研究論文

研 究 論 文
馬鈴薯澱粉の酵素アミラーゼによる加水分解物の検討
一ガスクロマ トグラフィーによるグルコースの定量一
三
好
康
之
世
良
早
首
The Gaschromtographic Determination of Glucose in
Potato―
Starch Hydrolyzate by Amylases
YASUTAKA Miyoshi
SANAE Sera
近年 ,日 本 におけ る食品 加工工業 の発 展は驚異的 で ,近 代的設備を備 えた食品工場 では ,
一 定 の規格 基準 を満 た した 加工食品が 大量 に生産 され ,流 通消費 され ている。 しか しなが
ら,大 量 に 生産 された加工食品の一 個 一 個 が一 定 の規格基準を満 たす こ とは容易な事 では
な い。 そ の ため .食 品会社 では ,一 定 の規 格基準 を満たす とい う保証書付 きの原材料 を購
入 し,食 品衛生法あ るいは JAS等 に規定 された方法 に従 って製 造 を お こな い ,更に製 品各 F
ツ ト毎 の栄 養成分及 び食 品衛生検査等 を常 に行 って ,品 質 の保持 に努 め てい る。
本学食物栄養学 科食 品管理 ヨース では ,食 品会社 におけ る栄養成分及 び食品衛生検査等
の 品質管理 をお こな い 得 る人材 の 育成 を 目指 してい る。 そ の結果,卒 業生 の半数 以上 は こ
れ ら食 品関連分 野 に 就職 し,活 躍 して い る。
、
ところで ,澱 粉 を構 成す る グル ヨー ス の分離定量 につ いて は ,通 常 ,酸 あ るいは酵素 に
よ り加水分 解 し生 じた グル コー ス を分別結晶 しそ の重量 を計 る方法 ,あるいは Somogyi法
に依 る微量定量法等 が試 み られ てい る。前者 の方法 が最 も実用的 で ,確 実 な方法 であ るが ,
微量 の定量分析 には 難点 が あ り,後 者 の方法 では ,還 元糖 であれ ばす べ ての糖 が定量 され
るため 9ペ ーパ ー ク ロマ トグラフ イー (PC)等
の併 用が必要 で あ る。近年 ,こ れ らの 短
所を克服 した高速液体 ク ロマ トグラフ イー を使用 した分 析法 も用 い られ るが ,こ の機 器 は
価 格的 な面 か ら,中 規 模食 品工場 の 研究室 に もあ ま り普及 してい な い。 しか しなが ら,ガ
ス ク ロマ トグラフ イー (GLC)は
ほ とん どす べ ての食品工場 の研究室あ るいは 品質管理
室 であ らゆ る分析 に使 用 され てお り,か つ ・就職 した卒業 生 の殆 どが 日常使 用す る分析機
器 の 内 では ,GLCの
比重 が高 い。 この ため ,こ の機 器 の使用法 を熟知す る こ とは ,本 ヨ
ース学 生 の必須 と考 え ,重 点的 に指導 して い る。
-
1
-
GLCに
よる糖類 の 分 離定 量
1)で
は , 図 1 に 示す 様 に , 糖 類 を トリメチ ル シ リル l T M
S ) 化 した 後 , 分 析 を 行 うため , 単 糖 の 分 離定 量 の みが 可能 で あ り, 二 糖類以上 の 膳 類 は
クロマ トグラム上に示されない。しかし, 単 糖についてはα, β の分離と定量が可能であ
り, 糖 類のα, β の概念の理解にも有効である。
CH2 0H
CH2 0T
1)│:::1338〉
NH
___甲MD働く
2)(CH3)3 SiCl
(TMCS)
CH20H
CH2 0T
1) │:::│::〉
NH
(HMDS)\
2)(CH3)3 SiCl
OH
H
(TMCS)
OT
T;(CH3)3 Si
D‐Glucose及び β‐D―gtucoseのトリメ チ ル シ リル 化
図 1_α ‐
今 回 , 澱 粉 を 構成 して い る グル ヨ ー ス の分 離定 量 に , P C , S o m o g y i 変
法 及 びG L C を
併 用 した。 即 ち , 馬 鈴 薯澱粉 を 基 質 と して , α 一 a m y l a s e 及 び g l u c o a m y l a s e の 2 種 類 の
ア ミラー ゼ を個別 に 作 用 させ , P c に
