"sGra sbyor bam 原 I 序 北 京 版No. 酒 井 真 典 氏1)に 5833 po gnis 田 (Vol. pa"考 畳 144)"sGra sbyor bam よ り そ の 内 容 が 紹 介 さ れ る と 共 に, po gnis pa"は, 既 に G. Tucci・ 山 口 瑞 鳳 氏2)等 に よ つ て も論 及 さ れ る て い る。 こ こ で は 従 来 の 諸 研 究 を 再 検 討 す る と 共 に, 幾 つ か の 問 題 点 の 整 理 を 行 な う。 II 敦燈資料 同 資 料 は 全 体 が 前 序(T1-1-1∼T3-5-1)・ 2-8)・ 奥 書(8T-2-8∼3-3)の 本(Pelliot tibetain No. 三 部 分 か ら 成 る が, 845)に 本 文(T3-5-1∼8T- 蔵 経 本 の 約1/3を 保 存 す る 敦 煙 よ つ て, 前 序 ・本 文 の 資 料 性 が 保 証 さ れ る。 敦 燵 本 と 北 京 版 の 対 照 は 以 下 の 如 く で あ る。kha=T3-4-3-T4-1-T, 4, ha=∼T5-1-I, -1-T, III ca=∼T5-4-3, ta=∼TT-4-5, 前 序 と奥 書 (I) rta (AD. cha=∼T6-1-T, ha=84-3-5∼5-8 814)年, btsan po Khri 項 の 列 挙(T3-2-6∼4-3)。(3)訳 0 lde sron btsanの もとで梵語仏典 の 翻訳 翻 訳 の 経 移 と そ の 禁 止(T3-4-3∼8)。 (2)前 即 ち"Panji ka さ ら に そ の 後 に, "skad Madhya 序(1)の 要 略(8T-3-1∼3)。 kyi mih...dah 資 料 は, 大 ・中 ・小 三 種 類 の 翻 訳 名 義 byutpa そ の 後 に, "bkas 一 文 と, 尾 題 が 示 さ れ て い る。 山 口瑞 鳳 氏4)は, す る 如 く, 前 序(1)のrta年 及 び, 従 来 のTantra の 敦 燈 本 に 欠 け る 一 文 を, 蔵 経 本 は 記 載 し て い る3)。 奥 書 は 二 分 し て 理 解 出 来 る。(I)同 三 種 類 の 翻 訳 名 義 集 が814年 語翻 訳 上 の 決定事 語 を 追 加 す る 場 合 の 規 定, poboHll"(73-4-8∼5-1)と 集 の 内 の 中 集, na=∼TT 前 序 の 記 述 は 内 容 的 に 次 の 三 部 分 に 分 け る こ と が 出 来 る。 法 と 訳 語 が 決 定 さ れ た 経 移 の 解 説(71-1-1∼73-2-6)。(2)梵 一 方, ga=∼T4-4- ja=∼T6-4-3, ta"で あ る こ と(87-2-8∼3-1)。 bcadpa......ma bcossoli"の 前 序(1)と 奥 書(1)の 記 述 に 従 つ て, に 殆 ど 同 時 に 成 立 し た と考 え て い る。 山 口 氏 の 論 証 が814年 で あ る事 は 動 か し 難 い が, 前 序(1)・(3)に 従 う 限 り これ は 中 集 の 編 纂 年 次 で あ り, 他 の 二 集, る に は, 問 題 点 を 残 す。 即 ち, ど に は, 大 集 と 相 違 が 見 られ6), (1)中 (2)奥 書 が 前 序 ・本 文 と 同 時 に 成 立 し た と す る 根 拠 は 何 も な く, ま た 後 に 見 る 如 く, 用 語(cf. 後 代 の 付 加 の 可 能 性 が 見 ら れ, (3)以 特 に 大 集5)が 同 時 に 成 立 し た と す 集 の 本 文 の 章 立 て の し 方, 語 句 の 配 列 順 な skadgsar, sgrahi gshuh)等 下 に 関 説 す る 如 く, 引 用 経 典(cf. -912- に dnos (51) "sGra sbyor bam po)な po gnis pa"考(原 田) ど に, 大 集 成 立 以 前 に 中 集 の 成 立 し た 可 能 性 が 見 出 さ れ る。 即 ち 以 上 の 点 か ら, 前 序 に 従 う限 り, 814年 か ら見 て, 伝 承 の 如 くKhri の 中 集 編 纂 が 大 集 編 纂 の 開 始 で あ り4)大 集 の 仕 事 量 gtsug lde brtsanの 登 位 し た815年 以降 に 大 集 が 成 立 し た 可 能 性 が 生 ず る。 IV 引用経論 中 集 に は 幾 つ か の 経 論 を 関 説 ・引 用 す る 所 が あ る が, 如 くで あ る。(1)dKon No.89, mchog 北 京 版No.897。