Definition of "photocatalysis" 「光触媒反応」の定義

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Definition of "photocatalysis"
There are various definitions for the term
"photocatalysis", however, to save space, a "photocatalytic
reaction" can be defined as a chemical reaction induced by
photoabsorption of a solid material, or "photocatalyst", which
remains unchanged during the reaction. In other words, the
solid acts catalytically (without change) under light and this
explanation may be consistent with most definitions.
"Photocatalysis" is the conceptual name for the photocatalytic
reactions.
From this understanding, basic data can be
obtained by measuring the consumption of the starting
materials and/or increase in reaction products initiated by
photoirradiation and then examining whether the photocatalyst
or its properties have been modified during the reaction. This
seems to be a relatively easy procedure. However, various
problems are, in fact, encountered when trying to prove a given
phenomenon as being photocatalytic, as will be discussed later.
Photocatalysis is often introduced with the aid of a
schematic representation of the electronic structures of
semiconducting materials, a band model; an electron in an
electron-filled valence band (VB) is excited by photoirradiation
to a vacant conduction band (CB), which is separated by a
forbidden band, a band gap, from the VB, leaving a positive
hole in the VB. These electrons and positive holes drive
reduction and oxidation, respectively, of compounds adsorbed
on the surface of a photocatalyst. Such an interpretation
accounts for the photocatalytic reactions of semiconducting and
insulating materials absorbing photons by the bulk of materials.
In the definition given above, however, no such limitation
based on the electronic structure of a photocatalyst is included.
For example, isolated chemical species, not having the
above-mentioned band structure, on or in a solid can be a
photocatalyst, and even when a bulk material is used, the
photoabsorption and resultant photocatalytic reaction may
proceed at a localized site when, for example, photocatalysts
are photoirradiated at a wavelength near the band gap
(excitation from/to an impunity level).
Therefore, the
interpretation using a band model is not always adequate for
understanding photocatalysis.
In this sense, the term
"heterogeneous photocatalytic reaction (photocatalysis)" seems
better than "semiconductor photocatalytic reaction" based on
the electronic band structure.
「光触媒反応」の定義
「光触媒反応」という用語の定義はさまざまであるが,
ここではスペースを節約するため,「光触媒反応」を,
反応中に変化することのない固体材料,すなわち「光触
媒」の光吸収により誘起される化学反応とする.言いか
えれば,その固体が光照射下において変化しないで触媒
的にはたらくということであり,この説明はほかのほと
んどの定義と矛盾しない.「光触媒反応」という用語は,
光触媒反応についての概念的な名前である.このように
理解すれば,光触媒反応としての基本的なデータは,そ
の定義により,光照射によって引き起こされる出発原料
の消費や生成物の増加を測定し,つぎに反応中に光触媒
あるいはその特性が変化したかどうかをしらべること
によって得ることができる.これは比較的簡単なことで
あるように思える.しかし,後述するように,実際には
ある現象が光触媒反応でることを証明しようとすると
さまざまな問題に遭遇する.
光触媒反応は半導体材料の電子構造の概略図,すなわ
ちバンドモデルをつかって説明されることが多い.この
バンドモデルでは,電子がつまった価電子帯(VB)の電
子が,VBから禁制帯(バンドギャップ)をへだてた空の
伝導帯(CB)に励起され,VBに正孔がのこる.この電子
と正孔が光触媒の表面に吸着された化合物をそれぞれ
還元,酸化する.このような解釈は,そのバルクで光を
吸収する半導体や絶縁体による光触媒反応の説明とな
る.しかし,冒頭でのべた「光触媒反応」の定義には,
光触媒の電子構造にもとづく電子や正孔の反応という
制約は含まれていない.たとえば,上述のようなバンド
構造をもたない孤立した化学種が固体上あるいは固体
中にあれば光触媒になりうるし,バルクの材料をつかっ
たとしても,たとえば光触媒にバンドギャップ付近の波
長の光を照射したとき(不純物レベルからあるいは不純
物レベルへの励起)のように,光吸収やそれにもとづく
光触媒反応が局所的なサイトでおこることもある.した
がって,上記のようなバンドモデルによる説明は光触媒
を理解するためにいつも適切というわけではない.この
意味では,電子のバンド構造にもとづく「半導体光触媒
反応」より,「不均一系光触媒反応」という用語の方が
よい.
