研究事例

特集
3次元プリンタによる金型づくりの実際
研究事例 3
大阪府立産業技術総合研究所における
金属粉末レーザー積層造形法を活用した
金型製作の取組み
(地独)
大阪府立産業技術総合研究所
中本
貴之*、白川
信彦**
ット径 0.
4 mm の炭酸ガスレーザーを搭載した金属
金属粉末レーザー積層造形法は、薄く敷き詰めた金
属粉末にレーザーを照射して溶融・焼結し、順次積層
粉末積層造形装置「EOSINT M250」を導入し、表 1
していくことで CAD モデルから複雑な 3 次元形状
に示すような炭素鋼粉末1)、2)、合金鋼粉末2)、3)などの鋼
を迅速に造形できるラピッドプロトタイピング法
系粉末やチタン系粉末4)など種々の粉末材料を用いた
(RP)の一種である。工業分野では金型や機械部品の
造形技術の開発、また金型や生体部品などへの応用に
試作・開発や小ロット部品の短納期の製造に活用され
ついて取り組んできている。
ている。医療分野においても本技術はオーダーメイド
本稿では、これらの取組みの中から、RP 造形金型
の各種インプラントを作製できる技術として注目され
に対する新しい表面加飾法(セラシボ加工)
、および
ている。当所では 1999 年に出力 200 W、ビームスポ
プレス試作型への応用について紹介する。
*
**
Takayuki Nakamoto、
Nobuhiko Shirakawa:加工成形科
〒594−1157 大阪府和泉市あゆみ野 2−7−1
TEL(0725)51−2525
表 1 当所における金属粉末レーザー積層造形に関する取組み
年
度
1999
炭酸ガスレーザー搭載の金属粉末 RP 装置(EOSINT M250)の導入
2001
アルミニウムダイカスト製品の試作金型
2003
装置のバージョンアップ(EOSINT M250 Xtended)
2005
炭素鋼粉末による高強度 RP 造形技術の開発
2006∼2007
合金鋼粉末への適用性の検討
2007
プレス金型への適用
2007
造形物の表面硬化処理
2008∼2009
2008
2009∼
2012
032
主な取組み内容
化学エッチング工法を使わない、成形金型シボ加工技術開発
チタン粉末の造形技術の開発
高品質人工骨のオーダーメイド造形技術の開発
ファイバレーザー搭載の金属粉末 RP 装置(EOSINT M280)の導入