1-2 多種多様な燃料電池

12
多種 多様 な燃料 電池
燃料 電 池 は,発 電効率 の 高 さば か りで な く,環 境 負荷 の 少 な さ,分 散 配 置か ら
集 中配 置 まで の幅 広 い分 野 へ の適 用や 大小 さま ざまな容 量 に対 応 で きるな ど,数
多 くの優 れ た特 長 をイ∫して い る 燃料 電 池 の代 表 的 な種 類 と特 徴 を表 12に ま と
め る。.燃 本1電 池 の種 類 を,用 途,使 用 燃料 ,作 動 温度 な どで 区分 け が で き るが
,
一 般 的 に は,反 IILに 関 与す るキ ャ リヤ イ オ ンの通 過媒体 とな る電解 質 の神 類 に よ
って分 類 され る わが 国 で精 力的 に 開発 が進め られ た燃 料 電 池 は,PAFC,MCFC,
SOFC, PEFC Iこ あ る
実 用機 と して導 人が 始 ま った PAFCで は,高 濃度 の りん酸 電解 質 中 を水素 イオ
(H+)が 移動 し,そ の動 作 温度 は約 200・ Cで あ る 電極 に は反応 を促 lllさ せ る
ため に 白金触 媒 が分 散担持 され て い る.1)AFCは ,お もに天 然 ガ ス を燃料 とす る
ン
定 置用 燃料 電 池発電 シ ステム と して開発 が 進 め られ て い る。 白金触 媒 は一酸 化炭
素 に被毒 されや す く,燃 料 ガ スに 含 まれ る一 酸化 炭素 の 濃度 を 1%程 度 以 下まで
llt減 す る必要 が あ る。
水 素 イォ ンが 関与 す る燃料 電 池 で,現 在 の 開 発 の 中心 とな って い るの が
PEFC
であ る。電解 質 には水 素 イオ ンの 導 電性 を有す る同体 高分 子膜 が用 い られ てお り
,
この 中 を水素 イ オ ンが 水分 を1半 い なが ら通過 す る構 造 とな って い る.PEFCに お
い て も電極 には 白金触 媒 が 担 持 され て い るが,PEFCの 動作 温 度 は通常
80・
C程 度
で あ り,作 動 温度 が低 い こ とか ら,一 酸化 炭 素 の 許容 濃度 レベ ル は約 10 ppmレ ベ
ル と非 常 に厳 し くな る。
炭酸 イオ ン
(C032)が 関 与す る燃 料 電 池 と して,実 用 化 開 発 を進 め て い る
MCFCが あ る。電解 質 に は通常 ,リ
チ ウム とカ リウノ、あ るい は リチ ウム とナ トリ
ウムの 混合炭 酸塩 が 用 い られ てお り,動 作 温度 は これ ら固体 物 質 が溶融 して イオ
ン導 電体 とな る 600∼ 700・ C程 度 の 高 温 で あ る 反 応促 進 の ため の 白金触 媒 は不要
で,一 酸化 炭素 を多 く合む燃料 の 適 用 が可 能 であ る
.
酸 素 イォ ン
(02)を
利 用す る燃料 電 池 に は,開 発 途上 に あ る SOFCが あ る
SOFCで は電解 質 に通 常 は ジル コニ ア を用 い,こ れが 800∼ 1000・ Cの 温度 領 域 で
酸素 イォ ンの 導電性 を示 す
ミ ー ヽヽ ヽ .
Кヽ “ K
ヽ 9 18
贅ヨ ξ喘 ミ撃0 ロ
熙鰤ヽK ^
楓嘔
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ミー ヽ
ヽヽ .
Кヽ κ К . ヽ
ヽ ヽ .
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ヽヽヽ ヽエ
ドハヽトーーヽ
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ヽ ヽく ヽ ﹁ .
