地質概要 - 地質調査総合センター

GSJ コ ア 井内 浦 観 測点 資 料
北川 有 一
1)
、高 橋
誠
1)
、小 泉 尚 嗣
1)産 業 技 術総 合 研究 所
1)
、 水 落幸 広
2)
、村 瀬 昭 彦
2)
、川西
繁
2)
活断 層 ・地 震 研 究セ ン ター 、2)住鉱 コ ンサ ル タ ント 株 式会 社
1. 井内 浦 観 測井 周 辺の 地 形 およ び 地質
1.1
1.1.1
観 測 井 周辺 の 地形 と 地 質
観 測 井の 位 置
井 内 浦 観測 井 は、 三 重 県熊 野 市礒 崎 町 の井 内 浦農 村 公 園内 に 位置 し て いる 。 掘削 位 置 の
緯経 度 ( 世界 測 地系 ) は 、以 下 の通 り で ある 。
1.1.2
孔 名
掘削長(m)
緯度
経度
標高(m)
孔1
600.00
33°54' 00.1978
136°08' 16.3891
26.899
孔2
128.98
33°54' 00.8099
136°08' 16.6643
27.412
孔3
30.00
33°54' 00.5061
136°08' 16.5248
27.395
観 測 井周 辺 の地 形
井内 浦 観 測井 は 、熊 野 灘 に面 し た磯 崎 町の 二 股 に分 か れ た半 島 中央 の 湾 入部 に 位置 し て
おり 、 観 測井 は 井内 浦 農 村公 園 内の 一 画 を利 用 して い る 。
半島 は な だら か な尾 根 を 有す る 丘陵 を 形 成し て おり 、 湾 入部 か らは 谷 底 平野 を 伴う 小 規
模な 谷 地 形が い くつ か 刻 まれ て いる 。 谷 頭部 の 形状 か ら 、こ れ らは 崩 壊 性の 地 滑り に 伴 う
もの と 見 られ 、 切土 斜 面 には た まね ぎ 状 風化 に よる 玉 石 が残 存 した 厚 い 粘土 化 マサ ( 源 岩
は花 崗 斑 岩) が 分布 し て いる の が観 察 さ れる 。
谷の 伸 長 方向 は NW-SE お よ び NE-SW 系 が あり 、地 形 リ ニア メ ント と し て は NE-SW∼ E-W
系で 半 島 を横 切 る方 向 の もの が 優勢 で あ る。 こ のた め 、 半島 の 尾根 は い くつ か の鞍 部 を 形
成し て い る。 海 岸は 柱 状 節理 の 発達 た 花 崗斑 岩 の露 出 す る岩 石 海岸 で あ り、 湾 奥部 に も 砂
浜は 形 成 され て いな い 。
1.1.3 観測 井 周 辺の 地 質概 要
井内 浦 観 測井 の 地質 は 、 熊野 酸 性岩 類 北岩 体 に 属す る 花 崗斑 岩 およ び 結 晶片 に 富む 酸 性
凝灰 岩 で ある 。花崗 斑 岩が 層 位的 上 位 にあ り 、仕様 書 で は鉛 直 深 度 450m 付 近に 両 岩相 の 境
界( 貫 入 境界 ) があ り 、 下位 に 凝灰 岩 の 分布 を 想定 し て いる 。
熊野 酸 性 岩類 の 地質 記 載 は、 荒 牧・ 羽 田(1965)およ び 荒 牧(1965)に よ っ てな さ れ、 下 位
より 神 ノ 木流 紋 岩類 ・ 凝 灰岩 ・ 花崗 斑 岩 に区 分 され て い る( 図 1.1-1b)。
花崗 斑 岩 につ い て、 荒 牧 ・羽 田(1965)は、 組 成 や鉱 物 組 合せ な どが 一 様 で、 均 質な 岩 体
とし て い る。 斑 状組 織 で 、石 英 ・カ リ 長 石・ 斜 長石 ・ 黒 雲母 な どの 斑 晶 と、 主 に石 英 ・ カ
リ長 石 か らな る 石基 で 構 成さ れ ると し た 。ま た 、石 基 の 岩石 組 織に よ り 、
1)細 粒 岩 相( 岩 体縁 辺 部 :急 冷 相)、
2)Microgranitic texture の 岩相 ( 岩 体の 主 体 岩相 )、
3)Micropegmatitic texture の岩 相 ( 岩体 中 心 部)
に区 分 し た。ま た、捕 獲岩 塊 は、通 常 20cm 以 下で 変 成 した 岩 塊の 方 が 普遍 的 で、未 変成 の
岩塊 は 縁 辺部 に 多い と し てい る 。以 上 は 、岩 体 が一 様 な 冷却 史 を経 た こ とを 念 頭に お い た
区分 で あ る。
これ に 対 して 、 皆川 ・ 吉 田(2001)は 、 北岩 体 に おい て 斑 晶量 が 岩体 北 部 ∼西 部 の急 冷 相
で量 比 が 多く 、 斜長 石 斑 晶の 最 大径 は 岩 体中 央 部∼ 北 西 部で 大 きい こ と 、気 孔 を含 む 岩 相
が岩 体 東 部∼ 南 部に 卓 越 する な どの 岩 相 の不 均 質性 を 見 出し た 。こ れ ら の不 均 質性 は 、 冷
却史 だ け でな く 岩体 北 西 部∼ 南 東方 向 へ の低 角 なシ ー ト 状の 貫 入に よ り 説明 さ れる と し た。
凝灰 岩 に つい て 、荒 牧 ・ 羽田 (1965)は 、
i 型 ) 層 理が 明 瞭で 軽 石 レン ズ を含 む も の: 軽 石凝 灰 岩 、
ii 型)層 理が 明 瞭で な く 軽石 片 が目 立 た ない もの:塊状 で 破 砕斑 晶 を多 量 に 含む 凝 灰 岩
に大 別 し、ii 型 が凝 灰 岩 の大 半 を占 め 、両者 は 漸移 関 係 とし た 。石 基 は i 型・ii 型 と も に
ガラ ス 質 ∼潜 晶 質で 、 捕 獲岩 片 には 未 変 成の 岩 片( 暗 褐 色シ ル ト岩 な ど )の ほ か変 成 し た
岩 片 も 含 む と し た 。 Aramaki et al(1977) は 、 凝 灰 岩 を 結 晶 片 に 富 む 溶 結 凝 灰 岩
(Crystal-rich welded tuff)と 記載 し 、Miura(1999)は 噴 出 機構 を 重視 し た Ash-flow tuff
と呼 ん だ 。
熊野 酸 性 岩類 の 形成 年 代 は、 Miura(1999)に ま とめ ら れ てお り 、14Ma 前 後 (1,400 万 年
前、 中 期 中新 世 )の 約 50 万 年間 の 短期 間 に 集 中し て い る( 図 1.1-1c)。
熊野 酸 性 岩類 の 噴出 機 構 に着 目 した 代 表 的な 模 式断 面 図 を、 図 1.1-2( 荒牧 、1965) お
よび 図 1.1-3(Miura, 1999) に 示す 。 両 者と も にカ ル デ ラ形 成 を念 頭 に 置い た モデ ル で あ
る。 荒 牧(1965)では カ ル デラ 形 成時 に 基 盤岩 の 巨岩 塊 が 落ち 込 むと 同 時 に、 マ グマ だ ま り
上部 の 発 泡で 噴 出し た 凝 灰岩 に 巨岩 塊 が 取り 込 まれ 、 そ の後 巨 岩塊 周 囲 の割 れ 目か ら の マ
グマ 噴 出 によ る 溶岩 湖 形 成で 巨 大な 花 崗 斑岩 体 が形 成 さ れた と 考え た 。 この 場 合花 崗 斑 岩
は地 上 噴 出と 考 えて い る 。こ れ に対 し て Miura(1999)で は、 カ ルデ ラ 形 成時 の リン グ 状 断
層か ら Ash-flow が 噴出 し て カル デ ラを 埋 め 尽 くし 、その 後 ラコ リ ス状 に 花 崗斑 岩 が貫 入 し