(2) Cf. MV. No.1413, sprin(T3-3-2): Chos DKNo. mnon Cf.MV.5)No.1337, pa No. 1426, DK483 630∼1・686∼694, 北京版 No. (6) Bya mi khya yukti(7g-4-1): zad pas 842。(8) 版No. 北 京 版No. Lan kar gsegs 775。 上 述 の 内, pa bSad 1030(5615)。(5) Cf.DK. bstan pa(82-5-4): (73-3-2∼3): No. No. Cf.MV. Bibhasa8)(80-2-4・T)。 5562。(7)Blo 1344, DK(No.93, cf.MV.No.1338, (1)と(7)9)はDharmatasila, DK. pa)(74-3-7): No. 649, 北 京 版No. Cf. MV. 5550・5554∼5・ No.1417, bahid dsos po(dan (494), DKT) (T8-5-1・83-4-T・5-2・86-1-7): 5590∼9・58T5。(3)Dharmmaskandha(74-2-2・4):Cf.MV. 194, 北 京 版No.910。(4)hDul 以下 の DK (2)10)と(3)はYe gros 北 京 版No. No. 84, 北 京 ses sdeが 訳者 と な つ て お り, 前 序(1)に 従 え ば, 両 者 は 中 集 作 成 に 関 与 し て い る。(4)は"dhos po"の 訳 語 を 残 し, Stein蔵 文 資 料No.1∼2に で は"gshi"と 表 記 さ れ, 前 者 はdPal も こ の 用 例 が 残 り, 一 方MV.DK gyis lhun po等 の 訳 語, 後 者 はdPal brtsegs 等 の 改 訂 以 後 の 訳 語 か と 考 え ら れ る。(5)は 梵 語 の 引 用 文 を 示 す が,『 婆 沙 論 』 か も 知 れ な い。(6)の 訳 者Visuddhasimlha等 る10)。(8)をsDe と さ れ, dge版 は, dPal brtsegs等 は 法 成 訳 と す る が, 前 序 に よ れ ば, と殆 ど 同 時 代 で あ (1)と(8)は 中 集 作 成 の 範 梵 文 か ら の 訳 で あ り, 明 ら か に 誤 ま りで あ る。 そ の 他 注 意 す べ き 用 例 や, 多 数 の 典 拠 を 示 さ ぬ 梵 ・蔵 語 に よ る 引 証 が あ る が, 詳 細 は 別 に 譲 る。 V skad gsar bcad (ksc.)一 般 に 大 集 編 纂 を 以 てksc.の そ の 経 移 を 著 す 同 時 代 資 料 は, kSC.の 用 例 は な い が, い て, 山 口 瑞 鳳 氏4)は"gsar"を 複 す る と 共 に, 前 序(1)に は"mih pa shig yod na 「決 定 」の 意 味 に 理 解 す る が, "bcad"と gsar du bdogs...skad yahl"(73-4-3∼4)11)の 「訳 語 」,"tshig"は"don"に て い る12)。従 つ て, 前 序 の"skad 出 来 る が。 奥 書 の"skad gsar du mih つ 意味 が 重 gdags dgos 用 例 が あ り, 従 来 通 りの 「新 」 の 意 味 で 十 分 通 じ る。 ま た 前 序 の 用 例 に 従 う な ら ば,"skad"は 語 」, "mih"は 制 定 と す る が, 現 在 中集 以 外 に な い。kSC.に 「訳 語 」 で は な く 「(言) 対 す る 「言 葉 」 の 意 味 に 用 い ら れ kyi mih"(T3-2-2・4-8)の gsar gyi mih"(87-3-2)の"gsar"は"skad"を -911- 用 例 は意味 的 に了 解 修 飾 して sGra sbyor bam po gnis pa"考(原 田) (52) 意 味 を 成 さ な くな る。 敦 煙 資 料 に 於 け るksc.(/chad/cad)の の 報 告 す るStein蔵 も あ る が, "skad gsar" gsar 新(決 定)訳 他, 語 と し て ……」の 意 味 と な り, ksc.は"skad gsar(du 同390に 山 口 氏4) の 用 例 の 報 告 は な く, 後 代 の 省 略 型 の 可 能 性 が あ る。 そ こ で, 前 掲 の"skad du..."も,「 文 資 料No.150・184の 用 例 は, 意 味 で は な く,「 新 た に ……語 」 の bkas)13)bcad(pa),"「 新(欽)定 語 」の意 味 と な る。 VI bya ka ra m(bk.)