3Dレーザースキャナーを利用した地盤沈下計測 片桐 俊彦 ・ 清田 隆 地圏災害軽減工学 概要 2011年東北地方太平洋沖地震により、東京湾沿岸地区では深刻な液状化被害が発生した。千葉 市では 将来の地震に対する液状化被害軽減対策手法として地下水位低下工法を検討しており 市では、将来の地震に対する液状化被害軽減対策手法として地下水位低下工法を検討しており、 現在その実証試験を実施している(千葉市液状化対策推進委員会, 2014)。止水矢板の内部に2階 建住宅を想定した鋼板が設置し、地下水位を当初のGL -1mからGL -3.5mまで約2.5m低下させて、 地表面の沈下に及ぼす影響を観測している。2014年3月時点では、沈下杭等の測量により最大約 16mm程度の地盤沈下が確認されている。我々は、このような地盤沈下を把握するにあたり、レー ザー測量の適用性を検討した。地下水位低下前(2013年10月13日)と低下後(2014年3月27日)の 地盤高を3Dレーザースキャナーで計測し 地盤高を3Dレ ザ スキャナ で計測し、二時期の差分により地盤沈下量の抽出を試みた。 二時期の差分により地盤沈下量の抽出を試みた 3Dレーザースキャナー計測概要および結果 使用機器は、RIEGL社製VZ‐400(写真‐1, 表‐1)である。 計測は、公園内(約750m2)において5箇所で実施し、各地点で得 られたデータを合成することで現場の全体的な状況を画像的に 点 デ ー タ 群 と し て 記 録 し た ( 図 ‐1 1)。同機器の計測視野は 100×360°であり、高速モードを用いて計測した結果、1箇所あ たりの平均作業時間は15分程度であった。 レーザースキャナーによる代表的な解析図を図‐2に示す。白 点のプロット群は地下水位低下前(2013年10月13日)、緑色は約 5ヶ月半経過した後(2014年3月27日)の結果である。レーザース キャナ を用いた解析図では 家屋を模した鋼板の重なり具合 キャナーを用いた解析図では、家屋を模した鋼板の重なり具合 も抽出されていることが判る。表‐2に、仮家屋の四隅の点にお けるレーザースキャナーとマニュアル計測による、地下水位低下 前後の沈下量を示す。レーザースキャナーの結果はマニュアル 計測結果と同じオーダーの値を示している。 写真-1 3Dレーザースキャナー計測状況 表-1 RIEGL社製VZ‐400の諸元 レーザー安全規格 Class1 アイセーフ 近赤外 測定距離範囲 (ρ≧90%自然物) 長距離モード 600m 高速モード 350m 標準精度 5mm スキャニングレート/秒 ライン方向 :3~120スキャン フレーム方向 : 0~60° 視野角度 100*×360° *:-40~+60 122,000回(高速モード) 42,000回(長距離モード) 測定点数/秒 寸法・重量・堅牢性 308×φ180mm 9.6kg IP64 計測・処理ソフトウエア RiSCAN PRO(標準付属ソフト) 図-2 3Dスキャンされた鋼板(左)と画像解析図(右) 表-2 変位杭およびLiDARの計測結果 計測位置 N0.24 N0.25 N0.26 N0.27 N0.28 N0.29 N0.30 N0.31 計測方法 図-1 3Dレーザースキャナーでデータ合成した状況図 マニュアル (mm) 8 10 10 12 16 9 9 9 レーザースキャナー (mm) 5 10 14 5 12 10 8 6 レーザースキャナーを用いて二時期の地盤変動を比較的高い精度で計測できることが示された。 限られた数の標点を用いる従来計測に加え、レーザースキャナーにより面的に地盤変位を抽出す ることで、詳細な地盤変形モードの把握や、地盤変状の見逃しを防ぐことができると考える。 KIYOTA Lab., Institute of Industrial Science, University of Tokyo 2014
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