たと 考 え てい る 。こ の 場 合、 花 崗斑 岩 は 貫入 岩 であ る 。
図 1.1-1
熊 野 酸性 岩 に 関す る 既存 地 質 資料
図 1.1-2 荒牧 (1965)に よ る熊 野 酸 性岩 類 の模 式断 面 図
黒色 : 花 崗斑 岩 、砂 目 : 凝灰 岩
図 1.1-3 Miura(1999)によ る 熊野 酸 性 岩類 の 模 式断 面 図
菱形 : ラ コリ ス 状の 花 崗 斑岩 体 、砂 目 : 凝灰 岩
1.1
引用文献
荒牧 重 雄(1965)、熊 野 酸 性火 成 岩類 の 噴 出様 式 、地 質 学 雑誌 、Vol.71, no.842, p.525-540
荒牧 重 雄・羽 田忍 (1965)、熊野 酸 性 火成 岩 類の 中部 お よ び南 部 の地 質 、地 質 学雑 誌 、Vol.71,
no.841, p.494-512
Aramaki, S. and Takahashi, M., Nozawa, T.(1977), Kumano Acidic Rocks and Okueyama
Complex; Two examples of the granitic rocks in the outer zone of southwestern Japan,
Plutonism in relation to volcanism and metamorphism. In: Yamada, N. (Ed.),
Proceedings of 7 th Circum-Pacific Plutonism Project meeting, IGCP, UNESCO, Toyama,
Japan, p.127-147
Miura, D.(1999), Arcuate pyroclastic conduits, ring faults, and coherent floor at
Kumano caldera, southwest Honsyu, Japan, Journal of Volcanology and Geothermal
Research, Vol.92, p.271-294
1.2 井 内 浦観 測 井 の地 質 ・岩 盤 状 況
1.2.1 コア 観 察 の方 針
歪計 ・ 地 震計 埋 設と 地 下 水位 観 測を 目 的と す る 本調 査 で は、 コ ア観 察 に よる 岩 盤劣 化 程
度 と 現在 の 水 み ち の把 握 が 最 重 要で あ る 。 1.1 に 示 した 地 質 概 要 を踏 ま え て 、 コア 観 察 で
は岩 相 お よび 地 質構 造 の コン ト ラス ト を 把握 す るこ と を 眼目 に 、以 下 を 記載 項 目と し た 。
・ 岩相 区 分 (斑 晶 、石 基 の 粒径 や 組織 、 風 化状 態 に着 目 )
・ 捕獲 岩 塊 の種 類 、粒 径 、 形状
・ 気孔 の 有 無
・ 包有 物 ( シン タ ーな ど ) や鉱 物 脈の 記 載 (石 英 、方 解 石 、セ リ サイ ト )
・ 風化 や 変 質の 記 載( 溶 脱 、珪 化 、粘 土 化 、赤 紫 色変 質 )
・ 割れ 目 の 記載 ( とく に 開 口割 れ 目と 断 層 )
・ 断層 岩 の 種類
・ 岩盤 性 状 の記 載 (岩 盤 等 級、RQD、 コア 採 取 率)
・ コア ロ ス 位置
・ 逸水 位 置
・ その 他
以下 で は 、検 層 結果 も 参 照し た 地質 ・ 岩 盤状 況 を簡 潔 に 記す 。
1.2.2 井内 浦 孔 1 の地 質 ・ 岩盤 状 況
井 内 浦 孔1 で は、 表 層 の 3.8m ま で が表 土 で 、 3.8∼464.3m ま でが 熊 野酸 性 岩 類の 花 崗
斑岩 、 464.3∼ 600.0m ま では 凝 灰岩 類 で ある 。
(1) 表 層の 土 壌 :0.0-3.8m( 図 1.2-1(1))
表層 の 0.0-3.8m 間 は 、 花崗 斑 岩の 風 化残 積 土 (粘 土 化 した マ サ状 土 壌 )で あ る表 土 お
よび 公 園 造成 時 の砕 石 で ある 。 一部 の 礫 のみ 回 収し た 。 3.8m で 着 岩 。
(2) 熊 野酸 性 岩 類の 花 崗斑 岩 : 3.8-464.3m( 図 1.2-1(1)∼ 図 1.2-1(7))
花崗 斑 岩 は、3.8-464.3m ま で分 布 し 、3.8-14.3m ま で は礫 混 じ りの マ サ化 し た 褐色 の 風
化 花 崗 斑 岩 ( 砂 状 )、 14.3-34.7m ま で は 褐 色 ∼ 淡 褐 色 の 風 化 花 崗 斑 岩 ( 礫 状 ∼ 棒 状 )、
34.7-460.9m が新 鮮 な 中∼ 粗 粒の 花 崗 斑岩 、 460.9-464.3m が細 ∼ 中 粒の 花 崗斑 岩 で ある 。
それ ぞ れ の性 状 を以 下 に 述べ る 。
① 3.8-14.3m:花 崗 斑岩 の 礫 混じ り 褐色 風 化 土( 図 1.2-1(1)お よ び(3))
礫混 じ り の褐 色 風化 土 で 、中 ∼ 粗粒 の 花崗 斑 岩 の風 化 残 積土 。 礫部 分 と マサ 様 土壌 の
一部 の み 回収 。
② 14.3-34.7m: 花崗 斑 岩 の褐 色 風化 岩 ( 図 1.2-1(1)お よ び(3))
花崗 斑 岩 の褐 色 風化 岩 で 、19.2-19.5m, 33.2-33,3m, 34.4-34.6m の 水 平系 割 れ目 周 辺
は強 風 化 した マ サ様 岩 で 、礫 状 コ アで 回 収 。26.0-26.4m 間 の 一部 に 新鮮 岩 が 認め ら れる 。
③ 34.7-460.9m: ほぼ 新 鮮な 花 崗斑 岩 ( 図 1.2-1(1))
ほぼ 新 鮮 な花 崗 斑岩 で 、 棒状 コ アで 回 収 。35-240m 間 は粗 粒 相 、240-337m 間 は中 粒
相、337-460.9m 間 は 粗粒 相 主体 、460.9-464.3m 間 は 細∼ 中 粒 相で あ る。以 下 に主 要 な
観察 項 目 を、 検 層結 果 も 加味 し て以 下 に 述べ る 。
a) 花 崗斑 岩 中の 風 化 変質 状 況( 図 1.2-1(3)お よび 図 1.2-1(4))
風化 部 は、41.9-42.5m 間 およ び 61.7-64.3m 間 の高 角 割 れ目 沿 いに ま と まっ て 認め ら
れる 。 割 れ目 周 囲の 微 弱 な褐 色 化ハ ロ ー が認 め られ る の は、 103m 付 近 まで で ある ( 図
1.2-1(3))。
103m 以 深で は 割れ 目 周囲 の 変 色は 、 白色 ∼ 灰 色∼ 淡 緑 色で 変 質に よ る もの と 思わ れ
る。165-190m 間 で は高 角 割 れ目 周 囲が 白 色化 し、溶脱 に よ るも の と思 わ れ た。193-228m
間・295-302m 間・357m 付近・393-410m 間 に は石 英 細 脈周 辺 に珪 化 が 及ん で いる 区 間
とと も に 、そ の 外側 に セリ サ イ ト( 白 色粘 土 ) が分 布 し てい る 。と く に 208-210m 間 で
は珪 化 帯 と黄 鉄 鉱化 帯 が 複合 し てい る 。 270-465m 間 は、 割 れ 目頻 度 が顕 著 に高 い 区 間
で、 こ れ に対 応 する 粘 土 化( 白 色粘 土 主 体) が 認め ら れ る。