よる生成糖 の確 認 . 生成還元糖 の S o t t o g t y i 変
法に よ
る定 量 , G L C に
よる生成 単糖 の 分 離定 量 を 行 った。 な お , α 一a m y l a s e の 活 性 は , 澱 粉
潮 精 化 力 で 示す のが 通常 で あ るが , 今 回 は , 馬 鈴 薯澱粉 に対す る両 ア ミラーゼの作 用 の 差
違 い に つ い て 比較す るため , 生 成 グル ョー ス を分 離定量 し, そ れ ぞれ の 力価 を求め る こ と
と した。
実
験
方
法
I . 馬 鈴事澱粉 の 酵素 7 ミ ラー ゼ に よ る加 水分解
p H 4 . 5 の酢酸 緩 衡溶 液 1 0 0 m l に, 1 . 2 5 g の 市 販 可溶性馬 鈴 薯澱粉 ( α 一澱粉 ) を 採 り, 水
浴上 で温 めて 溶 か し, 1 . 2 5 % 基 質溶 液 と した。
酵 素 は , α 一a m y l a s e ( S p i t a s e c P - 4 0 f r o m 娩
″
′
ご
ガ
容 s%う
″体 ゥ
)及
び glucoamylase
( S p i t a s e s R f r o m Rル
カ
の 容 姥L C 拠″│ ) を p H 4 . 5 の 酢酸緩衡溶 液 l m l に, そ れ ぞれ 2 . 4 3 m g
-2-
( O D 2 8 0 = 2 . 2 8 ) , 1 . 0 2 m g ( O D 2 8 0 = 0 . 4 3 ) 溶 か して 使用 した。
酵 素 反応 は . 酵 素溶 液 l m l と 基 質溶 液 4 m l とを個 別 に4 0 ℃で1 0 分間温 め た後 , 両 試
験 管 内容物 を混合 して 基 質濃度 を 1 % と し, 同 温度 の振 盪恒 湯槽 内 で 3 0 分間 行 った。
直 ち に 沸騰 水中 で酵素 反応 を停 止 し, 反 応 混 液 を P C , S o m o g y i 分
析及 び G L C の
試料
と した。 なお 9 酵 素 は 長瀬産 業 ( 株) の 試 供 品を 用 い た。
I . 酵 素 反応混液 の P C
東洋炉紙 N o 5 1 A ( 4 0 c m X 7 c m ) に
酵素 反応 混液 の約 1 0 倍濃縮液 を打 ち , n 一 B u t a n 0 1
- 0 . 5 N 一 A c e t i c a c i dE一
thanol=6-3-2(V/V)の
展開 した。 発色 は ア ンモ ニ ア ー 硝酸 銀法
溶媒 を用 い 。室温 で2 0 c m 上 昇
2 ) で った
行
。
3)
Ⅲ.Somoggy!分 析
① グル コースの検量線 の作成
(m2)
Omg/ml
予 め グル コース を 1 。
を S o m O g g y 分 析 用銅試 薬 5 . 0
m l 中に採 り, 順 に蒸留水 5 , 0 ,
4 . 5 , 4 . 0 , 3 . 5 , 3 O。m l を加 え 合計
1 0 m l とし, 沸騰浴中 で1 5 分間反
応 させた。冷却後 ・2 N 一 硫酸
2 m l を 加 え , 遊離 した沃素 を
5 的 5
︲
0 . 5 , 1 . 0 , 1 . 5 2 3 0 m l それ ぞれ
チ オ 硫 酸 ナ ト リ ウ ム逆 滴 定 量
含 む標準水溶液 を作 り, その 0 . 0 ,
0 5 N 一 チオ硫酸 ソー ダ溶液 で
0。
逆滴定 した。次素 の色 が 消 え る
間際 に , 0 . 5 m l の1 % 澱 粉溶液
0.5
1.0
1.5
2.0
(77)
を加 え , 沃 素 一般粉反応 の 消失
Glucose量
す る点を終点 と して ・ グル ヨー
スの検量線を作成 し, 図 2 に 示
図 2 Somogyi法
した。
-3-
に よるグル コー スの検量 線
② 酵素反応混液 の分析
Somogyi分 析用銅試 薬 5 ml中に ,酵 素反応 混液 の l mlと蒸 留水 4 mlを 加え , 合 計
10mlとし,沸 騰浴中 で15分間反応 させ た。 冷却後 , 2N一 硫酸 2 mlを加え ,遊 離 した沃
素 を0.05N一チオ硫酸 ソー ダ溶液 で逆滴定 した。酵素 の 力価は ,基 質馬鈴薯澱粉を 1%含
