金型3次元CAD/CAM/CAE最新ソフトガイドブック ■CAE 最新ソフト紹介 ASU/P−form ,ASU/MOLD ,ASU/TK−base(システム) ㈱先端力学シミュレーション研究所 1)しわ・ワレおよびスプリングバックの解析 プレス成形や樹脂成形において,事前に問題点 を高精度にできるシミュレーションシステム を発見し対応するために,さまざまな CAE ソフ トウエアが開発されている.精度・計算速度とも, 2)シミュレーションの専門知識がなくても簡 近年のハードウエア・ソフトウエアの進歩により, 単に使用できるユーザーフレンドリーなソフトウ 実用的なものになっている.しかし,CAE ソフ エア 3)CAD を搭載したプリ・プロセッサ トウエアでは,解析の結果から問題点は把握でき るものの,エンジニアが経験やノウハウに基づい さらに,チューブ材のベンド成形やハイドロフ て検討している.そこで当社では,成形シミュレ ォーミング成形をシミュレートする「ASU/H− ーションとエンジニアの経験やノウハウを蓄積し form」も販売している. 樹脂射出成形シミュレーションソフトウエア た形式知データベース,および実験や試作の測定 結果を有機的に結び付けるナレッジマネジメント 「ASU/MOLD」 システム「ASU/TK−base」を開発した.当社の 「ASU/MOLD」は,2 次元(シェル)および 3 プレス成形シミュレーションソフトウエア「ASU 次元(ソリッド)双方のメッシュが選択可能な樹 /P−form」と樹脂成形シミュレーションソフトウ 脂射出成形シミュレーションソフトウエアであり, エア「ASU/MOLD」と合わせて紹介する. 下記の特徴をもっている. プレス成形シミュレーションソフトウエア 「ASU/P−form」 1)樹脂充填および冷却後の残留応力に起因す る「反り・ひけ」現象を精度良く解析可能. 2)CAD データをもとに本格的 3 次元解析が可 「ASU/p−form」は,弾塑性有限要素解析のア ルゴリズムに,世界で採用例のない静的陽解法を 能. 採用しているプレス成形シミュレーションソフト 3)2 次元(シェル)メッシュによる解析機能 ウエアである.特徴としては,次の点があげられ も持ち,ガスインジェクション流動解析,射出圧 る. 縮流動解析も可能. CATIA CAD I―DEAS CADCEUSなど 協調 形 式 知 デ ー タ ベ ー ス 形式知利用ツール 分散協調ワークマネージャー 形高 状精 ・度 板 厚 測 定 ツ ー ル 成形シミュレーション 図1 形式知利用プラットフォーム 118 型 技 術 Ⅴ︿ 編﹀ C A E 金型形状 ナレッジネットワーク 対策 部品形状 対策 絞り1 シミュレー ション結果 絞り2 原因 原因 NG NG 工程 3次元形状上の部位 測定結果 不具合/対策 図2 ナレッジデータベース ナレッジマネジメントシステム「ASU/TK−base」 要素構造とその原因,対策技術が情報ネットワー 「ASU/TK−base」は,知識情報の統合マネジ クを構成し,その中でさらにそれに基づく設計規 メントシステムであり,様々な情報管理機能を自 準書,個々の実践例を 3 次元形状,技術文書など 由に構築できる.また,シミュレータとリンクさ 含め階層的に管理することを可能としている(図 せることにより,ナレッジによる問題解決を行う 2) .分散協調ワークマネージャは,ナレッジマ システムである.ここでは,わかりやすいように ネジメントサイクルをサポートする「ためる」 : 当社が進めているデジタルマイスタープロジェク 金型設計技術情報を統括的に蓄積保守する, 「さ トの「技能蓄積形プレス工程・金型形状デジタル がす」 :状況に応じ必要な技術情報を多面的に検 設計システム」を例にとりながら,機能を紹介す 索する, 「しらべる」 :技術の内容を 3 次元形状, る. 情報要素を包括的に参照する, 「つかう」 :方案を プレス金型設計における熟練技術者の技能は, 策定し,金型形状,工程設計を行う, 「かくにん」 : 結果としての工程設計図,金型形状に暗黙的に包 策定した方案を,仮想的,現実に試し検証する, 含されている.これらをコンピュータ上で有効に 「せつめい」 :試作結果について技術的説明を付加 活用し技術の向上に役立てるためには,問題点の しデータベースに還元する,といった各種フェー 発生原因や対処理由が示される仕組みが必要とな ズ機能を統合的に管理運用する. ☆ る.技術者の技能を利用し問題解決していく過程 で,より高度な技術情報の継続的蓄積が可能とな 今後は CAE 解析データとノウハウや経験を形 るシステムとして,図 1 に示す 5 つの機能要素 式化したデータのリンクが,より技術的に高度な から成るプラットフォームを開発した. 形式知データベースでは,概念表現に優れるオ ブジェクト指向技術を中核に,不具合を規定する 筆者 問題の解決に役立つであろう. 「ASU/TK−base」 では,ユーザーがそれらを簡単に使える環境を作 ることが可能である. 常木優克(Masakatsu Tsuneki):研究開発部/吹春 寛(Hiroshi Fukiharu):研究開発部/中川朝彦(Asahiko Nakagawa):研究開発部/船田浩良(Hiroyoshi Funada):事業企画部 (048)451−5855 〒351−0198 埼玉県和光市広沢 2−1 理化学研究所研究交流棟 W 110 ,TEL 第 18 巻 第 5 号 (2003 年 4 月臨時増刊号) 119
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