また 、 460.9-462.3m 間 の 細 ∼中 粒 相で は 、 赤 紫色 を 帯 びる 変 質が わ ず かに 認 めら れ、
下位 の 凝 灰岩 に 分布 す る 変質 と 同源 の 接 触変 成 によ る 変 色と 思 われ る ( 図 1.2-1(4))。
変質 お よ び変 質 帯の 分 布 は、 い ずれ も 断 層分 布 とよ く 対 応し て いる 。
b) 花 崗斑 岩 中の 捕 獲 岩片 ( 図 1.2-1(6))
捕獲 岩 片 には 、 細粒 の 閃 緑岩 ・ ひん 岩 ・頁 岩 ・ 砂岩 ・ 斑 れい 岩 ・流 紋 岩 ・ホ ル ンフ ェ
ルス ・ ペ グマ タ イト 様 岩 と見 な され る 岩種 が 認 めら れ る 。全 般 に変 成 さ れて い る岩 片 で
扁平 な も のが 多 く、 一 部 岩片 は 溶食 さ れ てい る ( 120-130m, 390-400m 付 近 )。
岩片 種 は 、35-120m 間で 閃 緑 岩、 120-230m 間で 頁 岩 、230-320m 間で 閃 緑岩 ∼ ホ ル
ンフ ェ ル スが 多 い。 320m 以 深 では 岩 片の 頻 度 ・粒 径 と もに 少 ない が 、 岩片 の 種類 は 逆
に多 く な って い る。ま た 岩片 サ イズ は 数 cm 以 下の も の が多 い が、10cm 以 上 とな る も の
は 70-320m 間 に 集中 す る 。
c) 花 崗斑 岩 中 の気 泡
気 泡 は 、367m 以 深 で普 通 に 認め ら れる 。 サ イズ は 2mm 以下 の も のが 多 い。
d) 花崗 斑 岩 中の 鉱 物脈 ( 図 1.2-1(5))
鉱物 脈 は 100m 以浅 で は 方解 石 脈、 100-280m で断 層 沿 いに 石 英∼ カ ル セド ニ ーが 白
色∼ 灰 色 粘土 と とも に 分 布し 、 280-464m 間 は 石英 ・ 方 解石 が 共存 す る 傾向 が ある 。 石
英は 晶 洞 を形 成 して 自 形 結晶 と なっ て い る場 合 もあ る 。
なお 、316.3-316.7m 間 に は 40cm 間に わ た って 石英 ∼ カ ルセ ド ニー 脈( 一部 は 角 礫化 )
が分 布 し てお り 、298m 付 近 の 珪化 帯 とと も に 検層 に よ って も 捉え ら れ てい る 。
e) 花 崗 斑 岩中 の 割れ 目 ( 図 1.2-1(7))
割れ 目 分 布は 、35-120m 付 近 ま では 地 表に 向 かっ て 頻 度が 増 して お り 、し か もシ ー テ
ィン グ 節 理と 見 られ る 風 化帯 を 伴う 低 角 割れ 目 の頻 度 が 多い こ とか ら 、 風化 の 影響 範 囲
と 見 な せ る 。 120-275m 間 と 330-397m 間 は 割 れ 目 が 極 少 な い 。 275-330m 間 お よ び
397-464.3m 間 は 割 れ 目 ・ 断 層 頻 度 とも に 大 き く 、 本 孔 で の主 要 な 逸 泥 区 間 に 対 応 して
いる 。 ま た、 主 要な 変 質 帯も 275-464.3m 間 で あり 、 断 層分 布 に対 応 し てい る 。
断層 は 、 花崗 斑 岩中 で か つコ ア によ っ ては 変 位 基準 が 見 出し に くい た め 、断 層 岩( と
くに断層ガウジ)を伴うものだけとした。これは、割れ目内に条線があったとしても、
剪断 節 理 が再 動 した も の とも 考 えら れ る ので 、 主要 な 断 層を 抽 出す る 意 味で そ うし た も
ので あ る 。こ の 基準 に よ る断 層 は、 全 般に 平 均 的な 分 布 を示 し てお り 、 ほぼ 均 等な 間 隔
で分 布 し てい る もの と 推 察さ れ る。断層 の 傾 斜 がす べ て 60°以上 で ある こ と は、海岸 部
で観 察 さ れる 柱 状節 理 を なす 高 角割 れ 目 の一 部 が、 断 層 とし て 活動 し た もの と 考え ら れ
る。
断 層 と と も に 割 れ 目 頻 度 が 増 大 す る 区 間 は 、 断 層 帯 と し て 区 分 し た 。 こ れ ら は BTV
デー タ で 確認 し た範 囲 で は東 西 系北 落 ち のも の が卓 越 し てい る 。な お 、 断層 面 の観 察 か
らは 逆 断 層と 横 ずれ 断 層 のセ ン スが 混 在 して い る。
また 、 検 層結 果 (と く に 電気 検 層・ キ ャリ パ ー 検層 ・ 流 体電 気 伝導 度 検 層) は 割れ 目
分布 お よ び断 層 帯分 布 に よく 対 応し て い る。
f) 花 崗 斑岩 中 の岩 盤 等 級お よ び RQD
岩盤 等 級 およ び RQD は、 割 れ 目の 頻 度分 布 に 対応 し て 変化 し てい る 。 割れ 目 頻度 の
小さ い 区 間で は CM-CH 級の 岩 盤が 多 く、 割 れ 目頻 度 の 大き い 区間 ( か つ変 質 が卓 越 す
る区 間 ) と表 層 部で は CM 級 以下 の 岩 盤と な って い る 。
g) 花 崗 斑岩 中 の逸 泥 状況
顕著 な 逸 泥区 間 は、275.3m から 始 まっ て お り、350.5m で 掘 削中 最 大の 逸 泥(92L/min)
とな っ て いる 。 この 間 の 逸泥 は 、断 層 帯に 直 接 対応 し て いる の では な く 、断 層 帯で 開 始
して断層帯を抜けた高角割れ目帯に対応して増大し、最大の逸泥区間は低角割れ目帯
( 350.03-352.72m 間 、 図 1.2-1(7)) に対 応 す る。
350.5m で 極大 を 示 した 後 、367m 付 近 で逸 泥 は急 減 し 、以 降 30L/min 程 度 の 逸泥 状
態 が 続 い て いる 。 こ の 区 間 の 逸 泥 は 、 350.5-367m 間の 逸 泥 区 間 が 完 全 に 閉 塞 さ れな い
まま(LCM が 充分 で ない ま ま)掘削 し た区 間 な ので 、実 際 の水 み ちの 分 布 を反 映 して い な
い可 能 性 があ る 。こ れ ら は検 層 結果 と とも に 解 釈さ れ る べき で 、流 体 電 気伝 導 度検 層 結
果か ら は 420.4-424.3m 間 や 220.1m に は 水み ちが 想 定 され る 。
熊野井内浦観測井の地質-1 花崗斑岩
3.8m
14.3m
孔1:0.0-15.7m:表層土壌(0-3.8m)・粘土化区間(3.8-14.3m)
および風化花崗斑岩(14.3-15.7m)
孔1:177-179m:粗粒相の花崗斑岩
孔1:268-270m:中粒相の花崗斑岩
孔1:371-373m:粗粒相の花崗斑岩
孔1:462-464m:細∼中粒相の花崗斑岩(直下で下位の凝灰岩が出現)
図 1.2-1(1) 井 内浦 観 測 井の 花 崗斑 岩 の 代表 的 岩相 ( 孔 1)
15.7m
熊野井内浦観測井の地質-2 露頭での花崗斑岩の産状
花崗斑岩表層の風化層(孔1の隣接地)
粘土化マサ状の基質中に玉石が残存
花崗斑岩の柱状節理(井内浦)
ピンク太破線は地形リニアメント(NE-SW)
花崗斑岩表層の風化層(井内浦)
柱状節理上面でのたまねぎ状風化
花崗斑岩の柱状節理(井内浦)
