電気回路学 I 及び演習 (web 公開:2014.5.19) 演習解答例 A–1 【演習問題解答】 〔資料 0–6〕 □問題 1. 式 (1・14) が成り立つことを示しなさい. 1 Wh ' 0.860 [kcal] (1·14) (解答例)1 [cal] ' 4.19 [J] を用いると, 1 [Wh] = 1 [W] × 3600 [s] = 3600 [J] ' 3600 [J] = 859.188... [cal] ' 0.860 [kcal] 4.19 [J/cal] □問題 2. 60 W の白熱電球を 1 日点灯した場合の電力量を,単位 [kWh], [J] および [kcal] で求めなさい. (解答例) 60 [W] × 24 [h] = 1440 [Wh] = 1.440 [kWh] 60 [W] × (24 × 3600 [s]) = 5184000 [J] ' 5.18 × 106 [J] 1440 [Wh] ' 1440 [Wh] × 0.860 [kcal/Wh] ' 1.24 × 103 [kcal] □問題 3. 60 W の白熱電球と同じ明るさの LED 電球を 1 日点灯した場合の電力量を, 単位 [kWh] で求めなさい.ただし,LED 電球の発光効率は,白熱電球の 5 倍とする. ※この LED 電球の消費電力は何 W か? (解答例) 電球型蛍光灯の発光効率が,白熱電球の 5 倍であるから,電球型蛍光灯の消 費電力は, 60 [W]/5 = 12 [W] したがって, 12 [W] × 24 [h] = 288 [Wh] = 0.288 [kWh] □問題 4. 日本人の基礎代謝は,成人男子で 1 日 1400 kcal 程度である.これは,平 均して何 W に相当するか. (解答例) 求める電力を p [W] とおく.1 [cal] ' 4.19 [J] を用いると, p [W] × (24 × 3600 [s]) = 1400 [kcal] p [W] × (24 × 3600 [s]) ' 1400 × 103 [cal] × 4.19 [J/cal] p ' 67.89 . . . ' 67.9 [W] ··· (答) 日本の電気料金は,1 [kWh] 当たり 約 20 円である. 電気回路学 I 及び演習 (web 公開:2014.5.19) 演習解答例 A–2 □問題 5. 20 ˚C, 1 L の水を,抵抗 20 Ω の電熱器で沸騰させたい.沸騰までにかか る時間はいくらか.ただし,電熱器は直流 100 V の電源に接続し,電熱器で発生した 熱はすべて水に伝わるものとする. ※ 1 cal で,1 cm3 の水の温度を 1 ˚C 上昇させることができる,と仮定してよい. (解答例) この電熱器の消費電力を p [W] とおくと, p= 1002 = 500 [W] 20 次に求める時間を t [s] とおくと,沸騰させるのに必要なエネルギーについて次の関係 が成り立つ. 1000 [cm3 ] × (100 [˚C] − 20 [˚C]) × 1 [cal/(cm3 ·˚C)] = 500 [W] × t [s] 左辺は沸騰させるために必要なエネ ルギー,右辺は t [s] 間に発生して 水に伝わる熱である. 1 [cal] ' 4.19 [J] としてこの式を解くと,次の結果が得られる. t' 1000 × 80 × 4.19 ' 670 [s] (約 11 分) 500 □問題 6. (1) 演習図 1(a) において,オームの法則と電力の式から,次式が成り立つことを示 しなさい.ただし,p は抵抗に入る電力である. p = Ri2 = i 2 2 R v v2 R R v (1·16)–(1·17) (2) 電流 i を逆にとった演習図 1(b) においても,やはり上と同じ式が成り立つこと を示しなさい. (解答例) (1) 演習図 4(a) において,オームの法則は, v = Ri 抵抗に入る電力の式は, p = vi である.これらの式から電圧 v を消去すると, p = (Ri)i = Ri2 電流 i を消去すると, p=v i v2 v = R R が得られる. (2) 演習図 4(b) において,電流と電圧の向きに注意すると,オームの法則は, v = −Ri 抵抗に入る電力の式は, p = −vi である.これらの式から電圧 v を消去すると, p = −(−Ri)i = Ri2 1 (a) 1 演習図 1 (b) 電気回路学 I 及び演習 (web 公開:2014.5.19) 電流 i を消去すると, 演習解答例 A–3 ( v ) v2 p = −v − = R R が得られる. ※以上の結果から,次のことが分かる. • 抵抗に入る電力 p は,電流や電圧の測定の向きの選び方によらない (2 乗される ため). • 抵抗に入る電力 p は常に非負である.これは,抵抗から電力が出てくることはな いということを意味する. □問題 7. SI におけるクーロン,ファラド,ウェーバ,ヘンリーの定義を調べなさい. ※「第8版 SI 文書」(原文はフランス語) の邦訳が,計量標準総合センターのサイトか らダウンロードできる.(http://www.nmij.jp/library/units/si/) (解答例)「第8版 SI 文書」による定義は次の通り.カッコ内に対応する式を示す. クーロン(電気量の単位)クーロンは,1 アンペアの電流によって 1 秒間に運ばれる ∫ 電気量である. (q = idt) ファラド(静電容量の単位)ファラドは,1 クーロンに等しい電気量を印加されたと き,電極間に 1 ボルトの電位差が現れるキャパシタの静電容量である. (q = Cv ) ウェーバ(磁束の単位)ウェーバは,1 回巻きの閉回路を貫く磁束を一様に減少させ ていって 1 秒間で消滅させるとき,1 ボルトの起電力をそこに発生させる磁束で ある. (e = − dφ dt ) ヘンリー(インダクタンスの単位)ヘンリーは,一つの閉回路を周回する電流が 1 ア ンペア毎秒の割合で一様に変化するとき,内部に 1 ボルトの起電力が生じる閉 di ) 回路のインダクタンスである. (e = −L dt 抵抗から電力が出てくることはな い:ここでは,抵抗による熱雑音の 発生などは無視している.
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