MZIアレイの位相誤差測定法の開発と 2×4MMIカプラの設計

平成 25 年度 修士論文
MZI アレイの位相誤差測定法の開発と
2×4MMI カプラの設計
平成 26 年 2 月
指導教員
高田 和正 教授
群馬大学大学院 工学研究科
電気電子工学専攻
青野 光好
目次
第 1 章 序論
2
1.1
研究背景 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2
1.2
研究目的 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
1.3
論文概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
第 2 章 導波路型 MZI アレイ分光器
6
2.1
導波路型 MZI アレイ分光器の原理 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
6
2.2
従来の位相誤差測定法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
8
2.3
高精度な位相誤差測定の必要性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
10
第 3 章 低コヒーレンス光干渉を用いた MZI アレイの位相誤差測定
12
3.1
測定原理 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
12
3.2
実験 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
14
3.2.1
実験系構成と実験方法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
14
3.2.2
導波路型 MZI アレイ分光器の構成 . . . . . . . . . . . . . .
16
3.3
実験結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
19
3.4
考察 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
22
第 4 章 2×4MMI カプラの設計
23
BPM の基礎とカプラの設計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
23
4.1.1
2 次元および 3 次元ビーム伝搬法 . . . . . . . . . . . . . .
23
4.1.2
2×4 ハイブリッド型カプラ . . . . . . . . . . . . . . . . . .
28
4.1.3
2×4MMI カプラの設計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
35
4.2
シミュレーションフローと設計パラメータ . . . . . . . . . . . . .
39
4.3
シミュレーション結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
45
4.3.1
2 次元 BPM による基本設計 . . . . . . . . . . . . . . . . .
45
4.3.2
3 次元 BPM による最適設計 . . . . . . . . . . . . . . . . .
46
4.3.3
波長特性 (3 次元 BPM) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
46
4.3.4
設計誤差特性 (3 次元 BPM) . . . . . . . . . . . . . . . . .
50
考察 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
56
4.1
4.4
1
謝辞
57
参考文献
57
付 録 A 低コヒーレンス光干渉を用いた MZI アレイの位相誤差測定
59
A.1 出力 VP ,VQ の式導出 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
59
A.2 リトロー波長における位相誤差測定の必要性 . . . . . . . . . . . .
61
付 録 B 2 次元 BPM による基本設計
63
B.1 [設計] テーパー型 2×4MMI カプラの最大干渉条件 . . . . . . . . .
63
B.2 [設計] テーパー型 2×4MMI カプラの出力特性 . . . . . . . . . . .
65
B.3 [設計] 2×2MMI カプラの出力特性 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
67
B.4 [評価] 振幅特性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
69
B.5 [評価] 波長特性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
70
付 録 C 3 次元 BPM による最適設計
72
付 録 D 完成した 2×4MMI カプラの設計図
76
付 録 E MMI カプラの設計に使用したプログラム
79
2
第 1 章 序論
1.1
研究背景
現在,光通信ネットワークシステムや医療などの分野において,小型でスペク
トル分解能が高い高性能分光器の開発が強く求められている.これまで様々なタ
イプの小型分光器が提案されてきたが,特に波長分割多重 (WDM) 通信システム
における波長合分波デバイスとして,プレーナ光波型技術を用いたアレイ導波路
型回折格子 (AWG)[1] が開発されており,これを分光器として使用することが考
えられる.しかし,現在までに実用化されている AWG のチャンネル間隔は 50∼
100GHz のみであり,この AWG を分光器として使用するためには,チャンネル
間隔を 10GHz 以下まで狭くする必要がある.ところが,この狭チャンネル化は
光アレイ導波路配列の大型化を招き,その結果アレイ間の位相誤差が増大してク
ロストークが増大するという重大な問題を引き起こす.位相誤差を低減するため
には,各アレイ導波路における位相誤差を高精度に測定する技術に加え,各位相
誤差を補償する技術の開発が不可欠である.これまでに,低コヒーレンス光干渉
技術 [2] や光誘起屈折率変化 [3] を利用して位相誤差を低減する試みがなされてき
たが,高価で大型なエキシマーレーザが不可欠なことから,実用化の域までは達
していない.
バルク型の分光器として,スキャンミラーやその他の可動部から構成される
フーリエ変換干渉計が市販されてきたが,寸法がおよそ幅 40cm× 高さ 20cm× 奥
行 50cm で重量が 20kg 以上もある.近年,Miroslaw 達のグループは,このスキャ
ンミラーが移動する各地点での干渉計の状態を基板上に導波路型のマッハ・ツェ
ンダー干渉計 (MZI) として並列に再現する構成を採用することにより,小型で分
解能の高いフーリエ変換型の分光器を実現できることを示した [4].しかしなが
ら,各 MZI には作製時に位相誤差が発生してしまうため,この位相誤差情報から
元のスペクトルを復元するための信号処理技術が不可欠である [5][6][7].
我々は,位相誤差が存在しても,スペクトルを正確に導出できる位相シフト法
を提案した.本方法は,MZI アレイから得られる In-phase(同相) のデータ系列の
他に,MZI のアーム間の位相が π/2 ずれた Quadrature(直交位相) データ系列を
使用し,複素フーリエ変換によりスペクトルを再生することを特徴とする.スペ
3
クトルの再生には,高精度に測定された位相誤差の値を用いる必要があり,今回,
AWG 位相誤差測定で実績のある低コヒーレンス光干渉を利用して位相誤差を測
定する技術を開発した.また,これまで位相シフトの実験では,各 MZI のアー
ムをヒータで加熱する Dynamic(動的) な実験を行ってきたが,実用性が乏しく,
安定性に問題があった.本研究では,In-phase 成分と Quadrature 成分が同時に
得られる 2×4MMI(マルチモード干渉結合器) カプラの最適設計を行い,Static(静
的) な条件で位相シフト法を実行できる MZI アレイの実現を目指す.
1.2
研究目的
本研究では,次の 2 つを目的とする.
1. 低コヒーレンス光干渉を利用して,導波路型 MZI アレイの作製時に発生す
る位相誤差を高精度に測定する技術を開発する.
2. BPM シミュレーションにより,出力ポートの位相関係がそれぞれ π/2 とな
る石英系 2×4MMI カプラの最適設計を行う.これによりヒータでアームを
加熱するという従来用いられた Dynamic な位相シフト法が不要となり,実
用性が格段に向上すると考えられる.
1.3
論文概要
第 1 章 序論
1.1 では本研究における背景,1.2 では研究目的,1.3 では論文概要を示す.
第 2 章 導波路型 MZI アレイ分光器
2.1 では導波路型 MZI アレイ分光器の原形であるマイケルソン干渉法によるス
ペクトル導出の原理を説明する.一般的に,マイケルソン干渉計により得られた
インターフェログラムをコンピュータ上で信号処理を行うためサンプリングを行
う.この信号をフーリエ変換することにより元の光スペクトルが得られる.この
干渉計をシリコン基板上に集積化した導波路型 MZI アレイ分光器の構成につい
て説明する.
2.2 では従来の位相誤差測定法について説明する.この測定法は,カプラが理
想的に設計されている場合にのみ,位相誤差を測定することが可能となる.また,
4
この測定法では位相誤差の値が逆余弦関数で得られるため 2 値からいずれかの値
を選択しなければいけないという問題があることを述べる.
2.3 では位相誤差を高精度に測定することがスペクトルにどのような影響を与
えるか述べる.MZI アレイの光路長差が設計値よりわずかにずれることにより発
生する位相誤差がスペクトルの復元に与える影響や,高精度に位相誤差を測定す
る必要性を示す.
第 3 章 低コヒーレンス光干渉を用いた MZI アレイの位相誤差測定
3.1 では測定原理として,低コヒーレンス光干渉によって得られたインターフェ
ログラムをフーリエ変換することで MZI アレイの位相誤差が導出できることを
説明する.
3.2 では,低コヒーレンス光干渉の実験系の構成と実験方法を示す.また,従
来型 MZI アレイの構成と本研究で用いた FISH 型 MZI アレイの構成を示す.本
研究で用いた FISH 型 MZI アレイは,一枚のチップの中に導波路同士がクロスす
るように設計されており,MZI を多数配列することができるという優れた利点が
ある.また,実験で使用した MZI アレイのパラメータを示す.
3.3 では,MZI から得られたインターフェログラムを構成する 2 つのビート信号
がほぼ一定の割合で増加していることを示す.しかしながら,厳密にはわずかに
ずれており,このずれをフーリエ変換により導出することで位相誤差を高精度に
測定する.併せてインターフェログラムをフーリエ変換することにより求めた位
相誤差の実験結果を示す.実験では 10 回測定を行い,変動の標準偏差を求めた.
3.4 では実験結果に対する考察を示す.
第 4 章 2×4MMI カプラの設計
4.1 では 2×4MMI カプラの基本を示す.4.1.1 では 2 次元および 3 次元の BPM(ビー
ム伝搬法) について示す.今回は 2 次元および 3 次元 BPM によるシミュレーショ
ンを行う.この際に必要となるシミュレーション条件を述べ,その特徴を示す.
4.1.2 では 2×4 ハイブリッド型カプラの位相変化について説明する.このカプラ
は,2 組のポートの位相差がそれぞれ π となり,互いに In-phase 成分となる.し
かし,位相シフタを取り付けることにより In-phase 成分と Quadrature 成分にな
ることを示す.4.1.3 では,実際の導波路で構成される 2×4MMI カプラの原理を
示す.このカプラは,テーパー型 2×4MMI カプラと 2×2MMI カプラから構成さ
5
れている.テーパー型 2×4MMI カプラでは,2 組のポートの位相が In-phase 成
分となり,後段の 2×2MMI カプラで位相が π/2 シフトされ Quadrature 成分が得
られる.
4.2 ではシミュレーションのフローと,設計を行う 2×4MMI カプラの形状,設
計パラメータおよびシミュレーション条件を示す.現在,導波路が半導体構造の
2×4MMI カプラは多数の論文で報告されているが,石英系の報告はされていな
い.今回設計するカプラは石英系導波構造であり,導波路のサイズが半導体に比
べて大きくなるのが特徴である.実験では,Optiwave 社の光伝搬シミュレーショ
ンソフト『OptiBPM』を使用してシミュレーションを行った.
4.3 ではシミュレーション結果として,3 次元 BPM でシミュレーションを行っ
た 2×4MMI カプラの設計パラメータや波長特性,設計誤差特性を示す.
4.4 ではシミュレーション結果に対する考察を示す.
6
第 2 章 導波路型 MZI アレイ分光器
2.1
導波路型 MZI アレイ分光器の原理
図 2.1 に光波干渉計で最も一般的なマイケルソン干渉計を示す.光源からの出
射光をマイケルソン干渉計に入射させると,ビームスプリッタで入射光が二分さ
れる.二分された一方の光は移動する全反射鏡 M1 で反射された後に,ビームス
プリッタで反射され,フォトディテクタに入射する.この光の電場を E1 ,光路長
を L1 とする.二分された他方の光は固定された全反射鏡 M2 で反射され,ビー
ムスプリッタを透過し,フォトダイオードに入射して先の電場 E1 と合波される.
この光の電場を E2 ,光路長を L2 とする.全反射鏡 M1 の移動により L1 が変化
し,その結果,両アームの光路長差 x = L1 − L2 が変化する.
඲཯ᑕ㙾
M2
ග※
ග㊰㛗
L2
E2
E1
඲཯ᑕ㙾
M1
䞉䞉䞉
䝡䞊䝮
䝇䝥䝸䝑䝍
ග㊰㛗
L1
䝣䜷䝖
䝎䜲䜸䞊䝗
図 2.1: マイケルソン干渉計
このとき,干渉計の光源としてレーザ光などの単色光 (図 2.2) と,発光ダイオー
ドなどの多色光 (図 2.3) にした場合を考える.単色光の場合では,特定の波長の
みで発光し,ディテクタからの出力は光路長差 x に対し正弦波状に振動する.一
方,多色光の場合では,波長 λ0 を中心とした ∆λ の広がりを持ち,この領域には
無数の波長の異なる単色光が存在する.ディテクタからの出力は,光路長差 x が
0 すなわち L1 = L2 となったときに最大の値となるインターフェログラムが得ら
れる.
7
ගᙉᗘ
ගᙉᗘ
ග㊰㛗ᕪ x
Ἴ㛗 λ
λ0
0
୰ᚰἼ㛗
図 2.2: 単色光 (コヒーレント光)
ගᙉᗘ
ගᙉᗘ
1cm
∆λ
ග㊰㛗ᕪ x
Ἴ㛗 λ
λ0
0
୰ᚰἼ㛗
図 2.3: 多色光 (低コヒーレント光)
実際,コンピュータ上で信号処理を行うためには,インターフェログラムのよ
うな連続信号を離散信号に変換する必要がある.すなわち,一定の間隔 ∆x でサン
プリングを行う.標本化定理よりエイリアシングを抑えるためには,信号波長の
半分以下の間隔でサンプリングする必要がある.コンピュータに格納されるデー
タは通常,数千から数万に達し,これらのデータをフーリエ変換することによっ
て光スペクトルが得られる.このように,各波長成分に対するスペクトルの強度
を測定する装置を分光器という.
一般に市販されている分光器は,重さが 20kg 程度で持ち運びは容易ではない.