連続性が良い割れ目は垂直系である。
図 1.2-1(2) 井 内浦 観 測 井周 辺 の花 崗 斑 岩の 産 状( 井 内 浦)
熊野井内浦観測井の地質-3 花崗斑岩の風化状況
孔1:30.2-30.6m:風化花崗斑岩の最下部
水みちの低角割れ目に沿ってリモナイトの沈積が著しい。
孔1:25.0-26.5m:風化花崗斑岩の下部
新鮮岩の岩塊が残存する。
孔1:42.0-44.0m:割れ目集中部での風化状況
50-60°傾斜の平行割れ目帯沿いに褐色化。
孔1:73.2-74.5m:割れ目周囲の風化状況
30°,60°傾斜の平行割れ目帯沿いに褐色化。
孔1:101.0-103.0m:風化が認められる最深部での風化状況
70°前後の高角割れ目沿いに褐色化。
図 1.2-1(3) 井 内 浦観 測 井の 花 崗 斑岩 の 風化 状 況( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-4 花崗斑岩の変質状況
Py
孔1:208.0-209.2m(珪化):幅広い石英脈の空隙をpyriteが充填
Qz vein
孔1:297.5-298.0m(珪化):基質が白色化し、
灰色の高角石英脈(晶洞含む)が多数分布
孔1:300.1-300.8m(粘土化+珪化):300.2mの断層周囲で
幅広く粘土化(白色∼灰白色)し、軟化。多数の石英脈を伴う。
Qz vein
孔1:320.0-321.7m(粘土化):318.8mの断層下盤で幅広く粘土化(白色∼灰白色)し、
軟化。とくに高角の石英脈周辺では脆弱化してコアは礫状。
孔1: 403.0-403.6m (珪化+粘土化):402.7-402.9mの断層下盤で幅広く粘土化
(白色∼灰白色)および珪化(白色)。
孔1: 463.1-463.3m (赤紫色変質):463.3mの断層周辺でわずかに
赤紫色に変色。直下位の凝灰岩にも同様の変質が認められる。
図 1.2-1(4) 井 内 浦観 測 井の 花 崗 斑岩 の 変質 状 況( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-5 花崗斑岩中の鉱物脈
孔1:324.9m:石英脈(割れ目充填)
Sericite, Pyriteを伴う。
孔1:281.1-281.4m:雁行セリサイト脈(割れ目充填)
孔1:328.3m:石英脈(割れ目充填)
Sericite, Calcite, Pyriteを伴う。
孔1:297.9m:セリサイト脈(割れ目充填)
Qz vein
孔1:298.0-298.5m:セリサイトおよび石英脈(晶洞形成:写真の灰色部)が割れ目充填する。
breciated
孔1:316.5-316.8m:石英∼カルセドニー脈(一部角礫状)
孔1:382.3-382.6m:方解石脈(割れ目充填物)
図 1.2-1(5) 井 内 浦観 測 井の 花 崗 斑岩 中 の鉱 物 脈( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-6 花崗斑岩中の捕獲岩片
Gabbro
Hornfels
孔1:258.7m:ホルンフェルス岩片
Shale
孔1:128.6m:斑レイ岩・頁岩片
(反応縁あり)
Shale
Sandstone
孔1:373.4m:砂岩片
孔1:52.1m:頁岩片(反応縁あり)
Diorite
孔1:140.5-141.0m:閃緑岩片(溶融して同化しつつある)
Diorite
Porphyrite
孔1:56.5m:ひん岩片
孔1:362.7-362.8m:閃緑岩片
Diorite
Rhyorite
孔1:118.7-120.0m:閃緑岩片・流紋岩片
図 1.2-1(6) 井 内 浦観 測 井の 花 崗 斑岩 中 の捕 獲 岩片 ( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-7 花崗斑岩中の割れ目
孔1:43.8m:青灰色のガウジを挟む断層
孔1:283.4m:固結した断層面(Chlorite)
(条線の傾斜約50°)
孔1:138.6m:灰緑色のガウジを挟む断層
孔1:451.1-451.7m:方解石脈を伴う断層
(条線の傾斜約20°、左横ずれ)
孔1:420.5-421m:固結した断層面を持つ断層(Chlorite)
(条線の傾斜約5°、右横ずれか?)
孔1:88.6-89.0m:
灰緑色のガウジを伴う断層。
孔1:352.3-352.8m:全量逸泥(92L/min)を生じた割れ目と割れ目面(右)
少量のセリサイト(白色粘土)を充填する節理で、面が滑らか。
孔1:461.1m:黒色粘土と黄鉄鉱が充填する断層面
(条線の傾斜約50°)
孔1:396.0-398.0m:低角割れ目帯の例。
図 1.2-1(7) 井 内 浦観 測 井の 花 崗 斑岩 中 の割 れ 目( 孔 1)
(3) 熊 野酸 性 岩 類の 凝 灰岩 類 : 464.3-600.0m( 図 1.2-2(1)∼ 図 1.2-2(6))
凝灰 岩 類 は、464.3-600.0m ま で 分布 し 、464.3-478.1m ま で は中 ∼ 粗 粒の 軽 石凝 灰 岩 で、
478.1-600.0m ま で は粗 粒 の軽 石 凝灰 岩 が 主体 であ る が 、501.4-503.1m 間 と 598.3-600.0m
間は 凝 灰 角礫 岩 で岩 片 が レン ズ 状に 延 び た溶 結 構造 を 呈 して い る。 そ れ ぞれ の 性状 に つ い
て、 検 層 結果 も 加味 し て 以下 に 述べ る 。
①中 ∼ 粗 粒の 軽 石凝 灰 岩 :464.3-478.1m( 図 1.2-2(1))
464.3-478.1m 間 は、比 較 的細 粒 の軽 石 凝 灰岩 であ り 、上 方 細 粒化 の サイ ク ル が少 な く
と も 2 回認 め ら れる 。 上位 の 花 崗斑 岩 との 境 界 は 20 度程 度 で、 比 較 的鮮 明 であ る 。 し
かし 、 上 位の 花 崗斑 岩 貫 入時 の 接触 に よる 影 響 で、 熱 変 成・ 変 質を 被 っ てお り 、帯 緑 色
∼赤 紫 色 の変 色 が顕 著 で 、帯 緑 色の 区 間は 構 成 粒子 の 粒 界が 不 明瞭 な 滑 石様 の 産状 を 示
して い る (図 1.2-2(3))。
また 、45°前 後 の傾 斜 の割 れ 目 が発 達 し 、薄い 粘土 を は さみ 、条 線 は 20°∼ 40°の 低
角の も の が多 い こと か ら 、こ れ らは 横 ずれ ∼ 逆 断層 セ ン スの 断 層と 判 定 した 。 なお こ れ
らは 、 も とも と は密 着 し た断 層 であ る 可 能性 が ある ( 図 1.2-2(6))。
この 区 間 の検 層 結果 の う ち、 電 気検 層 と自 然 ガ ンマ 検 層 結果 は 、花 崗 斑 岩と 凝 灰岩 の
境界 部 で 明瞭 な ギャ ッ プ を示 し てい る 。
②粗 粒 の 軽石 凝 灰岩 : 478.1-600.0m( 図 1.2-2(1))
478.1-600.0m 間 は 、粗粒 の 軽 石凝 灰 岩が 主 体 で一 部 に 弱い ラ ミナ( 478-482m, 484m,
487m, 516m, 555-556m)や極 粗 粒 相( 556-568m 間)を 伴 うも の の、全 体に は 2mm 前
後の 粒 径 の均 質 塊状 な 岩 相で あ る 。た だ し 、501.4-503.1m 間 お よ び 598.3-600.0m 間 に
