浅水波 1 波動方程式 1 浅水波 林 祥介 2014 年 07 月 18 日 波動方程式 1 非回転系浅水波方程式に現われる波—浅水波—の伝播 · 構造を調べる.浅水波方 程式系2 から出発する. ∂u ∂u ∂u ∂h +u +v − f v = −g , ∂t ∂x ∂y ∂x ∂v ∂v ∂v ∂h +u +v + f u = −g , ∂t ∂x ∂y ∂y ∂H ∂ ∂ + (Hu) + (Hv) = 0. ∂t ∂x ∂y (1) (2) (3) f = 0 の場合を考える.u, v, h が微小量であるとして線型化すると ∂u ∂h = −g , ∂t ∂x ∂v ∂h = −g , ∂t ∂y ( ) ∂u ∂v ∂h + H0 + = 0, ∂t ∂x ∂y (4) (5) (6) H0 は静止状態での流体の深さ,h は静止状態からの水面の変位を表わす. (3),(4) より ∂ (divv) = −g∇2 h ∂t (7) ただし, 2 浅水波方程式系の導出についてはシリーズ ‘浅水波方程式’ を参照せよ /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav1.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 1 波動方程式 2 ∂u ∂v + , ∂x ∂y ∂2 ∂2 ∇2 = + ∂x2 ∂y 2 divv = である. (6) と (7) より divv を消去すると,波動方程式が求まる. ( ∂ 2h ∂ 2h ∂ 2h − gH + 0 ∂t2 ∂x2 ∂y 2 /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav1.tex) ) = 0. (8) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 2 浅水波の分散関係 2 3 浅水波の分散関係 (9) の解を平面波の形で求める. h = h0 ei(kx+ly−ωt) を代入することにより浅水波の 分散関係が得られる. ω 2 = gH0 (k 2 + l2 ) (9) 2.1 位相速度 √ ω c ≡ √ 2 = gH0 , k + l2 √ k 2 + l2 ω √ cx ≡ = gH0 , k k √ ω √ k 2 + l2 cy = = gH0 . l l 2.2 (10) (11) (12) 群速度 ∂ω √ k = gH0 √ 2 , ∂k k + l2 ∂ω √ l ≡ = gH0 √ 2 , ∂l k + l2 √ k . cg = gH0 |k| cgx ≡ (13) cgy (14) (15) ただし k = (k, l) である. (10) から浅水波の位相速度 c は波数によらないことが わかる (分散がない). /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 3 表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題 4 大 小 図 1: 表面重力波の分散関係 波面 図 2: 位相速度 3 表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題 y 方向に一様である簡単な状況を例に,浅水波の伝播する様子を記述する. ∂ = 0 の場合を考える. ∂y ∂h 初期値 h |t=0 = h0 (x) , |t=0 = ζ(x) に対する解は, ∂t (4)∼(6) について /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題 3 1 1 ∫ x+ct ′ ′ h(x, t) = {h0 (x − ct) + h0 (x + ct)} + dx ζ(x ) 2 2c x−ct √ となる(Appendix.A). c ≡ gH0 は浅水波の位相速度である. 5 (16) • 例 t = 0 で静止,矩形波型の変位を与えたときの伝播の様子を調べる. h0 (x) = h0 |x|< L 0 |x|> L ζ(x) = 0, この初期値に対する解は, h(x, t) = h+ (x, y) + h− (x, y) h± (x, t) = 1 h 2 0 0 | x ± ct | < L | x ± ct | > L 初期に与えられた変位は,2 つにわかれて形を保ったまま伝播してゆく(図 3). /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 3 表面重力波の伝播 ∼ 初期値問題 6 (a) (b) (c) (d) 図 3: 初期変位を与えたときの表面重力波の伝播の様子. (a) から (d) へと変位が √ 両側に速さ c = gH0 で伝播していく. /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 4 平面波の構造 7 低 高 低 図 4: 浅水波の構造 4 平面波の構造 平面波の構造を見るために、u, v, divv を h で表わし,位相関係を調べる. (7) より divv = g(k 2 + l2 ) g(k 2 + l2 ) h=i h −iω −iω (17) (4),(5) より ikg h= −iω ilg v = − h= −iω u = − gk h, ω gl h ω (18) (19) (17) , (19) より,平面波の構造は図 4 のようになる. /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav3.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 5 5 浅水波の伝播 8 浅水波の伝播 図 4 の構造を持つ波がどのように伝播していくかを考える. 