一 般 にksc.の 示 す 内 容 と し て, 訳 語 の 決 定 と 正 書 法 の 規 定 が 考 え られ て い る。 し か し 中 集 の 記 述 に 従 う 限 り, "dharmma gyur babi rnams thabs gtan dah rGya la phab ste gar bkas gyi bcad skad la Bod kyi skad pa/"(73-2-5∼6)と du mih 明 記 さ れ, bs- btags pa 梵語仏典 に 於 け る 翻 訳 法 と 訳 語 の 決 定 が な さ れ て い る に 過 ぎ な い。 中 集 の 全 体 を 概 観 す る 限 り で は, こ の 範 囲 を 越 え て い る 部 分 は な い。 上 山 大 峻 氏14)はksc. 題 と し て 示 し, ま し てksc.以 前 の 綴 字 法 を"brda rnin"15)と 根 拠 が な い。 ま た 大 集 の 示 す 訳 語 を 当 然ksc.と を綴字法 の 問 称 す る が, 全 く は 区 別 し て 考 え, 大 集 に 関 説 し て 翻 訳 法 ・訳 語 を 問 題 と す る 場 合 も, 大 集 の 訳 語 に 対 し て 漢 語 か ら の 蔵 訳 典 籍 を 対 置 し, 全 体 の 論 旨 が 矛 盾 し て い る。 こ の 場 合, 訳 仏 典 の 異 同 と, ksc.の し た 上 で な け れ ば, dag par gsegs po"の 来)の 訳 語 は, Ye 1)・"bya 山 口 瑞 鳳 氏2)は ka ra mbi (73-5-1・8T-3-I)はbk.を 前 序 に 見 え るbk.(T3- ksc. は 正 書 法 を も規 定 し た と 考 え る。 用 法 を 説 く も の(79-5-3)で 梵 語 文 法 書 の 類 を 指 す と 考 え られ, 「(梵語)文 dan 用 例 は, 梵 語 の 引 用 文 を 示 す も の(T9-3- 梵 語 の 接 尾 辞"ka"の に 内 容 的 相 違 も 生 じ な い。 ま た, 4-4)は rim も使 用 さ れ て お り, こ の 訳 語 がksc. 指 す と 考 え, し か し本 文 中 に 用 い ら れ るbk.の のbk.も と さ れ る"bsGom 影 響 を 受 け な い 漢語 蔵 訳 典 籍 に 共 通 し て 用 い ら れ て い た 事 が 分 か る。 こ れ と は 別 に, 8・85-1-6)と, ses sde訳 文 資 料No.648)に 以 前 の 梵 語 蔵 訳 仏 典 とksc.の 2-1・3)が"Sumrtags"を 前 ・以 後 の 梵 語 蔵 両 者 の 関 係 は 明 ら か に し 得 な い。 因 み に 氏 の 示 す"yah pa"(如 敦 煙 本(Stein蔵 kSC.以 影 響 を 受 け た ・受 け な い 漢 語 蔵 訳 典 籍 の 異 同 を 明 確 に "byakah(=ka gshuh"(79-5-3)の そ う理 解 す れ ば, ra) pabi あ り, 前 序 前 序(1)と(2)の 間 sgrabi 用 例 か ら, "sgrahi lugs"(73-2- lugs"(73-3-2・ 法 」 を, 奥 書 と 敦 煙 本 に 欠 け る 前 序 末 尾 の"sgrahi 指 し, 本 文 中 の"yige"(T4-4-2)も を 示 し, "yi ge gshuh"(86-2-3)と 共 にbk. gshuh" 梵語 の 引用 文 と 同 系 の 典 籍 を 指 す と 考 え られ る。 以 上 の 如 く 中 集 の 記 述 に 拠 る 限 りで は, ksc.は 正 書 法 を 直 接 規 定 し て い な い こ -910- (53) "sGra sbyor と と な る。 ま た 敦 煙 資 料 に 於 て, bnn po gnis pa"考 (原 田) 特 に 梵 語 の 転 写 に 誤 ま り が 多 い 事 は, 明 ら か で あ り, 蔵 文 部 分 に つ い て も 筆 写 生 の 教 養 が 問 題 と な る が, 研 究 に よ つ て, ksc. と"Sum rtags"の 一 目 し て 同本 の 網 羅 的 影 響 関 係 を 一 層 明 確 に し 得 る で あ ろ う。 し か し 仮 に 影 響 関 係 が あ つ た と し て も, ksc.の 規 定 に正 書 法 が 含 まれ る事 を立 証 し た 事 と は な ら な い。 