ラケットの重さ、バランスを Tune-up する

ラケットの重さ、バランスを Tune-up する
No.1
※定義:Tune-up は元に戻せる加工であり、元に戻せない加工はカスタマイズとする
持ち込まれたラケットの重さ、バランスを同じ感じにして欲しいというリクエストに応える
先ず、重さバランスを変えて欲しいというお客様のリクエストを理解する。
1 ある特定のラケットと同じ重さ、バランスにして欲しい ( 規準値が存在する場合 )
普通、2 本以上の同じ機種のラケットを持ち込まれたらこの場合が多い
2 漠然と今のラケットを重く、またはトップヘビーに、トップライトにして欲しいという希望
( 規準値が存在しない場合 )
2 本以上が持ち込まれたが、まったく違う機種であったり
1 本のみの持ち込みにはこのパターンが多い
要するに規準値が存在するかしないか、こだわりがあるかそうでもないかを聞き出す。
当然、規準値があるものが難易度は高く、またやりがいのある作業である
バランスがもたらす影響と対象ラケットがもつ固有の特性を知ること .. 計測 & データ分析
1 何より先ず計測 .. ラケットそれぞれがどんな状態になっているのかを正確に把握する
注意、グリップサイズの差。糸、テンション、グリップテープや衝撃吸収パーツなどを
極力排除し、素の状態で計測するのが肝心。張り上がりと張ってないものを調べるのは
ナンセンス。
2 Tune-up 前にカウンセリングを行い、プレイヤーがどんな出来上がりを求めているかを
聞き出す。計測結果がお客様の下した評価と違っているのはよくありがちである。
3 加工するとどんなラケットの特性になるかのイメージを伝える
トップライト = 操作性の向上と引き替えにボールの飛びがやや減少
トップヘビー = ボールが打ち負けなくなる力の向上と引き替えに操作性は低下
4 対象ラケットの出来上がりがあまりに極端なバランス配分の場合、限界があることを配慮
例)軽量ハンマーバランスのラケットをグリップ寄りバランスにはできない。
例)重くするリクエストでも 30g 以上もウェイトをつけるなら機種の選定が間違い
5 Tune-up をするに当たり、1 部のメーカーの保証規定に抵触する旨を説明、理解してもらう。
例)購入後のメーカー保障期間内に該当するラケットには特に注意!
Tune-up できる 3 要素
1 重さを追加する .. 慣性質量の増加。回転モーメントに対する耐性、鉛が持つ振動吸収性
2 バランス加工 ( トップヘビー、イーブン、トップライト )
a 動的バランス (= スウィングウェイト、スウィングバランス、Dynamic Balance)
b 静的バランス (.. グリップエンドから中心までの距離、Static Balance)
3 フレーム回転軸方向の回りを抑制する Tune-up
この観点からはフレーム先端のバランス貼りは好ましくない