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│
b
↑ビ
(OH)を 利用 す る燃料 電
以上 の 主 力開 発 の 燃料 電 池 の ほか に,水 酸化 イ オ ン
池 と して,宇 宙用 電 源 な どに使 われて きたア ル カ リ形 燃料 電 池
(AFC)が あ る
AFCは 電解 液 に水 酸 化 カ リウム水 溶液 な どの ア ル カ リ性 水 溶液 を用 い,主 として
100・
C以 下 で作動 させ る
燃料 ガ ス として は純 水素 ,酸 化剤 ガ ス として は酸 素 ,あ
るい は 空気 が 用 い られ る。
それ ぞれ の 燃料 電 池 の 反応 に関与す るキ ャ リヤ イ オ ンが 異 な るため ,反 応 式 も
一
一I
ス
11
空気宅
一・
+ρ 小
HH
空気室
r 小
↑
負荷
│:
小
0
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靴
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一 一
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犠 “
靴
負rll
電解質保持板
電
解
+電 解質
燃料極
1極
燃料極
(a)PAFC
(b)PEFC
│:
11
小
小
空気極
燃お1極
(d)SOFC
図
!7
各種 燃料 電 池 の 動作原 理
酸化剤 ″ス
ーー 空気 (02)
空気室
♂ 〓
一
air(02)
==■ C02
一
ス
2
。
0
L
∞
2
榊
H
C
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コ
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2
0
穆九0
印C
燃C
酸化剤 ガス
ーー空気 (0・21
負荷
二 ‐H20
「
変 わ る.各 種 燃料 電 池 の動 作 原理 を図
17に ,反 応 式 を表 13に ま とめ る
.
PAFCの 反応 は,水 素 イ オ ンが シ リコン カー バ イ ドな どの微粒 子 と りん酸 電解
質液 で構 成 され た電解 質 層 を移 動 し,電 子 (e)は 外部 回路 を流 れ る。 電 流 と起
電 力 の積 が 直 流 出力 とな る
.
この 電 池 反 応 に よっ て得 られ る理 論 的 な起 電 力 は
190°
Cの
と き 114Vで あ る
が ,電 流 を取 り出す ときに分 極 抵抗 を生 じるため 実 際 に運 転 す る場 合 は単 セ ル 当
りの セル電圧 は 06-08V程
度 であ る.
PEFCの 電解 質 材 料 は一 般 に,イ
交換 膜 (樹 脂 )を 用 い る
オ ン交換 基 と して スル ホ ン酸 基 を もつ イ オ ン
.
燃 料極 の反 応 に よ って生 成 した水 素 イ オ ンは, イオ ン交 換 膜 中の イ オ ン交換 基
を介 して水 分 と ともに空気極 憫1へ 移 動 し,酸 素 と反応 して水 を生 成 す る.
MCFCは 空気極 に空気 と二 酸化 炭素 との 混合 ガ ス を供 給 し,燃 料 極 に は水素 を
供給す る
空気極 では 空気 中 の 空気 と二 酸化炭 素 が 外部 回路 か ら電 子 を受 け取 っ
炭酸 イオ ンは電解 質 を構 成 す る イオ ン であ り, これが 電解
て炭 酸 イオ ン とな る
質 中 を燃料極 側 へ移 動 し,燃 料極 で燃料 〃ス と して供 給 され た水素 と一 酸化 炭 素
と反応 して二 酸化 炭素 と水 蒸 気 を生 成 す る と ともに,電 子 を外部 回路 へ 放 出す る
SOFCは ,電 解 質 として イ ッ トリア安 定化 ジル コニ ア (YSZ)な どの酸 化物 イ
オ ン導電性 団体 電解 質 を用 い。 そ の 画面 に 多孔 性 電極 を取 り付 け,こ れ を障 壁 と
して一 方 の側 に燃 料 ガ ス (水 素 ,一 酸 化 炭素 な ど),他 方 の側 に酸化 剤 ガ ス (空 気
酸素 )を 供 給 し,約 1000・ Cで 動 作 す る燃料 電 池 で あ る
反応 に おけ る標 準起 電 力 の理 論値 は 0912V(1027・ C)で あ るが ,実 際 の単 セ
,
.