1. 図 5(a) において,AB 上では divv > 0 であるから変位は減少してゆく ∂h ( = −H0 divv) .また,AB 上の流体は,変位の gradient により波面に垂 ∂t ∂v 直な方向に加速される ( = −g∇h) . ∂t 2. 水面が周囲より下がると,周囲から低い部分に向かって加速されて 流れが ∂ 集まってくる( divv が減少 (divv) = −g∇2 h) .それとともに水面が上 ∂t 昇してゆく(図 5(b)). 3. やがて divH v が最小になり,さらに変位は増大していく(図 5(c)).このと き変位の gradient により波面に垂直な方向に加速される. 4. 変位が最大になると,その周囲で高いところから低い方向へ向かう流れが加 ∂ 速され,divv が増える ( (divv) = −g∇2 h) . 再び変位は減少し,1. の状 ∂t 態に戻る. /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav4.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 5 (a) 浅水波の伝播 9 A 低 高 低 加速 加速 B A (b) 低 高 低 B (c) A 低 高 低 B (d) 低 A 高 低 B 図 5: 浅水波の伝播 /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav4.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 6 付録 : 波動方程式の初期値問題 6 10 付録 : 波動方程式の初期値問題 波動方程式 2 ∂ 2h 2∂ h − c ∂t2 ∂x2 =0 (20) を初期条件 h |t=0 = h0 (x) ∂h = ζ0 (x) ∂t t=0 の下で解く. (20) を時間 t について Laplace 変換,空間 x について Fourier 変換を行なうと ˜ s) = 0 ˜ s) − sh ˆ 0 (k) − ζˆ0 (k) + k 2 c2 h(k, s2 h(k, (21) ただし,˜ は Laplace Fourier 変換,ˆ は Fourier 変換を表わす.すなわち F˜ (k, s) ≡ ˆ G(k) ≡ ∫ ∫ 0 ∞ −∞ ∞ −st ∫ dte ∞ −∞ dxe−ikx F (x, t), dxe−ikx G(x). ˜ について解くと (21) を h ˜ s) = h(k, s2 s 1 ˆ 0 (k) + h ζˆ0 (k) 2 2 2 +k +c s + k 2 + c2 Laplace 逆変換を行なう. [ ] s = L 2 s + k 2 + c2 [ ] 1 L−1 2 = s + k 2 + c2 −1 1 ikct (e + e−ikct ) 2 1 (eikct − e−ikct ) 2ikc より ˆ t) = 1 h ˆ 0 (k)(eikct + e−ikct ) + 1 ζˆ0 (k)(eikct − e−ikct ) h(k, 2 2ikc さらに逆 Fourier 変換すると,第1項目は /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav5.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 6 F −1 [ 1ˆ h0 (k) eikct+ikx 2 ] = = = = = 付録 : 波動方程式の初期値問題 11 1 ∫∞ 1ˆ ikct+ikx dk h 0 (k)e 2π −∞ 2 ∫ ∫ 1 ∞ ∞ ′ dkdx′ h0 (x′ )eik(x−x +ct) 4π −∞ −∞ ∫ ∞ 1∫ ∞ ′ ′ ′ 1 dx h0 (x ) dke−ik(x −x−ct) 2 −∞ 2π −∞ 1∫ ∞ ′ dx h0 (x′ )δ(x′ − x − ct) 2 −∞ 1 h0 (x − ct) 2 第3項目は F −1 [ 1 − ζˆ0 (k) sin(kct) kc ] ∫ ∞ 1 ∫∞ eikt ′ = dk sin(kct) ζ0 (x)e−ikx dx′ 2π −∞ kc −∞ ∫ ∞ ∫ ∞ 1 1 = dx′ ζ0 (x) sin(kct)dk 2π −∞ kc −∞ ∫ ∫ t 1 ∫∞ = dx′ ζ0 (x) dk dt′ cos(kct′ ) 2π −∞ 0 ∫ t ∫ ′ ′1 = dx ζ0 (x){δ(x − ct′ ) + δ(x + ct′ )} dt 2 0 1∫ t ′ = dt {ζ(x − ct′ ) + ζ(x + ct′ )} 2 { 0 } ∫ x−ct ∫ x+ct 1 = − dpζ(p) + dpζ(p) 2c x x 1 ∫ x+ct ′ ′ dx ζ(x ) = 2c x−ct よって求める解は 1 1 ∫ x+ct ′ h(x, t) = {h0 (x − ct) + h0 (x + ct)} + dx ζ(x). 2 2c x−ct /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalwav5.