む pH4.5の 酢酸緩衡溶 液中 で ,40°
C,30分 間 で , 1.Omgの グル コー ス を生 じる酵素量を
1単 位 とした。
よる生 成単糖 の分離定量 4)
Ⅳ.GLCに
①グルコースの検量線の作成
予 め グル コー ス を3 . 2 6 m g / m l 含む標 準水溶液を作 り, そ の 0 , 0 . 2 5 , 0 。
5 , 1 . O m l を試験
管 に 採 り, 凍 結乾燥 した。 次に ぅそれぞれ の試験管中 に , 内 部標 準物 質 として , D ( 十 ) 一
a r a b i t o l o . 9 4 m g を含 む , l m l の
乾 燥 N,N一
dimethyiformamide(DMF)を
コ ー ス を溶 解 した後 , 2 0 0 μ h e x a m e t h y l d i s i l a z a n e ( H M D S ) と
lの
chlorosilane(TMCS)を
置 し, T M s 化
加 え て グル
1 0 0 μ l のt r i m e t h y l ―
順 次加 え , 約 3 0 秒 間激 し く振 り混ぜ , 室 温 に 5 分 間 以上放
を 行 った。 これ らの 上 澄 を マ イ ク ロシ リン ジで 1 ∼ 5 μl 採 り, G L C を
行 った。
GLCは
, 島津 ガス ク ロマ トグラフ G C - 4 C を
5%SE-30 on chromosorb W A W(60∼
使用 し, 次の 条件 で行 った。 カ ラ ムは ,
8 0 m e s h ) を 充填 した 4 m m X 2 . O m の
ス カ ラ ム ( d u a l c o l u m n ) を用 い , キ ャ リヤ ー ガス は室 素 を使 用 した T M s 化
。
は , 水 素 炎 イ オ ン化 検 出器 ( F I D ) を
ガラ
物 の検 出
用 い , イ ン シ ェ ク々 一槽温 度 を2 0 0 ℃, デ ィテ ク
タ ー 槽温 度 を2 4 0 e c , ヵ ラ ム槽 温 度 は 1 8 0 C°か ら2 1 0 ℃まで , 1 5 分 間 で 上 昇 させた。窒 素 流
量は ,40m1/min。(l kg/c材 ),水素圧0。
5 k g / c 所 9 圧 縮 空気圧 1 6 0 k g / c 材 ・検 出感度
ャー トス ピー ド l c m / m i n . に 調 整 した。
1 0 0 M Ω, R a n g e O 。6 4 V , チ
実験後 得 られたガス ク ロマ トグラムか ら, 内 部標準物 質 D ( 十 ) 一 a r a b i t o l 対
にす
一
一
る。 α 及び β グル ヨースの保持時間を求め, そ れぞれのビー クを同定 5 ) した。続い
て , D ( 十 ) 一 a r a b i t o l対す
に るα一及び β一 グル ヨースの重量比 , な らびに, 同 定 した
ピー クの半値幅 ×同 ピー クの高 さより求めたD ( 十 ) 一 a r a b i t o l対す
に るα一及び β一グ
ル ヨースの面積比 を求め, グ ル コースの検量線を作成 した。 これらの結果を表 1 - 1 ∼ 表
1 - 4 , 図 3 に 示す。
な
お
,D(十
) 一
a r a b i t o l t
α
一
D 一
g l u c o s e 及
び
ぞれ順 に , 6 . 6 , 1 0 . 6 . 1 3 . 3 m i n . と 測定 され た。
-4-
一
β
D 一
g l u c o s e の
保
持
時
間
は
. そ
れ
ピー クの面積 (半億幅 xビ ー クの高 さ)
表 1-1 各
0,25m1
0.50 ml
表 ,… 2 各 ピ ー クの ■■ (mO)
l,00 ml
0.50
Arabitol
Arabitol
α‐
Glucose
こ aCiuccse
Glucose
β‐
CluCOSe
β‐
表 1-3 Arabitolに
SuFars
対 す るエエ比 (WG/WA)
io.25m1
α‐
CtucOse
Clucose
β‐
0.50 ml
0.379
o.786
0.487
表 1-4 Arabit。
l,oo ml
o,948
1.929
l.00
