全体の pdf ファイル

浅水波
1
波動方程式
1
浅水波
林 祥介
2014 年 07 月 18 日
波動方程式
1
非回転系浅水波方程式に現われる波—浅水波—の伝播 · 構造を調べる.浅水波方
程式系2 から出発する.
∂u
∂u
∂u
∂h
+u
+v
− f v = −g ,
∂t
∂x
∂y
∂x
∂v
∂v
∂v
∂h
+u
+v
+ f u = −g ,
∂t
∂x
∂y
∂y
∂H
∂
∂
+
(Hu) +
(Hv) = 0.
∂t
∂x
∂y
(1)
(2)
(3)
f = 0 の場合を考える.u, v, h が微小量であるとして線型化すると
∂u
∂h
= −g ,
∂t
∂x
∂v
∂h
= −g ,
∂t
∂y
(
)
∂u ∂v
∂h
+ H0
+
= 0,
∂t
∂x ∂y
(4)
(5)
(6)
H0 は静止状態での流体の深さ,h は静止状態からの水面の変位を表わす.
(3),(4) より
∂
(divv) = −g∇2 h
∂t
(7)
ただし,
2
浅水波方程式系の導出についてはシリーズ ‘浅水波方程式’ を参照せよ
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav1.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
1
波動方程式
2
∂u ∂v
+
,
∂x ∂y
∂2
∂2
∇2 =
+
∂x2 ∂y 2
divv =
である.
(6) と (7) より divv を消去すると,波動方程式が求まる.
(
∂ 2h
∂ 2h ∂ 2h
−
gH
+
0
∂t2
∂x2 ∂y 2
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav1.tex)
)
= 0.
(8)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
2
浅水波の分散関係
2
3
浅水波の分散関係
(9) の解を平面波の形で求める. h = h0 ei(kx+ly−ωt) を代入することにより浅水波の
分散関係が得られる.
ω 2 = gH0 (k 2 + l2 )
(9)
2.1
位相速度
√
ω
c ≡ √ 2
=
gH0 ,
k + l2
√
k 2 + l2
ω √
cx ≡ = gH0
,
k
k
√
ω √
k 2 + l2
cy = = gH0
.
l
l
2.2
(10)
(11)
(12)
群速度
∂ω √
k
= gH0 √ 2
,
∂k
k + l2
∂ω √
l
≡
= gH0 √ 2
,
∂l
k + l2
√
k
.
cg = gH0
|k|
cgx ≡
(13)
cgy
(14)
(15)
ただし k = (k, l) である. (10) から浅水波の位相速度 c は波数によらないことが
わかる (分散がない).
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
3
表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題
4
大
小
図 1: 表面重力波の分散関係
波面
図 2: 位相速度
3
表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題
y 方向に一様である簡単な状況を例に,浅水波の伝播する様子を記述する.
∂
= 0 の場合を考える.
∂y
∂h
初期値 h |t=0 = h0 (x) ,
|t=0 = ζ(x) に対する解は,
∂t
(4)∼(6) について
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題
3
1
1 ∫ x+ct ′ ′
h(x, t) = {h0 (x − ct) + h0 (x + ct)} +
dx ζ(x )
2
2c x−ct
√
となる(Appendix.A). c ≡ gH0 は浅水波の位相速度である.
5
(16)
• 例
t = 0 で静止,矩形波型の変位を与えたときの伝播の様子を調べる.
h0 (x) =



 h0
|x|< L


 0
|x|> L
ζ(x) = 0,
この初期値に対する解は,
h(x, t) = h+ (x, y) + h− (x, y)




h± (x, t) =
1
h
2 0


 0
| x ± ct | < L
| x ± ct | > L
初期に与えられた変位は,2 つにわかれて形を保ったまま伝播してゆく(図
3).
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
3
表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題
6
(a)
(b)
(c)
(d)
図 3: 初期変位を与えたときの表面重力波の伝播の様子. (a) から (d) へと変位が
√
両側に速さ c = gH0 で伝播していく.