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 7 シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述 12 シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述 7 局所分散関係 7.1 回転のない浅水波方程式2 から出発する. ∂u ∂u ∂h ∂u +u +v = −g , ∂t ∂x ∂y ∂x ∂v ∂v ∂v ∂h +u +v = −g , ∂t ∂x ∂y ∂y ) ( ∂h ∂h ∂h ∂u ∂v +u +v +H + = 0. ∂t ∂x ∂y ∂x ∂y x 方向の流れ U = U (y) に対する微小擾乱の振舞いを表わす式は u = U + u′ , v = v ′ , h = H0 + h′ を代入して ′ の2次の量を無視することにより得られる. ∂u ∂u dU ∂h +U +v = −g , ∂t ∂x dy ∂x ∂v ∂v ∂h +U = −g , ∂t ∂x ∂y ) ( ∂h ∂h ∂u ∂v +U + H0 + = 0. ∂t ∂x ∂x ∂y (22) (23) (24) 簡単のため ′ は省略した.(1)∼(3) について,u,v を消去すると, ( ) ( )2 ∂ dU ∂h ∂ ∂ ∂ +U +U h − gH0 ∇2 h + 2gH0 = 0. ∂t ∂x ∂t ∂x dy ∂x∂y (25) 波束の振舞いを調べるために次の形の解を求める. ∞ ∑ h= εn An (X, Y, T )ei ϑ(X,Y,T ) ε (26) n=0 X = εx, Y = εy, T = εt, 0<ε≪1 局所的な波数,振動数は次のように定義される. 2 この導出についてはシリーズ ‘浅水波方程式’ を参照せよ /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr1.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 7 シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述 1 ∂ϑ ∂ = ϑ(X, Y, T ) ε ∂x ∂X 1 ∂ϑ ∂ l = = ϑ(X, Y, T ) ε ∂y ∂Y 1 ∂ϑ ∂ ω = − = − ϑ(X, Y, T ) ε ∂t ∂T k = 13 (27) (28) (29) 基本流 U (y) は y 方向にゆっくり変化していると仮定する. U ≡ U (Y ) (5) を (4) に代入し,ε の各 order でまとめる.O(ε0 ) より局所分散関係が求まる. ω = Uk ± √ gH0 (k 2 + l2 ) (30) 群速度は次のようになる. √ ∂ω k = U ± gH0 √ 2 , ∂k k + l2 √ ∂ω k ≡ = ± gH0 √ 2 ∂l k + l2 cgx ≡ (31) cgy (32) /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr1.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 7.2 7 シアー流中の伝播 : W.K.B. 近似による記述 14 波数 · 振動数の保存則 局所的波数,振動数についての保存則は次のようになる1 . ∂k ∂k ∂k + cgx + cgy = 0, ∂T ∂X ∂Y ∂l ∂ω ∂l ∂l + cgx + cgy =− , ∂T ∂X ∂Y ∂Y ∂ω ∂ω ∂ω + cgx + cgy = 0. ∂T ∂X ∂Y (33) (34) (35) ω,k は cg で動く系からみて保存するが l は保存しない. 7.3 wave action 浅水波方程式のエネルギーの式に W.K.B. 近似解を代入することにより表面重力 波の Wave action の保存則が得られる(Appendix.A). ∂ ∂T ( E¯ ω ˆ ) + ∂ ∂X ( cgx E¯ ω ˆ ) + ∂ ∂Y ( cgy E¯ ω ˆ ) = 0. (36) ただし ( 1 2 g ¯2 E¯ = u¯ + v¯2 + h 2 H0 ω ˆ = ω − Uk ) である. 1 この導出についてはシリーズ ‘内部重力波∼シアー流中の伝播’ を参照せよ /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr1.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 8 シアー流中の波束の伝播 15 シアー流中の波束の伝播 8 W.K.B. 近似の結果を用いてシアー流中の波束の伝播を記述する. l は分散関係 (9) より, l2 = ω ˆ − k2 gH0 (37) を満たしながら変化してゆく. 1. いま,図 6 のように U (y) の流れの中に波束を置いたとする. 2. 波束が y 方向に伝播するにしたがって ω ˆ = ω − U (y)k は減少してゆく.(16) より,l は減少してゆく.群速度は, cgx cgy √ gH0 k = U√ 2 k + l2 √ gH0 l = √ 2 k + l2 l → 0 になるにしたがって cgx → U + √ gH0 cgy → 0 しかし,ω ˆ → 0 とならないので E¯ → 0 とならない. 8.1 turning level l = 0 となる y = yt を turning level という.波束が turning level に達するまでの 時間を計算する. y1 から y2 まで波束が伝播するのに要する時間 T は ∫ y2 T = y1 ∫ l2 1 dy dy = dl cgy l1 cgy dl ここで /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 8 シアー流中の波束の伝播 16 図 6: 浅水波の波束の伝播 ( ) dU dU dl 2ˆ ω k = −2k 2l = dy gH0 dy dy √ dy l gH0 =− √ 2 dl 2k k + l2 Uy √ k 2 + l2 gH0 より √ ( ) √ k 2 + l2 l gH0 1 √ T = − √ 2 dl gH0 l l1 2k k + l2 cy l1 l1 − l2 = −→ 2kUy 2kUy ∫ l2 波束は有限の時間で turning level に達することができる. /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 8.2 8 シアー流中の波束の伝播 17 W.K.B. 