 (1)"photocatalysis"は「光触媒反応」という概念で,「光触媒作用」ということもできるが「光触媒反応」の方が一
般的.「光触媒」は"photocatalyst"という物質(substance)をさしているので,"photocatalysis"を「光触媒」と訳すこと
はできない.
 (4)"can be defined"の"can"は許可あるいは提案をあらわす(可能性ではない).「~してもかまわない」の意味.
 (5)"or 'photocatalyst'"の"or"は,「反応中に変化せず光を吸収して反応を起こす固体材料」を「光触媒」とよぶ,とい
う意味.
 (6–7)"the solid"の"the"はまえの文の"a solid material"で,それがわかるように訳す必要がある.
 (8)"most definitions"は,「ほとんどの定義」だが,この部分でひとつの定義をしめしているから,意味のうえでは「ほ
かのほとんどの定義」の意味である.
 (9–10)"Photocatalysis' is the conceptual name for the photocatalytic reactions."は,「『光触媒反応』という用語が光触媒
反応の概念をあらわしている用語である」ので,「実際の光触媒反応をその名前があらわす定義にもとづいて考えれ
ば」,光によって誘起され,光を吸収する固体材料が変化しないことが基本データになる.ちなみに"for"は「~につ
いての」の意味."for"をいつでも「~のため」と思っていたら英語は理解できない.
 (12)"and/or"は,「いずれかまたは両方」の意味であるが,厳密な定義でないことが多い.「や」で2つを結んだ表
現で十分である.逆にいえば,日本語には曖昧さがあるので,「や」が"and/or"の意味を含んでおり,「や」を英語に
しようとすると厳密に"and"なのか"or"なのかを考えなければならないということ.
 (12)"reaction products"の前に"increase in"(あるいは"formation of")が脱落していた.原文のままだと「生成物の消費」
になってしまう.なお,"increase("decrease")"は"in"をとる.
 (15)"seem"を「~のようだ」と訳してしまうと主観的なことを記述することになってしまう.本来の意味は「その
ように思う」という主観ではなく, "(だれがみても)~のようにみえる"という客観的な内容を表現している.
 (16)"when"を「する時(際)」と訳すのは不適切."when"は時間としてではなく,行為の条件を表す.「~しよう
とすると」の方が原文のニュアンスに近い.
 (16–17)"various problems are encountered"は"one encounters various problems"の受動態.日本語ではふつう「出会う」
は受動態にはしない.英語で受動態にするのは,一般的な「人」としての"one"を強調する意味がないから.日本語で
は,主語をいわなくても文が成立するので能動態にすればよい.英語が受動態からといって日本語を能動態にしなけ
ればならないわけではない.
 (17)"prove a given phenomenon as being photocatalytic"を直訳すれば,
「光触媒的なものとしてのある現象を証明する」
=「ある現象が光触媒反応であることを証明する」. なお,"given"は「任意の」「ある」の意味で使われることが多
い.
 (18)"of"以下が人でない場合には"with the aid of "には「~をつかって」程度の意味しかない.「助けを借りて」とい
うのは大げさすぎる.
 (22–23)"which is separated by a forbidden band, a band gap"の関係代名詞"which"の先行詞は"a vacant conduction band"で,
「禁制帯すなわちバンドギャップによって(価電子帯から)隔てられた空の伝導帯」
 (24)" These electrons and positive holes "は複数のものをうけているので"these"となるが,これを「これらの」と訳す
と「これらの何かがもつ(もっている)電子と正孔」の意味になってしまう.日本語には「これ」は複数でもつかう
ことができ,「これ」と訳す方が誤解が少ない.
 (25)"adsorb"は「吸着する」という自動詞で,吸着媒(adsorbent)が吸着質(adsorbate)を吸着する.
 (28)"by the bulk of materials"の"material"には"the"がついているので,「"semiconducting and insulating materials"の"bulk"
によって」の意味.
 (30)"the electronic structure"には"the"がついているのですでにのべられた半導体(絶縁体)の電子のバンド構造のこ
とをさす.
 (34–35)"may proceed"の"may"には「かも知れない」というような主観は含まれていない.「~しても(起こっても)
よい」という一種の許可.
