資 料 1-3 脳科学研究戦略推進プログラム 生命倫理課題の概要について プログラムディレクター 津本忠治 「脳科学研究戦略推進プログラム」 生命倫理課題の概要及び予算 概 要 生命倫理課題は、平成23年度から開始しており、「脳科学研究戦略推進プログラム」において精神・神経疾患の克服を目指す研 究等を推進するにあたり、倫理的・法的・社会的課題に対する注意深い検討が不可欠であることから、新たな問題への対応・対 処法を見出すことを目的とする体制を構築する。 ・精神・神経疾患の克服を目指す脳科学研究の実施にあたり、将来発生しうる倫理的問題等を想定し、あらかじめ対応及び解決法を提示する。 ・「脳科学研究戦略推進プログラム」の各課題において、ヒトを対象とした研究の増加に伴い発生しうる倫理的問題等に対する十分な検討を行 うとともに、解決法を提示する。 ・本事業のプログラムディレクター(PD)・プログラムオフィサー(PO)及び参画機関からの倫理的問題等の相談について、迅速かつ的確に問 題の解決法を助言・指導する。 予 算 (単位:億円) 平成23年度 平成24年度 平成25年度 合計 脳科学研究戦略推進プログラム (全体予算) 35.9 34.9 34.9 105.7 生命倫理課題 生命倫理等に関する課題の解 決に関する研究 0.6 0.6 0.6 1.8 ※ 生命倫理課題の予算は、「脳科学研究戦略推進プログラム」全体予算の内数 2 平成25年度「脳科学研究戦略推進プログラム」 中間評価対象(生命倫理課題) 2.事業全体に関する評価 1.PD・POに関する評価 代表研究者 PD・PO 理化学研究所 津本 忠治 (PD) 理化学研究所 加藤 忠史 (PO) 東京医科歯科大学 赤澤 智宏 (PO) 東京大学 赤林 朗(*1) 3.機関の研究内容に関する評価 実施機関名 研究者名 課題名 東京大学 赤林 朗(*1) 脳科学研究における倫理的問題の解決に関する研究 東京医科歯科大学 藍 真澄(*2) カウンセリング手法を用いた脳研究倫理課題の解決支援 (*1):平成25年度中間評価時。平成26年度は瀧本禎之 (*2):平成25年度中間評価時。平成26年度は東京大学へ業務移管 3 生命倫理課題 研究の目的 生命倫理課題概要 1. 脳プロに参画する研究者や研究機関、施設の倫理委員会等 に対して、具体的な倫理支援を提供 2. 調査研究・理論研究から成る学際的な研究グループが、精 神・神経疾患分野を含む脳科学研究の倫理的・法的・社会 的課題(ELSI)を包括的に検討 脳科学研究における被験者保護と倫理審査の体制を確立 脳科学研究にまつわるELSIへの対応 4 生命倫理課題 機関連携の取り組み 東京大学で実施 研究者支援 IC文書のひな型作成 生命倫理課題概要 共同で実施 東京医科歯科大学 で実施 脳プロ倫理相談窓口 課題Fサイトビジット 機関支援 倫理審査フローシート 教育プログラム 課題E・Fの分科会への 参加、課題Fプロト コールチェック 倫理研究 認知症研究における同 意能力判断 脳画像データ二次利用 偶発的所見統一的対処 新たなELSIの掘り起し 神経変性疾患の遺伝子 診断と結果開示 5 生命倫理課題 倫理支援・倫理教育の結果一覧 倫理支援 1 研究者・研究機関への倫理支援 脳プロ倫理相談窓口 ⇒ 倫理的課題の早期解決 倫理審査フローシート・IC文書のひな型 ⇒ 倫理審査の質の標準化へ向けて サイトビジット ⇒ 潜在的な倫理的問題の掘り起こし プロトコールチェック ⇒ 研究の倫理的質の向上のために 研究計画書の執筆から成果発表後の対応まで、脳科学研究のさまざまな段階で倫理的・社会的な課題や問題を早期解決で きるようサポート(通算25件)。 標準的な書式の整備、及び、漏れのない倫理審査を可能とするフローシートの開発。 平成24年4月~9月にPD・POのサイトビジットに同行。訪問先: 課題Fのサイトのべ12ヶ所+分科会4回。 新規課題の倫理審査申請書類を確認し、大きな問題は無いことを確認。軽微な事項については研究者にコメントを返却。 2 倫理教育 研究倫理集中コース ⇒ 研究倫理支援者養成 インターン実習 ⇒ より高度なスキルの習得 研究倫理ワークショップ ⇒ 研究者への倫理教育の場 講義・演習から構成される短期間集中コース。講義では、研究倫理の基本概念や国内外のガイドライン、研究倫理支援や 倫理審査における重要トピックを取り上げた。演習では説明同意文書の改訂や研究計画の評価を行った(年1回実施)。 東京大学医学部の研究倫理支援室で実際の支援業務に従事する2か月間の長期実習。各種倫理委員会への陪席、個別の相 談への対応などを通じて、倫理的問題を解決する実務対応能力を養成(年1~2名の受入)。 課題分科会に併せて開催。脳プロ参画研究者から倫理的問題を聴取。解決策の提示と問題共有を図った。 