日本市場特集 http://www.uchance.com.tw/

日本市場特集
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「洪
さん、どこで間違ったか、やっとわかったよ。幸いにも洪さ
んとは無関係だった。これからもねじの供給、よろしくお願
いしますよ。」取引関係を持って数年になる日本の業者が、
品質に問題のあるねじが続出したため、発生源を見極めるため、数週間
連続して台湾まで飛んで来ていた。日本人が重視するのはコストだけで
はなく、品質、さらには人格、信用。このような取引先が相手では、絶
対に手を抜けない。
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執筆 / 恵達 施淳真
日本企業との取引経験を語る詠全の
洪社長
Ltd.)に、経験を語ってもらった。
ステップ 3:顧客が顧客
を呼ぶ
ステップ 1:ブランド力をつける
しっかりと行う。」洪社長は取引七
日本向けが会社の全輸出の 10% 以上を占め、一回発注されれば 10 万ドル以
上になる。これまで日本企業二社と取引してきた詠全(U-Chance Enterprise Co.,
60 年代生まれの洪国珍(ホン・グオ・ツン)社長は、家族を大切にするため、
ホットな「電子業界」から「伝統産業」へと畑を変えた。ゼロからの出発であり、
考え方を調整するのに二年もかかった。少し遅れてファスニング市場に参入した
詠全をリードしていくため、「開発のアイディア」にあふれる洪社長は、高コス
トの軽金属ねじで社名をとどろかせた。ねじ職人はたいしたもので、目の前に一
本のねじがあれば、そっくりのものを作ってしまう。こんな競争の激しい市場で
は、他人と違う商品が必要だと洪社長は言う。
詠全は、「マグネシウム、アルミ、チタン」の鍛造技術で頭角を現し、精
密な自動車用特殊ねじでシェアを拡大しており、すでに ISO9001、ISO14001、
TS16949 の認証を取得し、2013 年末には AS9001 認証に挑戦する。これらはすべ
て、日本の三大自動車メーカーのうちの一社と七年の取引を続ける契機となって
きた。
ステップ 2:覚悟を決め、厳しい態度で臨む
市場ごとの違いについて、洪社長はこう分析する。「約束事によって仕事
を進めるドイツと較べると、日本は保守的で、とても厳しい市場。米国の価格主
導型に比して、欧州はフレンドリーで、新顔にもチャンスを与える市場だ。」
日本の業者は長期のパートナーを見つけるためなら、一年かけてでも原価
査定をやる。工場の規模から機械操作、設備メンテナンス、人事管理に至るまで。
覚悟ができていれば、自社が発展するチャンスになるが、最初の注文をもらった
からといって、安心してはいけない。四年、五年と取引関係が続いても、いつま
でも日本の顧客の話をないがしろにすることはできない。
策略についてはどうか。まず、てきぱきと事を進めること。現場の各プロ
セスがすべて日本の顧客の要求に適合していなければならない。そして、誤りを
認めること。自分のほうに誤りがあれば、洪社長は日本まで頭を下げにいく。こ
の「師であり、友である」関係は、ほかの市場では養うことはできないだろう。
「公私を明確に区別し、仕事は
年になる顧客と分厚い信頼関係を築
き上げている。しかし数年前、外国
貿易協会が日本の有名なファスニン
グメーカーを紹介してくれたとき、
日本側は言語の問題だけを理由に手
を引いてしまった。日本から信頼を
得ようと思ったら、いちばん速いの
は、日本の顧客に紹介してもらうこ
とだ。商談が始まって最初に尋ねら
れるのは、「これまでどの日本の会
社と取引したことがありますか?」
この三年間、日本での最大の出
来事は、やはり東日本大震災だと洪
社長は 言う。日本と台湾との友好関
係が実質的な成果を生んでおり、第
二の取引相手はこうして見つけてき
た。尖閣諸島の問題もあり、日本の
投資先は中国から台湾にシフトして
おり、台湾業者はこのチャンスをし
っかりキャッチすべきだ、と洪社長。
このほか、円安は、あまり心配して
いない。取引初期の段階から為替レ
ートの要素は定価から外してある。
これも輸出市場を維持していく策略
のひとつだ。
最後に、「日本と取引している
と、ほかの国で商売するのが簡単に
なるんじゃないですか?」と尋ねた
ところ、「楽なもんだよ!」