mi
1に対 す る面 積比 (SG/SA)
0。25m1
1.539
ml
0.50 ml
l.00 mi
0.345
o。 679
o,199
0.441
o,819
1.492
② 酵素反応混 液 の GLC6)
実験 1の 酵素反応 で 得 ら
れ た反応混液 の l mlを凍結
面
乾燥 し,① の グル ヨー ス の
検量線 の作成 と同時 の操作
LCを
後G
行 った。
比 ︵
地/欲 ︶
及 び条件 で ,TMS化
積 1.0
重
量
比
(WG/WA)
図 3 α ‐D ‐G l u c o s e 及
び β ‐D ‐g i u c o s e の検量線
● ; α‐
D モg l u C o s e O ; β ‐
D ―理u c o S e
実
験
結
果
I . 酵 素 反応 混液 の P C
展開 した炉 紙 を乾燥 し, ア ンモ ニ ア ー硝酸 銀法 で 発色 させ た ペ ー パ ー ク ロマ トグ ラム 上
の標 準 グル コー ス 及 び それ ぞれ の酵素 反応 混液中 の糖類 の R f 値
表 2 に 示す 。
-5-
を求 め , そ れ らの結 果 を
amylase又 は giucoamylaseに よ る加水分解 物 の
表 2 馬 鈴妻取 粉 の α ‐
ペ ー パ ー ク ロマ トグラ フ ィー
酵 素 名 等
D‐Glucose
α ‐Amylase
0.25
Glucoamylase
0。30
0,38
0.30
0。37
0。70
これ らの結果 は ,次 の よ うに纏 め られ る。
一
酵素 と も馬鈴薯澱粉 を加水分解 して ,グ ル コース
① α amylase及 び glucoam ylase両
を生成 してい るが ・分離定量 は 出来 なか った。
ー
② 生成物 の Rf値 及 び発色 の強 さか ら推察す ると,生 成物 の大部分 がグル コ ス で ,α
一amylaseよ り glucOamylaseのほ うが馬鈴薯澱粉 を分解 して ,大 量 のグル コース を生成
してい る こ とが認 め られた。
③ α一amylaseに よる生成物 は ,グ ル コース 以外 に ,Rf値
0.30,0.23の
生成物 が
0。30,0.70の
生成物 が
認 め られた。
④ glucoamylaseによる生成物 は ,グ ル コース 以外 に ,Rf値
認 め られた。
I.酵 素反応混液 の sOmogyi分 析 と力価
酵素反応混液 の Somogyi滴 定値 を ,グル ヨースの検量線 に照 ら しあわせ ,酵 素反応混液
中 の全還元糖量を グル ヨース として求 め ,そ れ らの結果 を表 3に 示す 。
a m y l a s e 又 は 9 t u c o a m y l a s e に よる
表 3 馬 鈴薯澱 粉 の α ―
加水 分 解 物 の S o m o g y i 分 析 に よ る全環元糖量及び力価
加 水 分 解
酵 素
名
α―
Amylase
Glucoamylase
全 環 元 糖 量
★
(mg/5 ml)
力
(Unit/g)
1 . 3 3 X 5 = 6 . 6 5
0 1 3 7 X 1 0 X 5 = 1 8 . 5
6.65 X 1000/′ 2.43==2,737
18.50 X 1000/″ 1.02=二 18,235
★ :4回 平均値
-6-
これらの結果は, 次 の よ うに纏められる。
① α一a m y t a s e 及び g l u c o a m y l a s e 両
酵素とも馬鈴薯澱粉を加水分解 して還元糖を生成
し, そ の 4 回 平均の総量は, 前 者が 6 . 6 5 m g ・
後者が 1 8 6 5 m g と
計算 されたが・還元糖の種
類はわからない。 なお, 後 者の通常分析では, S o m O g y i 検 量線を越えるため, 1 0 倍希釈
液を用い分析 した。
② α一a m y l a s e の平均力価は, 2 , 7 0 0 単
位/ 1 g r a m 酵 素 と計算 された。
lucoamylaseの
③宮
平均力価は, 1 8 , 1 0 0 単
位/ 1 g r a m 酵 素 と計算 された。
Ⅱ. G L C に
よる生成単糖の分離定量
得られた結果を図 4 , 表 4 に 示す。
(min.)
