第 9回 - 東邦大学

数理統計学 演習問題解答
木村泰紀∗
2014 年 11 月 28 日出題
問題 1. 確率変数 X と > 0 に対して
P (|X − E(X)| ≥ ) ≤
V (X)
2
が成り立つことを, チェビシェフの不等式を用いて証明せよ.
解答 確率変数 Y を Y = X − E(X) で定義すると, チェビシェフの不等式より
P (|Y | ≥ ) ≤
E(Y 2 )
.
2
ここで, P (|Y | ≥ ) = P (|X − E(X)| ≥ ) であり,
E(Y 2 ) = E((X − E(X))2 ) = V (X)
となるので,
P (|X − E(X)| ≥ ) ≤
V (X)
2
が得られる.
問題 2. 確率変数の列 {Xn } は互いに独立で, 同一の分布関数 F をもち, 平均は 3, 分散は 90 であるとする.
確率変数 S を S = X1 + X2 + · · · + X100000 で定義する. 標準正規分布関数 F を用いた正規近似で
P (S ≤ 250000) + F (a)
とするとき, a の値を求めよ.
解答 中心極限定理より, 十分大きな n に対して
(
P
)
Sn − 3n
√
≤ a + F (a)
90n
と正規近似できる. ただし Sn = X1 + X2 + · · · + Xn である. ここで
(
P (Sn ≤ 250000) = P
Sn − 3n
250000 − 3n
√
√
≤
90n
90n
(
であるから
P (Sn ≤ 250000) + F
∗
250000 − 3n
√
90n
)
)
.
東京農工大学工学部非常勤講師, 東邦大学理学部情報科学科. http://www.lab2.toho-u.ac.jp/sci/is/kimura/yasunori/
1
さらに S = S100000 より n = 100000 とすると
(
P (S ≤ 250000) = P (S100000 ≤ 250000) + F
したがって, a = −50/3.
2
250000 − 300000
3000
)
=F
(
)
50
−
.
3