当日配布資料(2.97MB)

浮遊分離装置による高品質な
フライアッシュ
北九州学術研究都市産学連携フェア
新 技 術 説 明 会
第1部「環境・エネルギー」
2014.10.31
北九州市立大学
国際環境工学部 建築デザイン学科
教授
高巣 幸二
講師
陶山 裕樹
平成21~25年度 科学技術振興機構(JST)研究成果最適展開支援事業(A-STEP)
「改質フライアッシュコンクリートの製造方法」
課題番号AS2113037B(プロジェクトリーダー:高巣幸二)
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Ⅰ. フライアッシュの現状
【フライアッシュ発生量】
東日本大震災
参考文献:財団法人石炭エネルギーセンター:石炭灰の有効利用、http://www.jcoal.or.jp/bunya7_24.pdf
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Ⅰ. フライアッシュの現状
【フライアッシュコンクリートの効果】
①産業廃棄物の有効利用
②圧縮強度の増加(低炭素コンクリー
ト施工) 。
③乾燥収縮率を低減(ひび割れ対策と
して極めて有効)。
④アルカリ骨材反応を抑制(ASR抑制
対策として極めて有効)。
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【CCAS(改質フライアッシュスラリー)】
特許 第4802305号(浮遊分離装置及び方法並びにその利用製品の製造方法)
本技術は、いわゆる泡沫浮遊選鉱法のカテゴリーに入るシステムで、フライアッシュを改質して
強熱減量2%以下のフライアッシュスラリー・CCAS(Controlled Coal Ash Slurry)を製造し、低炭
素コンクリート施工を実現する。
フライアッシュの電顕画像
フライアッシュ原粉
CCAS
(Controlled Coal Ash Slurry)
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【 フライアッシュの改質プロセス】
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【 フライアッシュの改質】
※本デバイスは未燃分離器の回路に取り付ける循環ポンプのみを動力源としており、
省エネ型でコンパクトな低価格プラントである。
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【JST・改質フライアッシュフルスケールプラント】
フロス溢水状況
プラント全景
旋回流未燃カーボン分離器は写真の
銀色塗装部分である。
マイクロバブル発生装置(YJ-40)を取り
付け、フルスケールの浮遊選鉱槽として
機能することを確認した。
フロス灰回収
テール灰回収
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【JIS適合外フライアッシュでの強熱減量改質効果】
1年目目標値:【3.0%】および最終目標値:【2.0%】を達成した。
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JIS外 フライアッシュ
JIS フライアッシュⅡ種
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●
JIS灰及びJIS外灰共に強熱減量でJISⅠ種相当品質に改質できた.
浮遊選鉱装置の有用性がフルスケールプラントで確認できた.
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【実機装置で改質したCCASを使用したコンクリート】
CCASとJISⅡ種乾粉の圧縮強度比較
W/Cの違いによる影響
・JISⅡ種乾粉よりCCASコンクリートの方が強度上昇
・W/CとCCAS混合量の調整による高強度コンクリートを製造可能
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【実機装置で改質したCCASを使用したコンクリート】
CCASコンクリート
(C+FA)/Wと圧縮強度の関係
CCASとJISⅡ種乾粉の乾燥収縮率比較
・CCASを使用しても既存の結合材水比で強度を推定可能
・JISⅡ種乾粉よりCCASコンクリートの方が乾燥収縮率を抑制
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Ⅱ. 新技術の特徴(浮遊分離装置によるFAの改質)
【実機プラントでのCCASコンクリート製造確認】
○フルスケールプラントを福岡市の実機生コンプラントに接続して実機生コンプラントでの検証
実験を行い、CCASコンクリートが出荷可能であることを確認した。
○沖縄市の生コン会社は自費で実機プラントを建設しCCASコンクリートの出荷を可能にした。
〇福岡市・沖縄市の2社の生コン会社は平成25年3月6日に大臣認定を取得し,CCASコンクリ
ートの製造を行っている。
福岡市の生コン工場
沖縄市の生コン工場
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【 浮遊選鉱で発生するフロス灰】
生コン工場での実機プラントの営業運転では,12~24t/日の処理を予定してい
るので,6m3/日以上のフロス灰が発生する.フロス灰を濃縮して液体と分離しな
ければ,フロス灰を燃料として再利用できず全てが産業廃棄物となる.また,灯
油・パイン油混じりの液体を回収できなければ,浮遊選鉱の度に新たな添加剤
を添加する必要がある.
