が可能