KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL Stabilization of iron regulatory protein 2, IRP2, by aluminum( Abstract_要旨 ) Yamanaka, Koji Kyoto University (京都大学) 2000-03-23 http://hdl.handle.net/2433/180826 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏 名 やま なか こう 山 中 宏 学位( 専攻分野) 博 士 ( 医 学) 学 位 記 番 号 医 博 学位授与の 日付 平 成 12年 3 月 23 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 医 学 研 究 科 脳 統 御 医 科 学 系 専 攻 学位論文題 目 St abi l i zat i onofi r onr egul at or ypr ot ei n2,I RP2,byal umi num 第 2192 号 (アル ミニ ウ ム は鉄 イオ ン制 御 蛋 白 I RP2の分 解 を抑 制 す る) ( 主 査) 論 文調 査委員 教 授 内 山 卓 論 教 授 成 宮 文 内 容 の 周 要 教 授 柴 崎 浩 旨 I RP( i r onr e gul at or ypr ot e i n)は トランスフェ リン受容体 ( Tf R)や フェ リチ ンの発現を RNA レベルで制御す る鉄 イオ ン代謝のマス ター制御蛋白である。相同性の高 い 2種の I RP, I RPlと I RP2が存在 し, いずれ も低鉄 イオ ン濃度下でのみ RNA結合活性を持っが,I RP2は鉄 イオ ンによる酸化修飾が シグナルとな り,ユ ビキチ ン-プロテアソーム経路で急速 に分 解 されることでその活性が制御 されている。 常 に RNA結合活性を持つ変異 I RPlを細胞株 に導入す ると細胞内鉄 イオ ン濃 度が高 くなり,細胞死が起 こることが報告 されている。 ほとんどの臓器,細胞株 に 2種の I RPが発現 しているが,I RP2の み しか発現 していないマウス pr oB細胞株 Ba/F3において も,Tf Rや フェ リチ ンの発現 は完全に制御 されていることか ら, 鉄 イオ ン濃度の制御には I RP2のみの発現で十分であると考え られる。 そこで鉄以外の全属 イオ ンが I RP2の酸化や分解 を 阻害 し,安定化 した I RP2により遊離鉄 イオ ン濃度が上昇 し細胞障害を来す可能性を検討 した0 Rf 'の RNA結合活性を まずマウス赤 白血病細胞株 MELをアル ミニウム, マ ンガ ン,鍋,亜鉛 イオ ン存在下で培養 し,I RNA ゲル シフ トアッセイで,蛋白量をウェスタンブロッ トで検討 したところ,アル ミニウム存在下でのみ I RP2の RNA結 合活性が選択的に増強 し,それは蛋白量の増加 によるものであった。次 に,様 々な濃度の鉄 とアル ミニウム共存下で同様の 実験を行 ったところ, アル ミニウムは鉄 イオ ンの効果 に括抗的に,かつ容量依存性 にI RP2の分解を阻害 した。 また精製蛋 RP2の酸化修飾を抑制 したO さらに MEL細胞 を用 い 白を用いたイ ンビ トロの実験では, アル ミニウムは鉄 イオ ンによる I たメタボ 7 )ックラベルの実験では,アル ミニウムにより Tf Rの増加, フェ リチ ンの減少がみ られ,I RP2の安定化を介 して ur o2A や Ba/F3細胞 にも共通 した 細胞内鉄 イオ ン代謝を障害す る可能性が示唆 されたO これはマウス神経芽細胞腫株 Ne 現象であった。 RP2の分解を桔抗的に抑制 し, またイ ンビ トロでアル ミニウムは鉄 イオ 今回,細胞内でアル ミニウムは鉄 イオ ンによる I ンによる I RP2の酸化修飾を抑制す ることか ら,I RP2に鉄結合部位が存在す ることが示唆 されたoI RP2の鉄結合部位 にそ れ自身酸化能 のないアル ミニウムが結合 して鉄 イオ ンによる I RP2の酸化修飾を抑制す ることが, アル ミニウムによる細胞 内の I RP2の分解を阻害す るメカニズムとして考え られる。 今後鉄結合部位の同定や鉄 イオ ンの結合様式の検索が, I RP2 の分解の機序 を明確 にするうえで重要である。 また鉄イオ ン非依存性の因子 による I RP2の安定化 は,細胞内遊離鉄 イオ ン濃度の上昇を もた らし,その結果 ラジカル産 生を増加 させて細胞障害を来す と考え られる。I RP2の発現 は脳 において高 く, また神経変性疾患では病巣 に鉄イオ ンの沈 RP2の安定化因子の探索 は神経細胞障害の機序を明 らかにす るうえで も重要である。今回,神経 着が認め られ ることか ら,I 細胞 において もアル ミニウムが I RP2の RNA結合活性増強因子であ り,I RP2の安定化を介 して細胞内の鉄 イオ ン代謝を 障害する可能性が示 された。神経疾患 との関係 については, アル ミニウムの透析痴呆への関与 は広 く認め られているが, そ の病巣に I RP2の蓄積が報告 されているアルツ-イマ一癖への関与 は結論が出ていないO 今後,I RP2の安定化因子のさら なる探索や,各種変性疾患での I RP2量 を検討することが,鉄 イオ ンと神経細胞障害 との関係を明 らかにするであろう。 -5 7 5- 翰 文 事 萱 の 結 果 の 要 旨 I RP( i r onr e gul at or ypr ot e i n)は トランスフェ リン受容休や フェ リチ ンの発現を RNA レベルで制御す る鉄 イオ ン代謝の RP,I RPlと I RP2が存在す る.I RP2は鉄 イオ ンによる酸化修飾が マス ター制御蛋白であ り,高 い相同性 を有 した 2種の I シグナルとな り, ユ ビキチ ンープ ロテアソ-ム経路で分解 され るが, I RP2の酸化や分解 に対す る鉄以外の金属イオ ンの影 響 は知 られて いない。さらに,I RPlの RAN結合活性増強因子 は鉄 イオ ン代謝を障害 しうることが報告 されているが,I RP 2の活性増強因子 は明 らかにされていなか った。 申請者 はまず,培養細胞 における Ⅰ RPの RNA結合活性 を検 出す る系を確立 し, アル ミニウムが I RP2の RNA結合活性 RP2の安定化の機序を解明す るため, イ ンビ トロで I RP2 を増強す る因子であることを明 らかに した。次 に,細胞内での I 蛋 白の酸化修飾 を検 出す る実験系 を確立 し, アル ミニウムは鉄 イオ ンによる I RP2の酸化修飾を抑制す ることを示 した。 さ らにアル ミニウムの鉄 イオ ン代謝への影響 を検討す るため,細胞内の トランスフェ リン受容体, フェ リチ ンの産生量を検討 RP2を安定化 させ ることにより細胞内鉄 イオ ン代謝を障害 しうることを示 した。 し, アル ミニウムは I 以上の研究 は鉄 イオ ン代謝の調節機構 と蛋 白の分解機構の解明 に貢献 し,細胞生物学の進展 に寄与す るところが多い。 したが って,本論文 は博士 ( 医学)の学位論文 として価値 ある もの と認 める。 なお,本学位授与 申請者 は,平成 1 2年 1月 1 4日実施の論文内容 とそれに関連 した試問を受 け,合格 と認め られた もので ある。 -5 7 6-
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