0 2014 年 10 月 16 日 第 21 巻 第 26 号 注:本資料は Deloitte & Touche LLP が作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。 この日本語版については有限責任監査法人トーマツにお問合せください。 この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版ニュースレターの補助的な ものです。あくまで英語版が(正)となります旨、ご了承下さい。 Heads Up 目次: • はじめに • 有効な開示の要素 • 次のステップ • 付録 A―有効開示考慮事 項 考えの種 SEC スタッフが有効な開示のため の要素を提案 ティム・コルバー(Tim Kolber)及びジョー・ディレオ(Joe Dileo)(デロイト&トウシュ LLP) はじめに これまで 18 ヶ月間、SEC 及び会計基準設定主体は頻繁に、登録者が、有効な開示の ための「正しいレシピー」を使用しているか否か―すなわち、開示規定に対する彼らの遵 守と彼らの重要かつ関連性のある情報の開示が、理想的に均衡がとれているか否かに ついて質問している。 登録者によるレシピーの改善を支援するため、SEC は、開示有効性プロジェクトに乗り 1 出した 。SEC は、時代遅れの、冗長な、かつ重複する開示を減少又は除去を目指す一 方で、企業財務課ディレクターのキース・ヒギンズ(Keith Higgins)は最近、「開示量の減 少は我々の目的は目的ではない―我々は、投資家の手に、より良い開示を手渡したい のである。我々は、これらの努力が、会社のコスト及び負担を減らすことができると信じて 2 いるが、規定の更新は、追加的開示の結果となる可能性が高いであろう」 と強調した。 SEC スタッフは、規則 又は解釈指針の変更 を待つのではなく、登 録者は、直ちに、彼ら の開示の有効性を改 善する段階に踏み出 当プロジェクトは初期段階にあり、規則の改定は最終的には要求される可能性がある。 しかしながら、SEC スタッフは、規則又は解釈指針の変更を待つのではなく、登録者は、 直ちに、彼らの開示の有効性を改善する段階に踏み出すことが可能である、と強調した。 例えば、2014 年 4 月の「実施要請」において、ヒギンズ氏は、「あなた方は、・・・・規則変 更なしでも、開示文書の焦点及び操縦性を改善するためになしうることがたくさんある。 あなた方は、ゲームをたった今ステップ・アップ可能である。」、と登録者に通知した。 当 Heads Up は、登録者が、彼らの開示改善のために今日取りうるステップに関する SEC スタッフの見解及び勧告を議論している。付録は、様々な種類の開示及びそれらの 改善のための SEC の提言を概説している。 すことが可能である、と 有効な開示の要素 強調した。 SEC スタッフは、有効な開示は、明瞭かつ簡潔で、登録者にとって重要かつ特有な事項 に焦 点 を 当 てているものであ る、と言 及 した。 適 切 な 強 調 もまた 、 非 常 に重 要 である (critical)。有効な開示は、登録者が、最も関連性があり、かつ重要なものであると信じ る事項を強調し、また、そうではない事項に関しては強調を抑える―又は全体を除外す る―。結果として、登録者は、継続的に彼らの開示を再評価し、情報の性質又は関連性 が変更した際には、それらを修正することが奨励される。 やむむたたたう言葉の意味、規則 1 2013年12月、Jumpstart Our Business Startups Act セクション108により要求され、SECスタッフは、開示 規定改 善に関して、議会に報 告書を提 出した。その報告 書において、スタッフは、新興成 長企 業に専ら焦点を 当てる限定 的レビューの実施ではなく、より広範な改 善のための規 則 S-X及びS-Kの包括的レビューの実 施を 提言した。その後 間もなく、SEC議長のメアリー・ジョー・ホワイト(Mary Jo White)は、スタッフに、SECの「開 示有効 性プロジェクト」として知られるようになった、広範なレビューの開始を指 示した。 SEC、FASB及びIASB による開示 有効性 活動に関 連する背 景及び追加 的情 報については、デロイトの2014年8月26日付Heads 2 Upを参照のこと。 追加的情 報については、ヒギンズ氏による 2014 年 10 月 3 日付スピーチを参照のこと。 ヒギンズ氏は、現行開示の再評価に当たり、登録者は以下の事項に焦点を当てることを 提言した。 • 重要性。 • 冗長な開示の除去又は削減。 • 開示を適合させる。 • 継続的な開示の関連性。 重要性 SEC スタッフは登録者 が、彼らの開示の品質 及 び 全 体 的 有 効 性 を、 彼らの提出書類にお いて、冗長性を削減又 は除去することにより 改善することを奨励し ている。 最近のスピーチにおいて、複数の SEC スタッフは、登録者が真に、重要事項の開示に 集中しているか否かに疑問を呈した。