Bentley

(株)VWジャパン
ベントレー事業部
PR、マーケティングMG
横倉 典 テーマ:ベントレーというブランドを
どう正しく伝えるか
MBF
140929
<横倉 典(ヨコクラ ツカサ) 氏 職歴>
・1993年 BMWジャパン入社、ストラテジック・プランニング
・2000年 GMアジアパシフィック、マーケティング・リサーチャー
・2006年 ベントレーモーターズジャパン、教育トレーナー
⇒マーケティング、PR、アカデミーマネージャー
<会社沿革>
クイズ:このロゴマークに違和感ないですか?
⇒ 答えは最後に
・1919年 W.O.Bentleyが創業、LondonのNew Street Mewsで最初のエンジンが始動
=最初は蒸気機関車のエンジニア ⇒ 航空機エンジン ⇒ 自動車のエンジン+シャシー製造(車体はコーチビルダー)
*創業の理念= 「良い車、速い車、クラス最高の車を創る」
*Le Mans 24時間耐久レースでは、通算6勝(1924、1927、1928、1929、1930、2003年)
・1931年 Rolls-RoyceがBentleyを買収し、生産拠点は、LondonのCricklewoodからDerbyへ移転
・1946年 現在のCreweへ移転、車体も含めた完成車メーカーとなるが、RRの兄弟車(バッジ違い)がメイン
・1998年 Volkswagen AGがBentleyを買収、生産設備の近代化と製品開発支援に、5億ポンドの資金を投入
⇒ 創業時の原点、“スポーティーなドライバーズカー=グランドツアラー”が復活
・現在の会社規模: 年産10,000台(日本販売291台)、世界212拠点、従業員約4,000人(平均勤続年数11年)
=ハンドクラフトで1台完成するのに150~400時間 ⇒ 高価格
Bentley Mulsanne
W.O.Bentley
Creweの本社工場
車両本体価格 ¥33,800,000
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■ ラグジュアリーとは? = “Opposite to mass production”
・日本のラグジュアリー・カー市場: 約1,000台/年
<高級車ブランドのカテゴリー分類>
*Luxury: マクラーレン、ロールス・ロイス、ベントレー、フェラーリ、ランボルギーニ
*Exclusive: AMG、ALPINA、アストンマーチン
*Mainstream: BMW、BENZ、AUDI、マセラティ、ジャガー、ポルシェ
・内装: 本物の木と皮が多く使われている(快適に感じる木と皮の黄金比あり)
ex. シート:成牛(北欧産)17頭分の皮使用(∵北欧は虫が少なく有刺鉄線使わない ⇒ 大きな面積が取れる)
インパネ: ウォールナットをミラーマッチ(左右対称)にスライスし磨いてラッカー塗って2週間
・Crewe工場の職人: 親子3代にわたって働く職人もいて、「天職」と考えている
「高いですか?」
*設計開発のデザイナーも職人の近くにいて、職人の経験を尊重している
・“Bespoke”=客の言われるがままに作る(ex. 外装色114色) ← 馬車の文化(コーチビルダー)
■ Bentleyの競合商品
宝石
時計
アンチエイジング
ワイン
■ 顧客のプロフィール: 資産家、アクティブシニア
<関心事>
資産運用・防衛(利殖ではなく)、
食事・パーティー、同級生、会社関連、
ゴルフ、ドライブ、クルーズ、etc.
子どもの教育
クルーザー
ビジネスジェット
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横倉 典 テーマ:ベントレーというブランドを
どう正しく伝えるか
■ 伝えるべきBentleyのブランドピラー(5つ)
■ どう正しく伝えるか
・購入に向けたステップ(いきなり商談ではなく)
*STEP 1=きっかけ作り
*STEP 2=商品理解
*STEP 3=ブランド理解
お客様イベントの実施
*Purpose=お客様のブランド体験、理解
*Process=パーティー式イベント・車両展示
*Product=次回の来場確約・試乗確約
・Bentleyらしさへのこだわり: 集客(招待客)、場所選び、伝統・ヘリテイジ、高級感、上品、サプライズ
*場所: 古いホテルのバーやライブラリーなど(宴会場は使わない)
*ヘリテイジ: Bentleyのクラシックカーの展示
*高級感: ライティングや盛り付けの工夫、ランチョンマット
*上品: 食事は基本的にフィンガーフード(女性が大きく口を開けないですむ)
*サプライズ: 季節感のない花木、スペシャルゲスト、ルマン初優勝時のメニュー再現、etc.
