安全 - 日本郵船

安全
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海・陸・空での安全への取り組み
■ 陸̶港湾・ターミナルでの安全への取り組み
日本郵船グループでは、安全運航の確保が当社グループにお
国内の自営ターミナル(東京・横浜・神戸)とグループ会社に
ける事業活動の基盤であると認識し、社長を委員長とする
おいて、事故を未然に防ぐことを安全対策の基本に緊急連
「安全・環境対策推進委員会」を設置し海陸の関係者が一丸と
絡体制の強化、事故原因の解析や情報の共有を継続的に
なって継続的な取り組みを進めています。安全運航の現場最
行っています。ターミナルからの報告や情報を基に各ターミ
前線である船舶が遠く離れた環境にある海運においては、関
ナル安全担当者との合同安全推進会議を定期的に開催し
係者の間で目標を確実に共有し、PDCA サイクルによる地道
て、事故防止策の共有化・標準化を進めています。安全と無
な活動を持続することが最も重要であると考えています。そ
事故が最善のサービスであるという意識を持って、グループ
のため、事故・トラブルの情報はデータベース化され、安全運
会社を含めた全スタッフが日頃から活動を見直し、安全への
航の達成度を遅延時間で計るとともに、トラブルに内在する
取り組みを常に前進させることに努めています。
リスクを都度評価することで改善活動の方針を決定していま
す。これら方針や対策は、文書および定期的に実施する安全
■ 空̶航空部門での安全への取り組み
推進キャンペーンによって船に届けられ、また、NAV9000 によ
航空機運航の安全を維持するには、事故が起こる前に実施す
る監査活動により現場において確実に実行されています。
る未然防止対策が大変重要です。そのため、日本貨物航空㈱
では、不安全事象や、それに至る前のヒヤリハット事例の収集
■ 陸̶物流部門での安全への取り組み
に力を入れています。収集された情報は、リスクマネジメント
郵船ロジスティクス㈱では、2012 年度の事故報告の分析を
の手法に則って、根本原因の特定と、
リスク評価が実施されま
行い、倉庫内従業員および訪問者の安全強化を 2013 年度の
す。リスク評価とは、発生頻度と影響度によってリスクの大き
最重要課題と位置づけました。具体的な施策として、
(1)郵
さを判定することで、対策の検討や、対策実施後の効果確認
船ロジスティクス(YL)標準として設定した歩行帯規格への
に使用されます。2013 年度では、各事務所の投函箱や社内
準拠による車両と歩行者の動線最適化、
(2)ハザードマップ
イントラネットを通じて投函されたヒヤリハット事例などを
作成による危険地帯の再認識の 2 点についての活動をワール
含め、約 200 件の事例がリスク評価され、再発防止やより大き
ドワイドに展開しています。年度内の実施を目標としていま
な事象の未然防止に役立てられています。
すが、期間の終了を待たず、対象拠点の過半で対応が完了し
ています(2014 年 2 月末日現在)。
直接の目的は安全確保になりますが、結果として高品質な
オペレーションを実現することで、顧客ビジネスを支えてい
くことにつながる重要な取り組みのひとつと考えています。
業務の相互理解を目的として実施された職場 1 日体験会の様子
YL標準歩行帯。線幅や色、
一時停
止のフットマークなどの規格を定
め、設置ガイドラインを発行
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NYK Report 2014
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Unique NYK
■ 海̶船舶運航での安全への取り組み
安全
■ 海上における安全運航のための PDCA サイクル
PLAN(計画)
安全推進体制
緊急対応ネットワーク
社長を委員長とする安全・環境対策推進委員会において、毎
世界中のあらゆる海域で発生する事故・トラブルに備え、世界
年、前年度の活動レビューを行い、年間目標や活動方針を決
4 拠点体制で緊急対応のためのネットワークを構築してい
定しています。当委員会で決定された活動方針は、船種別な
ます。
どに設けられた小委員会で具体化し、安全活動として実行に
移しています。
北米
Unique NYK
安全推進体制図
ロンドン
2014 年 4 月 1 日現在
安全・環境対策推進委員会(SEMC)
委員長[社長]
欧州・アフリカ
安全対策推進本部長
東アジア
上海
東京
香港
南アジア
シンガポール
オセアニア
シドニー
ニューヨーク
ロサンゼルス
サンパウロ
中南米
上級環境管理責任者(ECEM)
[海務担当役員 1 名]
[環境担当役員 1 名]
安全対策推進本部
(運営委員会)
事務局
[海務グループ長]
[企画グループ長]
環境対策推進本部
(運営委員会)
事務局
[環境グループ長]
[企画グループ長]
お客さまサプライチェーンの一翼を担う安全運航
新造船搭載機器評価・推奨選定委員会
当社においては、技術本部長を中心に新造船搭載機器評価・