そのため,これを小型化した分光器が図 2.4 に示す導波路型 MZI アレイ分光器で
ある.これは,石英ガラスの基板上に予め多数の導波路型 MZI が並列して設置
され,各 MZI における一方のアームの光路長は一定の間隔 ∆x ずつ増加するよう
に設計されている.これがバルク型におけるサンプリング間隔に相当する.導波
路型では,同一基板上に配列する MZI の台数は大きさの関係上より 32 個程度に
限られる.また,全 MZI で図 2.3 に示す半幅約 1cm までのインターフェログラム
をカバーすることから,サンプリング間隔 ∆x は 1cm/30 ≈ 300 µm 程度となる
(マイケルソン干渉計は 0.3µm 程度).このため,幅が c/∆x(c は光速度) であるフ
リースペクトルレンジ FSR(Free Spectral Range) が発生し,この幅よりも狭いス
ペクトルのみ一意的に導出することが可能となる.
8
0
∆x
2 ∆x
…
( N − 1)∆x
図 2.4: 導波路型 MZI アレイ分光器の構造
2.2
従来の位相誤差測定法
#k-MZI
L1
coupler
VP(ν)
VQ(ν)
E0(ν)
L2
図 2.5: MZI アレイの入出力の関係
従来の位相誤差測定法について説明する.図 2.5 に示すように,k 番目の MZI
における長いアームと短いアームの光路長をそれぞれ L1 ,L2 とする.このとき,
カプラの入力を E0 (ν),カプラからの出力を VP (ν),VQ (ν) とする.このとき,長
いアームの損失定数を ρ,カプラにおける透過係数を r1 ,結合係数を r2 ,透過す
る際の位相変化を φ1 ,結合する際の位相変化を φ2 とする.このとき,カプラから
の出力 VP (ν),VQ (ν) は (2.1),(2.2) 式となる.また,式の導出は付録 A.1 に示す.
[
]
VP (ν) = E0 (ν)2 r12 r22 (ρ2 + 1) + 2ρ cos β(L1 − L2 )
(2.1)
VQ (ν) = E0 (ν)2 (r14 + ρ2 r24 ) + 2E0 (ν)2 ρr12 r22 cos [β(L1 − L2 ) + 2(φ1 − φ2 )]
(2.2)
カプラが理想的な場合の条件
φ1 − φ2 =
π
, r12 + r22 = 1, ρ = 1
2
9
(2.3)
を適用すると,カプラからの出力 VP (ν),VQ (ν) は (2.4),(2.5) 式となる.
(
)
1
VP (ν) = V0 (ν) [1 + cos β(L1 − L2 )] V0 (ν) = E0 (ν)2
2
1
VQ (ν) = V0 (ν) [1 − cos β(L1 − L2 )]
2
(2.4)
(2.5)
このとき β(L1 − L2 ) は位相差であることから,ϕ とおくと (2.4),(2.5) 式は (2.6),
(2.7) 式となる.
1
VP (ν) = V0 (ν)(1 + cos ϕ)
2
1
VQ (ν) = V0 (ν)(1 − cos ϕ)
2
(2.6)
(2.7)
(2.6),(2.7) 式より (2.8) 式が成り立つ.
cos ϕ =
VP (ν) − VQ (ν)
VP (ν) + VQ (ν)
(2.8)
したがって,位相誤差は (2.9) 式となる.
[
ϕ = cos
−1
VP (ν) − VQ (ν)
VP (ν) + VQ (ν)
]
(2.9)
(2.9) 式で示される位相誤差は逆余弦 (Inverse Cosine) 関数で示されるため,ϕ の
存在する区間は 0 ≤ ϕ ≤ π ,π ≤ ϕ ≤ 2π の 2 つの場合が考えられる.そのため,
いずれの値を使用するかという判別が必要となる.また,実際のカプラは,ρ や
r1 などのパラメータは理想的な場合の条件とは異なる.パラメータを代入する前
の (VP − VQ )/(VP + VQ ) の関係式は,(2.1),(2.2) 式より (2.10) 式で表される.
VP − VQ
r2 r2 [(ρ2 + 1) + 2ρ cos β(L1 − L2 ) − 2ρ cos [β(L1 − L2 ) + 2(φ1 − φ2 )]] − (r14 + ρ2 r24 )
= 12 22 2
VP + VQ
r1 r2 [(ρ + 1) + 2ρ cos β(L1 − L2 ) + 2ρ cos [β(L1 − L2 ) + 2(φ1 − φ2 )]] + (r14 + ρ2 r24 )
(2.10)
図 2.6 に示すように,理想的なカプラは −1 ≤ (VP −VQ )/(VP +VQ ) ≤ 1 の範囲に値
を持つが,実際のカプラは (VP − VQ )/(VP + VQ ) > 1,(VP − VQ )/(VP + VQ ) < −1
となってしまう.そのため,ϕ の値が定まらないことから,従来の測定法では位
相誤差を測定することが出来ない.
10
VP − VQ
ᐇ㝿䛾䜹䝥䝷(Ⅼ⥺)
VP + VQ
1
0
⌮᝿ⓗ䛺䜹䝥䝷(ᐇ⥺)
−1
0
π
φ
2π
図 2.6: 理想的なカプラと実際のカプラの位相関係
2.3
高精度な位相誤差測定の必要性
導波路型 MZI アレイでは,k 番目 (k=1,2,· · · ,31) の MZI の光路長差は k∆x と
なるように設計されているが,実際に作製を行うと設計値とずれ δx が生じてし
まう.このずれは 1µm 以下と小さいが,位相変化として見ると 2π/λ · δx となり,
無視できない値になってしまう.この位相の変化量を位相誤差という.
我々が提案した位相シフト法では,位相誤差が存在してもスペクトルを正確に
導出できる.本方法は,MZI アレイから得られる In-phase のデータ系列の他に,
位相から π/2 ずれた Quadrature データ系列を使用し,複素フーリエ変換により
スペクトルを再生することを特徴とする.スペクトルの再生には,高精度に測定
された位相誤差の値を用いる必要がある.
ᐃㄗᕪ䛻䜘䛳䛶
Ⓨ⏕䛩䜛䝃䜲䝗䝻䞊䝤
Intensity [dB]
0
α ⋅ δ rms
-10
SSR
ᚤᑠ䛺䝇䝨䜽䝖䝹
-20
Optical frequency [GHz]
図 2.7: 測定誤差によるスペクトル雑音
11
図 2.7 は,複素フーリエ変換により導出したスペクトルを模式的に示したもの
である.スペクトルには位相誤差値の測定誤差によりサイドローブが発生してし
まう.このサイドローブのレベル SSR(Sidelobe Suppression Ratio) は (2.11) 式で
表される.
SSR = −10 log(αδrms ) = −10 log(α) − 10 log(δrms )
(2.11)
α はスペクトル形状により依存する係数であり,MZI アレイでは 0.1≤ α ≤0.35 の
範囲で変化する.今回の実験では α=0.3 として考える.−10 log(δrms ) が 15dB す
なわち δrms が 0.03rad 以上のとき微小なスペクトルに影響を与えないことが報告
されている [8].そのため,位相誤差の値を信号処理に適用して,元のスペクトル
を復元する場合,SSR は −10 log(α) を含んだ 20dB 以上である必要がある.すな
わち,位相誤差を 0.03rad 未満で測定する必要があることを示す.
12
第 3 章 低コヒーレンス光干渉を用いた MZI アレイの
位相誤差測定
3.1
測定原理
iB
A䜰䞊䝮
#k-MZI
ϕ A (σ )
iA
coupler
ග㊰㛗ᕪ x
ϕ B (σ )
B䜰䞊䝮
図 3.1: MZI アレイにおける位相変化
位相誤差を低コヒーレンス光干渉により測定する方法について説明する.図 3.1
において,k 番目の MZI における A アーム (長いアーム) と B アーム (短いアー
ム) を光が伝搬するときに経験する位相変化を φA ,φB とする.このとき発生す
るインターフェログラム iA ,iB は,波数 σ(波長の逆数) を含む (3.1),(3.2) 式で
表される.ここで x は光学的可変遅延ラインによって発生するファイバ干渉計の
光路長変化である.
∫
∞
iA (x) =
∫
0
iB (x) =
∞
V (σ) cos [2πσx − φA (σ)] dσ
(3.1)
V (σ) cos [2πσx − φB (σ)] dσ
(3.2)
0
(3.1) 式のフーリエ変換を行うと (3.3) 式となる.
∫
+∞
iA (x)e2πiσx dx
−∞
∫ +∞ ∫ ∞
=
V (σ ′ ) cos [2πσ ′ x − φA (σ ′ )] · e2πiσx dσ ′ dx
−∞
0
(3.3)
∫ +∞ ∫ ∞
]
1 [ 2πiσ′ x−iφA (σ′ )
′
2πiσx
′
−2πiσ ′ x+iφA (σ ′ )
=
V (σ ) ·
·e
dσ dx
e
+e
2
−∞
0
∫ +∞ ∫ ∞
]
1 [ 2πix(σ+σ′ )−iφA (σ′ )
′
′
=
V (σ ′ ) ·
e
+ e2πix(σ−σ )+iφA (σ ) dσ ′ dx
2
−∞
0
IA (σ) =
13
デルタ関数の性質 δ(σ) =
1
IA (σ) =
2
∫
∞
∫ +∞
−∞
e2πiσx dx =
∫ +∞
−∞
e−2πiσx dx より
[
]
′ −iφA (σ ′ )
′ iφA (σ ′ )
+ δ(σ − σ )e
dσ ′
V (σ ) δ(σ + σ )e
′
(3.4)
0
また σ ′ > 0 より,(3.5) 式が成り立つ.
∫
1 ∞
′
IA (σ) =
V (σ ′ )δ(σ − σ ′ )eiφA (σ ) dσ ′
2 0
1
= V (σ)eiφA (σ)
2
(3.5)
同様に,(3.2) 式のフーリエ変換は (3.6) 式となる.
1
IB (σ) = V (σ)eiφB (σ)
2
(3.6)
(3.5),(3.6) 式より,位相を抽出することで位相差は (3.7) 式のように導出される.
φ(σ) = φA (σ) − φB (σ)
= 2πn + φ′ (n = 0, 1, 2 · · · )
(3.7) 式における φ′ が位相誤差となる.
14
(3.7)
3.2
3.2.1
実験
実験系構成と実験方法
PC#2
MZI array
Polarizer
Transimpedance
Amplifier
Photodetector
PC#1
PC#3
High-pass
filter
Zero cross
detector
1.3 µm
A/D converter
WDM
splitter
Stage
1.5 µm
Signal processing
PC: Polarization controller
図 3.2: 低コヒーレンス光干渉の実験系
図 3.2 に低コヒーレンス光干渉の実験系を示す.光源には 1.5µm 帯の端面発光
ダイオードを用い,サンプリング用のクロックを発生させるために,参照光とし
て波長 λ(≈1.3µm) のコヒーレントなレーザを使用した.測定用 MZI の一方のアー
ムに,移動ステージをベースにした可変遅延ラインを設置して参照光の光路長を
変化させた.他方のアームには各 MZI を順次光結合させ,MZI を伝播した光と参
照光を後段の光カプラで合波させた.ステージの移動にともなって発生するビー
ト信号を光路長が λ/2 変化するごとにサンプリングすることにより,31 台の MZI
からのインターフェログラムを取得した.MZI には 2 本の光路が存在するため,
孤立した 2 つのビート信号が観測される.これらの孤立ビート信号をフーリエ変
換して位相スペクトルを導出することにより,リトロー波長における位相誤差を
導出される.なお,測定は各 MZI に対して 20 回ずつ行い,その平均を位相誤差と
した.この測定を 10 回行い,各 MZI に対する標準偏差を求めた.測定のフロー
チャートを図 3.3 に示す.
図 3.4 に参照光によるサンプリングの原理を示す.ステージを稼働させると,
1.3µm 帯のレーザ出力側からビート信号が発生する.ビート信号はハイパスフィ
ルタにより直流成分が除去され,ゼロクロスディテクタに信号が入力される.ゼロ
クロスディテクタは,信号が 0V のときサンプリング用のクロックを発生し,A/D
コンバータはクロックが発生するごとに信号をサンプリングする.サンプリング
周波数は信号光の 2 倍以上であることからエイリアシングを防ぐことができる.
15
MZI#1 䛛䜙 #31䜢 ᐃ
MZI#k ᐃ
䜲䞁䝍䞊䝣䜵䝻䜾䝷䝮
M=20ಶ ᐃ
఩┦ㄗᕪᑟฟ
ε k ,1
1ᅇ┠
ᖹᆒ್ᑟฟ
M
ε k ,2
2ᅇ┠
k ,m
m =1
M
䞉䞉䞉
䞉䞉䞉
20ᅇ┠
εk =
∑ε
ε k ,20
10ᅇ⧞䜚㏉䛧
図 3.3: 測定のフローチャート
DCᡂศ㝖ཤ
䝃䞁䝥䝸䞁䜾䜽䝻䝑䜽
ཧ↷ග䛾༙Ἴ㛗䛷
䜽䝻䝑䜽䛜Ⓨ⏕
8V
ཧ↷ග(1.3µm Laser)
ಙྕග(1.5µm LED)
䝃䞁䝥䝸䞁䜾㟁ᅽ
䜲䞁䝍䞊䝣䜵䝻䜾䝷䝮
ග㊰㛗ᕪ x
図 3.4: サンプリングの原理
16
3.2.2
導波路型 MZI アレイ分光器の構成
図 3.5,3.6 は,それぞれ従来型 MZI アレイの構成および今回の実験で使用し
た FISH(Fourier-transform, Integrated-optic Spatial Heterodyne spectrometer) 型
MZI アレイの構成を示す.従来型 MZI アレイは,一枚のチップの中に導波路が一
つ一つ独立して設計されている.一方,本研究で用いた FISH 型 MZI アレイは,
図 3.6 に示すように一枚のチップの中に導波路同士がクロスするように設計され
ており,MZI を多数配列することができるという優れた利点がある.