 (38)"is not always adequate"は「いつも適切というわけではない」という部分否定で,「いつも適切でない」ではな
い. なぜ「always "not adequate"」の意味にならないか,つまり"not"が"adequate"にかからないのかは...文法的(こ
とばのならび方)には区別できないが,副詞である"not"は副詞である"always"にも形容詞である"adequate"にもかかり
うるので,どうしても"adequate"にかけたければ,"always not adequate"か"always inadequate"とするべき.
 (40)"heterogeneous"は「不均一な」という意味だが,
「不均一(光)触媒反応」は不適切.原語は正しくは"heterogeneous
(または"homogeneous")-phase"の意味で,反応や(光)触媒が不均一(均一)なのではなく,反応系が不均一(均一).
したがって,「不均一系(光)触媒反応」がよい.




英語のパラグラフに対応して改行する.
変数や定数はイタリック(斜字体)で,添え字はローマン(立体).字体も正確に.
日本文のなかのかっこは,英文表記などに含まれる場合をのぞいて全角ではなく半角を用いること.
日本語に「""」はないので,かっこを用いる.英語での「""」は,マイクロソフトがデフォルトでつかう「””」で
はなく,半角文字の[Shift]+[2]のクオテーションマークを使うこと.
 数字をふくむことばを日本語で書くとき,英(アラビア)数字をつかうか,漢数字をつかうかの考え方のひとつは,
英語での表現によるもの.
(11)"three-digit"や(19)" three ways","three dimensional(3次元の)"のように"one, two, three ..."
の数字であらわされているときはアラビア数字で,"decahedral"(十面体の)や"triangle"(三角形), "secondary particle size"
(二次粒子径)のように序数であらわされているものは漢数字というもの.さて,それでは問題.「ふたつめに...」
はどうなるのか.
 「すべて(×全て)」「もっとも(×尤も)」とか「しかし(×然し)」,「あるいは(×或いは)」,「ただし(×
但し)」,「いくつか(×幾つか)」,「もしくは(×若しくは)」,「よく(×良く)」,「それ(×夫)」,「こ
の(×此の)」「または(×又は)」「よい(×良い)」.
 「しかしながら」は冗長.「しかし」あるいは「~が」を使うこと.「一方で」は冗長.「いっぽう(一方)」を使
うこと.
A
「光触媒反応」の定義 「光触媒反応」という用語にはさまざまな定義があるが,ここではスペースを節約
するために,反応の間変化しない固体材料,すなわち「光触媒」の光吸収により誘起される化学反応として
「光触媒反応」を定義する。言い換えると,その固体が光照射下で変化せずに触媒的に作用することであり,
この説明は多くの定義と一致する。「光触媒反応」は光触媒反応についての概念的な名称である。この理解
からすると,光照射により引き起こされる出発物質の消費や反応生成物の増加を測定し,次に光触媒あるい
は光触媒の特性が反応中に変化しているかどうかを調べることによって,基礎的なデータを入手することが
できる。これは比較的容易な手順のように思われる。しかし実際には,後述するように,得られた現象が光
触媒反応であることを証明しようとする際,さまざまな問題に出くわす。
光触媒反応はバンドモデルという半導体材料の電子構造の概略図●をもちいて次のように説明されること
が多い。●電子で満たされた価電子帯(VB)中の電子が光照射によってバンドギャップという禁制帯によっ
てVBから隔てられた空の伝導帯(CB)へ励起し,その結果VBに正孔が残る。これら励起電子および正孔は光
触媒の表面に吸着した化合物をそれぞれ還元および酸化させる。このような解釈によって,材料についての
そのバルクで光子を吸収する半導体材料や絶縁体材料の光触媒反応は説明される。しかし,前述した定義に
は,光触媒の電子構造に基づくそのような制限が含まれていない。たとえば,上述したバンド構造を持たな