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
4
平面波の構造
7
低
高
低
図 4: 浅水波の構造
4
平面波の構造
平面波の構造を見るために、u, v, divv を h で表わし,位相関係を調べる.
(7) より
divv =
g(k 2 + l2 )
g(k 2 + l2 )
h=i
h
−iω
−iω
(17)
(4),(5) より
ikg
h=
−iω
ilg
v = −
h=
−iω
u = −
gk
h,
ω
gl
h
ω
(18)
(19)
(17) , (19) より,平面波の構造は図 4 のようになる.
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav3.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
5
5
浅水波の伝播
8
浅水波の伝播
図 4 の構造を持つ波がどのように伝播していくかを考える.
1. 図 5(a) において,AB 上では divv > 0 であるから変位は減少してゆく
∂h
(
= −H0 divv) .また,AB 上の流体は,変位の gradient により波面に垂
∂t
∂v
直な方向に加速される (
= −g∇h) .
∂t
2. 水面が周囲より下がると,周囲から低い部分に向かって加速されて 流れが
∂
集まってくる( divv が減少
(divv) = −g∇2 h) .それとともに水面が上
∂t
昇してゆく(図 5(b)).
3. やがて divH v が最小になり,さらに変位は増大していく(図 5(c)).このと
き変位の gradient により波面に垂直な方向に加速される.
4. 変位が最大になると,その周囲で高いところから低い方向へ向かう流れが加
∂
速され,divv が増える ( (divv) = −g∇2 h) . 再び変位は減少し,1. の状
∂t
態に戻る.
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav4.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
5
(a)
浅水波の伝播
9
A
低
高
低
加速
加速
B
A
(b)
低
高
低
B
(c)
A
低
高
低
B
(d)
低
A
高
低
B
図 5: 浅水波の伝播
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav4.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
6
付録 : 波動方程式の初期値問題
6
10
付録 : 波動方程式の初期値問題
波動方程式
2
∂ 2h
2∂ h
−
c
∂t2
∂x2
=0
(20)
を初期条件



 h |t=0
= h0 (x)
∂h 
= ζ0 (x)

 ∂t t=0
の下で解く.
(20) を時間 t について Laplace 変換,空間 x について Fourier 変換を行なうと
˜ s) = 0
˜ s) − sh
ˆ 0 (k) − ζˆ0 (k) + k 2 c2 h(k,
s2 h(k,
(21)
ただし,˜ は Laplace Fourier 変換,ˆ は Fourier 変換を表わす.すなわち
F˜ (k, s) ≡
ˆ
G(k)
≡
∫
∫
0
∞
−∞
∞
−st
∫
dte
∞
−∞
dxe−ikx F (x, t),
dxe−ikx G(x).
˜ について解くと
(21) を h
˜ s) =
h(k,
s2
s
1
ˆ 0 (k) +
h
ζˆ0 (k)
2
2
2
+k +c
s + k 2 + c2
Laplace 逆変換を行なう.