・フロス灰からリサイクル燃料を製造可能とするクローズドシステム
の必要性
・添加剤の有効利用の必要性
フロスの実機貯蔵槽
フロスの発生状況
フロスのSEM画像
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【CCASクローズドシステムのフロー】
〇特願2014-174652(平成26年8月28日出願)
未燃カーボン回収方法および浮遊分離装置
原料
新規特許
の範囲
事前撹拌
浮遊選鉱
選別
次バッチへ
テール灰1st
CCAS製品
既存特許
の範囲
Vフロス
Pフロス
強熱減量:60%程度
再処理
事前撹拌
浮遊選鉱
選別
次バッチへ
高強度・高耐久性
コンクリート原料へ
の適用可能性
テール灰2nd
強熱減量:1%程度
Cフロス
Pフロス
強熱減量:89%程度
再処理
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【1st浮遊選鉱で発生するフロスの経時変化】
70%
Vフロス
Pフロス
強熱減量
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
前処理:5min
前処理:25min
A灰, 灯油5.0%, パイン油0.3%
0‐1
1‐3
3‐5
5‐7
7‐10 10‐15 15‐30 30‐45 45‐60
回収時間(min)
強熱減量60%→ 乾粉での発熱量19.7MJ/kg※相当
※減量分を黒鉛(32.8MJ/kg)とした推定
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【 Vフロスを使用した2nd浮遊選鉱で発生するフロス】
100%
強熱減量
80%
60%
40%
20%
0%
前処理:3min
前処理:10min
前処理:60min
E灰のフロス
(強熱減量59.8%), 灯油18.0%, パイン油1.1%
回収時間(min)
強熱減量89%→ 乾粉での発熱量29.1MJ/kg※相当
※減量分を黒鉛(32.8MJ/kg)とした推定
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【フロスの選別方法】
カメラや照度計によって未燃カーボン濃縮フロスの選別が可能
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【CCASクローズドシステムの概要】
フロス溢出口
水および
捕集剤
原料スラリー の投入
原料投入
フロス
起泡剤の投入
反射光強度の測定器
測定
データ フロスの選別器
循環
配管
事前撹拌槽
浮遊選鉱槽
V(C)フロス
の回収
撹拌子
マイクロバブル発生装置
テール灰の回収
Pフロスの再投入
テール灰
回収槽
Pフロス
の回収
Pフロス V(C)フロス
回収槽 回収槽
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【Pフロスのシステム内での再処理方法】
Pフロスを再処理した場合のテール灰の品質
Pフロスを再処理した場合のVフロスの品質
Pフロスを再処理して浮遊選
鉱しても製造されるテール灰
およびVフロスの品質に影響
を及ばさない。
→Pフロスの再処理が可能
Pフロスの発生量
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Ⅲ. 新技術の特徴(リサイクル燃料の製造)
【ラボCCASクローズドシステム装置】
試作機のテスト結果
No.1
No.2
濾液槽
フィルター
プレス機
圧入圧力
圧入時間
圧搾圧力
圧搾時間
エアブロー
圧力
エアブロー
時間
脱水ケーキ
スラリー濃度
0.3MPa
3min
0.5MPa
5min
0.1MPa
2min
0.2MPa
1min
―
0.3MPa
―
2min
57.2wt%
67.3wt%
コンプレッサー
原液槽
写真 フロス濃縮装置の試作機
写真 フロスケーキ
・発熱量19.0MJのフロスケーキの製造に成功した。
・廃棄物フリーのクローズドシステムが構築できた。
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Ⅳ. まとめ
【新技術の特徴】
・熱を使用しないシステムなのでランニングコストが低く、処理過程
における環境への影響が小さい。
・処理による副産物も全てリサイクル原料として利用可能なクロー
ズドシステム。
・低品質フライアッシュから高強度・高耐久な低炭素コンクリートの
実現が可能。
【想定される用途】
・高強度・高耐久性な低炭素コンクリートおよびセメント系建材
・熱量19MJを有するリサイクル燃料
・鉛筆の芯等の60~90%の炭素を含有する材料
Ⅳ. まとめ
【今後の研究課題】
○フルバージョンフルスケールプラントでの実証検討
・クローズドシステムの実機実証
・企業は実証実験を経ていないと絶対にプラント建設に踏み切らない
○CCASケーキの開発によるCCASデリバティブシステムの構築
・CCASを高脱水してケーキ状にする技術を開発し、FA排出元からユーザー
へのデリバリーを可能にする
○微粉末を高含有したCCASフュームの製造開発
・より高性能なCCASコンクリートの開発
【企業への期待】
・火力発電所を有するフライアッシュ排出元企業
・生コンクリート製造・販売業者
・セメント系建築材料製造業者
・リサイクル燃料製造業者
・コンクリート二次製品製造業者
・建材メーカー
・Pcaコンクリート部材製造業者
・炭素粉末を原料とする材料製造業者 ・シリカ粉末を原料とする材料製造業者
Ⅳ. まとめ
【本技術に関する知的財産権】
・発明の名称:浮遊分離装置及び方法並びにその利用製品の製造方法
・特許番号 :第4802305号
・出願人
:科学技術振興機構,北九州産業学術推進機構
・発明者
:松藤泰典,高巣幸二,達見清隆
・海外出願 :アメリカ,ドイツ,オーストラリア,韓国,中国,インド
・発明の名称:未燃カーボン回収方法および浮遊分離装置
・出願番号 :特願2014-174652(平成26年8月28日出願)
・出願人
:北九州産業学術推進機構
・発明者
:高巣幸二,陶山裕樹
Ⅳ. まとめ
【お問い合わせ先】
○コーディネーター
岩本 浩幸(知的財産課長)
公益財団法人 北九州産業学術推進機構<FAIS>
産学連携統括センター 産学連携部
北九州市若松区ひびきの2-1 TEL:093-695-3013 FAX:093-695-3439
e-mail:[email protected]
○研究者
高巣 幸二(教授) 陶山 裕樹(講師)
北九州市立大学 国際環境工学部 建築デザイン学科
北九州市若松区ひびきの1-1 TEL:093-695-3239 FAX:093-695-3339
e-mail:[email protected] [email protected]
○大学発ベンチャー企業
達見 清隆(代表取締役)
株式会社 石炭灰総合研究所
北九州市若松区ひびきの1-8 TEL:093-695-3465 FAX:093-695-3775
e-mail:[email protected]