表
燃
PAFC
PEFC
料
3
各種燃料電池 の反応 式
性
空
気
極
全反応
H2・ 2H・ +2e
%02+2H・ +2e → H20
H2+%02-1120
H2‐ 2H・ +2e
%02+2H'+2e → H20
H2+%02・ H20
%02+C02+2c → %CO,'
H2+%02-H20
%Q■ 2c-02
H2+%02 H20
CO+%0,,C02
H21CQ2-CC+H20+2e
MCFC
COは シフ ト反 応
CO+H,0→ H2+C02
に よ り H2と して生 成 され る
H,+02→
SOFC
H・
0+2e
または
CO+02→ C0212c
%02+2e
・ (ア
ル の セ ル電圧 は,各 成分 ガ スの分 圧 の影響 を受 け るため
08∼ 10Vの 値 であ る
.
言ユ
1lI墨 Fl=量 感11庶 堪
各種 燃料電池 の代表的 な基本構成 を図 18に 示す
.
PAFCの 単 セルは,厚 みが数 mm,1辺 が 600∼ 1000 mm程 度の 四角 の形状 で
数 セル ご とに冷却板が設け られて い る。空気 と燃料ガスは,積 層 したセ ルス タッ
,
クの側面か ら直交す るように両電極に設けた溝 を通 して供給 され る。両電極は
,
カー ボ ン粉 に 白金 な どの 貴金属微粒子 を担持 した触媒 と PTFE(ポ リテ トラフル
オ ロエ チ レン)か らなる多孔質 の触媒層が設け られて い る
.
(―
カ
平板
電極蓼板
水素入ロ
ド体
¨電
ソ集
リザーププレー ト付 さ
分離板
│
アノー ド集電体
)
:電 極
:ス ク リー ン
:ウ イ ック
D :ク ー ラ ン トダク ト
ロ:SPE晨
1
平板
電極基板 (+)
│
│
リザープブレー ト付き
分離板
│
酸
│
ロ 水素出ロ
=入
(b) PEFC
(a)PAFC
マ ニ ホール ド
集電板
アノー ド
■解質板
カソー ド
集電板
インタコネクタ
マニホール ド
支持管
(c)MCFC
(d)SOFC
図
18
各種燃料電池の基本構 成
PEFCの 単 セル構成 は,高 分子電解質膜の両憫1に 両電極 をそれぞれ接合 して一
体化 されて い る. この電極 の 背面 に集電体 を配置 し,燃 料 ガスお よび酸化剤 ガス
(空 気)が 通 る構造 となって い る。空気極側 は,電 池反応生成物 であ る水分 を電池
系外へ 除去す るための ウィ ックと電池温度 を制御す るため の クー ラ ン ト管が配置
されて い る。 一般的には,電 極 とイオ ン交換膜 とが一体 に接合 されて い る
.
MCFCの 単 セル基本構成は,ア ル ミン酸 リチウム (LiA102)粒 子層 中に炭酸ri.
を含浸 させ た電解質 をニ ッケル を主成分 とした両電極に よっては さまれた もので
ある マ トリックス (電 解質保持材 )は 燃料極 と空気極 の 間に介在 し,両 電極 に
供給 され る反応ガスの導 入に伴 う炭酸 イオ ンの移動 を司 るとともに,燃 料 ガス と
酸化剤 ガ ス との交差混合
(ク
ロスオーバ )を 防止す るガス透過障壁層 としての機
能 を果 たす。基本的には溶融状態 の電解質 を長時間にわたって十分保持 し,そ の
流出を防止す る保 持材 のセ ラ ミック微粉末か ら構成 され る。セパ レー タはセ ル ス
タックの電気的接続 を確保 し,燃 料 ガスと酸化剤 ガス を分離す る障壁板 の機能 を
も果 たす。
SOFCの 外形構造は,円 筒形,平 板形
表
PAFC
部材
電解質
4
(バ
イポー ラ形 ),一 体形
安定化 ンル コニア(Y能
(Li2CO=)