[
]
s
=
L
2
s + k 2 + c2
[
]
1
L−1 2
=
s + k 2 + c2
−1
1 ikct
(e + e−ikct )
2
1
(eikct − e−ikct )
2ikc
より
ˆ t) = 1 h
ˆ 0 (k)(eikct + e−ikct ) + 1 ζˆ0 (k)(eikct − e−ikct )
h(k,
2
2ikc
さらに逆 Fourier 変換すると,第1項目は
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav5.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
6
F −1
[
1ˆ
h0 (k) eikct+ikx
2
]
=
=
=
=
=
付録 : 波動方程式の初期値問題
11
1 ∫∞
1ˆ
ikct+ikx
dk h
0 (k)e
2π −∞ 2
∫
∫
1 ∞ ∞
′
dkdx′ h0 (x′ )eik(x−x +ct)
4π −∞ −∞
∫ ∞
1∫ ∞ ′
′
′ 1
dx h0 (x )
dke−ik(x −x−ct)
2 −∞
2π −∞
1∫ ∞ ′
dx h0 (x′ )δ(x′ − x − ct)
2 −∞
1
h0 (x − ct)
2
第3項目は
F
−1
[
1
− ζˆ0 (k) sin(kct)
kc
]
∫ ∞
1 ∫∞
eikt
′
=
dk
sin(kct)
ζ0 (x)e−ikx dx′
2π −∞
kc
−∞
∫ ∞
∫ ∞
1
1
=
dx′ ζ0 (x)
sin(kct)dk
2π −∞ kc
−∞
∫
∫ t
1 ∫∞
=
dx′ ζ0 (x)
dk dt′ cos(kct′ )
2π −∞
0
∫ t
∫
′
′1
=
dx ζ0 (x){δ(x − ct′ ) + δ(x + ct′ )}
dt
2
0
1∫ t ′
=
dt {ζ(x − ct′ ) + ζ(x + ct′ )}
2 {
0
}
∫ x−ct
∫ x+ct
1
=
−
dpζ(p) +
dpζ(p)
2c
x
x
1 ∫ x+ct ′ ′
dx ζ(x )
=
2c x−ct
よって求める解は
1
1 ∫ x+ct ′
h(x, t) = {h0 (x − ct) + h0 (x + ct)} +
dx ζ(x).
2
2c x−ct
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav5.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
7
シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述
12
シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述
7
局所分散関係
7.1
回転のない浅水波方程式2 から出発する.
∂u
∂u
∂h
∂u
+u
+v
= −g ,
∂t
∂x
∂y
∂x
∂v
∂v
∂v
∂h
+u
+v
= −g ,
∂t
∂x
∂y
∂y
)
(
∂h
∂h
∂h
∂u ∂v
+u
+v
+H
+
= 0.
∂t
∂x
∂y
∂x ∂y
x 方向の流れ U = U (y) に対する微小擾乱の振舞いを表わす式は u = U + u′ , v =
v ′ , h = H0 + h′ を代入して ′ の2次の量を無視することにより得られる.
∂u
∂u
dU
∂h
+U
+v
= −g ,
∂t
∂x
dy
∂x
∂v
∂v
∂h
+U
= −g ,
∂t
∂x
∂y
)
(
∂h
∂h
∂u ∂v
+U
+ H0
+
= 0.
∂t
∂x
∂x ∂y
(22)
(23)
(24)
簡単のため ′ は省略した.(1)∼(3) について,u,v を消去すると,
(


) (
)2

∂
dU ∂h
∂  ∂
∂
+U
+U
h − gH0 ∇2 h + 2gH0
= 0.

∂t
∂x  ∂t
∂x
dy ∂x∂y
(25)
波束の振舞いを調べるために次の形の解を求める.
∞
∑
h=
εn An (X, Y, T )ei
ϑ(X,Y,T )
ε
(26)
n=0
X = εx,
Y = εy,
T = εt,
0<ε≪1
局所的な波数,振動数は次のように定義される.
2
この導出についてはシリーズ ‘浅水波方程式’ を参照せよ
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr1.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
7
シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述
1 ∂ϑ
∂
=
ϑ(X, Y, T )
ε ∂x
∂X
1 ∂ϑ
∂
l =
=
ϑ(X, Y, T )
ε ∂y
∂Y
1 ∂ϑ
∂
ω = −
= − ϑ(X, Y, T )
ε ∂t
∂T
k =
13
(27)
(28)
(29)
基本流 U (y) は y 方向にゆっくり変化していると仮定する.
U ≡ U (Y )
(5) を (4) に代入し,ε の各 order でまとめる.O(ε0 ) より局所分散関係が求まる.
ω = Uk ±
√
gH0 (k 2 + l2 )
(30)
群速度は次のようになる.
√
∂ω
k
= U ± gH0 √ 2
,
∂k
k + l2
√
∂ω
k
≡
= ± gH0 √ 2
∂l
k + l2
cgx ≡
(31)
cgy
(32)
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr1.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
7.2
7
シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述
14
波数 · 振動数の保存則
局所的波数,振動数についての保存則は次のようになる1 .