VII 結 語 以 上, 中 集 に 関 す る 問 題 点 の 幾 つ か を 整 理 し た が, に 於 て 触 れ た 敦 煙 本 に 於 け る 梵 語 の 転 写 規 則 の 他, す る 基 礎 資 料 で あ り, 1) 酒 井 紫 朗(真 特 に訳 経 史 に関 典)「 翻 訳 名 義 大 集 の 難 語 釈Panjikd-madhynyutpattiに 高 野 山, SOR.1, 1950。 Roma, 発 表 今 後 解 明 さ る べ き 多 く の 課 題 を 含 ん で い る。 教 文 化 』29・30, 川孝雄 吐 蕃 仏 教 史, 中 集 は, 昭 和29・2) G.Tucci"The 同"Minor 「Mahavyutpatyiの Budhist Tombs Texts, つ い て」, 『密 of the Tibetan II", SOR.9-2, 編 纂 年 代 考 」,『 印 仏 研 』7-1, 東 京, Kings", Roma, 1958。 1958。 香 山 口 瑞 鳳(a) 「敦 煙 チ ベ ッ ト文 語 の 解 釈 に つ い て 」,『 東 京 大 学 文 学 部 文 化 交 流 研 究 施 設 研 究 紀 要 』 1, 東 京, 1975。 57-1・2, 東 京, 同(b)「 『三 十 頭 』 『性 入 法 』 の 成 立 時 期 を め ぐ つ て 」,『 東 洋 学 報 』 昭 和51。 同(c)「 吐 蕃 王 国 仏 教 史 年 代 考 」,『 成 田 山 仏 教 研 究 所 紀 要 』 (未 刊)。3) 蔵 経 本 と 敦 煙 本 の 間 に は, と す る。4) 注2)山 口(c)参 こ の 外 に も語 句 の 異 同 が あ り, 校 訂 を 必 要 照。5) 榊亮三郎 小 集 の 存 在 は 現 在 確 認 さ れ て い な い。6) sDe 榊 本 の 大 集 と対 照 し た 詳 細 な 一 覧 表 は, 参 照)に du よ つ て 発 表 さ れ て い る。7) sessde等 Paris. は, segs等 彼 等 以 前 の 訳 か, と共 に, 未 訳(?)の の 論 書 は 多 数 あ る が, Ye 訳 者 名 を 欠 く も の を 除 い て, 後 の 活 躍 で あ る(注2)山 『史 学 雑 誌 』87-5, 東 京, 1978参 照)。 skad du cihn du btags pa rnams (2) chag gar gyi du bris 前 出 の"dkarchag"(T3-1-4・ 4-5) つ い て は, (c)参 照)の 示 す 如 く, "skad が あ り, "bkasbcadpa"(cf. い。14) 京 都, 上山大峻 19T6。15)東 kyi lugs hdi ltar bkas -909- 口 用 例 省 略 型 の可能性 が 強 悟 真 宗 要 決 」 の研 究 」 洋 文 庫 蔵 外No.456-2807・ las 山 口 氏(注2)山 bcadpa"(T3-4-3)の T3-2-6・4-5?・87-3-2?・3)の 「チ ベ ッ ト訳r頓 skad tel"(73 -1-4)・"dohdahtsigdubbrelshih"(T3-2-T)等。 は 中 集 本 文 を 指 す と 考 え る。13)"bcad"に は(6) 或 は(5)・(6) 訳 語 を 新 た に付 け る "rGya dkar 拙稿 も し今 後dPalbrt・ 前 序 に 彼 等 の 名 前 が な い 所 か ら, 梵 本 を依 用 し た 可 能 性 が 出 て 来 る。11)「 bsgyur 他 の諸 論 の 口(c)・ 彼 等 が 未 だ 指 導 的 位 置 に 居 な か つ た 時 の 訳, た に 訳 語 を 付 け る 必 要 の あ る 語 が あ つ て も」。12) kyi Temps を 指 す と考 え ら れ る。 中 集 の 引 Yesessde以 の 訳 に 対 応 文 が 見 出 さ れ れ ば, と 共 に, Bouddhiures 線 は 逆 字 を 示 す。9)北 Abhidharma系 舎 論 』 中 に 見 出 し 得 な い と 共 に, 「回 顧 と 展 望 ・チ ベ ッ ト」 Bod Textes 1953。8)下 奥 書 に 従 う。10) 訳 者 で あ るbPalbrtsegs等 ……新 幾 つ か の 誤 植 ・欠 落 を 含 む が, 酒 井 氏(注1) が 訳 者 で あ る北 京 版No.5550・5554∼5等 用 文 をr倶 大 正5。 の 中 集 本 文 の 章 立 て ・語 順 を M.Lalou 'Le Poi Khri-sranl-de-bcan',JA.241, 京 版 は 訳 者 欠。sDedge版 『翻 訳 名 義 大 集 』, 東 京, dge版 東 大 蔵 外No. 『禅 文 化 研 究 所 紀 要 』8, 320・229等 参 照。
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