ばいじん・一般粉じん 特論

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ばいじん・一般粉じん
特論
平成21年度
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Question
大
気
関
係
平
成
21
年
度
各種のフードの特徴に関する問題である。
(テキスト 4.1.7
(1)
∼
(4))
(1)囲い形フードは,ばい煙や粉じんの発生源を全面的に覆ったもので,発
生ガスの漏れ,外気の吸い込みが少なく,発生したダストなどを最も高濃
度の状態で集煙することができる。正しい。
(2)ブース形フードは,作業上必要な一面を開口しているので,この開口部
から逸出するダストは,開口部の吸い込み空気流によって抑制される。し
かし,処理ガス量は開口部における吸い込み空気量だけ,囲い形よりも多
くなる。開口面があるので,囲い形フードの一種ではない。誤り。
(3)外付け形フードでは,吸い込み空気を少なくする手段としてエアカーテ
ンを採用したものがある。この結果,吸い込み空気量を 30%前後低減する
ことができる。正しい。
(4)外付け形フードの中のプッシュプル式では,二つの開口部を向かい合う
ように設け,片側を吹き出し用
(プッシュプル)
,他方を吸い込み用
(プル
ほ そく
フード)
にしている。吹き出し空気量は多くなるが,汚染物質の捕捉はエ
アカーテン式よりも優れている。正しい。
(5)レシーバー形フードでは,金属溶解炉などの熱の上昇気流やグラインダ
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ーによるダストの慣性ベクトルを利用し,その流れの方向に沿って吸い込
む。正しい。
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
問 1:正解(2)
フードの形式と構造
(図)
の組合せ問題もあるので,それぞれの構造も覚えておく必要があ
ほ そく
る。石綿粉じんの捕捉の問題としてもフードはよく登場する。
ばいじん・粉じん特論:H19 問 2,H20 問 12,ばいじん・一般粉じん特論:H19 問 2
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Question
大
気
関
係
平
成
21
年
度
送風機の吸い込み状態のガス流量を求める計算問題である。
送風機のガス流量は一般に吸い込み状態で表されるので,処理すべきガス流
量 QN(m3N/min)
が標準状態
(0 ℃,101.3kPa)
で与えられた場合,次式により吸
3
い込み状態のガス流量 Q(m
/min)
に換算する。
s
Qs=QN×
273+ts
×
273
p0
p0+ps
ここに,ts :吸い込み状態におけるガス温度
(℃)
p0 :標準状態の圧力
(kPa)
ps :吸い込み状態におけるガスの静圧
(ゲージ圧)
(kPa)
したがって,与えられた条件を上式に代入すればよい。
Qs=550×
101.3
273+27
×
101.3−5
273
= 636 m3/min
(5)
が正しい。
(テキスト 4.1.8
(2)
①)
問 2:正解(5)
温度と圧力の補正を行えばよいわけだが,式はほとんど与えられない。ダスト測定の吸引
ガス量の計算にも関係するので,意味を理解し,覚えておく必要がある。しかし,過去 3
年間において,類似の出題はない。
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Question
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
(1)
,
(2) 拡散による捕集効果は,次式で定義される拡散パラメーター D
(−)
に支配される。
D=
DBM
dcv
DBM=
CmkT
3pmdp
ここに,DBM :拡散係数
(m2/s)
v:ガス速度
(m/s)
dc :捕集体寸法
(m)
Cm :カニンガスの補正係数
(−)
k:ボルツマン定数
(J/K)
T:ガスの絶対温度
(K)
m:ガス粘度
(Pa・s)
dp :粒子径
(m)
すなわち,拡散パラメーター D が大きいほど粒子の捕集に有効であり,
粒子径 dp とガス流速 v は小さいほどよい。いずれも正しい。
(テキスト 4.2.3
(2)
③)
(3)重力による分離の効果は,次式で定義される重力パラメーター G
(−)
の
大小により評価される。
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大
気
関
係
平
成
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年
度
G=
wg
v
(rp−rg)dp2
=
18 mv
ここに,wg :分離速度