∂k
∂k
∂k
+ cgx
+ cgy
= 0,
∂T
∂X
∂Y
∂l
∂ω
∂l
∂l
+ cgx
+ cgy
=−
,
∂T
∂X
∂Y
∂Y
∂ω
∂ω
∂ω
+ cgx
+ cgy
= 0.
∂T
∂X
∂Y
(33)
(34)
(35)
ω,k は cg で動く系からみて保存するが l は保存しない.
7.3
wave action
浅水波方程式のエネルギーの式に W.K.B. 近似解を代入することにより表面重力
波の Wave action の保存則が得られる(Appendix.A).
∂
∂T
(
E¯
ω
ˆ
)
+
∂
∂X
(
cgx
E¯
ω
ˆ
)
+
∂
∂Y
(
cgy
E¯
ω
ˆ
)
= 0.
(36)
ただし
(
1 2
g ¯2
E¯ =
u¯ + v¯2 +
h
2
H0
ω
ˆ = ω − Uk
)
である.
1
この導出についてはシリーズ ‘内部重力波∼シアー流中の伝播’ を参照せよ
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr1.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
8
シアー流中の波束の伝播
15
シアー流中の波束の伝播
8
W.K.B. 近似の結果を用いてシアー流中の波束の伝播を記述する.
l は分散関係 (9) より,
l2 =
ω
ˆ
− k2
gH0
(37)
を満たしながら変化してゆく.
1. いま,図 6 のように U (y) の流れの中に波束を置いたとする.
2. 波束が y 方向に伝播するにしたがって ω
ˆ = ω − U (y)k は減少してゆく.(16)
より,l は減少してゆく.群速度は,
cgx
cgy
√
gH0 k
= U√ 2
k + l2
√
gH0 l
= √ 2
k + l2
l → 0 になるにしたがって
cgx → U +
√
gH0
cgy → 0
しかし,ω
ˆ → 0 とならないので E¯ → 0 とならない.
8.1
turning level
l = 0 となる y = yt を turning level という.波束が turning level に達するまでの
時間を計算する.
y1 から y2 まで波束が伝播するのに要する時間 T は
∫
y2
T =
y1
∫ l2
1 dy
dy
=
dl
cgy
l1 cgy dl
ここで
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
8
シアー流中の波束の伝播
16
図 6: 浅水波の波束の伝播
(
)
dU
dU
dl
2ˆ
ω
k
= −2k
2l
=
dy
gH0
dy
dy
√
dy
l gH0
=− √ 2
dl
2k k + l2 Uy
√
k 2 + l2
gH0
より
√
(
)
√
k 2 + l2
l gH0 1
√
T =
− √ 2
dl
gH0 l
l1
2k k + l2 cy
l1
l1 − l2
=
−→
2kUy
2kUy
∫
l2
波束は有限の時間で turning level に達することができる.
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
8.2
8
シアー流中の波束の伝播
17
W.K.B. 近似の吟味
−1
1 dK 2π
2π
W.K.B. 近似を用いるには,波長
=√ 2
と波数の変化するスケール
k dy K
k + l2
の比が十分小さいことが必要である.そこで turning level 付近での波数の変化を
調べる.
波数の変化するスケールは
dK
dy
l
dl
= √ 2
2
k + l dy
l
−2ˆ
ωk
= √ 2
Uy
k + l2 gH0 l
(U − c)k 2 Uy
= √ 2
k + l2 gH0
よって波長と波長に変化するスケールの比は,
1
K
1 dK −1
K dy =
=
=
1 dK 2
K dy 1 (U − c)k 2 Uy √
2
k + l2
k 2 + l2 gH0 U √
Uy
Uy
k2
y
(U
−
c)
gH
−→
.