保
持
時
間
図 4 馬 鈴 事澱粉 の α -3mylaSe又 は gtucoamytaseに よ る
加 水分解 物 の ガス ク ロマ トグラム
I:D(+)― arabi↓
D‐glucose(2)及 びβ‐
D‐glucose(3)の 標品
pl(1),α ―
五 :α‐
amylaseに よる加水分解物
皿 :「lucoamylaseに よる加水分解物
-7-
解 名
粉素
加 酵
表 4 馬 鈴薯激 粉 の α ‐
amytase又は glucoamytaseに
よる加 水 分解 物 の
ガス ク ロマ トグラ フ ィ― に よ る定量及 び 力価
β―
gluCoSe
α ‐g l u c O s e
(mg)
全 糖 量
(mg)
(mg)
α ‐Amylase
0。14
0. 17
GlucOamylase
1.48
1.89
力
価
(Uuit/g)
1.55
637
16.85
16.520
これらの結 果は, 次 の ように纏められる。
両酵素 とも馬鈴薯澱粉 を加水分解 し, グ ル コ ー
① α一a m y l a s e 及び g l u c o a m y l a s e の
一g l u c O s eに 分 離 さ
スを生成 してお り, 標 品の保持時間 との比較から, α 一宮
lucose,β
れてい ることが確認 され, そ れぞれ定量 された。
②表 4 に 示す実験で生成 したグル ヨースの総量は , 前 酵素に より 0 . 3 1 X 5 =
1.55mg,
後酵素に より 3 . 3 7 X 5 三 1 6 , 8 5 m g と
計算 された。
③ α一amylaseの3回平均の力価は,690単位/1 gram酵素と計算 された。
3 回平均の力価は,169500単
位/1 gram酵素 と計算された。
④giucoamylaseの
考
察
α一a m y l a s e 及びg l u c o a m y l a s e の
2 種 類 のア ミラー ゼ を用 い , 馬 鈴薯澱粉 を基質 とし
て , p H 4 . 5 の 酢酸緩衡溶 液中 , 4 0 ℃ , 3 0 分 個別 に 作 用 させ , そ れぞれ のア ミラー ゼ に よ
り加水分 解 され て生 じた グル コー ス の分離定量 に , P C , S o m o g y i 変
法及 び G L C を
併
用 し, 全 生成糖 の確認 , 全 還元糖量 の定 量 , 生 成単糖 の分離同定 と定量 9 及 び ・基質馬鈴
薯澱粉 に対す る両 ア ミラー ゼの作 用 の違 いについて 検討 した ところ , 次 の こ とが , 考 察 さ
れ た。
① GLCで は,酵 素反応混液から生成単糖の分離同定 と定量が同時 に可能 である。 しか
しIPC及 び Somoggy分析の単独又は併用では, 酵素反応混液から生成糖の確認 と還元
糖全量の定量を個別に行 う必要がある。 このため,単 糖類の分離同定 と正確な定量の 目的
には,GLCの
使用が望 ましい。但 し,二 糖類以上の糖類を分離同定 し,定 量 しようとす
る場合には使用 できない。
を行 うため,そ の糖のα一型あるいは β一
型を分離同定 し,定 量することが可能 である。 このため,糖 類のα一型あるいは β一型の
② GLCで 単糖類の分析を行 う時 ,TMS化
概念の理解の手助け となるばか りか,潜 化合物の構造解析あ るいは化学反応機構の解明に
-8-
も重要な役 割を演 じる もの と思 われ る。 しか し, 糖 の種類 が数種類以 上になるとα一型及
び β一型 に分 離 され るため ガス ク ロマ トグラム が複雑に な り, 糖 類 の分離 が悪 くなる傾向
がみ られ る。 なお , 分 析 に際 しては糖 の T M S の
分 解 を避け るため , ガ ラス カラム を使 う
こ とが必要 であ る。
③ α 一a m y l a s e 及 び g l u c o a m y l a s e の両酵素 が , 基 質馬鈴薯澱粉 を加水分 解 して 生成
す る全還元糖量を グル コース として定量 した。 S o m o g y i 分 析 では , g l u c o a m y l a s e の活性
は α一a m y l a s e の そ の約 7 倍 であ るのに対 し, G L C 使
算 され る。 これ は , G L C の
用 の場 合 の それ は約 2 4 倍 と計
場 合 には , α 一型及 び β一 型 グル コース のみの定量値 であ る
のに対 し, S o m o g g y 分 析 の場 合 には , グ ル ヨース を含 む全還元糖 を対 象 とした定量値 で
あ るた めであ る。 したが って , こ の実験 の よ うに グル コース を対 象 とす る定量 では , G L
C を 使用す る こ とに よって , よ り正確 な分析 が期待 で きる。
