) *2 (* M y t - 軟弱地盤の沈下・変形解析

1. 三笠の圧密方程式による一次元圧密解析
1.1
圧密方程式と差分法
三笠のひずみに関する圧密方程式(1)は,圧密荷重一定という仮定を必要としないため,
圧密荷重が変化する場合にも成立する.漸増荷重の解析は,排水境界におけるひずみを時
間とともに増加させればよいことが知られている.
参考文献1: 三笠正人:軟弱粘土の圧密,
2
鹿島研究所出版会,pp.3-19,1963.
cv
t
y2
(1)
ここに,εは,一次元圧密量(=体積ひずみ),t は,圧密時間,y は位置座標,cv は圧密係
数である.
式(1)の差分法表示は,式(1)のようになる.
i ,t
t
i ,t
M *(
2*
i 1,t
i ,t
ここに,i は,圧密層内に位置を意味し,定数
t
増分
y
と圧密層内分割距離増分
i 1,t
)
(2)
c v* *
M
t/
y2
0 . 5 のように時間
が選ばれるならば,数値計算で安定した解が得
られる.
例題 1.1 : 盛土荷重△p=1kgf/cm2 を載荷した層厚 H=10m の粘土地盤の一次元圧密沈下量
Sc を求めよ.圧密度 10%毎の圧密沈下量と圧密時間 t の関係を計算せよ.その計算結果と
三笠の圧密方程式(1)を用いた差分法による一次元圧密解析を比較せよ.
差分解法で解く境界・初期条件は
t=0 & H > y > 0 ; ε=0
載荷前の圧密層内のひずみは,ゼロ
t ≧0 &
y= 0 ;εf =f (Δp)
排水面は,載荷直後に圧密終了
t≧0 &
y=H ;
非排水面における圧密速度(流速)は,ゼロ
0
解: 一次元圧密沈下量
盛土(排水層)
粘土
H = 10 m
圧密係数
地表面
Sc = mv*△p*H= 0.1*1*1000=100cm
cv=0.1cm2/min
盛土を排水層とする片面排水条件で
体積圧縮係数 mv=0.1cm2/kgf
t = Tv*H 2/ cv = Tv*1000 2/0.1 min
= Tv* 10 7/1440 = 6944*Tv day
岩盤(不透水層)
図 1.1 粘土地盤条件(片面排水)
表 1.1 圧密沈下量~時間関係
圧密度 U %
10
20
時間係数 Tv
0.008
0.031 0.071
圧密沈下量 cm
10
20
圧密時間 day
55.6
215
30
40
50
60
70
80
90
0.126 0.197 0.287
0.403
0.567
0.848
30
40
50
60
70
80
90
493
875
1368
1993
2798
3937
5889
盛土荷重 △p = 1 kgf/cm2
節点番号
粘土層を4分割すると分割片の長さは,
0
△y=250cm
排水層
1
y
2
250
粘土層厚
3
cm
10
m
4
となる.
M= cv*△t /△y
2
△t
/ cv = 0.5*2502 /0.1/1440
=0.5*
△y
2
= 0.5 より時間増分は,
= 217 day である.また,t =m*△t とすれば,
Tv=cv* t/ H2 = 0.1*( m*217)*1440/(4*250)
不透水層
2
= 0.03125* m となる.
図 1.2 粘土層のモデル化
定数 M=0.5 とすれば式(2)は,
y ,t
0 .5 * (
t
y
y ,t
y
y ,t
)
となる.
表 1.2 片面排水条件による圧密過程の計算結果
計算 時間
時間係 沈下量
回数 Day
数 Tv
cm
0
1
2
3
4
ひずみ
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
各節点のひずみ %
平均
1 217
0.031
25
10
5
0
0
0
2.5
2 434
0.063
31.3
10
5
2.5
0
0
3.125
3 651
0.094
37.5
10
6.25
2.5
1.25
0
3.75
4 868
0.125
42.2
10
6.25
3.75
1.25
1.25
4.219
27 5859
0.891
90.7
10
9.455
8.91
8.685
8.459
9.07
上記計算は, “Mce11 .xlsm ”で実行できる.
1.2 漸増載荷
三笠の圧密方程式による漸増載荷による計算は,極めて簡単である.排水面の
圧密量が,圧密時間とともに増加する荷重の関数となるだけである.
例題 1.2 : 圧密試験結果から圧密係数 cv =0.06cm2/min,体積圧縮係数 mv =0477cm2/kgf
が得られている.最大排水距離 H=1cm に対し下記に示す漸増載荷条件で圧密量時間関係を計
算せよ. 圧密荷重△p の計時変化 = 0.14+0.007*ln( t/ti )
kgf/cm2
ここに, 圧密時間 ti =0.25 min とする.
圧密時間 t=1440 min における圧密荷重△p=0.14+0.007*ln(1440/0.25)=0.2 kgf/cm2 であり,
排水面の圧密量=mv*△p=0.0954 となる.
Volumetric strain ( % )
上記計算は, “Mce12 .xlsm ”で実行できる. その計算結果を図3に示した.
0
Observed
After Aboshi 1973
Calculated
H= 1cm
by Mce12.xlsm
5
υf = 0.0953
10
10-1
ti = 0.25 min
100
図 1.3 漸増載荷の圧密量時間関係
mv= 0.953/0.2
= 0.477 cm 2/kgf
101
102
103
Time ( min )