Neko note 解析学 A レポート問題の解答とコメント(10/27 出題分) 土田旭 定理 1.21 の証明が途中でした. 再開しよう. 定理 1.21 の仮定の γ0 と γ1 をつなぐホモトピー H : [α, β] × I → D はコンパクト集合の上で連続なの |s − s′ | + |t − t′ | < TE で, 一様連続である. したがって Why 1.17 でとった実数 ε > 0 に対して, n ∈ N が存在して ε 1 =⇒ |H(s, t) − H(s′ , t′ )| < n 2 2 ···⃝ となる. γ0 , γ1 は区分的 C 1 級だが, ホモトピー H には連続性しか仮定されていない. 区分的 C 1 級であ るようなホモトピーをつくろう. さっきの n で区間 [α, β] と [0, 1] を n 等分する: [α, β] = [s0 , s1 ] ∪ [s1 , s2 ] ∪ · · · ∪ [sn−1 , sn ], (t0 = 0, tn = 1). NO [0, 1] = [t0 , t1 ] ∪ [t1 , t2 ] ∪ · · · ∪ [tn−1 , tn ], (s0 = α, sn = β), 各 tk に対して, Γ0 , · · · , Γn : [α, β] → D を Γk (s) = H(si−1 , tk ) と定義する. si − s s − si−1 + H(si , tk ) , si − si−1 si − si−1 (si−1 ≤ s ≤ si ) Why 1.18. 任意の k ∈ {0, 1, · · · , n} と任意の s ∈ [α, β] について ε 2 3 ···⃝ KO |Γk (s) − H(s, tk )| < が成立することを示せ. NE Proof. 区間 [α, β] 上の点 s を任意にとると, ある i ∈ {1, . . . , n} が存在して s ∈ [si−1 , si ] となる. いま si − s s − si−1 (式を見やすくするために)u := とおくと = 1 − u とかける. si − si−1 si − si−1 s − si−1 si − s |Γk (s) − H(s, tk )| = H(si−1 , tk ) + H(si , tk ) − H(s, tk ) si − si−1 si − si−1 = |u(H(si−1 , tk ) − H(s, tk )) + (1 − u)(H(si , tk ) − H(s, tk ))| ≤ u|H(si−1 , tk ) − H(s, tk )| + (1 − u)|H(si , tk ) − H(s, tk )| ε ε 2 より) < u + (1 − u) (⃝ 2 2 ε = 2 この議論は任意の k を固定して行うことができるので, 上の不等式は任意の s ∈ [α, β], k ∈ {0, 1, . . . , n} について成り立つ. 1 Why 1.17 と Why 1.18 より, 任意の s ∈ [α, β], k = 0, . . . , n に対して |a − Γk (s)| = |a − H(s, tk ) − Γk (s) + H(s, tk )| ≥ |a − H(s, tk )| − |Γk (s) − H(s, tk )| (三角不等式) ε >ε− (Why 1.17, Why 1.18) 2 |a − Γk (s)| > ε 2 4 ···⃝ が成り立つ. Why 1.19. 任意の s ∈ [α, β], k = 0, . . . , n に対して が成り立つことを示せ. Proof. 定義から ε 2 5 ···⃝ NO |Γk−1 (s) − Γk (s)| < TE より si − s s − si−1 + H(si , tk ) si − si−1 si − si−1 si − s s − si−1 Γk−1 (s) = H(si−1 , tk−1 ) + H(si , tk−1 ) si − si−1 si − si−1 Γk (s) = H(si−1 , tk ) si − s とおくと, si − si−1 KO であり, Why 1.18 のときのように u := |Γk−1 (s) − Γk (s)| = |u(H(si−1 , tk−1 ) − H(si−1 , tk )) + (1 − u)(H(si , tk−1 ) − H(si , tk ))| ≤ u|H(si−1 , tk−1 ) − H(si−1 , tk )| + (1 − u)|H(si , tk−1 ) − H(si , tk )| ε 2 より) < (⃝ 2 4 ⃝ 5 によって,(|Γk−1 (s) − Γk (s)| < これまでに得た不等式⃝, NE 得る: ε 2 < |a − Γk (s)| となるから) 次の不等式を |Γk−1 (s) − Γk (s)| < |a − Γk (s)| ∀s ∈ [α, β], k = 0, . . . , n. 3 ⃝ 4 から, また, 不等式⃝, |Γk (s) − H(s, tk )| < |a − Γk (s)| ∀s ∈ [α, β], k = 0, . . . , n. 特に k = 0, k = n のときを書いてみると |Γ0 (s) − γ0 (s)| < |a − Γ0 (s)| ∀s ∈ [α, β], |Γn (s) − γ1 (s)| < |a − Γn (s)| 2 ∀s ∈ [α, β] である. これらに対して Cor 1.22 を適用することができて Ind(γ0 ; a) = Ind(Γ0 ; a), Ind(γ1 ; a) = Ind(Γn ; a) を得る. Γk−1 (s), Γk (s) に対しても同様に Cor 1.22 より Ind(Γk−1 ; a) = Ind(Γk ; a) (k = 0, . . . , n.) となるので を結論する. TE Ind(γ0 ; a) = Ind(γ1 ; a). さて, 複素領域 D 上のサイクル γ とは, 有限個の閉曲線 γ1 , . . . , γm の形式和 γ= m ∑ i=1 γi NO のことであった (γ1 , . . . , γm の中には同じものがあっても OK). Defn 1.24. D を C 内の領域とし, γ を D 内のサイクルとする. γ が D 内で 0 にホモローグであるとは, 任意の a ∈ C \ D に対して Ind(γ; a) = 0 となるときをいう. ホモローグとホモトープは違う概念であることに注意しよう. 自然な方法で “二つのサイクルがホモローグ” という概念を定義しよう. 定義. 二つのサイクル γ0 と γ1 がホモローグであるとは γ0 − γ1 が 0 にホモローグであるときをいう. KO 複素領域 D 上の二つの閉曲線 γ0 , γ1 : [α, β] → D は当然サイクルである. γ0 と γ1 がホモトープのとき, D に属さない任意の点 a に対して, 定理 1.21 より Ind(γ0 ; a) = Ind(γ1 ; a) であるから, Ind(γ0 − γ1 ; a) = 0 となって γ0 と γ1 はホモローグである. では, 逆は成り立つか? Why 1.20. 閉曲線 γ0 が γ1 にホモローグであるが, ホモトープではないような例を作れ. NE 答えは NO である. 図 1 のような状況を考えれば良い. D をグレーの領域として, γ0 , γ1 をそれぞれ図 の青色と赤色の閉曲線とすればよい. D 図 1: Not homotope but homologue 3 もしちゃんと書くなら, 例えば次のようにすればよい; で定義すれば, γ0 と γ1 はホモローグだがホモトープでない. いよいよホモロジー型の Cauchy の積分定理だ. TE Proof. 領域を D := C \ {−2, 0, 2} とし閉曲線 γ0 , γ1 : [0, 1] → C を iπ(4t+1) eiπ(4t) + 2 (0 ≤ t ≤ 1/4) e + 2 (0 ≤ t ≤ 1/4) 3eiπ(4t−1) −iπ(4t−1) e (1/4 ≤ t ≤ 1/2) (1/4 ≤ t ≤ 1/2) , γ1 (s) := γ0 (s) := iπ(4t−2) iπ(4t−1) e − 2 (1/2 ≤ t ≤ 3/4) e − 2 (1/2 ≤ t ≤ 3/4) e−iπ(4t−4) iπ(4t−4) 3e (3/4 ≤ t ≤ 1) (3/4 ≤ t ≤ 1) Thm 1.26. D ⊂ C を開集合, γ を D 内の 0 にホモローグなサイクルとする. このとき, D 上の関数 f : D → C が正則であるならば ∫ f (z)dz = 0 γ 証明に入る前に少し準備をしよう. NO がなりたつ. まず回転数の性質を確かめておこう. γ = γ0 + · · · + γn を C 内のサイクルとする. このとき, a ∈ C \ γ ∗ に対して Ind(γ; a) ∈ Z が定まる. この対応(写像)a 