0 = √
2
gH0 k
(k 2 + l2 ) 3 gH0
gH0 k
U
√ y ≪ 1 であれば,turning level まで W.K.B. 近似が使える.
gH0 k
しかし,W.K.B. 近似では波束が turning level に達した後の事は何も言えない.こ
の近似では turning level に達するまでの事しか言えず,turning level の向こう側
の情報は何も入ってこない.
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr2.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
9
9
linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解
18
linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解
linear shear 流に対して無限遠から eik(x−ct) の型の波を励起,伝播させたときの定
常解を求める.透過波領域において critical level から遠ざかる方向に進む波しか存
ik(x−ct)
ˆ
在しない,という境界条件を用いる.変位だけの式 (4) について h = h(y)e
を代入すると
{
}
2
ˆ
ˆ
2 dU dh
d2 h
2 (U − c)
ˆ = 0.
−
+
k
−1 h
dy 2 U − c dy dy
gH0
平均の深さ H0 ,特徴的な流れの速度 U0 ,シアーの強さ
(38)
dU
を用いて無次元化を
dy
行う.
(x, y) = L(x∗ , y ∗ ),
t=
L ∗
t,
U0
U = U0 U ∗ ,
ˆ = H0 h∗ ,
h
L=
U0
.
dU/dy
これらを (17) に代入すると無次元化した変位の式が得られる.
{
}
ˆ 2 dh
ˆ
d2 h
2
2 2
ˆ = 0.
h
−
+
k
F
r
y
−
1
dy 2 y dy
(39)
ただし y 座標の原点を critical level U − c = 0 に選んだ.F r はフルード数
U2
Fr ≡
である.*は省略してある.
gH0
(18) を y = 0 のまわりの級数解として求めると(Satomura(1981)).
ˆ1 =
h
∞
∑
An y 2n+3 ,
(40)
n=0
A1 =
ˆ2 =
h
∞
∑
k2
A0 ,
10
An+1 =
k2
(An − F r2 An−1 ),
(2n + 5)(2n + 2)
An y 2n ,
(41)
n=0
B1 = −
k2
B0 ,
2
Bn+1 =
k2
(Bn − F r2 Bn−1 ).
(2n + 2)(2n − 1)
となる.
ˆ =| y | h
˜ と変数変換すると (18)
y → ±∞ における (18) の解の振舞いを調べる.h
は
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr3.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解
9
{
19
}
˜
d2 h
2 ˜
+ k 2 (F r2 y 2 − 1) − 2 h
= 0.
2
dy
y
(42)
˜
d2 h
˜ = 0.
+ k2 F r2 y 2 h
dy 2
(43)
この式は y → ±∞ で
に漸近する.これに W.K.B. 近似を適用して y → ±∞ での漸近解が得られる.
( ∫
˜ + =| P |−1/4 exp i
h
˜ − =| P |−1/4
h
y
)
√
P dy ,
)
(
∫ y√
P dy .
exp −i
(44)
(45)
˜ + は critical level から離れる方向,h
˜ − は critical
ただし P = k 2 F r2 y 2 である.h
level に向かう方向に進む波を表わす.境界条件を用いて解を定めよう.透過波領
域 y → ∞ においては critical level から離れる方向に進む波しかないので
˜ ≡ αh
˜1 + βh
˜ 2 ∼ Ah
˜+
h
(46)
˜ 1,2 は h
ˆ 1,2 を | y | で割り算したものであり,α, β, A は複素定数
となる.ただし h
(
)
˜+
√
d
h
dP/dy
˜ + について
˜ + = 0 が成り立つことから
である.ここで h
+
+i P h
dy
4|P |
α と β の比が定まる.
(
√ ) 
 ˜
dP/dy
dh1
˜1
P h
+
+
i
β
dy
4|P |
(
) 
= −  dh˜
√
2
˜2
α
+ dP/dy
+i P h
dy
4|P |
.
(47)
y=yobs
yobs は透過波側で W.K.B. 近似が十分成り立つ点である.
F r = 7.0, k = 4.0 での結果を図 7 に示す.反射波の振幅が入射波より大きくなっ
ている(Over-Reflection).