推奨選定委員会を運営し、船舶機器の評価を実施していま
ディーゼル主機関の信頼性比
す。 2013年度の本委員会では、
較、ディーゼル発電機の修繕コスト比較、ボイラーの構造比較
などを評価しました。 PLAN(計画)
安全推進体制/緊急対応ネットワーク/
新造船搭載機器評価・推奨選定委員会
ACT(改善)
トラブルの原因究明と目標達成に向けた改善/
津波アラートシステムの開発
ACT(改善)
フィードバック委員会
当社 ECDIS 運用基準「NYK Standards for
当社においては、運航船から報告される機器の状態や、不具合
Navigation using ECDIS」を策定
などの情報を集約し、船がより安全で効率的に運航できる方法
これまで紙製の海図が世界中で利用されてきましたが、2012
を日々検討しています。重要な情報については他の運航船にも
年 7 月 1 日に発効した SOLAS 条約の改定に伴い、ECDIS の搭
提供し、さらに改善が必要な内容については改善案をメーカー
載/使用が段階的に義務化されました。当社においては、
安全
と一緒になって検討したり、新造船に新しい仕様を盛り込んだ
に寄与すべく前倒しでほとんどの船に ECDIS が搭載されてい
りしています。現在は当業務をシンガポールオフィスで実施し
ます。しかし ECDIS の機器の取り扱い説明書はあっても関連
ており、同シンガポールにある当社インハウスの船舶管理会社
する具体的な運用基準が述べられたものはあまり整備されて
と協働して、各案件に現場の目線で取り組んでいます。
いなかったため、
当社では ECDIS の各種設定の標準値や航海
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NYK Report 2014
DO(実行)
事故対応訓練
に防ぐ行動、
環境維持を常に心がけるようにするための活動で
社員の事故対応能力を高めるために、定期的に訓練を実施し
す。当社では 2006 年から、この活動を乗組員だけでなく、当社
ています。より現実的な訓練にするため、船の種類や船型、事
グループのパートナーである船主や船舶管理会社にも展開し、
故、トラブルの内容は毎回変えて行います。また、訓練には本
見過ごしがちな事故の予兆を初期の段階で発見し、事故の芽
船や船舶管理会社に加え、官公庁やお客さまなど多くの関係
を摘み取る「DEVIL Hunting !」活動としています。今では年
者にも参加していただいています。2013 年 12 月には、第四管
間 6 万件以上の報告を受けています。
油流出を想定した事故対応訓練を実施しました。訓練のレ
ビューにも重点を置き、そこで得られた意見を基に事故対応
DEVIL Hunting !
DEVIL は、Dangerous Events and Irregular Looks(不安全行動や不安全状態)の略。
重大事故に至らないように、前兆や要因などを初期の段階で排除することを目的とし
た活動
体制の強化を図っています。
ニアミス報告件数
2013 年度ニアミス要因
(件)
ニアミス 3000 活動
ニアミス3000活動は、ハインリッヒの法則に基づき、現場であ
(%)
80,000
説明不足
意志伝達不足
整理整頓不足
見過ごし
2%
1%
3%
知識不足
5%
60,000
る船上において乗組員が自らの安全意識を高め、事故を未然
1%
集中力欠如
1%
40,000
達成のための PDCA サイクル
安全意識
の欠如
20,000
58%
18%
0 08
DO(実行)
手順
不履行
09
10
11
12
整備不良
13(年度) 11%
安全推進キャンペーン(P.45)/事故対応訓練
ニアミス 3000 活動/海賊防止対策(P.44)
CHECK(点検)
CHECK(点検)
NAV9000(P.45)/遅延時間で安全を計る
遅延時間で安全を計る
日本郵船では、船舶の安全運航の達成度を計るため、事故・ト
ラブルによって運航が止まった時間を指標として取り入れ、
遅延時間の ゼロ 化を目指し、海・陸一丸となって目標達成
に取り組んでいます。
術について基準を策定し、当該装置を使用したより安全な航
行達成を目的とする、当社 ECDIS 運用基準「NYK Standards
for Navigation using ECDIS」を策定、2013 年 3月より各運航
船に順次配布して、現場において有効に活用されています。
ECDIS
Electronic Chart Display and Information System
電子海図情報表示装置
遅延時間の推移
(隻)
(時間)
1,000
35
800
30
600
25
400
20
200
15
93
0
■ 運航隻数 10
11
1 隻当たりの遅延時間(右軸)
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12
13(年度)
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区海上保安本部と合同で、
プロダクトタンカーでの衝突・貨物