0
∆x
2 ∆x
…
( N − 1)∆x
図 3.5: 従来型 MZI 分光器アレイの構成
input coupler
output coupler
qN-1
N-th MZI
pN-1
q0
1st MZI
p0
図 3.6: FISH 型導波路型 MZI アレイ分光器 (AiDi(株) 岡本勝就氏提供)
17
表 3.1 に今回の実験で使用した FISH 型 MZI アレイの各パラメータを示す.ま
た,各パラメータについて補足をする.
表 3.1: 実験で使用した MZI アレイの各パラメータ
リトロー波長 λ [†1]
コア幅 2a
コア太さ 2t
コア屈折率 n1
クラッド屈折率 n0
比屈折率差 ∆ [†2]
開口数 NA [†3]
V パラメータ [†4]
MZI 数
FSR(Free Spectral Range)
実寸長 ∆L [†5]
光路長 ∆x [†5]
1555.707 nm
6.0 µm
6.0 µm
1.454585
1.432600
1.5 %
0.2519
3.0639
32
625 GHz
324.009 µm
471.299 µm
[†1] リトロー波長
付録 A.2 に示す.
[†2] 比屈折率差
比屈折率差 ∆ は (3.8) 式で定義される.
∆≡
n21 − n20
× 100 [%]
2n21
(3.8)
比屈折率差は光導波路の分野で頻繁に利用されるパラメータであり,比屈折率差
が大きい場合は,光ファイバの集光能力が向上し,光源との結合が容易となる.
しかし,比屈折率差が大きくなると損失や分散が大きくなるため,最適な値を決
める必要がある.
[†3] 開口数 NA
開口数 NA は (3.9) 式で定義される.
√
√
NA ≡ n1 2∆ = n21 − n20
(3.9)
18
[†4] V パラメータ
V パラメータは (3.10) 式で定義される.このとき λ は光源の波長である.
(
)
√
2π
V ≡ k0 n1 a 2∆ k0 =
λ
(3.10)
V パラメータと同時に利用されるパラメータとして規格化伝搬定数 b があり,(3.11)
式で規格化される.このとき θ は伝搬角である.
b=
(
)
(β/k0 )2 − n20
β
=
k
n
cos
θ
0 1
n21 − n20
(3.11)
今回使用した MZI アレイの分散曲線 (V -b 曲線) を図 3.7 に示す.今回の実験で使
用した MZI アレイの V パラメータは 3.06 であることから E11 ,E12 ,E21 の多モー
ドが存在している.
9VWRS
9VWDUW
1XPEHU
1.0
0.9
p
0.8
0.7
E11
E12
E21
E22
0.6
&RUHZLGWK
0.5
P
&RUHKHLJKW
0.3
P
0.4
0.2
5HIUDFWLYHLQGH[
0.1
0.0
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
:DYHOHQJWK
P
'DWD
6.0
7.0
8.0
9.0 10.0
V
図 3.7: 実験で使用した MZI アレイの分散曲線
[†5] 実寸長 ∆L,光路長 ∆x
MZI の実寸長 ∆L と光路長 ∆x は (3.12) 式で表される.
∆x = n1 ∆L
(3.12)
19
3.3
実験結果
MZI#1 から MZI#31 までの 31 台の MZI から,低コヒーレンス光干渉により
得られたインターフェログラムを図 3.8 に示す.孤立した 2 つのインターフェロ
グラムの間隔は,MZI#1 から MZI#31 までおよそ ∆x(=471µm) の間隔で増加し
ていることが分かる.しかしながら,厳密にはこれらの間隔は ∆x の整数倍より
もわずかにずれており,このずれをフーリエ変換により導出するのも低コヒーレ
ンス光干渉法の特徴である.MZI#0 は光路長が一致するためインターフェログ
ラムが 1 つしか発生せず,アーム間の位相差を導出することができないのでイン
ターフェログラムは測定しなかった.
20
#1
#2
#3
#4
#5
#6
#7
#8
#9
#10
#11
#12
#13
#14
#15
#16
#17
#18
#19
#20
#21
#22
#23
#24
#25
#26
#27
#28
#29
#30
#31
図 3.8: インターフェログラムの結果
21
実験では各 MZI のインターフェログラムを 20 回測定し,その平均値をフーリ
エ変換することにより位相誤差を導出した.20 回の測定の変動差を図 3.9 に示す.
図 3.9 を見て分かるように 10 回分の測定では大きな変動は生じていないことが分
かる.
0.30
1ᅇ┠
2ᅇ┠
3ᅇ┠
4ᅇ┠
5ᅇ┠
6ᅇ┠
7ᅇ┠
8ᅇ┠
9ᅇ┠
10ᅇ┠
20ᅇ䛾ኚືᕪ [rad]
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
1
3
5
7
9
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31
MZI䜰䝺䜲␒ྕ #k
図 3.9: 位相誤差の変動差
得られたインターフェログラムをフーリエ変換することで求めた 10 回分の位
相誤差の結果を図 3.10 に示す.
1ᅇ┠
2ᅇ┠
3ᅇ┠
4ᅇ┠
5ᅇ┠
6ᅇ┠
7ᅇ┠
8ᅇ┠
9ᅇ┠
10ᅇ┠
3.0
఩┦ㄗᕪ [rad]
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
1
3
5
7
9
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31
MZI䜰䝺䜲␒ྕ #k
図 3.10: 各 MZI アレイの位相誤差
22
10 回分の位相誤差の標準偏差を図 3.11 に示す.標準誤差の平均値は 0.020rad
すなわち 1.15◦ であった.10 回分の測定を比較すると,大きな変動は生じていな
いことが分かる.また,参照光の出力は MZI ごとに変化しているため,MZI ご
とに参照光の波長を変化させ,参照光の出力がアンプの電源電圧を超えないよう
に,ピークツーピーク電圧 Vpp を 8V 程度に調整してから測定を行った.これは,
参照光の出力 Vpp が 2V 以下となると標準偏差が大きくなってしまったためであ
る.
0.10
ᶆ‽೫ᕪ [rad]
0.08
0.06
0.04
0.02
0.00
1
3
5
7
9
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31
MZI䜰䝺䜲␒ྕ #k
図 3.11: 10 回分の標準偏差
3.4
考察
MZI アレイの位相誤差測定では,∆L=324µm,FSR=625GHz である FISH 型
MZI アレイの測定を行った.
低コヒーレンス光干渉により,測定したインターフェログラムをフーリエ変換
することにより位相誤差を導出した.今回の実験で測定した位相誤差では,測定
誤差による標準偏差 δrms は 0.020rad となるので,−10 log(δrms ) の値は 16.89dB
となった.従って,スペクトル形状に依存する係数 α を 0.3 とした場合,SSR の
値は 22.12dB と見積もれる.SSR は 20dB 以上であることから,低コヒーレンス
干渉計で得られた位相誤差値を用いて信号処理することにより,ピークに対して
1/100 程度のスペクトル成分も検出できるようになると予想される.
23
第4章
2×4MMI カプラの設計
4.1
BPM の基礎とカプラの設計
4.1.1
2 次元および 3 次元ビーム伝搬法
光導波路解析の分野において定番的な手法がビーム伝搬法 (Beam Propagation
Method : BPM) である.ビーム伝搬法の原理について説明する [9].
z
x
y
y
ൈ
↓㝈㛗
x
z
᩿㠃ᅗ
図 4.1: 2 次元スラブ導波路
図 4.1 のように y 方向に一様な構造を持つ 2 次元のスラブ導波路を TE 波が伝
搬する場合について考える.このときの波動方程式は (4.1)∼(4.3) 式となる.
∂ 2 Ey ∂ 2 Ey
+
+ k02 n2 Ey = 0
∂x2
∂z 2
−i ∂Ey
Hx =
ωµ0 ∂z
i ∂Ey
Hz =
ωµ0 ∂x
(4.1)
(4.2)
(4.3)
Hx ,Hz は Ey から一意に定まるため,(4.1) 式のみを考える.(4.1) 式は,楕円形
の偏微分方程式であることから,解析領域全域のフィールド分布を一度に求める
必要がある.差分法を使用した場合,解析領域全体のサンプリング点における Ey
の値を未知数とする連立一次方程式を解く必要がある.未知数は非常に多く,解
くには膨大な計算時間がかかる.そのため,次の 3 つの条件を仮定する.
1. 進行方向と逆向きの反射波は存在しない.
2. 比屈折率差 ∆ は小さい.1% 以下あるいは大きくても数% 以下である.
3. 光の伝搬方向と z 軸との角度は小さい.5◦ 以下あるいは大きくても 10◦ 以
下である.
24
z 方向に伝搬する導波モードや放射モードの解は (4.4) 式で表される.
Ey (x, z) = ϕ(x)e−ik0 ne z
(4.4)
ne は等価屈折率,k0 = 2π/λ(λ:真空中の波数) である.この導波路の場合,光波
が z 方向に伝搬するとき,Ey はどの地点においても z 方向に 1 波長あたり ne 回
程度の振動をする.したがって,Ey はあらゆる地点で同じ振動をすることが予想
される.そこで F (x, z) という関数を導入し,(4.5) 式のように表す.
Ey (x, z) = F (x, z)e−ik0 nr z
(4.5)
nr は参照屈折率と呼ばれ,nr を n0 ≤ nr ≤ n1 に設定すると,F (x, z) は z 方向に
極めて緩やかに振動する関数になる.したがって (4.1) 式は (4.6) 式となる.
∂ 2F
∂ 2F
∂F
+
+ k02 (n2 − n2r )F = 2ik0 nr
2
2
∂x
∂z
∂z
(4.6)
(4.6) 式をパデ式といい,関数近似を行ったものをパデ近似という.パデ近似 (m,n)
と表記されている場合,パデ展開の分子を m 次式,分母を n 次式で打ち切ること
を示している.
(4.6) 式において,∂ 2 F/∂z 2 は他の項に比べ非常に小さい.そのため,∂ 2 F/∂z 2
を無視した式は (4.7) 式で表される.
∂ 2F
∂F
+ k02 (n2 − n2r )F = 2ik0 nr
2
∂x
∂z
(4.7)
(4.7) 式を近軸式といい,関数近似を行ったものを近軸近似という.
(4.7) 式を (4.1) 式と比較すると,z 方向の微分の階数が 1 つ減り,放物形の偏
微分方程式となる.したがって,楕円形とは異なり z 方向に順次解いていくこと
が可能となる.一般的な目安として,z 軸とのなす角が 10◦ 以内の場合は近軸式,
25◦ 以内の場合はパデ近似 (1,1) を用いる.上記の内容を整理したものを表 4.1 に
示す.
25
表 4.1: 近似法の種類
種類
z 軸方向の 2 階微分
導波路の形状
近軸近似
パデ近似
無視できる
無視できない
緩やかな導波路
急な導波路
(4.7) 式をそのまま差分化したものを差分ビーム伝搬法 (FD-BPM) という.一
方,x 方向に有限要素法を用いたものを有限要素ビーム伝搬法 (FE-BPM) という.
一般に差分ビーム伝搬法が広く用いられている.各々の特性を表 4.2 に示す.
表 4.2: 解析法の種類
種類
理論の難易度
コーディング
処理速度
差分ビーム伝搬法
有限要素ビーム伝搬法
低い
高い
容易
複雑
速い
遅い
(4.7) 式を差分で定式化するためには離散化を行う.差分には,陽解法,陰解法,
クランク・ニコルソン法がある.各々の方法の特徴を表 4.3 に示す.
表 4.3: 差分法の種類
種類
陽解法
陰解法
クランク・
ニコルソン法
特徴
·
·
·
·
·
·
·
·
·
·
x 軸方向に前進差分,z 軸方向に中心差分を用いる.
安定条件を満たさないと不安定現象が起こる.
安定条件を満たす伝搬方向の刻み幅は極めて小さい.
x 軸方向に後退差分,z 軸方向に中心差分を用いる.
常に安定に計算できる.
伝搬方向の刻み幅を大きく設定 (波長程度) できる.
x 軸方向に中心差分, z 軸方向に中心差分を用いる.
常に安定に計算できる.
伝搬方向の刻み幅を大きく設定 (波長程度) できる.
陰解法より精度が高い.
26
異なる媒質の境界では境界条件を考えなければならない.境界条件の種類と特
徴を表 4.4 に示す.
表 4.4: 境界条件の種類
種類
透過境界条件 (TBC)
完全整合層 (PML)
ディリクレ境界条件
ノイマン境界条件
特徴
·
·
·
·
·
·
·
·
境界付近で吸収関数を掛け合わせる方法.
最も使われており,高速計算が可能である.
コーディングが容易.
TBC より性能が良い.
コーディングの難易度が高い.
