2015 学事年度における高等教育機関の授業料設定状況 -OFFA による“Access Agreement”の承認- 7 月 24 日、OFFA(The Office for Fair Access)※は、英国の高等教育機関(大学、継 続カレッジ等)172 校の 2015 学事年度(以下「年度」)における“Access Agreement”を 承認したと発表した。 英国では、授業料の値上げが実施された 2012 年度より、基本授業料£6,000 を超える授 業料を課す高等教育機関は、貧困等社会的に不利な背景を持つ若者の高等教育への参加機 会拡大への取り組み・予算配分について OFFA と合意(Access Agreement)を結ぶことが 義務付けられている。 2015 年度における高等教育機関の授業料設定状況については以下の通り(【 】内は 2014 年度の状況)。 ・経済的支援を加味しない平均授業料:£8,703【£8,601(1.2%増)】 ・授業料免除分を含めた場合の平均授業料:£8,636【£8,448(2.2%増)】 ・奨学金を含むすべての経済的支援を含めた場合の平均授業料:£8,280【£8,040(3.0% 増)】 ・全コースにおいて£9,000 の授業料を設定する機関:44 校(全体の 25%)【42 校(全体 の 26%)】 ・数コースもしくは全コースにおいて£9,000 の授業料を設定する機関:130 校(全体の 76%)【117 校(全体の 72%)】 2015 年度の Access Agreement では、各機関が、社会的に不利な背景を持つ学生の学 業・学生生活支援、および就職活動や大学院進学準備への支援を行い、これらの活動に更 に力を入れる傾向にあることが特筆される。全体で£3 億 2,300 万の投入となり、前年度 の£2 億 4,300 万と比較すると 33%もの増額となる。具体的な予算配分は以下の通り。 ・学生のドロップアウト防止や達成度向上を目的とした活動:£1 億 3,100 万【£1 億 1,900 万】 ・アウトリーチ活動:£1 億 4,600 万【£1 億 2,500 万】 ・学生の就職活動や大学院進学準備に対する支援活動:£4,600 万(今年度新設項目) 一方、奨学金、授業料免除などを含めた経済的支援は、£4 億 1,200 万【£4 億 6,500 万】と減額。これについては、政府の 2014 年度以降の国家奨学金プログラム(National Scholarship Programme)終了発表を受けて、各機関が予算の使い道についてより柔軟に 対応できるようになったことが影響している。 http://www.offa.org.uk/press-releases/5454/ (各高等教育機関の Access Agreement) http://www.offa.org.uk/access-agreements/ 【各機関の反応】 ・イングランド高等教育財政会議(HEFCE) http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2014/news87775.html ・Russell Group http://www.russellgroup.ac.uk/russell-group-latest-news/155-2014/8572-officefor-fair-access-201516-access-agreements/ 【メディア報道】 ・the Guardian Universities woo poorer students with mentoring not cash 裕福でない学生に、経済面以外の支援活動でアピールする大学 http://www.theguardian.com/higher-educationnetwork/blog/2014/jul/24/universities-woo-poorer-students-with-mentoring-notcash ・the Independent UK universities spending more on outreach and less on bursaries, report shows 報告書によれば大学はアウトリーチ活動予算を増額するも、奨学金は減額 http://www.independent.co.uk/student/news/uk-universities-spending-more-onoutreach-and-less-on-bursaries-report-shows-9624072.html ――――――― ※ 高等教育への公平なアクセスを保護・促進する役割を担う非政府公的機関
© Copyright 2024 ExpyDoc