近似の吟味 −1 1 dK 2π 2π W.K.B. 近似を用いるには,波長 =√ 2 と波数の変化するスケール k dy K k + l2 の比が十分小さいことが必要である.そこで turning level 付近での波数の変化を 調べる. 波数の変化するスケールは dK dy l dl = √ 2 2 k + l dy l −2ˆ ωk = √ 2 Uy k + l2 gH0 l (U − c)k 2 Uy = √ 2 k + l2 gH0 よって波長と波長に変化するスケールの比は, 1 K 1 dK −1 K dy = = = 1 dK 2 K dy 1 (U − c)k 2 Uy √ 2 k + l2 k 2 + l2 gH0 U √ Uy Uy k2 y (U − c) gH −→ . 0 = √ 2 gH0 k (k 2 + l2 ) 3 gH0 gH0 k U √ y ≪ 1 であれば,turning level まで W.K.B. 近似が使える. gH0 k しかし,W.K.B. 近似では波束が turning level に達した後の事は何も言えない.こ の近似では turning level に達するまでの事しか言えず,turning level の向こう側 の情報は何も入ってこない. /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr2.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 9 9 linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解 18 linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解 linear shear 流に対して無限遠から eik(x−ct) の型の波を励起,伝播させたときの定 常解を求める.透過波領域において critical level から遠ざかる方向に進む波しか存 ik(x−ct) ˆ 在しない,という境界条件を用いる.変位だけの式 (4) について h = h(y)e を代入すると { } 2 ˆ ˆ 2 dU dh d2 h 2 (U − c) ˆ = 0. − + k −1 h dy 2 U − c dy dy gH0 平均の深さ H0 ,特徴的な流れの速度 U0 ,シアーの強さ (38) dU を用いて無次元化を dy 行う. (x, y) = L(x∗ , y ∗ ), t= L ∗ t, U0 U = U0 U ∗ , ˆ = H0 h∗ , h L= U0 . dU/dy これらを (17) に代入すると無次元化した変位の式が得られる. { } ˆ 2 dh ˆ d2 h 2 2 2 ˆ = 0. h − + k F r y − 1 dy 2 y dy (39) ただし y 座標の原点を critical level U − c = 0 に選んだ.F r はフルード数 U2 Fr ≡ である.*は省略してある. gH0 (18) を y = 0 のまわりの級数解として求めると(Satomura(1981)). ˆ1 = h ∞ ∑ An y 2n+3 , (40) n=0 A1 = ˆ2 = h ∞ ∑ k2 A0 , 10 An+1 = k2 (An − F r2 An−1 ), (2n + 5)(2n + 2) An y 2n , (41) n=0 B1 = − k2 B0 , 2 Bn+1 = k2 (Bn − F r2 Bn−1 ). (2n + 2)(2n − 1) となる. ˆ =| y | h ˜ と変数変換すると (18) y → ±∞ における (18) の解の振舞いを調べる.h は /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr3.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解 9 { 19 } ˜ d2 h 2 ˜ + k 2 (F r2 y 2 − 1) − 2 h = 0. 2 dy y (42) ˜ d2 h ˜ = 0. + k2 F r2 y 2 h dy 2 (43) この式は y → ±∞ で に漸近する.これに W.K.B. 近似を適用して y → ±∞ での漸近解が得られる. ( ∫ ˜ + =| P |−1/4 exp i h ˜ − =| P |−1/4 h y ) √ P dy , ) ( ∫ y√ P dy . exp −i (44) (45) ˜ + は critical level から離れる方向,h ˜ − は critical ただし P = k 2 F r2 y 2 である.h level に向かう方向に進む波を表わす.境界条件を用いて解を定めよう.透過波領 域 y → ∞ においては critical level から離れる方向に進む波しかないので ˜ ≡ αh ˜1 + βh ˜ 2 ∼ Ah ˜+ h (46) ˜ 1,2 は h ˆ 1,2 を | y | で割り算したものであり,α, β, A は複素定数 となる.ただし h ( ) ˜+ √ d h dP/dy ˜ + について ˜ + = 0 が成り立つことから である.