境界の外側に余分なサンプリング点が必要.
境界上の電界の値を与える方法.
境界における解の勾配を与える方法.
実際の導波路は 3 次元であり,コアがクラッドに取り囲まれた構造となって
いる.実際に 3 次元 BPM(3D-BPM) によりシミュレーションを行うと,2 次元
BPM(2D-BPM) に比べ計算量が非常に多く,フィールドの可視化が難しいなどの
問題点がある.そのため,今回の計算では 2D-BPM で基本設計を行い,3D-BPM
でパラメータを微調して最適設計を行った.設計した MMI カプラは非常に長い
導波路で構成されていことから,光線近似による 2D-BPM と 3D-BPM ではほぼ
同一の結果が得られると考えられる.
3D-BPM の原理は以下の通りである [9].マックスウェル方程式は (4.8),(4.9)
式で表される.
∇ × E = −iωµH
(4.8)
∇ × H = iωεE
(4.9)
(4.8) 式において,∇ × (∇ × E) = ∇(∇ · E) − ∇2 E の関係式と,µ = µ0 ,ω 2 µ0 ε =
k02 n2 (k0 = 2π/λ) を用いると,(4.10) 式に示す関係式が得られる.
∇2 E − ∇(∇ · E) + k02 n2 E = 0
(4.10)
∇(∇ · E) は差分化を行うと不安定な項となる.これは屈折率が異なる境界面で
電場の法線成分が不連続になるためである.このため,∇(∇ · E) の変換を行う.
27
(4.9) 式より (4.11) 式となる.
∇·E =−
∇ε · E
ε
(4.11)
(4.11) より,(4.12) 式が成り立つ.
(
∇ E+∇
2
∇ε
·E
ε
)
+ k02 n2 E = 0
(4.12)
このとき,左辺第 2 項 ∇(∇ε/ε · E) は屈折率の空間微分を含んでいる.そのため,
屈折率が一様な場所では 0 となり,コアやクラッドの境界面付近では変化する.
屈折率の空間微分を無視したものは (4.13) 式で表される.各成分はすべて同じ
ものであり,1 つの成分について解けばよい.これをスカラ波解析という.
(
∂2
∂2
∂2
+
+
∂x2 ∂y 2 ∂z 2
)
(Ex , Ey , Ez ) + k02 n2 (Ex , Ey , Ez ) = 0
(4.13)
一方,屈折率の空間微分を考慮したものをフルベクトル波解析と呼ばれる.
(4.12) 式の左辺第 2 項 ∇(∇ε/ε·E) の各成分表示は (4.14)∼(4.16) 式で表される.
(
)
∂ 1 ∂ε
1 ∂ε
1 ∂ε
x 成分 :
Ex +
Ey +
Ez ≃
∂x ε ∂x
ε ∂y
ε ∂z
(
)
1 ∂ε
1 ∂ε
∂ 1 ∂ε
Ex +
Ey +
Ez ≃
y 成分 :
∂y ε ∂x
ε ∂y
ε ∂z
(
)
1 ∂ε
1 ∂ε
∂ 1 ∂ε
Ex +
Ey +
Ez ≃
z 成分 :
∂z ε ∂x
ε ∂y
ε ∂z
(
)
∂ 1 ∂ε
Ex
∂x ε ∂x
(
)
∂ 1 ∂ε
Ey
∂y ε ∂y
(
)
∂ 1 ∂ε
Ez
∂z ε ∂z
(4.14)
(4.15)
(4.16)
このとき,x 成分 (4.14 式) の左辺第 2 項は偏波の結合を表す項であり,無視できる
場合が多い.さらに,ε は長手方向 (z 方向) に一様と考えているので,∂ε/∂z = 0
とおける.これらの 2 条件により,x 成分は右辺に示すような Ex だけの式に分離
され,計算が容易となる.y 成分,z 成分についても同様に Ey ,Ez だけの式に分
離される.これをセミベクトル波解析という.
3 次元 BPM では,演算子分割に基づく ADI 法 (Alternating Direction Implicit:
交互方向陰的差分法) がある.ADI 法は x 方向と y 方向を互いに陰解法で解析す
る手法である.z 方向のサンプリング幅 ∆z の制約がなく,高速計算かつコーディ
ングが容易であることから最も利用されている.
28
4.1.2
2×4 ハイブリッド型カプラ
eiφ
eiφ
E0(ν)
2™2MMI
coupler
2™2MMI
coupler
ei 0
2™2MMI
coupler
E0(ν)
(a) 2 入力 2 出力 (2×2)
ei 0
2™4MMI
coupler
φ1ࠉ
φࠉ
2
φࠉ
3
φࠉ
4
(b) 2 入力 4 出力 (2×4)
図 4.2: MZI アレイのカプラ構成
我々が検討している MZI アレイは,図 4.2 に示すように,従来の MZI アレイ
(a) の出射側の 2×2MMI カプラを 2×4MMI カプラに置き換えたものである.前
段のカプラより入力信号 E0 が入射され,長い導波路 (位相誤差 ϕ) と短い導波路
を通り,後段のカプラより出力される.このときの 2×4MMI カプラの出力位相
を ϕ1 ,ϕ2 ,ϕ3 ,ϕ4 とする.
2×4Hybrid coupler
eiϕ1
iφ
e
φ1 iϕ2
φ 2
e
ei 0
E0
φ 3
eiϕ2
φ 4
eiϕ1
ei 0
i π2
e
図 4.3: ハイブリッドカプラ
図 4.3 は,図 4.2(b) の位相変化を理想化したハイブリッドカプラである.図 4.3
の各出力ポートからの位相変化について考える.
29
図 4.4 のように位相 ϕ1 は 2 つの経路の位相差となる.したがって,位相 ϕ1 は
(4.17) 式となる.
ϕ1 =
(π
2
+ϕ+
) (
π
π
π)
+ φ1 + 0 − 0 + 0 + + φ2 +
2
2
2
(4.17)
= ϕ + (φ1 − φ2 )
eiϕ1
eiφ
φ1 iϕ2
φ 2
e
ei 0
E0
φ 3
eiϕ2
φ 4
eiϕ1
ei 0
i π2
e
図 4.4: 位相 ϕ1 の導出
図 4.5 より,位相 ϕ2 は (4.18) 式となる.
ϕ2 =
)
π
π) (
π
+ ϕ + + φ1 +
− 0 + 0 + + φ2 + 0
2
2
2
2
(π
(4.18)
= ϕ + (φ1 − φ2 ) + π
eiϕ1
iφ
e
φ1 iϕ2
φ 2
e
ei 0
E0
φ 3
eiϕ2
φ 4
eiϕ1
ei 0
図 4.5: 位相 ϕ2 の導出
30
i π2
e
図 4.6 より,位相 ϕ3 は (4.19) 式となる.
ϕ3 =
(π
) (
π)
+ ϕ + 0 + φ2 + 0 − 0 + 0 + 0 + φ1 +
2
2
(4.19)
= ϕ + (φ2 − φ1 )
eiϕ1
iφ
e
φ1 iϕ2
φ 2
e
ei 0
E0
φ 3
eiϕ2
φ 4
eiϕ1
ei 0
i π2
e
図 4.6: 位相 ϕ3 の導出
図 4.7 より,位相 ϕ4 は (4.20) 式となる.
ϕ4 =
(π
2
+ ϕ + 0 + φ2 +
π)
− (0 + 0 + 0 + φ1 + 0)
2
(4.20)
= ϕ + (φ2 − φ1 ) + π
eiϕ1
iφ
e
φ1 iϕ2
φ 2
e
ei 0
E0
φ 3
eiϕ2
φ 4
eiϕ1
ei 0
図 4.7: 位相 ϕ4 の導出
31
i π2
e
理想的なカプラの条件 φ2 − φ1 = π/2 を適用すると,各ポートからの出力位相
は (4.21)∼(4.24) 式となる.
π
2
π
ϕ2 = ϕ +
2
π
ϕ3 = ϕ +
2
3
ϕ4 = ϕ + π
2
ϕ1 = ϕ −
(4.21)
(4.22)
(4.23)
(4.24)
(4.21)∼(4.24) 式より,(4.25)∼(4.28) 式が成り立つ.また,これらの関係をベ
クトル図にしたものを図 4.8 に示す.
ϕ2 − ϕ1 = π
(4.25)
ϕ4 − ϕ3 = π
(4.26)
ϕ3 − ϕ1 = π
(4.27)
ϕ4 − ϕ2 = π
(4.28)
π
φࠉ
2 φࠉ
3
2
φ1ࠉφࠉ
4
図 4.8: ハイブリッドカプラのベクトル図 (ϕ1 基準)
32
ei (ϕ1 +θ )
eiφ
φ1 iϕ2
φ 2
e
ei 0
E0
φ 3
eiϕ2
φ 4
eiϕ1
ei 0
i π2
e
図 4.9: 位相シフトを取り付けた場合
次に,図 4.9 のようにカプラの内部で位相を θ シフトさせた場合について考え
る.このとき,出力ポートからの位相は (4.29)∼(4.32) 式となる.
ϕ1 =
(π
2
+ϕ+
) (
π
π
π)
+ φ1 + θ + 0 − 0 + 0 + + φ2 +
2
2
2
(4.29)
= ϕ + θ + (φ1 − φ2 )
ϕ2 =
(π
2
+ϕ+
)
π
π
π) (
− 0 + 0 + + φ2 + 0
+ φ1 + θ +
2
2
2
(4.30)
= ϕ + θ + (φ1 − φ2 ) + π
ϕ3 =
) (
π)
+ ϕ + 0 + φ2 + 0 − 0 + 0 + 0 + φ1 +
2
2
(π
(4.31)
= ϕ + (φ2 − φ1 )
ϕ4 =
(π
2
+ ϕ + 0 + φ2 +
π)
− (0 + 0 + 0 + φ1 + 0)
2
= ϕ + (φ2 − φ1 ) + π
33
(4.32)
理想的なカプラの条件 φ2 − φ1 = π/2 を適用すると,各ポートからの出力位相
は (4.33)∼(4.36) 式となる.
π
2
π
ϕ2 = ϕ + θ +
2
π
ϕ3 = ϕ +
2
3
ϕ4 = ϕ + π
2
ϕ1 = ϕ + θ −
(4.33)
(4.34)
(4.35)
(4.36)
(4.33)∼(4.36) 式より,(4.37)∼(4.40) 式が成り立つ.
ϕ2 − ϕ1 = π
(4.37)
ϕ4 − ϕ3 = π
(4.38)
ϕ3 − ϕ1 = π − θ
(4.39)
ϕ4 − ϕ2 = π − θ
(4.40)
ここで θ = π/2 とおくと,(4.37)∼(4.40) 式は (4.41)∼(4.44) 式となる.また,こ
れらの関係をベクトル図にしたものを図 4.10 に示す.
ϕ2 − ϕ1 = π
(4.41)
ϕ4 − ϕ3 = π
π
ϕ3 − ϕ1 =
2
π
ϕ4 − ϕ2 =
2
(4.42)
(4.43)
(4.44)
φࠉ
3
π
φࠉ
2
2
φ1ࠉ
φࠉ
4
図 4.10: 位相シフタ型ハイブリッドカプラのベクトル図 (ϕ1 基準)
34
Balanced PD
eiφ
E0
2×2MMI
coupler
i0
e
2×4MMI
coupler
φ1 I1
φ 2
I2
φ 3
I3
φ 4
I4
Transimpedance
Amplifier
IA
2
α E0 cos φ
IB
α E02 sin φ
図 4.11: 各ポートからのパワーと位相の関係
図 4.11 のように各ポートからのパワーを I1 ,I2 ,I3 ,I4 とおくと,(4.33)∼(4.36)
式より,パワーは (4.45)∼(4.48) 式となる.
1
I1 = E02 (1 + cos ϕ)
2
1 2
1
I2 = E0 [1 + cos(ϕ + π)] = E02 (1 − cos ϕ)
2
2
(
π )] 1 2
1 2[
= E (1 − sin ϕ)
I3 = E0 1 + cos ϕ +
2 [
2 )] 2 0
(
1
3
1
I4 = E02 1 + cos ϕ + π
= E02 (1 + sin ϕ)
2
2
2
(4.45)
(4.46)
(4.47)
(4.48)
このとき,アンプからの出力 IA ,IB は (4.49),(4.50) 式となる.
IA = I1 − I2 = αE02 cos ϕ (α : 定数)
(4.49)
IB = I3 − I4 = αE02 sin ϕ
(4.50)
第 1 章で述べた通り,Dynamic な位相シフト法では,ヒータで加熱することに
より (2.6) 式に示す出力 VP の位相を π/2 シフトさせて Quadrature 成分を得てい
た.しかし,ヒーターを用いて加熱する方法は,実用性が乏しく,安定性に問題
があった.今回提案する Static な位相シフト法では,2×4MMI カプラの 2 出力か
らは In-phase 成分 (4.49 式),他の 2 出力からは Quadrature 成分 (4.50 式) が得ら
れることになるので,複素フーリエ変換を用いてスペクトルを一意的に導出する
ことが出来る.