は層 状 の 凝灰 角 礫岩 が あ るが 、 これ に つ いて は 後述 す る 。
478.1-487m 間は 、上 位 の中 ∼ 粗 粒相 に 連続 す る赤 紫 色 変質 が、588.3-598.3m 間 の 溶
結 部 に 珪 化 お よ び セ リ サ イ ト 化 認 め ら れ る が ( 図 1.2-2(3))、 そ の ほ か の 大 半 は 灰 色 ∼
灰 白 色 で 顕 著 な 変 質 が 認 め ら れ な い 。 割 れ 目 も ほ と ん ど な く 、 479.4m, 527.0m,
593.4-597.8m 間 の ほか に は開 口 割れ 目 は 分布 して い な い( 図 1.2-2(6))。 ま た、 捕 獲岩
片も 極 少 なく 泥 岩片 、石 英 斑岩 ∼ 粗 粒凝 灰 岩の 擬似 礫 を 主体 と して い る( 図 1.2-2(4))。
こう し た こと か ら 、岩 盤 状 態は 極 めて 良 好 で 、岩盤 等 級 は B 級 、RQD も 100%の 区間
がほ と ん どで あ る。 逸 泥 は前 述 した 350.5-367m 間 の逸 泥 を引 き ず って お り、 30L/min
程度 の 逸 泥が 連 続す る が 、こ れ らは 区 間 内の 水 みち を 示 して は いな い 。
なお、この区間の検層結果では後述する凝灰角礫岩相に対応する電気検層のピーク
(高 比 抵 抗) と とも に 515m 付 近の 高 比 抵抗 が ある が 、 これ は コア 観 察 結果 か らは ラ ミ
ナ(layering)区 間 に対 応 して い る。527m 付 近 の流 体 電 気伝 導 度検 層 の ピー ク は、527m
の開 口 割 れ目 に 対応 し て いる 。
③凝 灰 角 礫岩 ( 溶結 部 を 含む ): 501.4-503.1m 間お よ び 598.3-600.0m 間
凝灰 角 礫 岩は 、凝 灰 岩相 の ア クセ ン トに な っ て いる 。501.4-503.1m 間 のも の は、粒径
6cm 程 度 ま での レ ンズ 状 の 軽石 と 花崗 斑 岩 礫 ( 8cm)を 含 み、 基 質は ガ ラ ス質 で 粒子 判
別で き な い。 弱 い溶 結 構 造が あ る。 ま た 、598.3-600.0m 間 の 凝灰 角 礫岩 は 粒 径 2cm 程
度ま で の 軽石 ( パミ ス お よび ス コリ ア ) を含 み 、上 方 細 粒化 や layering が 認め ら れる 。
一部 は 溶 結し て いる ( 図 1.2-2(1))。
凝灰 角 礫 岩の 分 布と 溶 結 凝灰 岩 の分 布 は 一致 し てい な い。598.3-600.0m 間 の 凝 灰角 礫
岩の う ち 、最上 部(597.8-598.3m 間)の みが 溶 結し て お り 、下 位 は通 常 の凝 灰 角 礫岩 で あ
る。 こ れ に対 し 、凝 灰 角 礫岩 よ り上 位 の 軽石 凝 灰岩 で は 588.3-596.3m 間が 弱 溶結 構 造
を呈 し て 珪化 ・ セリ サ イ ト化 し て淡 黄 白色 ∼ 灰 白色 を 呈 し、 レ ンズ 状 ∼ 縞状 構 造が 見 ら
れる ほ か、596.3-597.8m 間は 強 溶結 組 織 を示 して い る。こ れ らは 凝 灰角 礫 岩 が熱 源 とな
って 、 そ の上 位 に堆 積 し た凝 灰 岩を 加 熱し た 高 温の 脱 ガ スに よ る溶 結 を 示し て いる 可 能
性が あ る (図 1.2-2(1)お よ び(3))。
検層 結 果 との 対 応は 上 述 した と おり で あ る。
熊野井内浦観測井の地質-8 凝灰岩
孔1:465-467m:中∼粗粒の軽石凝灰岩相(花崗斑岩との境界直下)
孔1:550-552m:粗粒の軽石凝灰岩相
孔1:480.4-481.8m:凝灰岩中のlayering(級化構造)
孔1:501.4-502.8m:凝灰角礫岩(溶結レンズが認められる)
孔1:487.0-487.1m(左):溶結凝灰岩
同597.0-597.3m:溶結凝灰岩
(溶結レンズが認められる)
図 1.2-2(1) 井 内 浦観 測 井の 凝 灰 岩の 代 表的 岩 相( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-9 露頭での凝灰岩の産状
凝灰岩の産状(鬼ヶ城)
オーバーハング部は塊状、ベンチ部は層
状で固結度の低い細粒の軽石凝灰岩。
層状の凝灰岩の産状(鬼ヶ城)
左写真のベンチ部分
図 1.2-2(2) 井 内 浦観 測 井周 辺 で の凝 灰 岩の 産 状( 鬼 ヶ 城)
熊野井内浦観測井の地質-10 凝灰岩の変質状況
boundary
孔1:464.3m付近:花崗斑岩(左)と下位の凝灰岩(右)の境界面。
左の花崗斑岩は赤紫色変質、右の細粒凝灰岩は灰緑色に変質。
孔1:475.0-476.5m:上半の細粒凝灰岩は割れ目が多く灰緑色に変質。
下半部は割れ目が少なく赤紫色に変質している。接触変成とした方が良いかもしれない。
孔1:593.4m:黄白色の鉱物脈周囲の変質。
孔1:597.0-597.3m:珪化により白色化した溶結部の凝灰岩。
図 1.2-2(3) 井 内 浦観 測 井の 凝 灰 岩中 の 変質 状 況( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-11 凝灰岩中の捕獲岩片
孔1:485.5m:石英斑岩∼粗粒凝灰岩の同時礫(亜円礫)。
孔1:547.6m:同上。
孔1:574.8m:扁平な頁岩片。
孔1:580.1m:石英斑岩∼粗粒凝灰岩の同時礫(角礫)。
孔1:589.0-589.3m:小礫サイズの頁岩片。
図 1.2-2(4) 井 内 浦観 測 井の 凝 灰 岩中 の 捕獲 岩 片( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-12 凝灰岩中の鉱物脈
孔1:481.4m:方解石脈
孔1:503.3m:方解石脈
孔1:527.0m:セリサイト脈(割れ目充填物)
セリサイトは割れ目全面を充填しておらず、空隙を保持している(水みち)。
孔1:593.4m:黄白色の鉱物脈
(セリサイト・ゼオライト・方解石)。
孔1:595.7m:雁行状の黄白色の鉱物脈
(セリサイト・ゼオライト・方解石)。
図 1.2-2(5) 井 内 浦観 測 井の 凝 灰 岩中 の 鉱物 脈 ( 孔 1)
熊野井内浦観測井の地質-13 凝灰岩中の割れ目
孔1:481.4m:方解石脈
孔1:470.0-475.0m:花崗斑岩との境界面直下の小断層群。
ラミナに平行および高角の系統がある。条線の傾斜角は20°∼40°が主体。
孔1:594.5m:不定形の低角割れ目(自然割れ目)。
孔1:597.5-597.9m:破砕した岩片・セリサイトを含む割れ目。
図 1.2-2(6) 井 内 浦観 測 井の 凝 灰 岩中 の 割れ 目 ( 孔 1)
(4) 井 内浦 孔 1 の 地質 構 造 につ い て
1) 凝 灰岩 の 境界 面 形 状と 層 準に つ い て
井 内 浦 孔 1 では 、 上 位 に 熊 野 酸 性 岩 の 花崗 斑 岩 、 464.3m 以深 の 下 位 に 同 凝 灰 岩 が 出現
する 。両 者 の境 界 面は コ ア では 20°程 度の 傾 斜 面を 持 っ てい る 。これ は 、荒 牧・羽 田(1965)