い固体上あるいは固体中の孤立した化学種は光触媒になりうるし,たとえバルク材料が使用されても,たと
えば光触媒にバンドギャップ付近の波長の光を照射したときに(不純物準位からあるいは不純物準位への励
起),光吸収およびその結果起こる光触媒反応が局所的なサイトで進行する可能性がある。したがって,光
触媒反応を理解するには,バンドモデルを使用した解釈では必ずしも十分ではない。この意味で,電子のバ
ンド構造に基づいた「半導体光触媒反応」よりも「不均一系光触媒反応」という用語の方がよりふさわしい
と思われる。
B
「光触媒反応」の定義 「光触媒反応」について様々な定義があるが、スペースを節約するため「光触媒反
応」は反応中で変わらず残る固体材料である「光触媒」の光吸収によって引き起こされる化学反応として定
義することができる。言いかえるとその固体は光照射下(変化なし)で触媒として振舞うので、この説明は
ほとんどの定義と一致する可能性がある。「光触媒反応」は光触媒の反応の概念名である。この理解を通し
て、基礎的なデータは出発物質の消費量および、または光照射によって開始される反応生成物を測定し、そ
の時、光触媒かそれの特性が変化しなかったかを調べることによって得られる。これは比較的簡単な手段で
あるようだ。しかし、実際、後述するように光触媒作用があるとして与えられる現象を証明しようとする時、
様々な問題に直面する。光触媒反応は半導体の電子構造の略図、バンドモデルの補助により紹介されている
ことが多い。電子で満たされた価電子帯(VB)中の電子は光照射によってVBからバンドギャップ、すなわち
禁制帯によって分離され、VB中に正孔を残し、伝導帯(CB)に励起される。これら電子と正孔はそれぞれ光
触媒表面に吸着された化合物の酸化還元を開始する。このような説明はバルク材料によって光を吸収する半
導体と絶縁体の光触媒の反応の主要因となる。けれども、上記で与えられたバンドモデルの定義で、そのよ
うな光触媒の電子構造に基づく制限は含まれない。例えば、先に述べたバンド構造を持たない固体上または
固体中で分離された化学種は、光触媒になり得る、そしてバルク材料が用いられる時でさえ、例えば、光触
媒がバンドギャップ(不純物準位からあるいはその準位に励起)に近い波長で光照射された時、その光吸収
と光触媒反応は局部的なサイトで進行するかもしれない。それ故、バンドモデルにもちいる説明は光触媒反
応に関する理解を満たすのにいつも十分ではない。この意味で「不均一光触媒の反応(光触媒反応)」とい
う用語は電子バンド構造に基づいた「半導体光触媒の反応」よりも良いと思う。
C
「光触媒反応」の定義 「光触媒反応」の言葉の定義はさまざまあるが、スペースを省くため「光触媒反応」
は反応中に変化しないままである固体材料や「光触媒」が光吸収を促進する化学反応として定義することに
する。言い換えれば固体は触媒的に(変化なしに)光照射下で作用し、この説明は多くの定義と矛盾しない。
「光触媒反応」は光触媒反応についての概念的な名前である。このように理解すると基本的なデータは出発
物の消費と光照射による反応物の増加を計測し●光触媒もしくは光触媒特性が反応中に変化するかどうか検
討することによって得られる。基本的なデータは比較的簡潔な方法よるもののようだ。しかし実際のところ
後に議論するときに与えられた光触媒に関する現象を証明しようとするとさまざまな問題に直面する。光触
媒反応はよく半導体材料の電子構造の概要を示した表現を基にして紹介される。それがバンドモデルであり
電子が詰まっている価電子帯(VB)にある電子が光照射によって電子がVBの正孔からなくなったときVBから
禁制帯つまりバンドギャップへわかれた空の伝導帯(CB)へ励起される。これらの電子と正孔は光触媒の表
面で吸収された化合物にそれぞれ還元と酸化を引き起こす。このような解釈は材料のバルクで半導体の光触
媒反応と光子を吸収する材料を絶縁することを説明する。しかし上記の定義では光触媒の電子構造にそった
制限は含まれていない。たとえば孤立した化学種はこれまでに述べていないバンド構造を固体の内側か表面
にをもっており光触媒になるであろう。そしてたとえばバルク材が使われているときでさえも光触媒がバン
ドギャップ(不純物準位からのもしくは不純物準位への励起)付近の波長で光照射されたときは光吸収や光