35
4.1.3
2×4MMI カプラの設計
Balanced PD
Phase shifter − π
SI: QPSK Signal
LO: Local Oscillator
4
CH-1
S+L
CH-2
In1: SI
2×4MMI
coupler
In2: LO
S-L
CH-3
2×2MMI
coupler
Ls24
In-phase
S+jL
CH-4
Quadrature
S-jL
Lm22
図 4.12: 2×4MMI カプラ [10]
図 4.12 は,2 つの MMI により構成された 2×4MMI カプラである.2×4MMI カ
プラを出た直後の位相は,CH-1 と CH-2 間および CH-3 と CH-4 間ではそれぞれ
π となる.その後,2×2MMI カプラにより CH-3 と CH-4 間の位相が π/2 シフト
される.これにより,CH-1 と CH-2 間の位相は In-phase 成分,CH-3 と CH-4 間
の位相は Quadrature 成分となる.表 4.5 に入力ポートの位相差 ∆Φ(=In1−In2)
と各出力ポートのベクトル関係を示す.
表 4.5: 出力ポートのベクトル関係
位相差
CH-1
CH-2
CH-4
CH-3
S
∆Φ = 0
-L
S
S
L
jL
-jL
S
-S
∆Φ = π
-S
-L
L
-S
jL
-jL
-S
∆Φ = π
2
∆Φ = − π
2
jS
jS
jS
jS
-L
L
jL
-jL
-L
L
jL
-jS
-jS
-jL
-jS
-jS
36
ධຊ
䝫䞊䝖
CH-1
CH-2
In1
CH-1
CH-2
ධຊ
䝫䞊䝖
In2
CH-3
CH-4
(a) 振幅特性 (In1)
CH-3
CH-4
(b) 振幅特性 (In2)
図 4.13: 位相シフタを取り付けなかった場合
図 4.12 に示すように,2×4MMI カプラと 2×2MMI カプラの間には −π/4 位相
シフタを取り付ける.位相シフタを取り付けなかった場合の振幅特性を図 4.13 に
示す.入力ポート In1 から光を入射させた場合は CH-4 からの出力は非常に小さ
くなる一方,入力ポート In2 から入射させた場合には CH-3 の出力が小さくなっ
てしまう.ここで,CH-3 と CH-4 の間の固有位相 ∆φ34 (2×4MMI カプラ直後の位
相差) は −π/4 である [10].そのため,位相シフタを取り付けなければ,最大の強
め合う干渉と弱め合う干渉が起こらない.位相シフタを取り付けた場合,表 4.5
のようなベクトル関係となり,Quadrature 成分のパワーの減少や,クロストーク
を抑えることができる.
Tapered 2×4MMI
coupler
Balanced PD
S+L
In1: SI
In2: LO
In-phase
S-L
Wms
Wmf
Wm
Ls24
2×2MMI
coupler
S+jL
S-jL
Quadrature
Lm22
図 4.14: 2×4MMI カプラ [11]
図 4.14 は,テーパー型 2×4MMI カプラと 2×2MMI カプラにより構成された
2×4MMI カプラである.これは,−π/4 位相シフタをテーパー内の光路差を利用
することで等価的に発生させたものである.したがって,−π/4 位相シフタの複
雑な設計を省略することができる.
37
Rw
CH-1
CH-2
z
C0(x0, y0)
CH-3
CH-4
ᣑ኱
⮬ᕫ⤖ྜ
x
∆L1 2™2MMI
coupler
∆L2
図 4.15: 2×4MMI カプラと波面の関係
図 4.15 は,図 4.14 のカプラを座標軸上に示したものである.半径 Rw を中心と
した円は波面であり,2×4MMI カプラと 2×2MMI カプラの接続部付近の円周上
で自己結像する.このとき,円周上から 2×2MMI カプラとの光路差 ∆L1 − ∆L2
が CH-3 と CH-4 の間の位相差として生じる.
CH-1
CH-2
CH-3
T2
CH-4
K2
x
᥋⥺
z
T1
K1
T1(x1, z1) , T2(x2, z2)
K1(x3, z3) , K2(x4, z4)
図 4.16: カプラ上の各地点および接線成分との関係
図 4.16 のようにカプラ上の各地点を T1 (x1 , z1 ),T2 (x2 , z2 ),K1 (x3 , z3 ),K2 (x4 , z4 )
とすると,図 4.15 の円の中心座標 Rw は,一次関数の関係式より (4.51) 式となる.
)
)
(
(
z4 − z3
· x4
C0 (x0 , z0 ) = 0, z4 −
x4 − x3
38
(4.51)
また,円の半径 Rw は (4.52) 式となる.
Rw = Ls24 − z0
(4.52)
このとき,光路差 ∆L1 − ∆L2 は (4.53) 式となる.
∆L1 − ∆L2 =
√
x21 + Rw2 −
√
x22 + Rw2
(4.53)
光路差により発生する位相 ∆ρ34 は (4.54) 式となる.
∆ρ34 =
2π
neq (∆L1 − ∆L2 )
λ
(4.54)
このとき,λ は入力波長,neq は等価屈折率である.このとき,テーパー型 2×4MMI
カプラの CH-3 と CH-4 の間の位相差 ∆θ34 は (4.55) 式で表される.
∆θ34 = ∆φ34 + ∆ρ34
(4.55)
∆φ34 はテーパー型 2×4MMI カプラの CH-3 と CH-4 の間の固有の位相である.し
たがって,∆ρ34 が −π/4 のとき,∆θ34 が −π/2 となり最大の干渉条件となる.
39
4.2
シミュレーションフローと設計パラメータ
Tapered 2×4MMI
coupler
Balanced PD
S+L
In1: SI
In2: LO
In-phase
S-L
Wms
Wmf
Wm
2×2MMI
coupler
Ls24
S+jL
S-jL
Quadrature
Lm22
図 4.17: 2×4MMI カプラ
図 4.17 に示すような 2×4MMI カプラの最適設計を行う.テーパー型 2×4MMI
カプラの形状を Linear(直線),Exponential(指数),Parabolic(放物線) の 3 種類に
したとき,カプラのパラメータを変化させて最適なパラメータを導出する.
最適設計は次の手順で行う.なお,実験結果では完成したカプラの特性のみを
示し,最適設計のフロー結果は付録 B,付録 C に示す.
設計フロー
Wmf /Wms の最適値を導出 (2D-BPM) : 付録 B.1
図 4.17 に示すテーパー型 2×4MMI カプラの幅の比 Wmf /Wms を変化させた
とき,テーパー型 2×4MMI カプラの CH-3・CH-4 間の位相差 ∆θ34 が π/2 と
なる値を導出する.
⇓
Wmf の最適値を導出 (2D-BPM) : 付録 B.2
Wmf /Wms の比を固定した状態で,最適な Wmf を導出する.
⇓
Wm ,Lm22 の最適値を導出 (2D-BPM) : 付録 B.3
最適な Wm ,Lm22 を導出する.
⇓
3D-BPM による最適設計 (3D-BPM) :付録 C
2D-BPM により導出した最適値を用い,3D-BPM でシミュレーションを行う.
微調整を行い,最適値を導出する.
40
z
y
Clad
n0=1.438496
CH-1 CH-2
CH-3 CH-4
Core
n1=1.454585
20µm
x
2t=6µm
Input
2d=46µm
20µm
2a=6µm
2w=150µm
図 4.18: カプラの概略図
図 4.18 に設計する 2×4MMI カプラの概略図を示す.MMI と導波路 (入出力ポー
ト) がコアとなり,クラッドに取り囲まれた構造となっている.
表 4.6 に設計に使用したパラメータ,表 4.7 にシミュレーション条件を示す.ま
た,シミュレーション条件について補足する.
41
表 4.6: 設計に使用したパラメータ
(a) 2D-BPM
コア幅 2a
クラッド幅 2w
コア屈折率 n1
クラッド屈折率 n0
比屈折率差 ∆
(b) 3D-BPM
コア幅 2a
コア太さ 2t
クラッド幅 2w
クラッド太さ 2d
コア屈折率 n1
クラッド屈折率 n0
比屈折率差 ∆
6.0 µm
150 µm
1.454585
1.438496
1.1 %
6.0 µm
6.0 µm
150 µm
46 µm
1.454585
1.438496
1.1 %
表 4.7: シミュレーション条件
(a) 2D-BPM
入力波長
入射光
サンプリングメッシュ数 (x 軸)
サンプリングメッシュ数 (z 軸)
近似条件
境界条件
解析法
差分法
1.55 µm
TE 波 (基本モード)
1000 mesh
1.55 µm/mesh
パデ近似 (1,1)
透過境界条件 (TBC)
差分ビーム伝搬法
陰解法
(b) 3D-BPM
入力波長
入射光
サンプリングメッシュ数 (x 軸)
サンプリングメッシュ数 (z 軸)
サンプリングメッシュ数 (y 軸)
解析法
計算法
42
1.55 µm
TE 波 (基本モード)
1000 mesh
1.55 µm/mesh
301 mesh
セミベクトル波解析
ADI 法
【境界条件の選定】
表 4.6(a),4.7(a) の条件において,長さ 500µm の導波路に光を入射させる.こ
のとき,図 4.19 に各境界条件におけるパワー変化 (z=2000µm) を示す.透過境界
条件 (TBC) 以外は反射波の影響によりパワーが振動している.シミュレーション
結果に影響を及ぼすことから,透過境界条件 (TBC) を採用することにした.
-30
Power [dB]
-40
TBC
Dirichlet
PML
Neumann
-50
-60
-70
-75 -50 -25
0
25
x [µm]
50
75
図 4.19: 各境界条件のパワー変化 (z=2000µm)
43
【差分法の選定】
図 4.20 は,クランク・ニコルソン法および陰解法によりシミュレーションを行っ
た場合の Linear タイプの振幅変化である.このとき,各差分条件におけるパワー
変化 (z=6000µm) を図 4.21 に示す.クランク・ニコルソン法は出力ポート間のパ
ワーが振動してしまったため,今回のシミュレーションでは陰解法を採用するこ
とにした.
(a) クランク・ニコルソン法
(b) 陰解法
図 4.20: 各差分条件の振幅変化
10
Power [dB]
0
Implicit method
Crank-Nicolson method
-10
-20
-30
-40
-75 -50 -25
0
25
50
75
x [µm]
図 4.21: 各差分条件のパワー変化 (z=6000µm)
44
【サンプリングメッシュ数の選定】
パラメータを逐次変化させて最適な値を導出するので,サンプリングのメッシュ
数が多い場合,計算時間が膨大となり現実的ではない.そこで,サンプリング数
を十分に小さくした場合の結果と比較し,最適なメッシュ数を選定する.一般に
z 方向のメッシュ数は 1 波長程度とされていることから,1.55µm/mesh とした.
まず,x 軸方向のメッシュ数について考える.メッシュ数 5,000 を基準としたと
き,メッシュ数と標準偏差の関係を図 4.22(a) に示す.図よりメッシュ数が 1,000
以上の場合,標準偏差が 0.4◦ 以下であることが分かった.また,メッシュ数を増
加しても位相に大きな変化がないことからメッシュ数を 1,000 とした.このとき,
1 メッシュ当たりの間隔 ∆x は 0.15µm/mesh であり,信号波長の 1/10 程度となる.
次に y 方向のメッシュ数について考える.メッシュ数 1,001 を基準としたとき,
メッシュ数と標準偏差の関係を図 4.22(b) に示す.結果よりメッシュ数が 101 以
上の場合,標準偏差が 0.3◦ 以下となり,メッシュ数を増加しても大きな変化がな
いことから,x 軸と同様に波長の 1/10 程度の 301 とした.このとき,1 メッシュ
1.0
1.0
0.8
0.8
∆ɔrms [deg]
∆ʔrms [deg]
当たりの間隔 ∆y は 0.153µm/mesh である.
0.5
0.5
0.3
0.3
0.0
0.0
0
1000
2000
3000
4000
0
5000
200
400
600
Number of mesh
Number of mesh
(a) x 軸メッシュ
(b) y 軸メッシュ
図 4.22: メッシュ数と標準偏差 ∆ϕrms
45
800
1000
シミュレーション結果
4.3
4.3.1
2 次元 BPM による基本設計
Tapered 2×4MMI
coupler
Balanced PD
S+L
In1: SI
In2: LO
In-phase
S-L
Wmf
Wms
Wm
Ls24
S+jL
2×2MMI
coupler
Quadrature
S-jL
Lm22
図 4.23: 2×4MMI カプラ
表 4.8 に 2D-BPM により基本設計を行った 2×4MMI カプラのパラメータを示
す.なお,設計手順の結果は付録 B に示す.
表 4.8: 設計したカプラのパラメータ (2D)
Linear タイプ
Wms
Wmf
Wm
Ls24
Lm22
58.86
122
28
2403
1758
Exponential タイプ
µm
µm
µm
µm
µm
66.05
108
25
2191
1415
µm
µm
µm
µm
µm
Parabolic タイプ
66.64
100
23
1929
1213
µm
µm
µm
µm
µm
カプラのサイズは,Linear タイプ,Exponential タイプ,Parabolic タイプの順
に大きい.設計では,出力ポート間の距離が 15µm 以上になるように設計した.
これは,導波路を平行に 2 本並べると,1 つの導波路からもう一方の導波路に光
波が結合してしまうためである (方向性結合器).今回のシミュレーションで使用
したパラメータでは,出力ポート間の距離が 15µm 以上とした場合,このカップ
リングが起こらないことが分かった.したがって,出力ポート間の距離が 15µm
以上になるよう設計した.