を参 照 す れば 北 ∼北 東 傾 斜で あ るか ら 、 この 境 界面 も 同 様の 傾 斜、 す な わち 北 岩体 の 中 心
方向 に 傾 斜し た 面構 造 と 考え ら れる 。
また 、 荒 牧(1965)は観 測 井の 約 10km 西方 の 札 立峠 で の 露頭 観 察か ら 、 凝灰 岩 と接 す る
花崗 斑 岩 は細 粒 で境 界 を 判別 し にく い と して お り、 本 孔 で得 ら れた 地 質 柱状 図 と一 致 す る
( 図 1.1-1e 参 照)。さ ら に 、凝 灰 岩の 出 現 順序 は上 位 か ら下 位 に向 か っ て、① 塊状 凝 灰岩 、
②軽 石 レ ンズ を 多量 に 含 む火 砕 流堆 積 物、③ 細 かく 成 層 した 凝 灰岩 、④ 暗 緑 色の pitchstone
を区 分 し てい る 。こ れ か ら、 本 孔の 孔 底 部は 上 記② の 層 準( 凝 灰岩 層 の 中位 ) に相 当 す る
と考 え ら れる 。
こ の ほか 荒 牧(1965)で は 、 鬼 ヶ 城付 近 の 旧 木 本 ト ン ネル 付 近 で の 露頭 観 察 か ら 、花 崗 斑
岩最 下 部 の細 粒 部が 約 70m、花 崗斑 岩 と接 す る凝 灰 岩 上部 に は粒 度 変 化が 激 しい 区 間(約
20m)があ り 、クロ ス ラミ ナ も 発達 し てい る と して い る(図 1.1-1d 参 照)。これ も 、孔 1 で
の花 崗 斑 岩最 下 部の 細 粒 部お よ び凝 灰 岩 最上 部 のラ ミ ナ の多 い 区間 の 観 察結 果 と整 合 的 で
ある 。
2) 花 崗斑 岩 の割 れ 目 につ い て
花崗 斑 岩 中の 断 層帯・割 れ 目帯 は 70°以上 の 高角 割 れ 目が 卓 越し 、BHTV で 確認 し た 範
囲で は EW 系∼ NE 系 で N 傾 斜 が 主体 で ある 。こ れら は 、地 形図 判 読か ら 得 られ る リニ ア
メン ト 方 向に よ く一 致 し てい る (図 1.2-3)。
図 1.2-3 井 内 浦観 測 井 周辺 の 地形 リ ニア メ ン ト
(5) 井 内浦 孔 1 の検 層 結果 に つ いて
孔 1 で 3 回に 分 け て実 施 され た 検 層結 果( 0-600m)につ い て、地 質・岩 盤 状 況を 踏 えた
コメ ン ト を以 下 に示 す 。 なお 、 以上 に 示 した 地 質・ 岩 相 状況 と 、以 下 の 検層 結 果に よ る 地
質柱 状 図 を図 1.2-4 に示 す・
1) キ ャリ パ ー検 層
デ ー タ は 、 割 れ 目 位 置 と 孔 径 拡 大 範 囲 を 示 し て い る 。 275-278m, 315-321m, 382m,
402.7-405.2m, 409m, 420.7m など の 断 層帯 ・ 割れ 目 帯 位置 で の孔 径 拡 大が 明 瞭で あ る 。
2) 電 気検 層
デ ー タ は 、 岩 盤 + 地 下 水 の 見 か け 比 抵 抗 の 変 化 を 示 し て お り 、 低 角 割 れ 目 帯 ( 50-60m,
90-105m, 200-220m: 地 下水 )・ 変 質 部(200-220m, 275-330m, 464-478m, 588-597m: 変
質粘 土)・ 断層 帯(275-330m, 402-408m, 420-424m, 451-454m:破 砕)で、 低 比 抵抗 を 検出
して い る 。
また 、 花 崗斑 岩 では 地 表 部の 風 化や 下 位の 凝 灰 岩と の 境 界部 で 低比 抵 抗 を示 し 、下 位 の
凝灰 岩 で は噴 出 時の 高 温 変質 部 で低 比 抵 抗の 傾 向。
3) SP 検 層
デー タ は 、地 下 水溶 存 成 分の 増 加あ る いは 地 下 水流 動 に よる 電 位の 上 昇 を検 出 して い る。
地下 水 流 動に よ る上 昇 ( 50m 付近 , 90-120m, 350m 以深 ) と 、電 気 化学 的 上 昇( 180m 以
深の ベ ー ス上 昇 )が あ る 。
4) 電 気伝 導 度検 層
デー タ は 、地 下 水 溶存 成 分の 増 減 を示 し てい る 。50-60m ま で が 濃度 の 薄い 表 層 地下 水 、
60-180m が 深 層 地下 水( 一定・混 合 なし )、180-370m が深 層 地 下水( 濃 度変 化 = 混合 あ り)
を示 し て いる 。
5) 温 度検 層
デー タ は、地 下 水の 流 出入 位 置 を示 し てい る 。低角 割 れ 目帯 に 対応 す る 温度 変 化( 30m,
52-53m, 216-226m)と 、一部 の 高角 割 れ 目・断 層( 140m, 161m, 294-320m, 358m, 528m)
を検 出 し てい る 。
6) 密 度検 層
デ ー タ は 、 風 化 お よ び 熱 水 変 質 に よ る 岩 盤 の 劣 化 程 度 を 示 し て い る ( 非 表 示 )。 検 出 し
た劣 化 部 は、風化 部( 15-23m, 30-35m, 40-41m, 62m, 95-105m[割 れ目 沿 いの 部 分 的風 化])
と熱 水 変 質部( 200-222m, 277m, 290-300m, 312-330m)、凝 灰 岩 の溶 結 に伴 う 高 温変 質 部
( 462-503m, 580-600m) お よび 断 層 部(405m)であ る 。
7) 自 然ガ ン マ検 層
デー タ は 、岩 盤 の劣 化 程 度と 岩 質を 検 出 して い る( 非 表 示)。
花崗 斑 岩 では 、風 化部( 31m)
・粘土 化 変 質部( 104m, 157m, 358m)
・珪 化 変 質部( 298m)
など の 変 質部 、お よ び花 崗 斑岩 健 岩 部(118m, 162m, 170m, 187m, 370m)、径 の大 き い包
有岩 ( mafic inclusion: 83m, 229m, 289m, Qz vein: 317m)を 検 出し て い る。
ま た 、 凝 灰 岩 に 関 し て は 花 崗 斑 岩 と の 境 界 ( 464.3m )、 凝 灰 岩 最 上 部 の 赤 紫 色 変 質 部
( 464-485m)、 凝 灰 岩 中 の 溶 結 部 ( 501-503m, 588-600m) で あ る 。 と く に 花 崗 斑 岩 と の
境界 部 は 明瞭 な ギャ ッ プ とし て 捉え ら れ てい る 。
8) 電 気伝 導 度検 層
デー タ は 、215m, 264-321m, 350m, 420-424m, 527m に 水 み ちと 思 われ る ピー ク を 検出
して い る 。
図 1.2-4 井 内 浦孔 1 の 地質 ・ 検層 柱 状図 (0-600m)
1.2.3 井内 浦 孔 2 の地 質 ・ 岩盤 状 況
井内 浦 孔 2 では 、 コ アリ ン グは 実 施 され な か った の で 、採 取 した ス ラ イム ( 掘削 記 録)
と検 層 結 果( ただ し 0-115m 間。BHTV を 含 む 。)か ら 判断 し た。孔 1と 同 様の 岩 相区 分 を