触媒反応の結果は局所的に制限され続けるかもしれない。そのためバンドモデルを使用するための解釈はい
つでも光触媒反応を理解することだけでは十分ではない。この意味で「異種均一の光触媒反応」という用語
は電子バンド構造にもとづく「半導体光触媒反応」という表現よりもよい。
D
「光触媒反応」の定義 「光触媒反応」という言葉には様々な定義があるが、スペースを節約するために、
「光触媒反応」を反応の間変化しない固体物質あるいは「光触媒」の光吸収によって誘起される化学反応と
定義する。言い換えると、その個体は光照射下で触媒的に、変化せず働き、この解釈はほとんどの定義に矛
盾しない。「光触媒反応」は光触媒反応のための概念的な名前である。このような理解から、基礎データは
光照射による原料の消費や反応生成物の増加を測定し、次に、その反応中に光触媒または、その特性が変化
していないか調べることで得られる。これは比較的簡単な方法に思える。しかし、後述するように、実際に
現象を光触媒反応であると証明しようとすると、様々な問題に遭遇する。光触媒反応は半導体の電子構造の
模式図、すなわち、電子で満たされた価電子帯(VB)の電子が光照射によってバンドギャップ、禁制帯を隔
てた空の伝導帯(CB)に励起し、VBに正孔が残るという、バンドモデルを用いて説明されることが多い。こ
れらの電子と正孔はそれぞれ、光触媒の表面に吸着した化合物を還元と酸化する。このような解釈は物質の
バルクでフォトンを吸収する半導体、絶縁体物質の光触媒反応を説明する。しかし、上記の定義には、光触
媒の電子構造に基づく制限は含まれない。例えば、固体上または中に存在する前述したバンド構造を持たな
い孤立した化学種は光触媒になりえるし、また、バルク物質を用いた場合でも、例えば、光触媒へ不純物順
位からの、あるいは不純物順位への励起のようなバンドギャップに近い波長の光照射をされた時、光吸収や
その結果である光触媒反応は局在的な部分で進むことがある。したがって、バンドモデルを用いた、この解
釈は光触媒反応を理解するため、常に十分というわけではない。この意味では、「不均一系光触媒反応」と
いう言葉は電子バンド構造に基づく「半導体光触媒反応」より良いと思われる。
E
光触媒反応の定義 光触媒反応という言葉にはさまざまな定義があるが、簡単に言うと「光触媒の反応」と
は固体材料からの光吸収によって誘発される化学反応だと定義することができる。つまり光触媒反応である。
これはつまり反応中に自身が変化しない性質をもつということである。言い換えれば、固体材料は光の下で
触媒的な振る舞いをし、この解釈は多くの定義で一緒である。「光触媒反応」は光触媒的な反応の概念的な
名称である。この解釈の下では、基礎データは反応前のマテリアルの減少の測定か、光照射によって生み出
される反応物を測定することで手に入れることができる。そしてそれは光触媒もしくは測定する物質自身の
特性が反応中に変化したのかどうかを調べることができる。これは比較的簡単な手順のように思われる。し
かしながら、実際は得られた光触媒的な現象を説明しようとすると、つまり後になって議論しようとすると、
さまざまな問題に出くわしてしまう。光触媒反応は半導体マテリアル、つまりバンド構造における電子構造
の図式的な表現の助けを借りることで説明されることが多い。バンド構造とは、電子がつまった価電子帯か
ら電子の入っていない伝導帯へ光照射により電子が励起されることである。価電子帯と伝導帯は禁制帯、す
なわちバンドギャップで隔てられており、価電子帯から励起された電子は伝導帯に移動するので、価電子帯
には正孔が生じる。これら電子と正孔はそれぞれ、光触媒材料の表面で吸着した合成物と、酸化還元反応を
おこす。このような解釈は半導体や絶縁体の物質のバルクに光子が吸収されること、つまり光触媒反応を説
明している。しかし上で述べた定義では、光触媒の電子構造の制限が含まれていない。例えば、固体の内部
もしくは上の、バンド構造をもたない孤立した化学種は光触媒材料ではない。バルクマテリアルが使用され
るときでさえ、光吸収や結果生じる光触媒的な反応は局在化された場所で進行するかもしれない。例えば、
光触媒は励起に必要なバンドギャップに近い波長の光(■いろいろな波長の光が混じってはいるが)を照射