46
4.3.2
3 次元 BPM による最適設計
3D-BPM により最適設計を行った 2×4MMI カプラのパラメータを表 4.9 に示
す.なお,設計手順の結果は付録 C に示す.
表 4.9: 設計したカプラのパラメータ (3D)
Linear タイプ
Wms
Wmf
Wm
Ls24
Lm22
4.3.3
58.86
122
28
2402
1758
Exponential タイプ
µm
µm
µm
µm
µm
66.05
108
25
2192
1415
µm
µm
µm
µm
µm
Parabolic タイプ
66.64
100
23
1930
1213
µm
µm
µm
µm
µm
波長特性 (3 次元 BPM)
設計した 2×4MMI カプラの波長特性について述べる.MZI アレイに使用する波
長領域 (1545∼1555nm) での特性を図 4.24∼図 4.26 に示す.計算では,カプラの
パラメータは固定したままにして波長のみを変化させた.図中の (a) は入力ポー
トである In1 と In2 にそれぞれ光を入射させた場合の出力パワーの合計,(b) は
入力ポート In1 と In2 に光を入射させた場合の各ポート間のパワーアンバランス,
(c) は出力ポート間の位相ずれをそれぞれ Linear タイプ,Exponential タイプおよ
び Parabolic タイプの場合について示す.
47
Linear タイプの場合,出力パワーは In1 では-1.47∼-1.51dB,In2 では-1.36∼1.39dB となった.特に実験で使用する波長 1.55µm では,In1 では-1.48dB,In2 で
は-1.36dB となった.パワーアンバランスに関しては,最大 0.51dB となり出力パ
ワーのバランスが十分に取れているといえる.波長 1.55µm では,いずれのポー
トで 0.45dB 以内となった.位相のずれに関しては,CH-2 と CH-4 間で最大 1.76◦
となり,波長 1.55µm ではいずれのポートも 1.05◦ 以内となった.
6.0
0.0
In1(SI)
4.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-3.0
1.545
1.550
-6.0
1.545
1.555
Wavelength [µm]
(b) 波長とパワーアンバランスの関係
∆ʔ [deg]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
10
5
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
1.545
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(a) 波長と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
1.550
1.555
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
1.545
Wavelength [µm]
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(c) 波長と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) 波長と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.24: Linear タイプ
48
Exponential タイプの場合,出力パワーは In1 では-0.96∼-1.03dB,In2 では-0.89
∼-0.98dB となった.特に実験で使用する波長 1.55µm では,In1 では-0.98dB,In2
では-0.92dB となった.パワーアンバランスに関しては,最大 1.49dB となった.
波長 1.55µm では,いずれのポートも 1.38dB 以内となった.位相のずれに関し
ては,CH-2 と CH-4 間で最大 5.63◦ となり,波長 1.55µm ではいずれのポートも
4.24◦ 以内となった.
6.0
1.0
In1(SI)
Imbalance [dB]
0.0
Power [dB]
4.0
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-3.0
1.545
1.550
-6.0
1.545
1.555
(a) 波長と出力パワーの関係
(b) 波長とパワーアンバランスの関係
∆ʔ [deg]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
20
10
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-20
1.545
1.550
1.555
Wavelength [µm]
Wavelength [µm]
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
1.550
1.555
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
1.545
Wavelength [µm]
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(c) 波長と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) 波長と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.25: Exponential タイプ
49
Parabolic タイプの場合,出力パワーは In1 では-0.96∼-1.04dB,In2 では-0.89
∼-0.93dB となった.特に実験で使用する波長 1.55µm では,In1 では-0.99dB,In2
では-0.90dB となった.パワーアンバランスに関しては,最大 1.58dB となった.
波長 1.55µm では,いずれのポートも 1.47dB 以内となった.位相のずれに関し
ては,CH-2 と CH-4 間で最大 11.0◦ となり,波長 1.55µm ではいずれのポートも
9.73◦ 以内となった.
6.0
0.0
In1(SI)
Imbalance [dB]
-0.5
Power [dB]
4.0
In2(LO)
-1.0
-1.5
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-2.0
1.545
1.550
-6.0
1.545
1.555
Wavelength [µm]
(b) 波長とパワーアンバランスの関係
∆ʔ [deg]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
20
10
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-20
1.545
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(a) 波長と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
1.550
1.555
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
1.545
Wavelength [µm]
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(c) 波長と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) 波長と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.26: Parabolic タイプ
50
4.3.4
設計誤差特性 (3 次元 BPM)
カプラを作製した場合,パラメータは設計値からずれてしまい,その特性が変
化すると考えられるので,その変化をシミュレーションした.なお,結果は全て
Linear タイプの場合の特性である.設計誤差は ±1µm 以内と考えられるのでこの
範囲でシミュレーションを行った.
図 4.27 に,CH-1 のポートの位置を x 軸に対して移動させた場合の各特性を示
す.出力パワーは,x 軸の正の方向に移動した場合の方が,負の方向に移動した
場合と比べ,同じ移動距離でも 0.2dB パワーが高いことが分かった.これは,付
録 B.4 の図 B.11(a) から分かるように,光が正の方向に広がっているためである.
±1µm 以内の変動では,損失は最大でも 0.1dB に抑えられることが分かる.パ
ワーアンバランスに関しては,CH-1 のみを移動したため,CH-3/CH-4 は影響を
受けない.±1µm 以内の変動では最大でも 0.49dB の増加となる.位相のずれに
関しては,±1µm 以内の変動で最大でも 1.6◦ のずれとなる.
0.0
3.0
In1(SI)
2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-3.0
-1
-0.5
0
0.5
1
-1
-0.5
Displacement CH-1 [µm]
(a) 出力パワーの関係
Standard Deviation ∆φ [deg]
∆ʔ [deg]
5
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-1
-0.5
0
0.5
0.5
1
(b) パワーアンバランスの関係
10
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
0
Displacement CH-1 [µm]
1
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-1
Displacement CH-1 [µm]
-0.5
0
0.5
Displacement CH-1 [µm]
(c) 位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.27: CH-1 ポートの特性
51
1
図 4.28 に Wms の長さを x 軸に対して変化させた場合の特性を示す.出力パワー
は,±1µm 以内の変動では,損失は最大でも 0.51dB 以内に抑えられることが分か
る.パワーアンバランスに関しては,±1µm 以内の変動では最大でも 0.33dB の
増加となる.位相のずれに関しては,±1µm 以内の変動で最大でも 3.2◦ のずれと
なる.
0.0
3.0
In1(SI)
2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-3.0
-1
-0.5
0
0.5
1
-1
Displacement Wms [µm]
Standard Deviation ∆φ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-1
-0.5
0
0.5
0.5
1
(b) パワーアンバランスの関係
10
5
0
Displacement Wms [µm]
(a) 出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-0.5
1
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
-1
Displacement Wms [µm]
-0.5
0
0.5
Displacement Wms [µm]
(c) 位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.28: Wms の特性
52
1
図 4.29 に Wmf の長さを x 軸に対して変化させた場合の特性を示す.出力パワー
は,±1µm 以内の変動では,損失は最大でも 0.12dB 以内に抑えられることが分か
る.パワーアンバランスに関しては,±1µm 以内の変動では最大でも 0.25dB の
増加となる.位相のずれに関しては,±1µm 以内の変動で最大でも 1.9◦ のずれと
なる.
0.0
3.0
In1(SI)
2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-3.0
-1
-0.5
0
0.5
1
-1
Displacement Wmf [µm]
Standard Deviation ∆φ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-1
-0.5
0
0.5
0.5
1
(b) パワーアンバランスの関係
10
5
0
Displacement Wmf [µm]
(a) 出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-0.5
1
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-1
Displacement Wmf [µm]
-0.5
0
0.5
Displacement Wmf [µm]
(c) 位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.29: Wmf の特性
53
1
図 4.30 に Ls24 の長さを z 軸に対して変化させた場合の特性を示す.出力パワー
は,±1µm 以内の変動では,損失は最大でも 0.01dB 以内に抑えられることが分
かる.パワーアンバランスに関しては,±1µm 以内の変動では最大でも 0.007dB
の増加となる.位相のずれに関しては,±1µm 以内の変動で最大でも 0.27◦ のず
れとなる.
0.0
3.0
In1(SI)
2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-3.0
-1
-0.5
0
0.5
1
-1
Displacement Ls24 [µm]
Standard Deviation ∆φ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-1
-0.5
0
0.5
0.5
1
(b) パワーアンバランスの関係
10
5
0
Displacement Ls24 [µm]
(a) 出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-0.5
1
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-1
Displacement Ls24 [µm]
-0.5
0
0.5
Displacement Ls24 [µm]
(c) 位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.30: Ls24 の特性
54
1
図 4.31 に Lm22 の長さを z 軸に対して変化させた場合の特性を示す.出力パワー
は,±1µm 以内の変動では,損失は最大でも 0.005dB 以内に抑えられることが分
かる.パワーアンバランスに関しては,±1µm 以内の変動では最大でも 0.02dB の
増加となる.位相のずれに関しては,±1µm 以内の変動で最大でも 0.16◦ のずれ
となる.
0.0
3.0
In1(SI)
2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-3.0
-1
-0.5
0
0.5
1
-1
Displacement Lm22 [µm]
Standard Deviation ∆φ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-1
-0.5
0
0.5
0.5
1
(b) パワーアンバランスの関係
10
5
0
Displacement Lm22 [µm]
(a) 出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-0.5
1
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-1
Displacement Lm22 [µm]
-0.5
0
0.5
Displacement Lm22 [µm]
(c) 位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.31: Lm22 の特性
55
1
図 4.32 に Wm の長さを x 軸に対して変化させた場合の特性を示す.出力パワー
は,±1µm 以内の変動では,損失は最大で 1.07dB 以内に抑えられることが分か
る.パワーアンバランスに関しては,±1µm 以内の変動では最大でも 1.72dB の
増加となる.位相のずれに関しては,±1µm 以内の変動で最大でも 19◦ のずれと
なる.Wm は,非常に影響の大きいパラメータであることが分かる.
0.0
3.0
In1(SI)
2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-3.0
-1
-0.5
0
0.5
1
-1
Displacement Wm [µm]
Standard Deviation ∆φ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
10
0
-10
-20
-30
-1
-0.5
0
0.5
0.5
1
(b) パワーアンバランスの関係
30
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
0
Displacement Wm [µm]
(a) 出力パワーの関係
20
-0.5
1
15
10
5
0
-1
Displacement Wm [µm]
-0.5
0
0.5
Displacement Wm [µm]
(c) 位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) ∆ϕ の標準偏差の関係
図 4.32: Wm の特性
56
1
4.4
考察
2×4MMI カプラの設計では,2 次元 BPM と 3 次元 BPM を用いて出力ポート
の位相関係が π/2 となる石英系 MMI カプラの最適設計を行った.
シミュレーション結果より,波長 1.55µm における位相のずれは,Linear タイ
プで最大 1.05◦ ,Exponential タイプで最大 4.24◦ ,Parabolic タイプで最大 9.73◦ と
なった.したがって,Linear タイプが最も理想的なカプラであることが分かった.
付録 B.1 に示したテーパー型 2×4MMI カプラの最大干渉条件では,Wmf /Wms
を変化させて CH-3 と CH-4 間の位相差が π/2 となる地点を求めた.このとき,位
相差は (4.54) 式より導出したが,ここでは接線を利用して位相差を求めた.しか
しながら,Exponential タイプと Parabolic タイプの接線の傾きは地点により異な
るので,Linear タイプは正確な位相差を求めることができるが,それ以外のタイ
プは正確な値が求められない等の問題があった.今後は,Exponential タイプや
Parabolic タイプでも位相差が正確に導出できる解析解を求められれば,更に出
力パワーの損失や位相のずれが低減されるカプラを実現できると考える.
57
謝辞
本論文の作成にあたり 3 年間,厳しくも優しい指導をして頂いた高田和正教授
に心より感謝致します.また,MMI カプラの設計において,文献資料の提供や,
様々な助言をして頂きました千葉明人助教に心より感謝致します.
主査,副査をしてくださり,ご指導を賜りました高橋俊樹准教授,伊藤正久教
授に感謝致します.
本研究で用いた FISH 型導波路 MZI アレイ分光器を提供してくださった AiDi(株)
の岡本勝就氏に感謝致します.
最後になりますが,研究についてご指導いただきました青柳宏隆先輩,研究生
活においてお手伝い頂いた後輩の皆様に心より感謝致します.ありがとうござい
ました.
参考文献
[1] H.Takahashi, S.Suzuki, K.Kato and I.Nishi, ”Arrayed-waveguide grating
for wavelength division multi/demultiplexer with nanometer resolution”,
ELECTRONICS LETTERS Vol.26 No.2, pp.87-88 (1990).
[2] K.Takada, Y.Inoue, H.Yamada and M.Horiguchi, ”Measurement of phase
error distributions in silica-based arrayed-waveguide grating multiplexers
by using Fourier transform spectroscopy”, Electron. Lett. 30, pp.1671-1672
(1994).
[3] K.Takada, T.Tanaka, M.Abe, T.Yanagisawa, M.Ishii, and K.Okamoto,
”Beam-adjustment-free crosstalk reduction in 10GHz-spaced arrayedwaveguide grating via photosensitivity under UV laser irradiation through
metal mask”, Electron. Lett. 36, pp.60-61 (2000).