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr3.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
9
linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解
20
図 7: 浅水波の Over-Reflection 解
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr3.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
10
浅水波の wave action の保存則
10
21
浅水波の wave action の保存則
(1)∼(3) よりエネルギーの式を作る.
u × (1) + v × (2) より,
(
gh
× (3) より,
H0
∂
∂
+U
∂t
∂x
(
){
}
1 2
dU
(u + v 2 ) + uv
= −gv · ∇h
2
dy
∂
∂
+U
∂t
∂x
)(
(48)
)
g 2
h + ghdivv = 0.
2H0
(49)
(27), (28) を足すことにより,
(
)
∂
∂
dU
+U
E + div(ghv) + uv
= 0.
∂t
∂x
dy
(50)
ただし E は擾乱のエネルギー
E≡
(
1 2
g 2
u + v2 +
h
2
H0
)
W.K.B. 解を用いることにより O(ε0 ) の展開から,
gk
h0
ω
ˆ
gl
=
h0
ω
ˆ
u0 =
v0
ただし ω
ˆ ≡ ω − U k である.これを用いると擾乱のエネルギーの1波長平均 E¯ は
{(
E¯ =
=
=
=
)
(
)
}
1
gk 2
gl 2
g
+
+
h20
2
ω
ˆ
ω
ˆ
H0
{
}
g
1 g(k 2 + l2 )
+
h20
2
ω
ˆ2
H0
1 2g 2
h
2 H0 0
g 2
h
H0 0
また,
k
cgx
k
=√
=
ω
ˆ
gH0
gH(k 2 + l2 )
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr4.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
10
浅水波の wave action の保存則
22
を用いると
(
)
∂
∂ g2k 2
(ghu) =
h
∂x
∂x ω
ˆ 0
(
)
∂
g
=
cˆgx h20
∂x
H0
∂
¯
=
(ˆ
cgx E),
∂x
)
(
∂ g2l 2
∂
(ghv) =
h
∂y
∂y ω
ˆ 0
(
)
∂
g
=
cˆgy h20
∂y
H0
∂
¯
=
(ˆ
cgy E).
∂y
また波数保存則より
(
)
∂
∂
∂
ω
ˆ
+ cgx
+ cgy
∂t
∂x
∂y
Dg ω
Dk
DU
=
−U
−k
Dt
dt
Dt
dU
= −kcgy
dy
Dg ω
ˆ
≡
Dt
となるので
uv
dU
dy
1 Dg ω
ˆ
uv
kcgy Dt
1 g 2 kl 2 Dg ω
ˆ
= −
h0
2
kcgy ω
ˆ
Dt
= −
gh20 1 Dg ω
ˆ
H0 ω
ˆ Dt
¯
E Dg ω
ˆ
= −
ω
ˆ Dt
これらより (29) の1波長平均をとると,
)
(
)
(
¯ ∂
∂ ¯
∂
∂
E
∂
∂
∂
¯ +
¯ −
+U
E+
(cgx E)
(cgy E)
+ cgx
+ cgy
ω
ˆ = 0,
∂t
∂x
∂x
∂y
ω
ˆ ∂t
∂x
∂y
= −
よって,浅水波の wave action 保存則がもとまる.
∂
∂t
(
E¯
ω
ˆ
)
(
∂
E¯
+
cgx
∂x
ω
ˆ
)
(
∂
E¯
+
cgy
∂y
ω
ˆ
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr4.tex)
)
= 0.
(51)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
浅水波
11
11
参考文献
23
参考文献
Satomura,T.,1981 : An investigation of shear instability in a shallow water.
J.Met.Soc.Japan,59,148-167
Takehiro, S. and Hayashi, Y.-Y., 1992: Overreflection and shear instability in a
shallow water. J.Fluid.Mech., (in print).
Whitham,G.B.,1974 : Linear and nonlinear waves. A Wiley-Interscience Publication,636pp.
竹広真一, 1989 : 浅水波の Over-Reflection とシアー不安定. (修士論文)
/riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshrr.tex)
2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)