7→ Ind(γ; a) を Ind(γ; ·) : C \ γ ∗ → Z と書くこと にしよう. Why 1.21. ユークリッド空間 R から Z に相対位相を入れる. このとき, 写像 Ind(γ; ·) : C \ γ ∗ → Z は 連続写像になることを示せ. KO Proof. a ∈ C \ γ ∗ に対して, d = mint∈[α,β] |a − γ(t)| とおく. このとき, γi に対してある Mi > 0 が存在 して, 任意の t ∈ [α, β] と b ∈ D(a, d2 ) に対して 1 2 (γi (t) − a)(γi (t) − b) ≤ d2 が成り立つ. 任意の正数 ε > 0 に対して, δ := πd2 ε ∫ とすると, |b − a| < δ のとき n γ |dz| NE ∫ ∫ 1 dζ 1 dζ − |Ind(γ; b) − Ind(γ; a)| = 2πi γ ζ − b 2πi γ ζ − a ∫ 1 b−a = dζ 2πi γ (ζ − b)(ζ − a) ∫ n ∑ |b − a| 1 ≤ sup 2π (γi (t) − b)(γi (t) − a) < δ 2 n 2π d2 i=0 t∈[α,β] ∫ β ′ |γ (t)| dt = ε α となる. よって Ind(γ; ·) : C \ γ ∗ → Z は連続である. 4 β α |γ ′ (t)| dt コメント:図による説明だけでは証明になりません. Why 1.22. 整数 n ∈ Z が与えられたとする. 集合 {a ∈ C \ γ ∗ | Ind(γ; a) = n} は C の開集合である ことを示せ. いま, 整数の集合 Z にはユークリッド空間 R からの相対位相が入っている. 位相空間 Z の開集合の 基は {(x − ε, x + ε) ∩ Z}ε>0,x∈R であるので, 一点集合 {n} ⊂ Z は開集合である. Why 1.21 から, 写像 TE Ind(γ; ·) : C \ γ ∗ → Z は連続写像なので, 逆像 Ind(γ; ·)−1 ({n}) = {a ∈ C \ γ ∗ | Ind(γ; a) = n} は開集合 である. Why 1.22 をうけて, E := {a ∈ C \ γ ∗ | Ind(γ; a) = 0} とおく. Lem 1.27. E は開集合であり, かつ, 十分大きな半径の円の外部を含む. Proof. E が開集合であることは Why 1.22 によって保証されている. 十分大きな半径の円の外部を含む ことを示そう. γ ∗ はコンパクト集合なので, C の有界閉集合であり, したがってある正数 R > 0 が存在し て γ ∗ ⊂ D(0, R) となる. このような R について,E ⊃ {z ∈ C | |z| > R} が成立することを見よう. 複素 NO 数 a は |a| > R をみたしているとする.そして関数 f (z) = 1/(z − a) を開円板 z ∈ D(0, R) で考えると, これは正則である (そのような z について,分母 ̸= 0 だから).そして γ は閉曲線の和であるから,講義 ∫ でやった Corollary 1.6 から, γ f (ζ) dζ = 0 (開円板は凸,したがって星形である.当たり前ですが念の ∫ ため).よって Ind(γ; a) = (1/2πi) γ f (ζ) dζ = 0 が成立する. 準備が整ったので, 定理 1.26 の証明に入ろう. 写像 g : D × D → C を次のように定める: f (ζ) − f (z) (z ̸= ζ), ζ −z g(z, ζ) = f ′ (z) (z = ζ). KO この写像 g について, 次の Why がある. Why 1.23. g : D × D → C は連続写像であることを示せ. Proof. z0 ∈ / ζ0 なる (z0 , ζ0 ) ∈ D × D における連続性は D の Hausdorff 性によって保証される. 