(Zr02+Y203)
解 質
(Na2C03)
)
イオン交換膜 (特 に
カチオン交換関
′`―‐フルオ ロスソ
レホ
ン酸膜
γLiA 02粉 末
補強崚権 (AIЮ 0
タス
燃料極
PEFC
SCIFC
炭腋 リチ ウム
炭崚 ナ トリウム
マ トリ ッ SiC
ノリス形)
各種 燃料電池の構 成材料
MCFC
りん酸 (H,PO`)
(モ
電 輌
多孔 質 カー ボ ン板
Pt IB持 カー ボ ン +
Ni AlC「
Ni YV
多イし質 カー ボ ン板
サ ー アッ ト
Ptよ 旦持 カー ボ ン十
PTFE
空気極
多イし
質 カーボン板
PTFE
N:0+ア
ル カ リ L類
Pt lB持 カーボ ン +
La ,Sr,MnOl
(■
‐010-015)
多イLrrカ ーボン板
Ptす 咀持 カーボ ン十
PTFE
PTFE
構造材,な ど セ パ レー タ
機密 カー ボ ン板
セ パ レー タ
イ ン タ コネ ク′
SuS 310 S/Niク ラ
I.aCrl_,Mg,03
ツド
SUS 310 S+Alコ ー
テ ィン グ
SuS 316 L
1:│[こ ,liz)│
セパ レー タ
緻密 カーボ ン板
の 3種 類 に大枠分類 できる 一 般 に,SOFCの 電解質 YSZの 導電率 は,1000・ Cに
お いて約 lX10 1S・ cm lで あ り,PAFC,MCFCの 電解 質 の導電率 に比較 して 1
桁低 いllFで あ る。このため,電 解質 YSZは ,厚 さ 10∼ 数百 μmの 薄 膜 とし,極 力
その 抵抗 を小 さ くしなければ ならない。電極 の厚 さは,電 流が膜に沿 って流れる
円筒形構造 ではある程 度 の厚 さとし,電 流が膜に直交 して流れ る平板形構造 では
,
ガス濃度拡散 を減 らす観点か ら極力薄 くする。これ まで SOFCの 構成は,機 械的
強度 をもつ支持体上 に各要素 の薄膜 を形成 したセ ル構造 であったが,近 年 は材料
の 改良 によ り薄膜 自体 に機械的強度 をもたせ ることが可能 になって い る
.
各種燃料電池 のお もな構成材料 を表
14に 示す
PAFCは 電解 質 が酸性 の ため,二 酸 化 炭素 に よ る電解 質 の変 質 が な く,化 石 燃
料 を改 質 して得 られ る[1酸 化 炭 素 を含 む 燃料 ガ ス を使 用 で きるのが 大 きな特 徴 で
あ る また作 動 温度 が
200・
C程 度 であ るため,り
ん酸 電解 質液 に触 れ る こ とさえな
っ素 樹 脂
け れ ば鋼や鉄 な どの 金属 を使 用 す るこ とが で き,」 、
熱性 有機 材料 も使 用 され て い る
(PTFE)な どの 高耐
電極 反応 には,反 応 ガ ス と電解 液 が 共 存 して い
る こ とが必要 であ り,は っ水性 が 強 い PTFEを 電極 触媒 層 の構 成 材料 として利用
で きるの は,PAFCの 性 能 が安 定 して い る大 きな要 因 であ る。 また,作 動 温 度 が
200・
C程 度 の ため ,水 冷 が 可能 で燃料 電 池 の冷 却 系 が 小 型 とな り,そ の排 熱 を暖房
や 給 湯 に利 用 す れ ば エ ネ ル ギー の総 合 利 用効 率 を大幅 に増加 で きる とい う特 徴 が
ある
PEFCは ,ほ かの 燃料 電 池 と比較 して,常 温 か ら 100。 C程 度 と動 作 温 度 が低 い
こ とが最 大 の特 徴 とい え る そ の ため 常 温 で起 動 で き,起 動 時 間 が短 い。 固体 の