[4] Miroslaw Florjanczyk, Pavel Cheben, Siegfried Janz, Alan Scott, Brian
Solheim, and Dan-Xia Xu, ”Multiaperture planar waveguide spectrometer formed by arrayed Mach-Zehnder interferometers”, OPTICS EXPRESS
Vol.15 No.26, 18176 (2007).
58
[5] Miroslaw Florjanczyk, Pavel Cheben, Siegfriend Janz, Alan Scott, Brian
Solheim, and Dan-Xia Xu, ”Spatial heterodyne planar waveguide spectrometer: theory and design”, Proc. of SPIE Vol.7099, 70991L-1 (2008).
[6] Katsunari Okamoto, Hirotaka Aoyagi and Kazumasa Takada, ”Fabrication
of Fourier-transform, integrated-optic spatial heterodyne spectrometer on
silica-based planar waveguide”, OPTICS LETTERS Vol.35 No.12, pp.21032105 (2010).
[7] K.Takada,
H.Aoyagi
and
K.Okamoto,
”Complex-Fourier-transform
integrated-optic spatial heterodyne spectrometer using phase shift
technique”, ELECTRONICS LETTERS Vol.46 No.24 (2010).
[8] K.Takada, M.Seino,A.Chiba,K.Okamoto,”Spectral noise due to measurement errors of Mach-Zehnder interferometer optical path phases in a
complex Fourier-transform integrated-optic spatial heterodyne spectrometer”,Optics Communications Vol.296 61-64 (2013).
[9] 山内潤治,薮哲郎,”光導波路解析入門”,森北出版 (2007).
[10] Seok-Hwan Jeong and Ken Morito, ”Compact optical 90◦ hybrid employing
a tapered 2×4 MMI coupler serially connected by a 2×2 MMI coupler”,
OPTICS EXPRESS Vol.18 No.5, pp.4275-4288 (2010).
[11] Seok-Hwan Jeong and Ken Morito, ”Simple analytical calculation and experimental demonstration of optical 90◦ hybrids based on tapered 2×4 and
2×2 multimode interference couplers”, Optical Society of America Vol.28
No.1, pp.159-164 (2011).
59
付 録A
低コヒーレンス光干渉を用いた MZI アレイ
の位相誤差測定
A.1
出力 VP ,VQ の式導出
2.2 で示した (2.1),(2.2) 式の導出を示す.
L1
E P′
E0
coupler
EQ′
L2
VP
VQ
図 A.1: MZI アレイの入出力の関係
E0 r1eiϕ1
E0
E0 r2 eiϕ2
E0 r2 eiϕ2
E0
E0 r1eiϕ1
図 A.2: カプラ内の位相変化
2 段目のカプラに入力する直前の電場 EP′ ,EQ′ は (A.1),(A.2) 式となる.この
とき,c は光速度,ω は角周波数,ne は等価屈折率である.
EP′ = E0 ρr2 ei(ωt−
EQ′ = E0 r1 ei(ωt−
ωne
L1 +φ2
c
ωne
L2 +φ1
c
)
(A.1)
)
(A.2)
2 段目のカプラからの電場 EP ,EQ は (A.3),(A.4) 式となる.
EP = EP′ r1 eiφ1 + EQ′ r2 eiφ2
= E0 ρr1 r2 ei(ωt−
ωne
L1 +φ1 +φ2
c
) + E r r ei(ωt− ωnc e L2 +φ1 +φ2 )
0 1 2
EQ = EP′ r2 eiφ2 + EQ′ r1 eiφ1
= E0 ρr22 ei(ωt−
ωne
L1 +2φ2
c
) + E r2 ei(ωt− ωnc e L2 +2φ1 )
0 1
ここで,次のように定義する.
ωne
ωne
L1 + φ1 + φ2 B = ωt −
L 2 + φ1 + φ2
c
c
ωne
ωne
C = ωt −
L1 + 2φ2 D = ωt −
L2 + 2φ1
c
c
A = ωt −
60
(A.3)
(A.4)
2 段目のカプラからの出力 VP ,VQ は (A.5),(A.6) 式となる.このとき,β = ωne /c
である.
VP = |EP |2
= |E0 ρr1 r2 (cos A + i sin A) + E0 r1 r2 (cos B + i sin B)|2
= (E0 ρr1 r2 cos A + E0 r1 r2 cos B)2 + (E0 ρr1 r2 sin A + E0 r1 r2 sin B)2
=
E02 r12 r22 (ρ2
+ 1) +
2E02 ρr12 r22 (cos A
(A.5)
· cos B + sin A · sin B)
= E02 r12 r22 (ρ2 + 1) + 2E02 ρr12 r22 cos(A − B)
[
]
= E02 r12 r22 (ρ2 + 1) + 2ρ cos β(L1 − L2 )
VQ = |EQ |2
= |E0 ρr22 (cos C + i sin C) + E0 r12 (cos D + i sin D)|2
= (E0 ρr22 cos C + E0 r12 cos D)2 + (E0 ρr22 sin C + E0 r12 sin D)2
=
E02 r14
+
E02 ρ2 r24
+
2E02 ρr12 r22 (cos C
(A.6)
· cos D + sin C · sin D)
= E02 r14 + E02 ρ2 r24 + 2E02 ρr12 r22 cos(C − D)
= E02 (r14 + ρ2 r24 ) + 2E02 ρr12 r22 cos [β(L1 − L2 ) + 2(φ1 − φ2 )]
このとき,(VP − VQ )/(VP + VQ ) は (A.7) 式で表される.
VP − VQ
r2 r2 [(ρ2 + 1) + 2ρ cos β(L1 − L2 ) − 2ρ cos [β(L1 − L2 ) + 2(φ1 − φ2 )]] − (r14 + ρ2 r24 )
= 12 22 2
VP + VQ
r1 r2 [(ρ + 1) + 2ρ cos β(L1 − L2 ) + 2ρ cos [β(L1 − L2 ) + 2(φ1 − φ2 )]] + (r14 + ρ2 r24 )
(A.7)
φ1 − φ2 = π/2,r12 + r22 = 1,
ρ = 1 (理想的なカプラ) のとき,(VP − VQ )/(VP + VQ )
は (A.8) 式となる.
VP − VQ
= cos β(L1 − L2 )
VP + VQ
(A.8)
β(L1 − L2 ) は位相差 ϕ であることから (A.9) 式が成り立つ.
[
ϕ = cos
−1
VP − VQ
VP + VQ
]
(A.9)
61
A.2
リトロー波長における位相誤差測定の必要性
位相誤差を測定する際,使用するレーザの波長は予め適切な値に設定しておか
なければならない.(2.8) 式は,(A.10) 式のような余弦 (Cosine) 関数で示される.
このとき εk は位相誤差,M は分割数,m はサンプリング変数である.
(
)
M
−1
∑
VP (ν) − VQ (ν)
2πm
=
G(m) cos
k + εk (k = 0, 1, · · · , N − 1) (A.10)
VP (ν) + VQ (ν) m=0
M
(A.10) 式の値が最大となるときのサンプリング番号を m0 とすると,(A.10) 式の
右辺は (A.11) 式のようになる.
(
G(m0 ) cos
2πm0
k + εk
M
)
(A.11)
ここで,サンプリング番号 m0 を次の 3 つに場合分けする.
1. m0 = 0
2. m0 > 0
3. m0 < 0
上記の 3 つの場合における,(A.11) 式のサンプリングのイメージを図 A.3 に示す.
Mศ๭
FSR =
Mศ๭
1
∆x
FSR =
∆ν
M −1
m0
1
∆x
m
m0
012
(a) m0 = 0 の場合
M −1
(b) m0 > 0 の場合
Mศ๭
FSR =
M − l0
l0
1
∆x
l0
m
m0 0 1 2 ͐
(c) m0 < 0 の場合
図 A.3: 各条件におけるサンプリングの関係
62
m
2π m0
M
k
(a) m0 = 0 の場合
఩┦ㄗᕪ
఩┦ㄗᕪ
఩┦ㄗᕪ
ഴࡁ:
ഴࡁ: −
2π l0
M
k
(b) m0 > 0 の場合
k
(c) m0 < 0 の場合
図 A.4: 各条件における位相誤差
1. m0 = 0 の場合
(A.11) 式に m0 = 0 を代入すると,G(0) cos εk となる.したがって,MZI 番
号 k における位相誤差 εk のみの関数となる.このときの光源の波長をリト
ロー波長という.
2. m0 > 0 の場合
(A.11) 式において m0 > 0 であることを考慮すると
(
G(m0 ) cos
2πm0
k + εk
M
)
となる.横軸を k とした場合,図 A.4(b) のようにスロープがかかってしま
う.そのため,正確な位相誤差が導出されない.
3. m0 < 0 の場合
(A.11) 式において m0 < 0 であることを考慮すると,図 A.4(c) より
[
]
]
[
2π(M − l0 )
2πl0
G(m0 ) cos
k + εk = G(m0 ) cos −
k + (2πk + εk )
M
M
となる.横軸を k とした場合,図 A.4(c) のようにスロープがかかってしま
う.そのため,2 と同様に正確な位相誤差が導出されない.
実験では,あらかじめ光源をリトロー波長に設定したうえで測定を行えば,図
A.4(a) のように位相誤差にスロープがかからない.そのため,低コヒーレンス光
干渉の実験ではリトロー波長における位相誤差を導出する.
63
付 録B
2 次元 BPM による基本設計
[設計] テーパー型 2×4MMI カプラの最大干渉条件
B.1
Wmf を一定の状態で Wmf /Wms を逐次変化させる.図 B.1∼図 B.3 に特性を示
す.図中の (a) はカプラの長さ Ls24 の関係,(b) はテーパー型 2×4MMI カプラの
CH-3 と CH-4 間の位相差 ∆θ34 の関係をそれぞれ示す.
Phase difference ∆θ34 [deg]
Reduction rate of Ls24
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
1
1.2
1.4
1.6
1.8
-45
-60
-75
-90
-105
-120
2
1.0
1.2
Wmf /Wms
1.4
1.6
1.8
2.0
Wmf /Wms
(a) Wmf /Wms と Ls24 の関係
(b) Wmf /Wms と位相差 ∆θ34 の関係
図 B.1: Linear タイプ
Phase difference ∆θ34 [deg]
Reduction rate of Ls24
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
1
1.2
1.4
1.6
1.8
2
-45
-60
-75
-90
-105
-120
1.0
1.2
Wmf /Wms
1.4
1.6
1.8
2.0
Wmf /Wms
(a) Wmf /Wms と Ls24 の関係
(b) Wmf /Wms と位相差 ∆θ34 の関係
図 B.2: Exponential タイプ
64
㻱㼤㼜㼛㼚㼑㼚㼠㼕㼍㼘
Phase difference ∆θ34 [deg]
Reduction rate of Ls24
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
1
1.2
1.4
1.6
1.8
θ
-45
∆
-60
-75
-90
-105
-120
-135
1.0
2
1.2
㻼㼍㼞㼍㼎㼛㼘㼕㼏
1.4
1.6
1.8
2.0
Wmf /Wms
Wmf /Wms
(a) Wmf /Wms と Ls24 の関係
(b) Wmf /Wms と位相差 ∆θ34 の関係
図 B.3: Parabolic タイプ
θ
∆
テーパー型 2×4MMI カプラの CH-3 と CH-4 間の位相差 ∆θ34 が −π/2 のとき,
最大の干渉条件となる.各形状における Wmf /Wms と位相差 ∆θ34 の関係を図 B.4
に示す.結果より位相差 ∆θ34 が −π/2 となる Wmf /Wms の値は 2.069(Linear),
1.639(Exponential),1.507(Parabolic) となった.
-75
[deg]
Linear
34
Exponential
θ
Parabolic
Phase difference
∆
-90
Phase matching
-105
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.2
Wmf / Wms
図 B.4: 各形状における Wmf /Wms と位相差 ∆θ34 の関係
65
[設計] テーパー型 2×4MMI カプラの出力特性
B.2
B.1 で求めた Wmf /Wms の値を一定にした状態で Wmf を変化させる.図 B.5∼
図 B.7 に特性を示す.図中の (a) は Ls24 の関係,(b) は入力ポート In1 に光を入射
させた場合の出力パワー,(c) は入力ポート In1 に光を入射させた場合の各ポート
間のパワーアンバランス,(d) はテーパー型 2×4MMI カプラの出力ポート間の位
相ずれをそれぞれ示す.
結果より,出力パワーは特定の Wmf 地点で最大となることが分かる.ポート出
力が最大となる Wmf 地点を採用する.したがって,Wmf の値は 122µm(Linear),
108µm(Exponential),100µm(Parabolic) となった.