点 (z0 , ζ0 ) に対して, ある r > 0 が存在して D(z0 , r) ∩ D(ζ0 , r) = ∅ となる. (z0 , ζ0 ) に収束する点列 {(zn , ζn )}n∈N を考えると, この r > 0 によって決まる自然数 N があって, n > N では zn ̸= ζn であるから (分母 ̸= 0 で NE 安全で) g(zn , ζn ) = f (ζn ) − f (zn ) n→∞ f (ζ0 ) − f (z0 ) −−−−→ = g(z0 , ζ0 ) ζn − zn ζ0 − z0 となって, 連続が言える. z0 = ζ0 なる (z0 , ζ0 ) ∈ D × D においての連続性を示す . D(z0 , r) ⊂ D なる r > 0 をとる. γ : [0, 1] → ∫ f (ξ) 1 dξ と表すことができる. この表示を使えば, D, γ(t) = e2πit , として D(z0 , r) の上で f (z) = 2πi γ ξ − z ∫ 1 f (ζ) − f (z) f (ξ) = dξ ζ −z 2πi γ (ξ − ζ)(ξ − z) ∫ f (ξ) 1 f ′ (z) = dξ 2πi γ (ξ − z)2 5 とかける. (z, ζ) → (z0 , ζ0 ) のとき上の二つは一致するので, 連続性が言えた. f (ζ) − f (z) ′ − f (z0 ) ζ −z コメント: ζ は固定していません. TE Why 1.24. ζ ∈ D を固定したとき, g(·, ζ) : D → C, z 7→ g(z, ζ) は正則であることを示せ. Proof. Why 1.6 でも示したように, D \ {ζ} においての正則性は当然である. ζ における正則性を示そう. NO 関数 f が D 上正則であることから f は D 上解析的であるので, ζ のまわりで f (z) = と冪級数展開できる. f (z) − f (ζ) = (z − ζ) ∞ ∑ f (n) (ζ)(z − ζ)n n! n=0 ∞ ∑ f (n) (ζ)(z − ζ)n−1 であるので n! n=1 KO g(z, ζ) − g(ζ, ζ) = z−ζ とかける. これより lim z→ζ = f (z)−f (ζ) z−ζ − f ′ (ζ) z−ζ ∞ ∑ f (n) (z − ζ) (ζ)(z − ζ)n−2 n! n=2 z−ζ ∞ (n) ∑ f = (ζ)(z − ζ)n−2 n! n=2 g(z, ζ) − g(ζ, ζ) 1 = f (2) (ζ) がわかるので, g(·, ζ) は D 上正則である. z−ζ 2 仮定より γ は D 内で 0 にホモローグだから, a ∈ / D ならば Ind(γ; a) = 0 となる. つまり Dc ⊂ E とな NE るので, C=D∪E となる. さて, C 上の関数 h : C → C を次で定めよう: ∫ g(z, ζ) dζ γ h(z) := ∫ f (ζ) dζ γ ζ −z 6 z ∈ D, z ∈ E. ∫ ∫ 共通部分の任意の点 z ∈ D ∩ E において, g(z, ζ) dζ = γ γ f (ζ) dζ となることを確かめよう. z ∈ E で ζ −z TE あることより z ∈ / γ ∗ なので g の定義から ∫ ∫ f (ζ) − f (z) g(z, ζ) dζ = dζ ζ −z γ γ ∫ f (ζ) = dζ − f (z) × 2πi Ind(γ; z) γ ζ −z ∫ f (ζ) = dζ (z ∈ E より Ind(γ; z) = 0) γ ζ −z よって関数 h は well-defined である. Claim 1. h は整関数である. Why 1.25. Claim 1 を証明せよ. すなわち, h は整関数であることを示せ. NO 証明に使う定理を述べておこう. Morera の定理. 領域 D ⊂ C 上の連続関数 f : D → C が D 内の任意の閉曲線 γ に対して ∫ f (z) dz = 0 γ となるとき, f は D 上正則である. (実際にはもっと弱く,三角形の形をした閉曲線だけで調べれば 十分. ) KO Fubini の定理. 領域 D × E ⊂ C × C 上で可積分な関数 f に対して, 逐次積分が可能である: ) ) ∫ (∫ ∫ (∫ f (z) dz dζ = f (ζ) dζ dz. γE γD γD γE defn ただし, γD , γE はそれぞれ領域 D, E 上の曲線である. (念のため:可測関数 f (x) が X 上可積分 ⇔ ∫ |f (x)| dx < ∞.つまり絶対値を付けて積分しても発散しない,ということ) X Proof of Why 1.25. 領域 D, E ⊂ C それぞれの上で正則であることを示す. NE 1. 