される。したがって、光触媒反応を理解する上で、バンドモデルで使われる解釈がいつも適切とは限らない。
この意味で、「混成の光触媒的反応、つまり光触媒反応」という言い方は「半導体光触媒反応」という言い
方よりも、電子バンド構造のことを考えると良いと思われる。■原文にないことをつけたすのは最低
F
“光触媒反応”の定義 “光触媒反応”という言葉には様々な定義があるが、省略すると“光触媒性反応”
は反応の間変化することのない固体物質の光吸収、つまり“光触媒”によって起こる化学反応として定義で
きる。言い換えると、光触媒は光の下で(変化せずに)触媒性をふるまう、そしてこの解釈はたいていの定義
と矛盾しないだろう。“光触媒反応”は光触媒性反応のための概念的な名前である。この解釈から、光照射
による出発物質の消費と反応生成物の増加を測定し、次に光触媒にしても光触媒の性質にしても反応の間に
変化があったか検討することで、基本的なデータを得ることが出来た。この方法は比較的簡単な行為にみえ
る。しかし実際は、誰かが後で議論しようとした時と同様に、光触媒として生じた現象を証明するとき、様々
な問題と出くわす。光触媒反応は半導体の電子構造のバンドモデルの図式的な表現の援助としてよく紹介さ
れ、電子の詰まった価電子帯(VB)電子中の電子は光照射により、価電子帯に正孔を残し、バンドギャップで
ある禁制帯により価電子帯から分離されている伝導帯(CB)に励起する。電子と正孔はそれぞれ、光触媒の表
面上に吸着した化合物を還元、酸化する。このような解釈は、物質のバルクに電子が吸着した半導体と絶縁
体の光触媒性反応の原因となる。しかし、上記の定義では光触媒の電子構造に基づく制限は含まれていない。
●たとえば光触媒がバンドギャップ(励起状態から基底状態まで)に近い波長で光照射された時、固体上また
は固体中に上記で述べたバンド構造を保持していない絶縁化学種は光触媒になりえる、また、バルク物質が
使用される場合でも、光吸収と光触媒性反応の結果は局在化サイトに進む。その結果、バンドモデルを用い
る解釈は光触媒反応の理解に適していない。この意味より、“不均質光触媒性反応(光触媒反応)“という言
葉は、電子バンド構造に基づく“半導体光触媒反応”よりも適しているように見える。
G
光触媒反応の定義 「光触媒反応」という言葉には様々な定義が存在するが、簡単に言うと、「光触媒反応」
は固体物質または「光触媒」が反応中に変化せず光吸収によって引き起こされる化学反応として定義するこ
とができる。言い換えると、個体は(変化することなく)光の照射下で触媒反応を起こすこという解釈が多く
の定義と一致する。「光触媒反応」という言葉は光触媒反応の概念を表す言葉である。この解釈より、基本
的なデータは、光励起によって反応開始した出発物質の消費量および/または反応生成物の増加量を測定し、
続いて反応中に光触媒または光触媒の特性がどれだけ変化したかを調査することによって得ることができる。
これは比較的簡単な方法のように見える。しかしながら、後述するように、ある現象を光触媒によるもので
あると証明するときに様々な問題に直面する。光触媒は、多くの場合、半導体材料の電子構造であるバンド
モデルの概略図を用いて説明され、電子で満たされた価電子帯(VB)中の電子がVBに正孔を残し、VBから禁
制帯つまりバンドギャップによって隔てている空の伝導帯(CB)へ光照射によって電子が励起される。これ
らの電子と正孔が、光触媒の表面に化合物を吸着することによりそれぞれ酸化および還元反応を起こす。こ
のような解釈が、材料のバルクで光子を吸収することにより半導体や絶縁材料の光触媒反応を説明する。上
記の「光触媒反応」の定義では、光触媒の電子構造に関するこのような制限は含まれていない。たとえば、
孤立した化学種は、上述したバンド構造を有さなくても固体中または表面に存在すれば光触媒であることが
でき、バルク材料を用いた場合でも、例えば、光触媒がバンドギャップ付近の波長で光励起(不純物準位から
(へ)の励起)するとき光吸収及び生じる光触媒反応はローカライズされたサイトで進行することができる。し
たがって、バンドモデルを用いた解釈が常に光触媒反応を理解するために十分ではない。この意味において、