ここで h + +i P h dy 4|P | α と β の比が定まる. ( √ ) ˜ dP/dy dh1 ˜1 P h + + i β dy 4|P | ( ) = − dh˜ √ 2 ˜2 α + dP/dy +i P h dy 4|P | . (47) y=yobs yobs は透過波側で W.K.B. 近似が十分成り立つ点である. F r = 7.0, k = 4.0 での結果を図 7 に示す.反射波の振幅が入射波より大きくなっ ている(Over-Reflection). /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr3.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 9 linear shear 流中の浅水波の Over-Reflection 解 20 図 7: 浅水波の Over-Reflection 解 /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr3.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 10 浅水波の wave action の保存則 10 21 浅水波の wave action の保存則 (1)∼(3) よりエネルギーの式を作る. u × (1) + v × (2) より, ( gh × (3) より, H0 ∂ ∂ +U ∂t ∂x ( ){ } 1 2 dU (u + v 2 ) + uv = −gv · ∇h 2 dy ∂ ∂ +U ∂t ∂x )( (48) ) g 2 h + ghdivv = 0. 2H0 (49) (27), (28) を足すことにより, ( ) ∂ ∂ dU +U E + div(ghv) + uv = 0. ∂t ∂x dy (50) ただし E は擾乱のエネルギー E≡ ( 1 2 g 2 u + v2 + h 2 H0 ) W.K.B. 解を用いることにより O(ε0 ) の展開から, gk h0 ω ˆ gl = h0 ω ˆ u0 = v0 ただし ω ˆ ≡ ω − U k である.これを用いると擾乱のエネルギーの1波長平均 E¯ は {( E¯ = = = = ) ( ) } 1 gk 2 gl 2 g + + h20 2 ω ˆ ω ˆ H0 { } g 1 g(k 2 + l2 ) + h20 2 ω ˆ2 H0 1 2g 2 h 2 H0 0 g 2 h H0 0 また, k cgx k =√ = ω ˆ gH0 gH(k 2 + l2 ) /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr4.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 10 浅水波の wave action の保存則 22 を用いると ( ) ∂ ∂ g2k 2 (ghu) = h ∂x ∂x ω ˆ 0 ( ) ∂ g = cˆgx h20 ∂x H0 ∂ ¯ = (ˆ cgx E), ∂x ) ( ∂ g2l 2 ∂ (ghv) = h ∂y ∂y ω ˆ 0 ( ) ∂ g = cˆgy h20 ∂y H0 ∂ ¯ = (ˆ cgy E). ∂y また波数保存則より ( ) ∂ ∂ ∂ ω ˆ + cgx + cgy ∂t ∂x ∂y Dg ω Dk DU = −U −k Dt dt Dt dU = −kcgy dy Dg ω ˆ ≡ Dt となるので uv dU dy 1 Dg ω ˆ uv kcgy Dt 1 g 2 kl 2 Dg ω ˆ = − h0 2 kcgy ω ˆ Dt = − gh20 1 Dg ω ˆ H0 ω ˆ Dt ¯ E Dg ω ˆ = − ω ˆ Dt これらより (29) の1波長平均をとると, ) ( ) ( ¯ ∂ ∂ ¯ ∂ ∂ E ∂ ∂ ∂ ¯ + ¯ − +U E+ (cgx E) (cgy E) + cgx + cgy ω ˆ = 0, ∂t ∂x ∂x ∂y ω ˆ ∂t ∂x ∂y = − よって,浅水波の wave action 保存則がもとまる. ∂ ∂t ( E¯ ω ˆ ) ( ∂ E¯ + cgx ∂x ω ˆ ) ( ∂ E¯ + cgy ∂y ω ˆ /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshr4.tex) ) = 0. (51) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介) 浅水波 11 11 参考文献 23 参考文献 Satomura,T.,1981 : An investigation of shear instability in a shallow water. J.Met.Soc.Japan,59,148-167 Takehiro, S. and Hayashi, Y.-Y., 1992: Overreflection and shear instability in a shallow water. J.Fluid.Mech., (in print). Whitham,G.B.,1974 : Linear and nonlinear waves. A Wiley-Interscience Publication,636pp. 竹広真一, 1989 : 浅水波の Over-Reflection とシアー不安定. (修士論文) /riron/wave li/shallow1/src/shalwavm.tex(shalshrr.tex) 2014 年 07 月 18 日 (林 祥介)
© Copyright 2024 ExpyDoc