2014年欧州リウマチ学会 2014年6月11日∼14日 in Paris FRI0324 関節リウマチ治療の実臨床におけるトシリズマブの単独投与 またはDMARDsとの併用投与についての検討 ∼ACT SOLO STUDY∼ WHICH FACTORS INFLUENCE THE PRESCRIPTION OF TOCILIZUMAB (TCZ) ALONE OR IN COMBINATION WITH csDMARDs IN RHEUMATOID ARTHRITIS PATIENTS IN A REAL LIFE SETTING? THE ACT SOLO STUDY. René-Marc Flipo 演者 先生(Rheumatology Hôpital Universitaire Lille, France) Q uick R eview フランスのリウマチ専門医および関節リウマチ(RA)患者を対象とした多施設研究の結果から、 トシリズマブ (TCZ) は、 年齢65歳以上で感染症の罹患や既往歴があり、 DAS28-ESR高値、 過去2年間メトトレキサート (MTX) の 使用経験のない患者に対して、単独で投与される傾向が強いことが明らかになった。 解析対象はリウマチ専門医118名と RA患者577例 高齢で感染症既往がありMTXが使用できない場合、 TCZは単独投与の傾向 ACT SOLO STUDYは、TCZ単独またはTCZと疾患 修飾性抗リウマチ薬(DMARDs) との併用投与において、 RAの実臨床に影響をおよぼす因子について検討したフラ ンス国内の多施設共同研究である。 参加したRA専門医は118名(平均年齢45±9歳、男性 53%) で、 病院勤務医が80%、 病院とクリニック兼業が20%を 占め、 RA診療歴は平均16±9年であった。対象となったRA 患者は、 RA専門医がTCZ投与を必要とみなし、 プロトコールに 合致した577例であった。 対象患者の平均年齢は57歳、 女性比率は79%、 RA罹病 期間平均は11年、 DAS28-ESRは5.2であり、 高血圧や脂質 異常症、肺疾患などの合併症の保有率は71%と高かった。 RA治療薬の使用歴はDMARDsが98%、 生物学的製剤が 75%で、生物学的製剤の使用数は平均1.9剤であった。 TCZ処方パターンは単独投与が229例 (39.7%) 、 併用投与が 348例(60.3%) を占めた。 図1 単変量解析では、TCZ単独投与の関連因子として、 過去の合併症既往(腎疾患、肝疾患、肺疾患、感染症)、 DAS28-ESR高値、 C反応性タンパク (CRP) 高値、 年齢65歳 以上、赤血球沈降速度(ESR)高値、脂質異常症、腫脹関 節数、MTX使用経験なし、肺疾患既往、 胃腸疾患既往、 感染症既往、圧痛関節数、血圧高値といった因子が同定 された。 さらに多変量解析では、 TCZ単独投与の関連因子として、 年齢65歳以上、感染症、DAS28-ESR高値、過去2年間に MTX使用経験なしが同定された (図2) 。 疾患活動性が高い 症例で、TCZ単独投与が選択される背景には何らかの 交絡因子が存在すると考えられた。 図2 TCZを単独投与する理由 (%) 80 TCZ単独投与を選択する理由として多かったのは、 DMARDs不耐性、DMARDs治療失敗などであり (図1) 、 一方でTCZ併用投与を選択する理由として多かったのは、 生物学的製剤は通常併用するものだから、 併用投与が優れ ているから、 ガイドラインで推奨されているからなどであった。 解析対象536例 76% n=229 70 年齢 (65歳以上 vs 65歳未満) 感染症 (あり vs なし) DAS28-ESR高値 (1単位毎) 過去2年間のMTX投与経験 (なし vs あり) 60 患者の割合 TCZ単独投与の関連因子(多変量解析) 50 1.65 1.92 1.17 40 31% 30 5.03 20 11% 10 0 5% DMARDs 不耐性 DMARDs 治療失敗 患者の 選択 4% 併用投与が優れ 安全性に ているわけでは 優れるという ないという確信 確信 4% その他 0 1 * オッズ比(95%CI) 10 *95%CI下限値>1の要因のみを記載 掲載薬剤のご使用にあたっては、各薬剤の添付文書をご参照いただきますようお願いいたします。
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