④ α 一a m y l a s e 及 び g l u c O a m y l a s e が, 馬 鈴薯澱粉 を加水分 解 して 生成す る全還元糖
量 を グル ヨー ス と して定 量 し, S o m o g g y 分 析 で求めた全還元糖量 に対す る, G L C で
求
め た グ ル コ ー ス 量 の 割 合 を 計 算 した 。 そ の 結 果 , α 一 a m y l a s e の 場 合 , 2 3 % ,
g i u c o a m y l a s e の場 合 , 9 1 % と な る。 これ は , α 一 a m y l a s e は , 澱 粉潮 精 化力 が強 く,
giucoamylaseは
, グ ル コース生成力 が強 い と推察 され , 両酵素 の特 徴 を よく示 している。
ル ヨース生成活性は, α 一a m y l a s e の
⑤ G L C に よる場合, g l u c o a m y l a s eグ
の
それの
約2 4 倍と計算される。 これは, 酵 素の精製度合いの差も考えられるが, 主 として, ④ にも
述べたように, 馬 鈴薯澱粉に作用する両酵素の反応機構の差異であると推察 される。
以上 , 澱 粉 を加水分 解 して グル ヨー ス を生 産 す る作 用 機構 の 異 な る 2 種 類 のア ミラ ー
ゼ を , 馬 鈴薯澱 粉 に 作 用 させ , そ の 加水 分解物 の 検討 を , 主 に , G L C を
用 いて お こな っ
た。 そ の結 果 , α 一a m y l a s e ( S p i t a s e c P - 4 0 ) 及 びg l u c o a m y l a s e ( S p i t a s e S R )両
の酵
素 は , 基 質馬 鈴薯澱 粉 に 作 用 して グル ヨー ス を生 産 し, 後 者 の活性 は 前者 の それ の約 2 4 倍
で , そ の 力価 は 同酵 素 l g 当 た り約 1 6 9 5 0 0 単
位 で あ る こ とが わか った。
謝 辞
.し
本論 文 の 御校閲 を頂 きま した。 本学 食物 栄 養学 科能 美良作教授 に対 し, 厚 く御 礼申 上
げ ます 。
-9-
S U M M A R Y
The gaschromatoaraphy, paperchromatography and somogyl's method were
applied to derermine the glucose produced from pOtato一 starch by α 一 amylase or
giucoamylase.By useing the gaschromatography,the giucose一
Spitase
C P - 4 0一(aα
mylase)and
Spitase
producing activities of
SR(glucoamylase)were
16,500 units per gram, rttspectively. 4n unit cOrresponds to enzyme activity
producing one mllligram glucose from potato一
starch under pH 4.5,at 40℃,for 30
min.
参
考
文
献
1)C,CoSweeley,R.Ben tiey,M.Makita and W.w.wells;J.Am.Chem.Soc..852497
(1963)
2)W.EDTreVelyan,D.P.Proctor and J,S.Harrison;Nature・
166444(1950)
3) JDE,Hodge and B.T,HOfreiter;Determination of Reducing sugars and
Carbhydrates,
MethOds in CarbOhydrate Cherrlistry,V011,pp.380,Academic
Press (1962)
4)池
永 徳 治 ; 糖 質研究法 ( 蛋 白質 核 酸 酵 素 別 冊 ) , p p . 4 9 , 共 立 出版 ( 1 9 6 8 )
5 ) 森 本 由 美子 : 食 物 栄養 課 題 研究 , 広 島文教女 子 大学 短期大学 部 ( 1 9 8 3 )
6)三
好 康 之 ; 広 島文教 女 子 大学紀 要 ( 自然科学編 ) , 2 3 3 7 ( 1 9 8 8 )
一平成 元年 8 月 2 5 日
受理 一
第 6号 訂 正
p22;18行,p23;21行
子
p22i 30行
±4.3g」
「 24.8g」を 「25.上
101」芝
1101」
を「
「
p 4 6 : 2 2 行 「 られなかった。」を 「られるといわれているが, そ れぞれの差は認められ
なかった。」にそれぞれ訂正。
-10-
690
unit