適用 す る と、表土 を 含む 粘 土 化し た 花崗 斑 岩 が 0.0-5.1m、風 化花 崗 斑岩 が 5.1-24.1m ま で
継続 し 、24.1-128.98m まで が 新 鮮な 花 崗斑 岩 と見 ら れ る。電 気検 層 のプ ロ ファ イ ル で孔 1
の地 質 と 比較 す ると( ただ し 孔径 が 異 なる の で 比抵 抗 値 は直 接 比較 で き ない )、ほ ぼ同 様 の
岩相 分 布 であ る こと が 確 認で き る。
キャ リ パ ー検 層 結果 お よ び BHTV 結 果 から 断 層帯 ( こ の場 合 は高 角 割 れ目 の 集中 範 囲 )
を設 定 す ると 、 23-31m, 34-45m, 68-79m, 87-91m, 100-108m 間 の 5 区 間 に設 定 で きる 。
この う ち 、23m 付近 と 105m 付 近は 、孔 径 拡大 が著 し い 。検層 区 間よ り も 下位 の 115-130m
間の 割 れ 目帯 を 逸泥 量 変 化か ら 推測 す る と、 109.7m 以 深で は 逸 泥が 顕 著と な り 、116.2m
以深 で は 100L/min 以 上の 逸 泥が 継 続 する こ とか ら 、115-130m 間 は 開口 割 れ 目を 多 く伴
う断 層 帯 が分 布 する と 見 られ る 。
孔 2 での 110-130m 間 の この よ う な大 き な逸 泥 割れ 目 は、20m 離 れた 孔 1 で は 検出 さ れ
てお ら ず、孔 2 逸泥 に よ る孔 1 の 水 位変 化 は 確認 さ れ なか っ たこ と な どか ら、両 者の 連 続
の可 能 性 は低 い。孔 1 の 顕著 な 逸 水を 伴 う断 層帯 は 275m 以 深で あ る から 、こ れ と 連続 す
る高 角 の 断層 帯 が考 え ら れる 。
孔 2 の地 質 ・検 層 柱 状図 を 図 1.2-5 に 示す 。
1.2.4 井内 浦 孔 3 の地 質 ・ 岩盤 状 況
井内 浦 孔 3 では 、コ アリ ン グ 区間 は 5.3-30.0m の 24.7m で あ る 。表 層 部の コ ア採 取 率 は
孔 1 に 比 べ て非 常 に良 く 、RQD も 70%以 上 の こと が 多 い。 こ れは 孔 3 の 位置 が 尾根 の 中
心部 に 最 も近 い 位置 に あ るこ と から 、 岩 盤状 態 が平 均 的 に良 か った た め と思 わ れる 。 風 化
花崗 斑 岩 の上 面 は 10.8m で あ り、 30m ま で は 風化 花 崗 斑岩 で ある 。
割 れ 目 は 非 常 に 多 く 、 全 体 に 低 角 割 れ 目 帯 で あ り 、 13.0-13.7m は 高 角 割 れ 目 帯 、
18.2-23.5m お よ び 29.3-29.7m は断 層 帯で あ る 。
孔 2 と と もに 、 孔 3 の地 質 ・ 検層 柱 状図 を 図 1.2-5 に 示す 。
図 1.2-5 井内浦孔 2(129m)および孔 3(30m)の地質・検層柱状図
1.2 引 用 文献
荒牧 重 雄(1965)、 熊野 酸 性火 成 岩 類の 噴 出様 式 、地 質 学 雑誌 、Vol.71, no.842, p.525-540
荒牧 重 雄・羽 田 忍(1965)、熊野 酸 性 火成 岩 類の 中部 お よ び南 部 の地 質 、地質 学 雑 誌、Vol.71,
no.841, p.494-512
荒牧 重 雄(1967)、熊野 酸 性 岩の 花 崗斑 岩 の マグ マと 斑 晶 長石 の 成分 、地 質学 雑 誌 、Vol.73,
no.4, p.181-191
Aramaki, S. and Takahashi, M., Nozawa, T.(1977), Kumano Acidic Rocks and
Okueyama Complex; Two examples of the granitic rocks in the outer zone of
southwestern Japan, Plutonism in relation to volcanism and metamorphism. In:
Yamada, N. (Ed.), Proceedings of 7 th Circum-Pacific Plutonism Project meeting,
IGCP, UNESCO, Toyama, Japan, p.127-147
Miura, D.(1999), Arcuate pyroclastic conduits, ring faults, and coherent floor at
Kumano caldera, southwest Honsyu, Japan, Journal of Volcanology and Geothermal
Research, Vol.92, p.271-294
皆 川 淳、 吉 田 武 義(2001)、 熊 野 酸性 岩 北 岩 体 花 崗 斑 岩の 内 部 構 造 から 推 定 さ れ る貫 入 方 向
と定 置 様 式、 地 球惑 星 合 同大 会 、Jn-P012
1-3.総 合検 討
1-3-1 孔 1
(1) 凝 灰岩 の 境 界面 形 状と 層 準 につ い て
井 内 浦 孔 1 では 、 上 位 に 熊 野 酸 性 岩 の 花崗 斑 岩 、 464.3m 以深 の 下 位 に 同 凝 灰 岩 が 出現
する 。両 者 の境 界 面は コ ア では 20°程 度の 傾 斜 面を 持 っ てい る 。これ は 、荒 牧・羽 田(1965)
を参 照 す れば 北 ∼北 東 傾 斜で あ るか ら 、 この 境 界面 も 同 様の 傾 斜、 す な わち 北 岩体 の 中 心
方向 に 傾 斜し た 面構 造 と 考え ら れる 。
また 、 荒 牧(1965)は観 測 井の 約 10km 西方 の 札 立峠 で の 露頭 観 察か ら 、 凝灰 岩 と接 す る
花崗 斑 岩 は細 粒 で境 界 を 判別 し にく い と して お り、本 孔で 得 られ た 地質 柱 状 図と 一 致す る 。
さら に 、 凝灰 岩 の出 現 順 序は 上 位か ら 下 位に 向 かっ て 、 ①塊 状 凝灰 岩 、 ②軽 石 レン ズ を 多
量に 含 む 火砕 流 堆積 物 、③細 か く成 層 し た凝 灰 岩 、④ 暗 緑色 の pitchstone を区 分 し てい る。
これ か ら 、本 孔 の孔 底 部 は上 記 ②の 層 準 (凝 灰 岩層 の 中 位) に 相当 す る と考 え られ る 。
こ の ほか 荒 牧(1965)で は 、 鬼 ヶ 城付 近 の 旧 木 本 ト ン ネル 付 近 で の 露頭 観 察 か ら 、花 崗 斑
岩最 下 部 の細 粒 部が 約 70m、花 崗斑 岩 と接 す る凝 灰 岩 上部 に は粒 度 変 化が 激 しい 区 間(約
20m)が あ り 、ク ロ スラ ミ ナ も発 達 して い ると して い る 。こ れ も、 孔 1 で の花 崗 斑 岩最 下
部の 細 粒 部お よ び凝 灰 岩 最上 部 のラ ミ ナ の多 い 区間 の 観 察結 果 と整 合 的 であ る 。
(2) 花 崗斑 岩 の 割れ 目 につ い て
花崗 斑 岩 中の 断 層帯・割 れ 目帯 は 70°以上 の 高角 割 れ 目が 卓 越し 、BHTV で 確認 し た 範