(m/s)
v:ガスの速度
(m/s)
rp :粒子密度
(kg/m3)
rg :ガスの密度
(kg/m3)
:重力加速度
(m/s2)
dp :粒子径
(m)
m:ガスの粘度
(Pa・s)
すなわち,粒子径 dp と密度 rp が大きいほど,一方,ガスの密度 rg と粘
度 m 及び速度は小さいほど,重力パラメーター G は大きくなり,ダストは
捕集しやすくなる。正しい。
(テキスト 4.2.3
(2)
④)
(4)
,
(5) 捕集体に衝突する際の粒子軌跡は,捕集体の周りの流れとダスト
3
の粒子径 d(m)
,密度 r(kg/m
)
などの条件で決まるが,一般には,捕集
p
p
体形状と以下で定義される三つの無次元数,すなわちレイノルズ数 Re
(−)
,
ストークス数 Stk
(−)
,及び遮りパラメーター R
(−)
により,捕集効率 ht
は変化する。
Re=
dcvrrg
m
Stk=
Cmrpdp2vr
9 mdc
R=
dp
dc
(m)
ここに,dc :捕集体寸法
vr :ダストと捕集体の相対速度
(m/s)
rg :ガスの密度
(kg/m )
3
m:ガスの粘度
(Pa・s)
Cm :カニンガスの補正係数
(−)
dp :粒子径
(m)
一般に,Re,Stk,R が大きいほどダストの捕集効率 h(−)
は大きくな
t
る。したがって,ダストの粒子径 dp と粒子密度 rp,ダストと捕集体の相対
速度 vr は大きいほど,一方ガスの粘度 m と捕集体の寸法 dc は小さいほど,
捕集効率 ht は高くなる。
(5)
は正しいが,
(4)
の粒子密度が小さいほど,は
誤り。
(テキスト 4.2.3
(2)
①)
問 3:正解(4)
集じんの基本的原理に関する問題で,これらの式は極めて重要である。
ばいじん・粉じん特論:H18 問 3,H20 問 6,ばいじん・一般粉じん特論:H19 問 3
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Question
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
各種の洗浄集じん装置の特徴に関する問題である。
表に,主な洗浄集じん装置の特徴をまとめて示す。
m
サイクロンスクラバーでは,含じんガスを塔下部から接線状に流入させ,中
心に多数のスプレーノズルを持つ噴射管のある塔内を旋回させながら上昇させ
る。この間にスプレーノズルから噴射された液滴によって含じんガスは洗浄さ
れ,液滴に衝突・付着したダストやミストは遠心力によって塔壁に捕集・分離さ
れる。
表に示すように,基本流速は一般に 1 ∼ 2 m/s 程度,50%分離粒子径は 1
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気
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係
平
成
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年
度
mm 前後である。この形式は液滴又は水溶性ダストの捕集に有力なため,ベン
チュリスクラバーの気液分離器として広く採用されている。基本流速が 5 ∼ 10
m/s,50%分離粒子径 0.5 mm は,誤り。
(テキスト 4.2.3-3
(3))
問 4:正解(3)
この他の特徴を比較する同様な問題も多数出題されている。
ばいじん・粉じん特論:H18 問 1,H19 問 1・問 6,H20 問 7,ばいじん・一般粉じん特
論:H18 問 1,大気関係技術特論:H20 問 10
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Question
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
パルスジェット形払い落とし装置を有するバグフィルターの特徴に関する問
題である。
パルスジェット形払い落とし装置の概略図を示す。
図 パルスジェット形払い落とし装置の例
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大
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関
係
平
成
21
年
度
含じんガスは常にろ布の外側から流入し,払い落とし用の圧縮空気をろ布の
上部から瞬時に吹き込み
(3)
,捕集したダストを払い落とす方式である。集じん
室を多室に区切る必要がないので,ガス流量の変動は少ない
(4)
。また,ろ過速
度を大きくとる
(1)
ことが可能なのでコンパクトとなり,据え付けスペースが少
なくて済むため,最も普及している。従来は中小形装置として用いられてきた
が,ろ布の長尺化
(長さ 5 ∼ 7 m)
が図られ
(5)
,最近では大形の流動層石炭燃