6 生命倫理課題 倫理研究の結果一覧 1 倫理研究 脳科学研究における偶発的所見統一的対処 【概要】脳科学研究における偶発的所見の問題を喚起し、理論・調査研究に基づいた解決のための提言を行った。提言に基づき、 平成24年度より脳プロ全体で偶発的所見統一的対処法が実施された。それを受けて、機関対象および研究参加者対象のフォロー アップ調査・研究を実施し、本対処法を評価した。偶発的所見の倫理問題は海外においても未だ必ずしも整理が十分とは言えない 状況にあるが、本対処法の実施は先駆的な取り組みとなった。研究参加者の福利の向上が図られ、社会と調和した脳科学研究の実 現に寄与できた。 理論・調査研究 ✖ (市民調査によると選択肢4以上 の対応が望まれる) ✖(偽陽性の低減も、偽陰性のリスク) ○(偽陽性、偽陰性ともに低減) 提言 脳プロの業務として実施される脳科学研 究の過程で撮像されたすべての脳画像に ついては、明白な異常があれば適切に検 出されるよう、医師が確認することが望 ましい。 実施 平成24年度~脳プロの業務として実施さ れる研究計画および当該研究計画におい て撮像される脳画像すべてに対して偶発 的所見統一対処を実施 ✖(研究の範囲を逸脱) フォローアップ調査 機関対象調査 + 研究参加者対象インタビューを実施し、脳プロの偶発的所見対処法を評価 【機関対象フォローアップ調査】第1~3回脳プロ全機関対象実施状況調査(平成24年10月より半年ごと)。すべての画像に ついて医師が確認し、緊急度に応じて研究参加者に通知したことを確認した。また、比較的緊急度の高い4例の偶発的所見 が発見されたことを確認した。 【参加者対象インタビュー調査】偶発的所見が発見された16名の研究参加者にインタビュー調査を実施した。結果の返却方 法について、医師から口頭(面接など)で説明を受けることで研究参加者の不安が取り除かれることが示唆された。 7 生命倫理課題 倫理研究の結果一覧 2 脳画像を含むバイオバンクの倫理 3 精神・神経疾患研究の倫理 倫理研究 現時点で特定されない将来の研究利用におけるICについて一般市民を対象とした意識調査を実施した(国勢調査の人口動 態比率に合わせ全国から無作為抽出 n=3367)。現時点で特定されない将来の研究利用への試料の提供に肯定的な層と、 あくまでも個別の同意を求める層が分化して存在することが明らかとなった。 神経変性疾患の遺伝子診断と結果開示 神経変性疾患の遺伝子診断に際し、被験者への結果開示の適否、開示する場合の条件、成果の公表における配慮方法や条 件等について神経内科医師を対象とした調査研究を実施した。知る権利と知りたくない権利の葛藤を抽出した。 認知症研究における同意能力判断 同意能力判断に際しての第三者の介入など、現在の日本の状況では必ずしも整備されていない領域である。認知症に関す る研究を行ったことのある医師へのアンケート調査を実施し、103名から回答を得た。第三者アセスメントや評価尺度の 導入に対して前向きな回答が寄せられ、同意能力判断に際しての第三者の介入には研究者側からも一定の需要があるとい うことが分かった。 8 生命倫理課題 中間評価を受けた取り組みの改革 1 実施体制の根本的な改革 代表機関としての東京大学の体制を再構築し、東京医科歯科大学の業務を引き継ぐ。 平成26年度 代表機関 2 体制の改革 東京大学 平成25年度 代表機関 東京大学(代表: 赤林朗、実施担当: 中澤栄輔) (代表: 瀧本禎之) 分担機関 東京医科歯科大学(代表: 吉田雅幸・藍真澄) (実施担当: 中澤栄輔) 東京医科歯科大学より東京大学へ業務の引き継ぎ サイトビジット 倫理支援 さらに支援を拡充して、倫理問題の掘り起こしや個別のニーズに応じた積極的倫理支援に結実させる 分科会に参加し倫理的観点からコメント 倫理支援 さらに支援を拡充して、研究の進捗に即した臨機応変の倫理支援を提供する 個別結果の返却に関する倫理 倫理研究 精神疾患の遺伝子診断に関する倫理的問題についての調査研究を実施する 3 倫理支援と倫理研究を充実させる新たな取り組み 生命倫理ワーキンググループの改革 倫理支援 脳プロ参画機関への倫理支援を円滑かつ効果的に行うため、生命倫理ワーキンググループを再構築する。慎重な見極めを要 する複雑な倫理的問題に対処する機能、倫理的調整を行い多機関共同研究を促進する機能等を有するWGへと改革する 倫理担当者会議の設置 倫理支援 倫理的問題に日頃から直面している現場の若手の研究者と倫理的問題を共有し、同時に若手研究者の倫理的問題への関心を 養う場を設置する。倫理的問題を早期から草の根的に探索することで、問題を迅速に解決しうると期待される BMIの倫理 倫理研究 脳プロ新規課題・BMI技術に関するELSI研究を行い、新しい技術に倫理的に対応し、課題実施者に適切に倫理的フィード バックを行う 9
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