3200
-2.0
3000
-3.0
Power [dB]
Ls24 [µm]
2800
2600
2400
2200
-4.0
-5.0
2000
-6.0
1800
110
115
120
125
130
135
110
115
(a) Wmf と Ls24 の関係
125
130
135
(b) Wmf と出力パワーの関係
20
6.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
4.0
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
10
2.0
∆ʔ [deg]
Imbalance [dB]
120
Wmf [µm]
Wmf [µm]
0.0
-2.0
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-4.0
-20
-6.0
110
115
120
125
130
110
135
115
120
125
130
Wmf [µm]
Wmf [µm]
(c) Wmf とパワーアンバランスの関係
(d) Wmf と位相ずれ ∆ϕ の関係
図 B.5: Linear タイプ
66
135
3000
-2.0
2800
-3.0
Power [dB]
Ls24 [µm]
2600
2400
2200
2000
-4.0
-5.0
1800
1600
-6.0
95
100
105
110
115
120
125
95
100
105
Wmf [µm]
(a) Wmf と Ls24 の関係
115
120
125
(b) Wmf と出力パワーの関係
6.0
20
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
4.0
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
10
2.0
∆ʔ [deg]
Imbalance [dB]
110
Wmf [µm]
0.0
-2.0
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-4.0
-6.0
-20
95
100
105
110
115
120
125
95
100
Wmf [µm]
105
110
115
120
125
Wmf [µm]
(c) Wmf とパワーアンバランスの関係
(d) Wmf と位相ずれ ∆ϕ の関係
図 B.6: Exponential タイプ
2600
-2.0
-3.0
Power [dB]
Ls24 [µm]
2400
2200
2000
-4.0
-5.0
1800
1600
-6.0
90
95
100
105
110
115
90
95
Wmf [µm]
105
110
115
Wmf [µm]
(a) Wmf と Ls24 の関係
(b) Wmf と出力パワーの関係
6.0
20
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
4.0
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
10
2.0
∆ʔ [deg]
Imbalance [dB]
100
0.0
-2.0
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-4.0
-6.0
-20
90
95
100
105
110
115
90
95
Wmf [µm]
100
105
110
Wmf [µm]
(c) Wmf とパワーアンバランスの関係
(d) Wmf と位相ずれ ∆ϕ の関係
図 B.7: Parabolic タイプ
67
115
[設計] 2×2MMI カプラの出力特性
B.3
2×2MMI カプラの幅 Wm を変化させる.図 B.8∼図 B.10 に特性を示す.図中
の (a) は Lm22 の関係,(b) は入力ポート In1 と In2 にそれぞれ光を入射させた場
合の出力パワーの合計,(c) は入力ポート In1 と In2 にそれぞれ光を入射させた場
合の各ポート間のパワーアンバランス,(d) は出力ポート間の位相ずれをそれぞ
れ示す.
結果より,ポート出力が最大となる Wm 地点を採用する.したがって,Wm の
値は 28µm(Linear),25µm(Exponential),23µm(Parabolic) となった.
3500
-2.0
3000
-3.0
Power [dB]
Lm22 [µm]
In1(SI)
2500
2000
1500
In2(LO)
-4.0
-5.0
-6.0
25
30
35
40
25
30
Wm [µm]
(a) Wm と Lm22 の関係
40
(b) Wm と出力パワーの関係
6.0
20
4.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
10
2.0
∆ʔ [deg]
Imbalance [dB]
35
Wm [µm]
0.0
-2.0
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-4.0
-6.0
-20
25
30
35
40
25
Wm [µm]
30
35
Wm [µm]
(c) Wm とパワーアンバランスの関係
(d) Wm と位相ずれ ∆ϕ の関係
図 B.8: Linear タイプ
68
40
3500
-1.0
In1(SI)
In2(LO)
Power [dB]
Lm22 [µm]
3000
2500
2000
-2.0
-3.0
1500
-4.0
1000
20
25
30
35
20
40
25
30
40
Wm [µm]
Wm [µm]
(a) Wm と Lm22 の関係
(b) Wm と出力パワーの関係
6.0
20
4.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
10
2.0
∆ʔ [deg]
Imbalance [dB]
35
0.0
-2.0
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-4.0
-6.0
-20
20
25
30
35
40
20
25
30
Wm [µm]
35
40
Wm [µm]
(c) Wm とパワーアンバランスの関係
(d) Wm と位相ずれ ∆ϕ の関係
図 B.9: Exponential タイプ
2500
-1.0
In1(SI)
Power [dB]
Lm22 [µm]
In2(LO)
2000
1500
1000
-2.0
-3.0
-4.0
20
25
30
35
20
25
Wm [µm]
35
Wm [µm]
(a) Wm と Lm22 の関係
(b) Wm と出力パワーの関係
6.0
20
4.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
10
2.0
∆ʔ [deg]
Imbalance [dB]
30
0.0
-2.0
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-4.0
-20
-6.0
20
25
30
35
20
Wm [µm]
25
30
Wm [µm]
(c) Wm とパワーアンバランスの関係
(d) Wm と位相ずれ ∆ϕ の関係
図 B.10: Parabolic タイプ
69
35
B.4
[評価] 振幅特性
設計した 2×4MMI カプラを振幅特性を図 B.11∼図 B.13 に示す.結果より,光
はすべてのポートからほぼ均等に出力されていることが分かる.
(a) 振幅特性 (In1)
(b) 振幅特性 (In2)
図 B.11: Linear タイプ
(a) 振幅特性 (In1)
(b) 振幅特性 (In2)
図 B.12: Exponential タイプ
(a) 振幅特性 (In1)
(b) 振幅特性 (In2)
図 B.13: Parabolic タイプ
70
[評価] 波長特性
B.5
設計した 2×4MMI カプラを波長特性を示す.MZI アレイに使用する波長領域
(1545∼1555nm) での特性を図 B.14∼図 B.16 に示す.
6.0
-2.0
In1(SI)
Imbalance [dB]
-3.0
Power [dB]
4.0
In2(LO)
-4.0
-5.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-6.0
1.545
1.550
-6.0
1.545
1.555
Wavelength [µm]
(b) 波長とパワーアンバランスの関係
∆ʔ [deg]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
20
10
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-20
1.545
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(a) 波長と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
1.550
1.555
5
4
3
2
1
0
1.545
Wavelength [µm]
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(c) 波長と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) 波長と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 B.14: Linear タイプ
71
6.0
-1.0
4.0
In2(LO)
-2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In1(SI)
-3.0
-4.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-5.0
1.545
1.550
-6.0
1.545
1.555
1.550
Wavelength [µm]
(a) 波長と出力パワーの関係
(b) 波長とパワーアンバランスの関係
∆ʔ [deg]
10
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
20
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-20
1.545
1.555
Wavelength [µm]
1.550
1.555
10
8
6
4
2
0
1.545
1.550
Wavelength [µm]
1.555
Wavelength [µm]
(c) 波長と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) 波長と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 B.15: Exponential タイプ
6.0
-1.0
4.0
In2(LO)
-2.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In1(SI)
-3.0
-4.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-5.0
1.545
1.550
-6.0
1.545
1.555
Wavelength [µm]
(a) 波長と出力パワーの関係
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
10
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-20
1.545
1.550
1.555
(b) 波長とパワーアンバランスの関係
20
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
1.550
Wavelength [µm]
1.555
10
8
6
4
2
0
1.545
Wavelength [µm]
1.550
1.555
Wavelength [µm]
(c) 波長と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) 波長と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 B.16: Parabolic タイプ
72
付 録C
3 次元 BPM による最適設計
3D-BPM により,パラメータを変化させ最適設計を行う.このとき,カプラの
特性に大きな影響を与えるパラメータの一つである Wmf の特性を調べる.図 C.1
∼C.3 に結果を示す.結果より,全てのタイプで Wmf が 0 の地点で出力パワー,
パワーアンバランス,位相差の関係が最適だと判断したため,パラメータは 2D
で設計したものと同じ値を用いる.
6.0
0.0
In1(SI)
Imbalance [dB]
Power [dB]
4.0
In2(LO)
-1.0
-2.0
-3.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-4.0
-6.0
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
-5.0
Displacement Wmf [µm]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
10
0
-10
-20
-30
-5.0
-2.5
0.0
2.5
2.5
5.0
(b) Wmf とパワーアンバランスの関係
30
20
0.0
Displacement Wmf [µm]
(a) Wmf と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-2.5
5.0
15
10
5
0
-5.0
Displacement Wmf [µm]
-2.5
0.0
2.5
5.0
Displacement Wmf [µm]
(c) Wmf と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) Wmf と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 C.1: Linear タイプ
73
6.0
1.0
In1(SI)
4.0
In2(LO)
Imbalance [dB]
Power [dB]
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-4.0
-6.0
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
-5.0
-2.5
Displacement Wmf [µm]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
10
0
-10
-20
-30
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
(b) Wmf とパワーアンバランスの関係
30
20
2.5
Displacement Wmf [µm]
(a) Wmf と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
0.0
5.0
15
10
5
0
-5.0
-2.5
Displacement Wmf [µm]
0.0
2.5
5.0
Displacement Wmf [µm]
(c) Wmf と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) Wmf と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 C.2: Exponential タイプ
6.0
0.0
In1(SI)
4.0
Imbalance [dB]
Power [dB]
In2(LO)
-1.0
-2.0
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-3.0
-6.0
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
-5.0
Displacement Wmf [µm]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
10
0
-10
-20
-30
-5.0
-2.5
0.0
2.5
2.5
5.0
(b) Wmf とパワーアンバランスの関係
30
20
0.0
Displacement Wmf [µm]
(a) Wmf と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-2.5
5.0
20
15
10
5
-5.0
Displacement Wmf [µm]
-2.5
0.0
2.5
5.0
Displacement Wmf [µm]
(c) Wmf と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) Wmf と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 C.3: Parabolic タイプ
74
図 C.4∼C.6 に Ls24 の特性を示す.結果より,2D-BPM で設計した値から Linear
タイプは-1µm,Exponential タイプは 1µm,Parabolic タイプは 1µm となる地点
を採用する.以上の地点は出力パワー,パワーアンバランス,位相差の関係が最
適だった.なお,他のパラメータは変化させてもあまり影響がないことから,変
化させる値は Ls24 のみとする.
6.0
0.0
In1(SI)
4.0
In2(LO)
Imbalance [dB]
Power [dB]
-0.5
-1.0
-1.5
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-2.0
-6.0
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
-5.0
Displacement Ls24 [µm]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-5.0
-2.5
0.0
2.5
2.5
5.0
(b) Ls24 とパワーアンバランスの関係
10
5
0.0
Displacement Ls24 [µm]
(a) Ls24 と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-2.5
5.0
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-5.0
Displacement Ls24 [µm]
-2.5
0.0
2.5
5.0
Displacement Ls24 [µm]
(c) Ls24 と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) Ls24 と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 C.4: Linear タイプ
75
6.0
0.0
In1(SI)
4.0
In2(LO)
Imbalance [dB]
Power [dB]
-0.5
-1.0
-1.5
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-6.0
-2.0
-5.0
-2.5
0.0
2.5
-5.0
5.0
-2.5
(a) Ls24 と出力パワーの関係
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-5
-10
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
(b) Ls24 とパワーアンバランスの関係
10
5
2.5
Displacement Ls24 [µm]
Displacement Ls24 [µm]
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
0.0
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
5.0
-5.0
-2.5
Displacement Ls24 [µm]
0.0
2.5
5.0
Displacement Ls24 [µm]
(c) Ls24 と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) Ls24 と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 C.5: Exponential タイプ
6.0
0.0
In1(SI)
Imbalance [dB]
Power [dB]
-0.5
4.0
In2(LO)
-1.0
-1.5
CH-1/CH-2(In1)
CH-3/CH-4(In1)
CH-1/CH-2(In2)
CH-3/CH-4(in2)
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-2.0
-6.0
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
-5.0
Displacement Ls24 [µm]
Standard Deviation ∆ʔ [deg]
∆ʔ [deg]
CH-3 - CH-4
CH-2 - CH-4
0
-10
-20
-5.0
-2.5
0.0
2.5
2.5
5.0
(b) Ls24 とパワーアンバランスの関係
20
10
0.0
Displacement Ls24 [µm]
(a) Ls24 と出力パワーの関係
CH-1 - CH-2
CH-1 - CH-3
-2.5
5.0
7.0
6.5
6.0
5.5
5.0
-5.0
Displacement Ls24 [µm]
-2.5
0.0
2.5
5.0
Displacement Ls24 [µm]
(c) Ls24 と位相ずれ ∆ϕ の関係
(d) Ls24 と ∆ϕ の標準偏差の関係
図 C.6: Parabolic タイプ
76
付 録D
完成した 2×4MMI カプラの設計図
完成した 2×4MMI カプラの BPM 画面上での設計図を示す.
図 D.1: Linear タイプ
77
図 D.2: Exponential タイプ
78
図 D.3: Parabolic タイプ
79
付 録E
MMI カプラの設計に使用したプログラム
カプラの設計に使用したプログラムを示す.
波長可変プログラム
NumIterations = 20
lambda=1.545 For x = 0 to NumIterations
ParamMGR.SetParam "wavelength",CStr(lambda)
lambda=lambda+0.005
set oExportMgr=OutputDataMgr.GetExportMgr()
call oExportMgr.MarkForExportZCutOpticalFieldAmplitude("")
call oExportMgr.MarkForExportZCutOpticalFieldPhase("")
ParamMGR.Simulate
WGMgr.Sleep( 50 )
Next
長さ可変プログラム (Ls24 の場合)
Const NumIteratons = 1000
Delta = 1
For a=0 to NumIteratons
Ls24Value=2000+Delta*a
ParamMGR.SetParam "Ls24",Ls24Value
TaperExp1.SetPosition 500, 0, 2000+Delta*a, 0
set oExportMgr=OutputDataMgr.GetExportMgr()
call oExportMgr.MarkForExportZCutOpticalFieldAmplitude("")
call oExportMgr.MarkForExportZCutOpticalFieldPhase("")
ParamMgr.Simulate
Next
80