焼ボイラーにも適用されている。
(2)含じんガスはろ布の内側から流入する,は誤り。
(テキスト 4.2.4
(3)
②)
問 5:正解(2)
バグフィルターの払い落とし方式に関する問題では,特にパルスジェット方式が多いの
で,要注意。
ばいじん・粉じん特論:H18 問 8,H20 問 9,ばいじん・一般粉じん特論:H18 問 5,H19
問 7,H20 問 5,大気関係技術特論:H19 問 12
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Question
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
バグフィルターの保守管理に関する問題である。
表には,保守管理のためのチェックリストを示す。
バグフィルターの圧力損失は通常 1.5 ± 0.3kPa で運転されるので,常にマノ
メーターなどの指示値を監視し,異常な圧力損失を早期に発見し,原因を究明
して対策を講ずる必要がある。このように,バグフィルターの機能を十分に発
揮させて運転管理するためには,日常のメンテナンス及び定期的な保守点検が
重要である。
表より毎日確認する必要があるものは,
(1)
のマノメーター指示値である。
(テキスト 4.3.3
(1))
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係
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年
度
問 6:正解(1)
本問のような運転要領と維持管理の他,故障と対策の留意点も重要である。また,サイク
ロン,スクラバー,電気集じん装置も,同様である。
ばいじん・粉じん特論:H18 問 9,H20 問 11,ばいじん・一般粉じん特論:H18 問 6,H19
問7
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Question
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ば
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じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
破砕機及び摩砕機がある施設での粉じん対策に関する問題である。
(テキスト 4.4.4)
(1)開放形施設で破砕機などを使う場合,散水,局所的な防じんカバー,囲
ほ そく
いフードにより発生粉じんを捕捉し,集じん処理することは有効な防じん
対策である。正しい。
(2)少量の水を効率よく破壊面に散布するために必要なものが高圧噴霧で,
散水・注水では水の量が多い割にはその抑制効果が期待できないばかりか,
岩石の表面がぬれ過ぎて破砕時に滑りを起こし,破砕効率を悪くする原因
になる。正しい。
(3)岩石の種類,破砕状況によっても異なるが,付着水分が通常約 7 ∼ 10%
程度であれば飛散しないと考えられ,それほど多くの付着水分がなくても
粉じんの飛散は防止できる。30%以上必要である,は誤り。
(4)
準密閉形施設の対策で破砕機などを使用する場合,関連施設との系は密
閉式となり,集じん処理後の排ガスは大気放出される。正しい。
(5)完全密封形施設の対策では,最も典型的なものが直接燃焼方式の微粉炭
燃焼ボイラーで,石炭はバンパーから計量機,給炭機を経てミルに送られ
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大
気
関
係
平
成
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年
度
る。その後,破砕された微粉炭は搬送用空気
(一次空気)
とともに,炉内に
吹き込まれ燃焼される。したがって,破砕物が大気中へ放出されることは
ない。正しい。
問 7:正解(3)
たいせき
コークス炉,堆積場,ベルトコンベヤー及びバケットコンベヤーなどの同様な問題もあ
る。出題は幅広いので要注意。
ばいじん・粉じん特論:H18 問 10,H19 問 2,H20 問 7,ばいじん・一般粉じん特論:H18
問 7,H19 問 2
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Question
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
JIS 規格に基づく排ガスの流速測定に関する計算問題である。
排ガスの流速を測定するため,規定された標準形ピトー管又はピトー管係数
のわかっている特殊ピトー管を用いた場合,以下の式を用いて流速を算出する。
v=C
2Pd
rg
P
rg=r0× 273 × 0+Ps
P0
273+qs
ここに,C :ピトー管係数
