西野文子先生 :BMC Musculoskelet Disord. 2014 Sep 2;15:289. doi: 10.1186/1471-2474-15-289 RA 患者の骨塩が減らない時代の到来か? Generalized bone loss in early rheumatoid arthritis patients followed for ten years in the biologic treatment era. 【背景】生物学的(Bio)製剤は、関節リウマチ(RA)患者の骨病変;骨破壊や全身の骨塩低下を抑制したこ とでも、その臨床的意義は高いと考えられます。今回、生物学的製剤の登場を挟むこの 10 年間で、早期R A患者の骨塩にどのような変化が起こったのか、検証されました。 【方法】1999-2001 年に診断された早期RA患者(n=92 平均年齢 50.9 歳)の治療歴と DEXA を用いた、 大腿骨頚部、股関節、腰椎L1-4 の骨塩定量(BMD)データの 10 年間の解析が行われました。 【結果】大きな転機は、エントリー後 2 年で、0-2 年の患者に比し、2-10 年の患者では、Bio 製剤使用頻度が 18.5%から 62.6%に増加し、プレドニン使用頻度が減少し、DAS や MHAQ も有意に減少していました。 BMD の年間変化率は、0-2 年に認める高い BMD 低下率は、2-10 年の患者では、その低下率が軽減して いました。特に、男性、あるいは、閉経前の女性において、その差が顕著であり、リスク因子も、0-2 年の患 者では、Bio 製剤の使用や DAS や MHAQ 値と有意な相関があるのに対し、2-10 年になると女性、閉経、 喫煙などと相関していました。 【結論】このように、生物学的製剤の登場により、早期 RA 患者では、RA そのものがもたらす骨塩低下は明 らかに抑制され、結果、閉経女性の加齢による骨粗鬆リスクが顕在化してきたようです。高齢医が感じてい るRA治療の時代の変化を、見事にデータ化してくれた論文でした。。 (文責 阿比留)
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