囲で は EW 系∼ NE 系 で N 傾 斜 が 主体 で ある 。こ れら は 、地 形図 判 読か ら 得 られ る リニ ア
メン ト 方 向に よ く一 致 し てい る 。
(3)検層 結 果に つ い て
1) キャ リ パー 検 層
デ ー タ は 、 割 れ 目 位 置 と 孔 径 拡 大 範 囲 を 示 し て い る 。 275-278m, 315-321m, 382m,
402.7-405.2m, 409m, 420.7m など の 断 層帯・割 れ目 帯 位 置で の 孔径 拡 大 が明 瞭 であ る 。
2) 電 気検 層
デー タ は、岩 盤+ 地 下 水の 見 かけ 比 抵 抗の 変 化 を示 し て おり 、低 角 割 れ目 帯( 50-60m,
90-105m, 200-220m: 地 下水 )・ 変 質 部(200-220m, 275-330m, 464-478m, 588-597m:
変質 粘 土)・断 層 帯(275-330m, 402-408m, 420-424m, 451-454m: 破 砕)で、 低 比抵 抗 を
検出 し て いる 。
また、花崗斑岩では地表部の風化や下位の凝灰岩との境界部で低比抵抗を示し、下位
の凝 灰 岩 では 噴 出時 の 高 温変 質 部で 低 比 抵抗 の 傾向 。
3) SP 検 層
デー タ は 、地 下 水溶 存 成 分の 増 加あ る いは 地 下 水流 動 に よる 電 位の 上 昇 を検 出 して い る。
地下 水 流 動に よ る上 昇 ( 50m 付近 , 90-120m, 350m 以深 ) と 、電 気 化学 的 上 昇( 180m 以
深の ベ ー ス上 昇 )が あ る 。
4) 電 気伝 導 度検 層
デー タ は 、地 下 水 溶存 成 分の 増 減 を示 し てい る 。50-60m ま で が 濃度 の 薄い 表 層 地下 水 、
60-180m が 深 層 地下 水( 一定・混 合 なし )、180-370m が深 層 地 下水( 濃 度変 化 = 混合 あ り)
を示 し て いる 。
5) 温 度検 層
デー タ は、地 下 水の 流 出入 位 置 を示 し てい る 。低角 割 れ 目帯 に 対応 す る 温度 変 化( 30m,
52-53m, 216-226m)と 、一部 の 高角 割 れ 目・断 層( 140m, 161m, 294-320m, 358m, 528m)
を検 出 し てい る 。
6) 密 度検 層
デ ー タ は 、 風 化 お よ び 熱 水 変 質 に よ る 岩 盤 の 劣 化 程 度 を 示 し て い る ( 非 表 示 )。 検 出 し
た劣 化 部 は、風化 部( 15-23m, 30-35m, 40-41m, 62m, 95-105m[割 れ目 沿 いの 部 分 的風 化])
と熱 水 変 質部( 200-222m, 277m, 290-300m, 312-330m)、凝 灰 岩 の溶 結 に伴 う 高 温変 質 部
( 462-503m, 580-600m) お よび 断 層 部(405m)であ る 。
7) 自 然ガ ン マ検 層
デー タ は 、岩 盤 の劣 化 程 度と 岩 質を 検 出 して い る( 非 表 示)。
花崗 斑 岩 では 、風 化部( 31m)
・粘土 化 変 質部( 104m, 157m, 358m)
・珪 化 変 質部( 298m)
など の 変 質部 、お よ び花 崗 斑岩 健 岩 部(118m, 162m, 170m, 187m, 370m)、径 の大 き い包
有岩 ( mafic inclusion: 83m, 229m, 289m, Qz vein: 317m)を 検 出し て い る。
ま た 、 凝 灰 岩 に 関 し て は 花 崗 斑 岩 と の 境 界 ( 464.3m )、 凝 灰 岩 最 上 部 の 赤 紫 色 変 質 部
( 464-485m)、 凝 灰 岩 中 の 溶 結 部 ( 501-503m, 588-600m) で あ る 。 と く に 花 崗 斑 岩 と の
境界 部 は 明瞭 な ギャ ッ プ とし て 捉え ら れ てい る 。
8) 電 気伝 導 度検 層
デー タ は 、215m, 264-321m, 350m, 420-424m, 527m に 水 み ちと 思 われ る ピー ク を 検出
して い る 。
1-3-2
孔2
孔 2 では 、コ ア リン グ は実 施 され な か った の で 、採取 し たス ラ イム( 掘 削 記録 )と 検 層
結果(た だ し 0-115m 間。BHTV を 含む 。)か ら判 断 し た。孔1 と 同様 の 岩相 区 分 を適 用 す
ると 、表 土 を 含む 粘 土化 し た 花崗 斑 岩 が 0.0-5.1m、風 化 花 崗斑 岩 が 5.1-24.1m まで 継 続し 、
24.1-128.98m ま で が新 鮮 な花 崗 斑 岩と 見 られ る。 電 気 検層 の プロ フ ァ イル で 孔 1 の地 質
と比 較 す ると( ただ し 孔径 が 異な る の で比 抵 抗 値は 直 接 比較 で きな い)、ほぼ 同 様 の岩 相 分
布で あ る こと が 確認 で き る。
キャ リ パ ー検 層 結果 お よ び BHTV 結 果 から 断 層帯 ( こ の場 合 は高 角 割 れ目 の 集中 範 囲 )
を設 定 す ると 、 23-31m, 34-45m, 68-79m, 87-91m, 100-108m 間 の 5 区 間 に設 定 で きる 。
この う ち 、23m 付近 と 105m 付 近は 、孔 径 拡大 が著 し い 。検層 区 間よ り も 下位 の 115-130m
間の 割 れ 目帯 を 逸泥 量 変 化か ら 推測 す る と、 109.7m 以 深で は 逸 泥が 顕 著と な り 、116.2m
以深 で は 100L/min 以 上の 逸 泥が 継 続 する こ とか ら 、115-130m 間 は 開口 割 れ 目を 多 く伴
う断 層 帯 が分 布 する と 見 られ る 。
孔 2 での 110-130m 間 の この よ う な大 き な逸 泥 割れ 目 は、20m 離 れた 孔 1 で は 検出 さ れ
てお ら ず、孔 2 逸泥 に よ る孔 1 の 水 位変 化 は 確認 さ れ なか っ たこ と な どか ら、両 者の 連 続
の可 能 性 は低 い。孔 1 の 顕著 な 逸 水を 伴 う断 層帯 は 275m 以 深で あ る から 、こ れ と 連続 す
る高 角 の 断層 帯 が考 え ら れる 。
1-3-3
孔3
孔 3 では 、 コア リ ン グ区 間は 5.3-30.0m の 24.7m で ある 。 表 層部 の コア 採 取 率は 孔 1
に比 べ て 非常 に 良く 、RQD も 70%以 上 のこ と が多 い 。 これ は 孔 3 の 位 置が 尾 根の 中 心 部
に最 も 近 い位 置 にあ る こ とか ら 、岩 盤 状 態が 平 均的 に 良 かっ た ため と 思 われ る 。風 化 花 崗
斑岩 の 上 面は 10.8m であ り 、 30m ま では 風 化 花崗 斑 岩 であ る 。
割れ 目 は 非常 に 多く 、全 体 に低 角 割れ 目 帯 であ り 、13.0-13.7m は 高 角割 れ 目 帯 、18.2-23.5m
およ び 29.3-29.7m は断 層 帯 であ る 。