イオ ン 交換 膜 を電 解質 と して用 い るため電解 質 の 散 逸 の 問題 が な く,電 極 間 の極
間耐 力 が強 い こ とか ら連 琳 l御 が 容 易 で あ る そ して,低 抵 抗 イオ ン交換 膜 と高
活性 な電極 触 媒 を用 い,ll l圧 形 にお いて は 1∼ 2W/cm2が 達 成 され ,AFCを 除 い
たほ か の燃料 電 池方 式 と くらべ て 5∼ 10倍 の 出力密度 が 実 .lTさ れ て い る.さ らに,
PEFCは 二 酸 化 炭素 耐性 を もつ ため ,二 酸 化 炭素 を含 む燃料 がスお よび酸 化 剤 ガ
スに二 酸化炭 素 を含 む 空気 を直接使 用 で きる点 も大 きな特 徴 で あ る
MCFCは 動 作 温 度 が 600∼ 700・ Cと 高 い こ とか ら,貴 金 属 触 媒 が な くて も電 気
化学 反 応が活 発 に進行 し,一 酸 化炭 素 が入 って きて も電 池 内 で有効 に働 くため
,
11
1
09
>
08
T07
ヤ
06
05
電流行度 (mA/cm2)
図
!9
各種燃料電池の電流 ―
電庄 特性
に,燃 料利用■170∼ 85%)
(常 ′
(太
Hl.2000)助
炭 化水素 の ほか石 炭 ガ ス化 ガ ス も燃料 と して使 用 で きる。 また,天 然 〃 ス,ナ フ
サ , メ タ ノー ル な どを燃 料 として使 用 す る場 合 ,内 部 改質方 式 が 可能 とな る
さ
らに,電 池 自体 の 発 電効 率 が 高 い うえに,高 温 で質 の 高 いリト
熱 を冷 暖房 な どの 熱
源 の ほか ,蒸 気 ター ビンあ るい はガ ス ター ビンの熱 源 と して利 用 で きる。 この た
め,よ り大 型 の 発 電 シ ステム と して構 成 が可 能 (50∼
65%の 高効率 が期待 で き
る。 また,空 気極 に供 給す る酸 化 剤 ガ スの 中 に含 まれ る二 酸 化炭 素 を,通 常 は燃
料極 で生 成 され る二 酸 化 炭素 ガ ス をレI収 して強制循 環 (二 酸化 炭 素 リサ イ クル)
させ るが ,牙 」途 ,外 部発 生源 か らの希 薄 な二 酸化 炭 素 を供 給 す るこ とに よ り二 酸
化 炭素 を濃縮 させ るこ とが 口
∫能 とな る
.
SOFCは
looo・
Cで 動作す るので電極反応が速や かに 進行 し,MCFCと
同様 に
向金触媒 を必要 とせず,高 温の 良質排熱 が 利用で きる。また,出 力密度 も 03W/
cm2以 上 と高 く,50%以 上 (HHV)の 高変換効 率 を達成 でき,ガ スター ビンなど
との コンバ イ ン ドシステム とす るこ とに よ り 70%と い う高 い発電効率 を達成 で
きる可能性がある
図 19に 各種燃料電池 の最新 の電流―電圧 特性 を示すつ
.
セルスタ ックに使用 で きる燃料 は 多種 多様 である 代表的 な原燃料 につ いて
その使用形態 を模式的に図 110に 示す
,
.
lovn″
100Mw
llxxlMW
設備容量
自家発電
自動車
PEFC
知 ¨
︵
p︺塁嘔●ロ
l lllXl
SOPC
図
1
設備容量と発電効率および運用形態の関係
とな るこ とか ら,熱 利用 形 態 の 選択 肢 が広 が り,200
kW級 発電 ユ ニ ッ トに よ る さ
ま ざまなサ イ トでの適 用 が 図 られ て い る 発 電効 率 は,発 電端 で
通常 は 温・ 冷 熱 を供 給 す る コ ジェネ レー シ ョン と しての適 用 が
45%程 度 であ り
,
主体 で あ る.