(−)
(Pa)
Pd :ピトー管による動圧測定値
rg :ガス密度
(kg/m3)
r0:標準状態
(0 ℃,101.3 kPa)
におけるガス密度
(kg/m3N)
qs :排ガスの温度
(℃)
P0 :標準状態の圧力
(=101.3)
(kPa)
Ps :排ガスの静圧
(ゲージ圧)
(kPa)
したがって,与えられた条件を上式に代入して,まず排ガスの密度を計算する。
rg=1.3× 273 × 101.3−6.3
273+50
101.3
=1.030 kg/m3
動圧 Pd は水柱 (
h mmH2O)
で与えられているので,SI 単位
(Pa)
に変換すると,
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Pd=3×9.8=29.4 Pa となる。
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年
度
∴
v=0.93×
2×29.4
1.030
=7.0 m/s
(4)
が正しい。
(テキスト 4.6.1
(7)
)
問 8:正解(4)
これまで,ダスト濃度測定に関する計算問題では,設問のような流速が多かったが,過去
3 年間において,類似の出題はない。
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Question
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ば
い
じ
ん
・
一
般
粉
じ
ん
特
論
排ガス中のダスト濃度測定において重要な等速吸引に関する問題である。
非等速吸引によるダスト濃度の誤差を推定するには,次のデービス
(Davies)
の式がある。
1
Cn v
= −
C vn
1+2Stk
v
−1
vn
( )
Stk=
dp2rpv
9 md
ここに,Cn:測定ダスト濃度
(kg/m3N)
v:排ガスの流速
(m/s)
Stk:ストークス数
(−)
C:真のダスト濃度
(kg/m3N)
vn:吸引速度
(m/s)
dp :ダストの直径
(m)
rp :ダストの密度
(kg/m )
3
m:ガスの粘度
(Pa・s− 1)
d:吸引ノズルの内径
(m)
濃度誤差は,ダストの慣性力が大きいほど,すなわちストークス数 Stk が大
きいほど大きくなるので,上式における Stk との関係を考えればよい。
(テキスト 4.6.1
(3))
(1)Stk∝ dp2,であるから,正しい。
(2)Stk∝ rp,であるから,正しい。
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気
関
係
平
成
21
年
度
(3)Stk∝ v,であるから,正しい。
(4)Stk∝
1
,であるから,m が大きくなると Stk は小さくなる。誤り。
m
(5)Stk∝
1
,であるから,正しい。
d
問 9:正解(4)
ストークス数は各種の集じん原理とも関係し,よく登場する重要な式である。
ばいじん・粉じん特論:H18 問 13,H19 問 14,H20 問 14,ばいじん・一般粉じん特論:
H19 問 8,大気関係技術特論: H18 問 14,H19 問 14
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Question
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一
般
粉
じ
ん
特
論
各種の粒径分布の測定方法の中で,測定範囲に関する比較問題である。
集じん装置で捕集されたダストや原料ヤードから採取された粉体の粒径分布
を求める場合,一般に 45 mm 以上の比較的粗い粒子はふるい分け法により分
級して測定し,また 0.3 ∼ 100 mm 程度のものでは光学顕微鏡
(1)
や液相沈降法
(4)
,
1 ∼ 50 mm では電気的検知帯法
(コールターカウンター)
(2)
などで測定する。
一方,ダクト内を流れている状態で 0.3 ∼ 20 mm 範囲の粒径分布を測定す
る方法としては,粒子の慣性力を利用する慣性衝突法
(5)
などが用いられる。
表に,これらの各種の測定方法の比較を示す。
ふるい分け法では,通常 45 mm 以上の比較的粗い粒子の測定を行う。
したがって,
(3)
が誤り。
(テキスト 4.6.3)
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21
年
度
m
m
m
m
m m m
m
問10:正解(3)
表中の他の特徴の比較問題もあるので,表の内容は重要である。
ばいじん・一般粉じん特論:H18 問 8,H20 問 10,大気関係技術特論:H19 問 16,H20
問 16
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