パーティー ⇒ 連れと一緒 ⇒ 着飾る ⇒ 雰囲気が良くなる ⇒ また来たい
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■ セールスマンの役割
・セールススタッフは単なる販売員ではない
商品知識<雑談力、観察力
・信じられる人間か?自分に有益か?経営者の立場で見られている
・知識の蓄積はお客様への恐怖心の解決策
⇒ ライフスタイルトレーニング(ex. Yシャツのカラーの話、セールスに役立つ「税」の話)
・マーケティング担当者に必要な要素: ①理論40%、経験60% ②観察力、社交性、こだわり
*ex. イベント設定を何度も経験して、設定日が金曜日より木曜日の方が良い事が分かった
・現場担当者に必要な要素: ①ブランドの理解、競合商品の理解 ②表現力
*表現力=「Yes BUT」の会話力から立居振る舞いまで、アドバイスはお客様と対等な立場で
・セールスマントレーニングのこだわり=実体験
■ Q&A
飯田 裕子
飯田さん感想: 昨日箱根の試乗会でご一緒していた横倉さんが今日こんな素晴らしい講演をされるなんて・・・
(モータージャーナリスト、COTY選考委員)
Q: いくら雑談力をつけても客と同レベルの経験は出来ないので、超えられない壁があるのでは?
A: 確かに同じ経験は無理だが、とにかくお客の話を聞く ライフスタイルについてはある程度知っていれば良く
お客様が求めているのはベントレーに関するプロの見識 また同じ興味を持つ客同士をつなぐことも大事
Q: 3,000万円×300台=90億円、この売り上げに対してイベントその他に金をかけ過ぎていると思うが・・・
A: いや、大きな代理店に丸投げせず、プランニングは自分達でやるので、金はあまりかかっていません
金をかけなくても豪華に見えるやり方やおもてなしの方法はいくらでもあります(ex. 昼間のBARは空いている)
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■ Q & A ~続き
Q: 営業のスタッフに達成のモチベーションをどうやって与えるのか?(300台しか売れないわけだし)
A: 台数の目標は一応あるが、そんなにうまく行かない むしろ次回イベントへの参加など長く深い付き合いを重視
*一人のお客様にかわいがられると、長期的には数億円以上のビジネスに広がる
片平さん: 先日車をどうやって買うかのデプスインタビューをやったら、300万円の車を買うのに、「モノの価値
だけでなく、セールスマンの信頼で買う」との答え
Q: イベント成功の評価(メジャメント)は?
A: 評価は難しい 最後は売り上げだが、次のイベント・アクションにつながるアポを確約すること
Q: セールスマンは複数のブランドを扱っている? またサプライズはどんどんハードルが高くなると思うが・・・
A: いやウチはセールスマンを専任にしている
またサプライズは毎回違うカテゴリーで考えハードルは上げない(同じだとエスカレートする必要があるが)
Q: BMWとBentleyを経験されて、どちらも我々には遠いブランドだが、何か違いがあるのか?
A: 同様の部分もあるが、ベントレーのお客様へのこだわりには驚かされた(ex. 納車日の縁起・方角)
また話のスケールが大きく、商談らしい商談はしなくてもよいのだ、と理解
先の説明でBMWはMainstreamに分類したが、Bentleyは工業製品ではなく工芸品(ライン速度=2インチ/分)
片平さん: 先日輪島塗の人間国宝の工房を訪問したが、「時間」に対して注目したい 歴史が未来に繋がっていく
職人の匠は仕事としてではなく、自分をかけて打ち込んでいる 横倉さんは商人の匠だと理解した
横倉さん: 先ほどイベントのプランニングは代理店に丸投げしないと言ったが、正にここが一番面白いところで
他人に任せたくないから(デートのプランニングと同じ)
<感想>
*庶民には縁遠い富裕層のライフスタイル・価値観の一端を垣間見れたのは良かった
*真のラグジュアリーブランドは機能・性能の高い工業製品を超えた工芸品である(茶道具と同じ?)
*工業製品との差額のブランド価値を理解・納得してもらって買う気にさせるのは正に商人の匠
■ クイズの答え:左右対称ではない(羽の数が左10枚・右11枚) ← 当時コピー防止が目的