技術開発を見守りたい。 また、化学繊維製であることから、これまでの廃棄物としての処理・処分に代えてリサイクル の必要性が唱えられているペットボトル等の廃プラスチックを材料とした、リサイクル技術の開 発にも注目される。表 - 1は共同研究各社がシートの製造に用いている主要な原材料とリサイク ルの可能性について整理したものである。 廃プラスチックのリサイクルについては「容器包装リサイクル法」で規定されているが、燃焼 させて熱や発電などのエネルギーとして回収するエネルギーリサイクルが、法上のリサイクルと して認められていない。このため素材としてのリサイクルであるマテリアル・ケミカルリサイク ルの用途と技術の開発が急がれている。このような状況のもと、廃プラスチックのリサイクル用 途として、生態系の保全も視野に入れた本侵食防止シートが名乗りを上げることとなれば、環境 問題に果たす役割も大きくなるものと期待される。 表 -1 侵食防止シートの原材料候補とリサイクルの可能性 原材料候補 ポリエステル系 出回り方(代表例) ペットボトル リサイクルの可能性 -再生時パージン材を加える必要有り。 -一回粉砕品にしてから再生する必要有 り 。 -回収一再生ルートなし(現状)。 -ダイオキシンでない。 ポリプロピレン系 食材梱包のフィルム -技術的には一番再生しやすい。 -原材料が非常に安い。 -大量回収しにくい利用形態。 -ダイオキシンでない。 -回収一再生ルートなし(現状)。 塩化ビニーノレ系 農業塩ピ(ビニールハ -回収一再生ルートは確立されている。 極化ピニリデン系 ウスなど) -低温焼却等の条件でダイオキシン出 塩化ピニリデン系は相 る 。 包材などもあり。 なお、本シートの開発に当たり、近年注目されている内分泌撹乱作用が疑われる化学物質(い わゆる「環境ホルモン J)の問題についても十分な検討が必要であることは言うまでもない。こ れらの化学物質の含有量について事前の調査を行うのは勿論のこと、本シートは堤防や河岸の侵 食防止工として開発するものであり、当然、屋外で日照や風雨に曝されることが前提であるから、 そのような環境中でも侵食防止工として長期間にわたり安定し、これらの化学物質が環境中に放 出されるか否か、放出される場合にはそのレベルを調査する必要がある。 3. シートの侵食防止機能 3 .1植生の耐侵食性 シートの侵食防止機能は、植生の侵食防止機能を模したものであり、その概要を以下に紹介す 円︿U つω の実験により、実験水路の断面平均流速で 2""3m/s程度までは、十分実用に耐えうる耐侵食性 が確認されている。 ハHv また、侵食防止及び、環境面からシート上 にd 侵食性の観点からは、空隙が小さく厚い部 材が耐侵食性に優れると考えられる。しか し、植生繁茂の観点および今後の低コスト 化を目指した護岸の整備を考慮した場合、 1 0 1 5 2 0 ~ t め、耐侵食性と植生根の貫通性を両立さ E Fhd O /︼ しかっ薄い方が有利と考えられる。そのた +計算モデル(近似解) ・実験結果 C U = 2 m / s ) 企実験結果 C U = l m / s ) 岨岨 o ' - ・ ム 植生根が容易に部材を貫通できる空隙を有 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 nHU に植生を繁茂させることは重要である。耐 3 0 せ、廃プラスチックのリサイクルも含めた u '/ u O 低コスト化を図ることが、耐侵食シート開 図- 3 ケース 1シート層内平均流速分布 発の課題である。 。 。 O .2 O .4 O .6 O .8 4. 耐侵食性の検討 4 .1水理実験による検討 5 図 -3""5には、同じ物性のシートで厚 o 1 0 ほぼ同じ(空隙径と厚さの比が同じと考え 、 ~ ればよい)でシートの物性が異なるものの た 1 5 2 0 さを変化させたもの、および無次元厚さが 3ケースの実験におけるシート層内流速分 2 5 布の測定結果および計算モデルの結果を示 3 0 している。表ー 2は実験 3ケースに用いた シート材の物性を示す。表 - 2において、 u / u O 図-4 ケース 2シート層内平均流速分布 。 。 pは別途検討したシート層内の流れ場の計 O .2 0 . 4 算モデルで層内の流れにくさを表す係数で ある。 O .6 O .8 51 図 - 3と図 - 4は、ケース lとケース 2 のシート層内流速分布であり、無次元厚さ +計算モデル(近似解) I ・実験結果 C U = 2 m / s )I ・実験結果 C U = l m / s )I o 1 0 が同じであれば、シート層内の流れにくさ ' - を表す係数 pが大きいほど、流速の低減効 t - 5は、ケース 2とケース 3のシート層内 1 5・ 2 0 2 5 平均流速分布であるが、シート層内の構造 3 0 ~ 果が高いことが分かる。また、図 - 4と図 が同じであれば、層流力の低減効果はシー トの厚さで効いてくることが判断できる。 u / u O 図- 5 ケース 3シート層内平均流速分布 1 FHU “ っ
© Copyright 2024 ExpyDoc