PEFCの 適 用 は,発 電効 率 が 発 電端 で約 35∼ 45%程 度 であ るが,同 時 に得 られ
る温水 を可 能 な限 り有効 に利 用 す る こ とに よ り 60∼
70%の 総 合 効 率 を期 待 して
セ ルス タ ック
図
0
セルスタックに使用できる燃料
MCFCと SOFCで は,水 素 と一 酸 化 炭素 が 電 池 反応 に 寄 与す
るが,作 動 温 度 の低 い PAFCと PEFCは いず れ も水 素 の み電 池 反応 す る。通 常
作動 温 度 が 高 い
,
燃料 電 池 で化7f燃 料 を利用 す るに は,あ
らか しめ 原燃料 を燃料 電 池 で反応 しや す
い 水 素 や 一 酸 化 炭 素 の 燃 料 ガ ス に 改 質 させ る必 要 が あ る
た だ し,PAFCと
PEFCは 一 酸 化 炭素 が共 存す る燃料 ガス を使 用 す る こ とはで きない が ,MCFCや
SOFCは 重 質 油 や石 炭 を改質 した一 酸 化 炭 素 を 多 く含 む 燃 料 ガ スの 利 用 が 可 能
で,資 源 的 な制 約 が 少 な く,大 規模 発 電 設備 として期 待 され る
.
メ タ ノー ルや ヒ ドラ ジンな どを原燃料 と して 直接 電 池 反応 させ る特 殊 な燃料 電
池 の タ イプ も開発 され て い る.な お,AFCは 燃料 ガ スに 二 酸化 炭素 が 含 まれ て い
る と電解 液 で 二 酸化 炭素 が吸 収 され て 電解 液特性 が劣化 す る こ とか ら,純 水 素 し
か使 用 で きな い。
各種 燃料 電 池 の 発 電 プ ラ ン ト容 量 と発 電効率
(LHV)を
図
lHに
示 す。 また
,
各種 燃料 電 池 の さ ま ざまな用 途 を図 112に ,各 種 燃料 電 池 の適 用分 野 の 様 み分 け
113に 示 す4、
PAFCの 適用は,燃 料電池の排熱を利月lし て温水ばか りでな く蒸気 も生成可能
を図
0
。
5
4
︵
S︺絆ミ0駅
10
100
1∞ 0
1万
1o万
設備容量 〔
LW)
図
l13
各種 発電 シ ステ ムの 発 電 効率 (LHV)
い る。低温動 作 であ り, よ り出力密 度 が 高 い こ とか ら, コンパ ク トにな り,取 扱
い も容易 にな る こ と,ま た,数 十 kW程 度以下 の 設備容量では従来 の ガスエ ンジ
ンやデ ィーゼルエ ン ジンなどに比較 して高効率 であ るこ とか ら,家 庭用 の湯沸器
を兼ねた小 容量電源や 自動車用の駆動源 としての適 用が開発 の主流である
.
MCFCの 適用は,排 熱温度 レベ ル も電池動作温度に合 わせ て非常 に高 くなるこ
とか ら,ガ ス ター ビンや 蒸気 ター ビン との組合せ に よる複合発電 を構成す ること
が 可能にな り,大 型発電 プ ラ ン トでは人然ガス燃料で発電端約 60∼ 65%程 度,石
炭 ガス化ガス燃料 で 50∼ 55%程 度 と,非 常 に高 い発電効率 を実現す ることが 可能
にな る。これ らの特長 か ら,MCFCは 天 然 ガス を利用す る小規模 の高効率分散電
源ばか りではな く,天 然ガ スや石炭 を燃料 とす る事業用の集 中型火 力代替電源 と
しての適用 も想定 されてい る
.
SOFCは 最 も高 い温度領域 で動作す る燃料 電池であ り,特 別 な触媒 な しに電池
内部 で天然 ガスの改質反応 を進行 させ るこ とが可能 で,改 質器 を不要 とす る コン
パ ク トを電源 として期待 されてい る. また,石 炭 ガス化 ガス を用 いた
大規模 な発
電 も可能である。発電効率 は大型の発電 シス テムにお い て天 然 ガス燃料 で発 電端
65-70%程 度,石 炭燃料 で約 55∼ 60%,数 百 kWレ ベ ル で 50%程 度 の効率 が想
定 されて い る
.
多種 多様 な燃 料 電 池
>産 業川 コジェネレー ション(
>案 1,人 埋供ti“ く
/
▼
>IT機 器く
レ分散型 小規模電洸く
>ボ ー タブル摯料電池発■機 く
′システム●
図
1 2
燃 料電 池 の さ まざ まな用途
い自動車く