「重要性は、容易に適用されるリトマス試験ではな い」と認 めつつ、ヒギンズ氏 は、2014 年 4 月 のスピーチで、「灰 色 領 域 がある場 合 は、・・・・会社は、その提出書類に開示を含める可能性が高い」と言及し、また、したがっ て登録者が、明らかに重要でない領域において多すぎる項目を含めているか否かに疑 問を呈した。2013 年 10 月のスピーチで、SEC 委員長のメアリー・ジョー・ホワイト(Mary Jo White)は、最高裁判所は、約 35 年前に、開示負荷及び重要性の問題に対処したこ とを登録者に再度周知した。彼女は、当裁判所が、「投資家が、重要と認める「かもしれ ない」場合、その事実は「重要」である」との見解を拒絶し、代わりに、「「合理的な株主が、 議決権行使の決定に当たり、重要とみなすであろう実質的な可能性が存在する」場合、 その事実が「重要であると考えた」と言及した。 冗長な開示の除去又は削減 SEC スタッフはまた、登録者が、彼らの開示の品質及び全体的有効性を、彼らの提出 書類において、冗長性を削減又は除去することにより改善することを奨励している。例え ば、2014 年 4 月のスピーチで、ヒギンズ氏は、登録者はしばしば、重要な会計方針に関 する開示を、彼らの特に重要な会計上の見積りの MD&A ディスカッションにおいて、彼ら の財務諸表脚注から逐語的に反復していると言及した。彼は、「報告書内に、相互参照 に関して注意喚起する箇所が存在すれば―そしてそれらの多くの可能性があれば―こ れは、リストの筆頭に近い」と言及した。SEC の実施要請は、米国会計基準及び SEC 規 則及び規制(例えば、規則 S-K 及び S-X)による開示規定の準拠から登録者を解放して いないが、ヒギンズ氏は、「何かを反復する前に十分に検討する」よう、彼らに推奨してい る。 開示を適合させる SEC スタッフはしばしば、全ての登録者に該当しうる、「文例集」又は一般的開示に対し 反対している。リスク・ファクターに関する開示は、主要な例である。議会によるアクション の結果であれ、ホワイト氏が 2013 年 10 月のスピーチで言及したように、「より「ソフトな」 情報を投資家と共有することを会社に推奨するセーフ・ハーバー」であれ、非登録者特 定のリスク・ファクター開示の量が激増し、それはしばしば、登録者の提出書類数ページ に広がる。ヒギンズ氏は、リスク・ファクター開示を「保険証券」とみなすよりも、登録者は、 当該開示を、彼らの事業に最も関連性があり、かつリスク・ファクターが、「それらが起っ た場合に、会社に影響を与える」方法を詳述することに特化するそれに限定することに 尽力しうる、と提言した。 継続的関連性 有効な開示は、静的なものではなく、時間の経過と共に変化する。登録者は、それらの 事実及び状況を、彼らが開示している当該情報、それは当初、SEC スタッフのコメントの 結果として開示された情報を含む。が、重要で関連性があるか否かを判定するため、継 続的に再評価することを推奨されている。例えば、登録者は、事後に解決した又は重要 性が低くなった偶発事象に関連する重要なリスク又は不確実性の開示をもはや必要とし ない可能性がある。これに対して、登録者は、重要な不確実性に関する入手した全ての 追加的情報を開示することが必要となる。 2 編集者注:複数のスピーチで、ヒギンズ氏及び他の SEC スタッフは、登録者に、彼らの 情報開示の判断が、「ホット・ボタン(重要)」問題として識別された、産業特有又はその 他の SEC コメント傾向のみを基礎としているか否かを慎重に考慮することを求めた。さ らに、SEC コメント・レターは、スタッフが、「要求された情報が重要であると結論づけ」、 したがって、開示されなければならない、との指標としてよりも、「対話・・・の始まり」とみ なされることが可 能である。ヒギンズ氏は、登 録 者 が、彼 らの提 出 書 類に開 示 を追 加 (又は追加することに合意)する前に、関連性、適用可能性、及び重要性を検討するこ とを注意喚起した。 次のステップ SEC による有効開示に関する要素の包括的リストを待つ代わりに、登録者は、彼ら自身 のレシピの検証の開始が推奨されている。2014 年 10 月 3 日のスピーチで、ヒギンズ氏 は、SEC スタッフは、「会社が、彼らの定期報告書の表示を実験し、重複を削減し、かつ 時代遅れかつ必要とされない陳腐化した情報を除去することを推奨する」ことを欲してい ると言及した。彼は、「会社が、彼らの開示を改善するアイデアを有し、かつそれらについ て我々と対話を欲する場合、我々は、事前に明確な特定の開示を欲しないが、我々は、 確かに潜在的変更について議論することを歓迎する、と言及した。 3 付録 A―有効開示考慮事項 以下の表は、登録者による開示の改善に関する SEC による最近の提言を概説するものである。 3 開示種類 開示考慮事項 MD&A の特に重要な会計上の見積り • 会計方針そのものに関連する冗長な情報を、MD&A から減少させる又は除去 し、代わりに、財務諸表脚注へ相互参照する。 • MD&A ディスカッションについては、見積り及び仮定の性質並びに流動性及び 事業に関する重要な影響に焦点を当てる。 • ASC 450 及びアイテム 103 の規定が、同一ではないことを考慮する。 • アイテム 103 に準拠するための冗長な情報を減少させる又は除去する、また、 適切な場合、財務諸表脚注へ相互参照する。 • 規則 S-K の増分規定に準拠する。 • 事業体に関する将来見積影響のガイダンスを評価することにより、開示が必要 か否かを考慮する。 • 事業体に対する特有の影響を開示し、かつ可能であれば定量化する。 • 既知である又は予想される影響に重要性がない場合、議論を除外することを 考慮する。 • 事業体に関連性がありかつ重要性あるリスク・ファクターを限定する。 • 登録者特有の事実及び状況に対する議論に適合させる。当該リスクが実現し た場合、登録者が影響をいかに受けるかを考慮する。 • リスク・ファクターを継続的に監視し、更新する。 • 従前の SEC コメントから生じた開示を評価し、重要性及び関連性を基礎とし て、更新を提供する。 • もはや関連性がない開示の除去を考慮する。 規則 S-K アイテム 103「訴訟案件」の法的及び その他の不確実性 5 SAB トピック 11.M による、最近発行された会計 声明の影響の開示 リスク・ファクター 過去の SEC コメント・レターから生じる開示 歴史的情報の開示 4 • 継続的に、関連性に関して現行の開示を再評価する。 • 登録者の事実及び状況の変化を基礎として、開示を追加、拡張又は削除する。 SEC ベスト・プラクティス又は解釈ガイダンスの 変更 • SEC による改善提言の観点から、開示の性質及び範囲を評価する。 MD&A で開示される情報の性質及び範囲 • 重要性及び関連性を基礎として開示を評価する。 • 財務諸表からの分析基礎の変更を含める(例えば、流動性開示に関し、キャッ シュ・フロー計算書からの数値的変動の再表示のみを回避する)。 3 大部分の提言は、ヒギンズ氏による2014年4月スピーチから要約されている。その他はSECスタッフの意見であり、2013年12月の現在のSEC及びPCAOBの動向に関する 4 FASB Accounting Standards Codification Topic 450, Contingencies. 5 SEC Staff Accounting Bulletin Topic 11.M, ic 450,/Speech/1370543104412" ¥l ".VDMCNRYlp-0" es" nting Standards Will Have on the Financial Statements of the AICPA全国会議及び2014年2月の「2014年SEC声明」会議等において述べられている。 Registrant When Adopted in a Future Period.” 登録 デロイトの Accounting Standards and Communications Group が発行する Heads up およびその他の会計に関する出版物を希望され る方は、以下のウェブサイトにご登録ください(www.deloitte.com/us/subscriptions)。 財務責任者のための Dbriefs Dbriefs へぜひご参加ください。Dbriefs はデロイトのウェブキャスト・シリーズで、重要な問題を常に把握しておくために必要な実践戦略を 提供するものです。「財務責任者」シリーズのウェブキャストを通じ、以下のテーマに関する貴重なアイデアや重要な情報にアクセスしてく ださい。 ・ 事業戦略および税務 ・ 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および各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体で す。DTTL(または”Deloitte Global”)はクライアントへのサービス提供を行いません。 DTTL およびそのメンバーファームについての詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。 本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対 応するものではありません。また、本資料の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性も あります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本資料の記 載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。 © 2014. 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