平成 26 年度 事業方針・事業計画

一般財団法人 日本ユースホステル協会
平成 26 年度
事業方針・事業計画
Ⅰ.事業方針
日本におけるユースホステル運動は、本協会が設立された1951年以来、日本の経済
成長とともに、数多くの青少年に気軽に「旅」をする機会と場所を提供し、更に宿泊とい
う共同生活を通して、
「人と人とのつながりの大切さ」、また、各ユースホステルで行われ
る体験プログラムや地域の情報などを提供する「ミーティング」などを通して、
「地域の自
然や歴史・文化の大切さ」について考える機会を提供し、「旅」を通して「青少年の健全育
成」に取り組んできた。
現在、先人達の努力により日本人の生活は豊かになり、大学生など、青少年においても、
アルバイトなどをしながら資金を用意し、比較的容易に国内は勿論、海外にも「旅」に出
ることが可能となっている。
一方で、家庭において子どもたちは幼いころから個室を与えられ、PCゲームや携帯電
話などの普及、子どもたちの「孤食」も増加するなど、家族や友だちとの会話も減り、地
域社会においても、世代間の交流の機会も減少するなど、「人と人とのつながり」も以前か
ら比べると希薄になっている。
また、身体や心に障碍を抱えていたり、家庭環境にハンデがあるなど「社会的弱者」と
いわれる人たちが気軽に「旅」に出るという社会環境は残念ながらまだまだ十分でないと
いう現状も見落としてはならない。
さらに、海外に目を向ければ、未だに各地で紛争やテロが絶えず、多くの一般市民がそ
の犠牲になり、国際ユースホステル連盟の理念である、
「国籍、人種、宗教、文化などを超
えた相互理解・交流」という観点からも、世界平和に向け本協会が取り組むべき課題は少
なくはない。
以上のような現状を踏まえ、
「ユースホステルとして何ができるか」という「社会的役割」
を考えると、ユースホステル運動の目的である「旅を通しての青少年の健全育成」で掲げ
る「青少年」のみならず、新たに「青少年を含むすべての人が旅を通して有意義で幸福な
人生を送る」ことを大きな目標とし、幅広くユースホステル運動を展開する「始まりの年」
とする。
Ⅱ.重点目標(YHの社会的役割の向上)
1)
「旅」を通して、家族や友達との「つながり」を増進する取り組み
2)積極的な外国人旅行者の受入および日本人の海外送り出しを推進することにより、
国際交流や異文化理解を促進し、市民レベルでの世界平和に貢献する
3)地域の自然、歴史・文化などの資源を地域と連携し発信することにより、旅行者を
呼び込み、旅を通して地域の活性化や振興に貢献する
4)障碍を持つ人、家庭環境等諸々の事情で「旅」をする機会がない、又は困難な人た
ちに「旅」の機会とその支援を提供する(ユニバーサルツーリズムの実践)
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Ⅲ.事業計画
1.会員増および利用者増に向けた取り組み
1)制度関係
①YHの立地条件や繁忙・閑散期への対応等を踏まえ、利用料金の上限を撤廃するた
め「YH利用料金細則」を改定する
②ゲストカード、ビジタースタンプの廃止、ウェルカムスタンプ発行の自由化
③YH会員の特典を増加させる取り組みと一般利用者との利用料金優遇の明確化
④YH利用リピーターの増加と会員証継続率向上に向けた方策の検討
⑤会員管理システムの合理化による顧客管理・サービスや広報の充実、経費削減と事
務手続きの合理化の検討
2)事業及びYHの資質(魅力)の向上
①ペアレント研修会(6月:東京)と事後のフォローアップ研修会(秋期:会場未定)
を通し、YHの「社会的役割」の向上を図るための事業展開を検討・実施する
②昨年度のペアレント研修会で実施した「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
を活用しての広報」について、各YHでの成果に結び付けるため、ノウハウの提供
や支援を継続する
③インターネットクチコミ評価サイト「トリップアドバイザー」を全YHに導入し、
利用者目線での施設や接遇に対する評価をYH運営の参考とし、各YHの資質の向
上を図る。
④「Solo 旅 19(2014)」を継続して実施し、会員、利用増を図るとともに、WEB
アンケートなどによりマーケッティングデータを収集する
⑤(独)国立青少年教育機構との連携による青少年の体験活動の実施及び普及
・
「体験の風をおこそう」及び「早寝早起き朝ごはん」事業としての体験活動の実施
3)広報関係
①ユースホステルの認知度向上を目的にした多角的な広報展開の実施
②ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用した情報の発信と共有強化
③学生団体による旅の情報発信の助成
④本協会公式サイトの海外向けサイト化の完了
⑤スマートフォン対応ホームページの作成
⑥マスコミへの露出や企業の広告や協賛を獲得するためには、上記YHの「社会的役
割」が重要となり、同時進行で広報活動を行う
4)助成事業の実施(県協会、ブロック、YH)
①家族利用の促進に向けた事業への助成) 「旅する家族」キャンペーン
②外国人旅行者利用促進への基盤整備および日本人との交流事業への助成
③地域と連携した地域おこしや地域と利用者との交流事業 「ご当地ものに会いに行
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こう」キャンペーン
④障碍者や遺児、孤児など「旅」に出ることが難しい「社会的弱者」が「旅」をする
ための主催事業、支援事業への助成
⑤福島第一原発事故により十分な野外活動ができない子どもたちへの支援プログラム
への助成、
5)組織(役員会、事務局、各県協会、ペアレント会など)
①重点項目に挙げた取り組みのための研究会やモデル地区(YH)を設定し、具体的
な取り組みを考案、実施する。また、これに対し、広報や資金面での助成を行う
②将来のYH運動を考え、若い世代の理事や評議員、ペアレント会役員の選任を検討
する
③将来のYHネットワークを考え、各YHの後継者調査を実施するなどし、ネットワ
ークの再構築を図る。
④利用料金の上限撤廃に呼応し、現在YHが存在しない地域やYH設置が望まれる重
要地域の県協会やブロックと協力し誘致を進め、近年減り続けているYHのネット
ワークの強化を図る
⑤大学 YH クラブだけに限定せず、国際交流、アウトドア、旅行関係学生団体、社会福
祉などのクラブサークルの緩やかなネットワーク化を促進する
6)東京セントラルYHの使命拡大
①日本のゲートウェイYHとして、地方の魅力をPRし、地方のYHへの訪問を促す
取り組み
②全国YHの情報センターとしての事業展開
③利用者満足度向上によるYH全体のイメージアップへの貢献
④YHの「社会的役割」を社会に発信する事業への取り組み
⑤教育旅行受入れ事業の推進
⑥予約センターとしての役割推進
7)国際 YH 連盟(HI)関係
①HI が2013年新戦略として開発した「HI360」が本年より実施されるのを受け
て、同プログラムへの参加に向けての情報収集と国内各YHへの参加拡大と利用・
活用方法のノウハウの提供を行う(国際予約システム hihostels.com 含む)。
②“HIグループ(団体)予約システム”への参加YHの拡大による外国人グループ
利用の促進
③各国 YH 協会へのプロモーション促進。相互優待制度の締結などでYH会員の特典を
強化する
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④国際YH連盟総会(8月:タイ)への参加
Ⅳ.ユースホステル中期計画の策定の継続と実施(25年度からの継続事業)
昨年度から開始された表記計画において、本協会の組織、YHネットワーク、会員制度、
財政問題等につき引き続きYH運動発展計画の策定を完了し、実施が決定した事項より随
時実施し、審議中の項目については決定次第速やかに実施する。
Ⅴ.定例事業
1)広報活動
①ユースホステル季刊誌の発行(宝くじ協会助成事業)
②ホステリングガイドの作成、配布(宝くじ協会助成事業)
③日本政府観光局(JNTO)との提携によるインバウンド促進事業の実施
④女子大生団体“たびいじょ”との提携
⑤ニュースリリース等によるマスコミとの連携、広報
⑥大学等を中心とした若者への情報提供推進
2)関係団体との連携強化
①提携カード(ライフカード、モンベルクラブ等)の推進
②アフリエイトプログラム(地球の歩き方、HIS等)による提携強化
③日本野鳥の会、日本ウォーキング協会、日本サイクリング協会等関係団体との
業務提携等による連携強化
④サイクリングターミナル、青年会館との提携によるYHネットワーク整備・拡大
3)ユースホステルペアレント(マネージャー)研修会の実施(6月:東京開催)
4)ユースホステルペアレント(マネージャー)養成講習会の実施
5)直営ユースホステルの運営充実
①日本宝くじ協会助成事業による設備の充実
②直営YHにおける社会貢献事業の拡大
③休館YHの運営再開又は整理、売却
④若手職員の採用と育成の強化
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