用語「不均一光触媒反応(光触媒反応)」は電子バンド構造に基づく「半導体光触媒反応」よりも良好と思わ
れる。
H
“光触媒反応“の定義 “光触媒反応“という用語にはさまざまな種類の定義があるが,簡潔に書くとする
と, “光触媒性の反応“は反応中で変化せずにある固体材料,すなわち”光触媒”,の光の吸収によって誘
起される化学反応と定義することが出来る.言い方を変えると,光のもとで変化せずに触媒として振舞うそ
の固体と“光触媒性の反応”の解釈は多くの定義でつじつまが合うだろう.このため, “光触媒反応”は光
触媒性の反応のための理念の名前であると言える.この認識から,出発物質の消費と光照射によって増加す
る反応生成物の両方もしくは片方の測定それから光触媒であるにせよその特質が反応中に変化したものであ
っても吟味することで基礎的データは得ることが出来る.これは比較的簡単な手法だろうと思う.しかし実
際は,得られた光触媒性の様な現象を解き明かそうとするたびに後で論じるような様々な問題と出くわすの
である.光触媒反応は多くの場合半導体の電子構造の電子で満たされた価電子帯(VB)にある電子がVBから光
照射によって正孔をVBに残し禁制帯,あるいはバンドギャップと呼ばれる,で区切られている空の伝導帯(CB)
に励起されるというバンドモデルの図を補われそれらの電子と正孔は光触媒表面に吸着された化合物の還元
と酸化それぞれを引き起こすと紹介される.このような解釈は半導体と絶縁体のバルク(界面でない部分)に
よる光子の吸収の光触媒性の反応を説明する.しかし,上記から与えられる定義は光触媒の電子構造に基づ
くような制限は含まれていない.例えば,孤立した化学種,上記のバンド構造を持ち合わせていない,は固
体の表面もしくは中において光触媒でありうる,そして塊の材料が使われるときでも局所的なサイトでその
ような光触媒が,たとえばバンドギャップに近い波長の光を照射されたとき,つまり不純準位からのもしく
は不純準位への励起,に光吸収と結果として生じる光触媒性の反応は進むだろう.したがって,バンドモデ
ルを使用した解釈は光触媒の理解はいつも不十分である.この意味で,電子バンド構造に基づくと,用語の”
不均一系光触媒反応”のほうが”半導体光触媒(tic)反応”より良いように思えるのである.
I
「光触媒反応」の定義 「光触媒反応」という用語の定義はさまざまあるが,スペースを節約するために,
「光触媒反応」を反応中に変化しない固体材料,すなわち「光触媒」の光吸収によって誘起される化学反応
と定義する.言いかえれば,光照射下でその個体材料が触媒的に作用し,この説明は多くの定義において矛
盾しない.「光触媒反応」は光触媒反応における概念的な名称である.この理解のうえで,光照射によって
引き起こされた出発原料の消費もしくは反応生成物の測定,またについて調べることで反応中に光触媒もし
くはその性質が変化したかどうかで基礎的なデータは得られる.この方法は比較的簡単な方法であるように
思われる.しかし,この後で述べられる光触媒反応の現象の改善を目指すさいに,実際様々な問題が存在す
る.光触媒は半導体材料の電子構造の概要の補助としてバンドモデルで説明されることが多く,電子で満た
された価電子帯の中にある電子が光照射によって禁制帯を隔てて価電子帯から空の伝導帯へと励起させられ,
価電子帯に正孔が残る.これらの正孔と電子はそれぞれ光触媒の表面に吸着した化合物をそれぞれ酸化およ
び還元反応をおこなう.このような解釈は材料のバルクにおける光子吸収による絶縁体や半導体における光
触媒反応として説明される.しかしながら上記で述べた光触媒反応の定義のなかで,光触媒の電子構造に基
づく制約は含まれていない.たとえばバンド構造を持たない孤立した化学種が固体上もしくは中において光
触媒となることができ,さらにバルク材料を使ったときでさえ,光吸収およびそれにもとづく光触媒反応は,
●光触媒がバンドギャップに近い波長の光照射をされたときに不純物準位から,もしくは不純物準位への励
起といった例のような局在的に反応が進行する可能性がある.それゆえにバンドモデルをもちいた解釈はつ
ねに光触媒反応の理解のためには適切ではない.この意味のなかでは電子のバンド構造に基づく「半導体光
触媒反応」よりも「不均一系光触媒反応」という言葉のほうがより良い.