任意の z0 ∈ D に対して, D が開集合であることから, ある r > 0 が存在して D(z0 , r) ⊂ D をみた す. D(z0 , r) 内の任意の三角形 ∆ に対して, ∂∆ 上の h の積分を考える. g(z, ζ) の連続性より Fubini の定理が適用できて ∫ ∫ (∫ ) h(z) dz = ∂∆ g(z, ζ) dζ ∂∆ ∫ (∫ γ = ) g(z, ζ) dz γ dz dζ ∂∆ となる. 開円板 D(z0 , r) は凸集合であることと, Why 1.24 を考慮すると, (写像 z 7→ g(z, ζ) は正 ∫ 則だから)Cor 1.6 を適用すると ∂∆ g(z, ζ) dz = 0 が成り立つ. よって ∫ h(z) dz = 0 ∂∆ 7 となるので, Morera の定理より従って, h は D(z0 , r) 上正則である. z0 の任意性によって h は D 上正則となる. 2. 任意の z0 ∈ E に対して, E が開集合であることから, ある r > 0 が存在して D(z0 , r) ⊂ E をみた f (ζ) す. D(z0 , r) 内の任意の三角形 ∆ に対して, z ∈ ∆ の関数 は(z ∈ E より z ∈ / γ ∗ だから)連 ζ −z 続なので, Fubini の定理が使えて, (∫ ∫ γ f (ζ) dζ ζ −z ∂∆ f (ζ) dz ζ −z h(z) dz = ∂∆ ∂∆ ∫ (∫ = γ となる. Corollary 1.4 を関数 z 7→ f (ζ) ζ−z ) dz TE ∫ ) dζ と D(z0 , R) に対して使えば (ζ を fix しておいて),各 ζ に 対して ∫ ∂∆ がいえて, f (ζ) dz = 0 ζ −z NO ∫ h(z) dz = 0 ∂∆ となるので, Morera の定理より h は D(z0 , r) 上正則である. z0 の任意性によって h は E 上正則と なる. Claim 2. lim h(z) = 0 |z|→0 KO Proof of Claim 2. Lem 1.27 によって, |z| が十分大きいとき z ∈ E であるので ∫ f (ζ) h(z) = dζ ζ −z γ NE である. 次の不等式評価によって Claim 2 が証明される: ∫ ∫ f (ζ) |f (ζ)| dζ |dζ| ζ −z ≤ |z − ζ| γ γ ∫ |f (ζ)| ≤ |dζ| |z| − |ζ| γ ∫ ∫ |f (ζ)| 1 |z|→∞ ≤ |dζ| = |f (ζ)||dζ| −−−−→ 0. |z| |z| γ γ Claim 1, 2 から h は有界な整関数である. Liouville の定理より従って, h は定数関数であることがわか る. Claim 2 からさらに h は 0 関数であることがわかるので, a ∈ D \ γ ∗ に対して ∫ 0 = h(a) = g(a, ζ) dζ ∫ γ f (ζ) − f (a) dζ ζ −a γ ∫ ∫ f (ζ) f (a) = dζ − dζ γ ζ −a γ ζ −a = 8 となる. 書き直して ∫ γ f (ζ) dζ = ζ −a ∫ γ f (a) dζ ζ −a = f (a) × 2πi Ind(γ; a) を得る. (Cauchy の積分公式!) この公式(Cauchy の積分公式)は任意の D 上正則関数 f に対して成り立つから, f (z) を f (z)(z − a) ∫ γ f (ζ)(ζ − a) dζ = f (a)(a − a) × 2πi Ind(γ; a) = 0 ζ −a より ∫ f (ζ) dζ = 0 γ を得る. これで Thm 1.24 が証明できた. TE で置き換えると, Cauchy の積分公式は重要なので, キチンと定理のかたちで述べておこう. が成立する. NO Thm 1.28. D ⊂ C を開集合, γ を D 内の 0 にホモローグなサイクル, f を D 上の正則関数とする. このとき, 任意の a ∈ D \ γ ∗ に対して ∫ 1 f (ζ) Ind(γ; a)f (a) = dζ 2πi γ ζ − a Thm 1.24 から, 互いにホモローグなサイクルに沿っての正則関数の積分は同じ値をとるという, 次の 系を得る: KO Cor 1.29. D ⊂ C を開集合, γ0 と γ1 は D 内のホモローグなサイクル, f を D 上の正則関数とする. このとき ∫ ∫ f (z) dz = γ0 f (z) dz γ1 が成り立つ. NE (to be continued ...) 9
© Copyright 2024 ExpyDoc