Page 1 Page 2 カン シン ハ 氏 名 韓 振 波 学位(専攻分野) 博 士 (医 学

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
Assignment of three chinese xeroderma pigmentosum patients
to complementation group C and one to group E( Abstract_要
旨)
Han, Zhenbo
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181701
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
鎧
士
議
壷
(
医
学)
学 位 (専 攻 分 野 )
博
学 位 記 番 号
医 博
学 位 授 与 の 日付
平 成 11年 3 月 23 日
学位 授 与 の要件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 生 理 系 専 攻
学位 論 文 題 目
As
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第
2085 号
(
中国人色 素性 乾皮 症 患者 の遺伝 的相 補 性 群 の解 析 )
(
主査)
論 文 調 査 委 員
教 授 宮 地 良 樹
論
文
内
教 授 佐 々木 正夫
容
の
要
教 授 池 永 満 生
旨
「
研究の 目的」
(
Ⅹ
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um,以下ⅩPと略す) は, 日光過敏性 を呈す る常染色体性劣性の遺伝病で,露光部
P患者 の細胞 は,紫外線 でDNAに生 じるピリミジンダイマー を除去修復す る能力 が低 下 しているた
に皮膚癌 を多発す る。 Ⅹ
色素性乾皮症
めに,紫外線 による致死お よび突然変異の誘発 に対 して,著 しく高い感受性 を示す。細胞融合法を用いた相補性テス トによっ
PにはA∼G群 の 7種類 の除去修復欠損型の遺伝 的相補性群 と,見かけ上は修復能が正常なバ リアン トの存在が知 られ
て,X
てい る。 日本 のⅩ
P患者 には A群 が非常 に多いが,逆 にC群 の患者 は少 ない。 一方,米国や ヨー ロッパではC群 とD群患者 の
P患者 については,相補性群 の分布 に関す る報告はほ とん どないのが現状
割合が多い。 しか し, 日本以外 のアジア諸国のⅩ
である。本研究では,中国人 4例 のⅩP患者 由来の細胞 を用いて,DNA修復能 を調べ ることによって相補性群 を同定 した。
「
材料 と方法」
中国人 のⅩ
P患者 4例 の皮膚生検試料 か ら線維芽細胞 を樹立 した。 この うち 3例 (
ⅩP IC
NX,ⅩP2CNX,ⅩP3CNX)
は寧夏回族 自治 区に在住 してお り, 1例
(
ⅩPICBJ
)は北京 の住民である。相補性群解折 のための標準細胞 には,正常細
胞,相補性群 が既知 のA,C,D,E,F,G群細胞,お よびバ リアン ト細胞 を用いた。
細胞 の紫外線感 受性 は コロニー形成能 に よって判 定 した。 DNA除去修復能 は,紫外線 照射後の3
Hチ ミジ ンのDNA-の
取込み量 をオー トラジオ グラフィーで検 出す る方法,す なわち不定期DNA合成
(
UDS)に よって定量 した。 また,相補性
群 の同定は,検体細胞 と各相補性群 の標 準Ⅹ
P細胞 とをポ リエチ レング リコールで細胞融合 させ た後,紫外線 を照射 して融
合二核細胞 にお けるUDS
量 を計測す ることによって行 った。
「
結果」
DNA除去修復能の指標 とな る紫外線照射後のUDS量 は,ⅩPICNXは正常細胞の66% と高い値 を示 したが,他 の 3株 (
ⅩP
ICBJ,ⅩP2CNX,ⅩP3CNX)は正常細胞 の10- 20% に低下 していた。相補性テス トに関 しては,ⅩPICNXは既知のA,
C,D,Fお よびG群 のⅩP細胞 とは相補性 を示 したが,E群細胞 との間に相補性が認 め られ なかった。 この ことか ら,ⅩPI
CNXはⅩPE群 に属す ることが明 らか となった。 同様 に,UDS量が正常細胞 の20% 以下であった 3種類 のⅩP細胞 は,C群細
胞 とのみ相補性 を示 さなかった こ とか ら, これ らの患者 はC群 に属す る と結論 され た。 なお, コロニー形成能 で見た細胞 の
紫外線感受性 も,相補性群 同定の結果 と一致す るものであった。
「
考察」
中国人Ⅹ
P患者 4例 の相補性群解折 を行い, 3例 がC群 , 1例 はE群 に属す ることを明 らかに した。 これまで,我々の研究
室で行 った解析結果 な どを併せ る と,相補性群 が確 定 した 中国人Ⅹ
P患者 12例 中 8例 がC群 に属す ることにな る。 この こと
は, 日本人Ⅹ
P患者 の中でC群 の頻度 が 5%以下 と低 い ことと対照的であ り,大変興味深 い。 また,今 回E群 と同定 した患者
- 528-
ⅩpICNXは,年齢 (
4
8
歳) を考慮す る と臨床症状が比較的軽微 であ り,DNA修復能 が臨床症状 に密接 にかかわってい るこ
とを確落 した。
論
文
審
査
の
結
果
の 要
旨
色素性 乾皮症 (
ⅩP) は 日光露光部 に皮膚癌 を多発す る遺伝病 で,紫外線誘発 DNA損傷 の修復能力 が低 下 してい る。 ⅩP
にはA∼Gの 7種類 の遺伝 的相補性群 が存在 し,欧米諸 国ではCとD群 の患者 が多いが, 日本 の患者 にはA群 が非常 に多いの
が特徴である。 しか し, 日本 を除 くアジア諸 国の患者 に関 しては,相補性群の分布 がほ とん ど分かっていない。本研究では,
中国人のⅩP患者 4例 の細胞 について,相補性群 を同定 した。
検体細胞 と相補性群 が既知 のⅩP細胞 を融合 し,融合 2核細胞 にお けるDNA修復能 の回復 を,オー トラジオ グラフィー に
よる不定期 DNA合成量 を指標 として判定 した。 3例 のⅩP細胞 はC群細胞 とは相補性 を示 さなかったが,それ以外 の群 のⅩP
細胞 との間には相補性 が認 め られ たので, C群 と同定 した。 また, 1例 はE群 であることを明 らかに した。 これ までの報告
1
2例) が高い ことが示唆 され るので, 日本人患者 中にはC群 の頻度 が 5
例 と併せ る と, 中国人ⅩP患者 ではC群 の頻度 (8/
%以下 と低 い ことと対照的である。
以上の研 究は,DNA修復能 と発 がん との関連性 の解 明に貢献 し,遺伝的特性 の民族差 の研究 に寄与す る ところが多い。
したが って,本論文 は博士 (
医学)の学位論文 として価値 あるもの と認 める。
なお,本学位授与 申請者 は,平成 11
年 1月 1
2日実施 の論文 内容 とそれ に関連 した試 問を受 け,合格 と認 め られた ものであ
る。
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