ヘルシンキ 公営バス企業が燃料消費量を減らし、輸送効率をアップ フィンランドのヘルシンキ市では、居住者と観光客の移動において、高度な公共輸送システム が活躍しています。市が所有するバス システム Helsingin Bussiliikenne Oy (HelB) は民間のバ ス事業者とバス路線を巡って競合しているため、競争力を維持する方法を見つけることは必須 です。Microsoft および Microsoft パートナーの CGI と連携することにより、HelB は自社の データ ウェアハウス ソリューションを拡張し、バスに取り付けたセンサーからデータを収集 および分析できるようにしました。その結果、燃料消費量の削減、運転手の技能の向上、バス の乗り降りの円滑化と安全の確保を実現できました。 概要 他の主要都市と異なり、ヘルシンキには複数のベンダーが運営する輸送システムがあり、民間会 社 1 社あるいは自治体の 1 部署が単独で運営する形態にはなっていません。したがって、バス 企業 Helsingin Bussiliikenne Oy (HelB) は市が完全に所有しているものの、市のバス路線を運行 するには入札システムで民間バス事業者と競合する必要があります。HelB がビジネスを勝ち取 るためには、コストを下げて、運営を効率化する方法を見つける必要があります。HelB は 2011 年に Microsoft およびテクノロジ パートナーの CGI と協力して、既存のデータ ウェアハウス システムを拡張しました。これにより、HelB が保有するすべてのバスに取り付けられたセンサ ーから生成されるデータを収集し、分析できるようになりました。これらのセンサーでは毎日 400 万行を超えるデータが生成されるため、極めて拡張性の高いソリューションを実現すること が重要でした。 ソリューションの導入後、バス センサーのデータを慎重に分析した結果、HelB には多くのメリ ットがもたらされました。 すべてのバスの総燃料消費量が 5 % 削減され、市の二酸化炭素排出量の削減に寄与し た。 市が行う隔年の調査によると、HelB 利用者の顧客満足度は 7 % 上昇した。 速度や非常ブレーキを含むバス運転手の技能を監視し、この情報を運転手と共有するこ とで、運転の効率化と安全性の強化を図ることができた。 燃料消費量やエンジン温度に関するセンサー データは、HelB が機械的に問題のある車 両を特定し、事前に問題を解決する上で役立っている。 Microsoft CityNext 自治体名: ヘルシンキ市 Web サイト: www.hel.fi, www.helb.fi 人口: 603,000 人 国: フィンランド 業種: 官公庁 — 地方 パートナー: CGI パートナー Web サイト: www.cgi.fi プロフィール: ヘルシンキはフィンランドの 首都であり、居住者数が 600,000 人を超える フィンランド最大の都市です。『エコノミス ト』誌と『モノクル』誌はヘルシンキを世界 で最も住みやすい都市の 1 つに選びました。 ソリューション: 拡張されたデータ ウェアハウス ソリ ューションに、バスに関するロジスティ ック データを取り込みます。 バス センサーのデータを分析して、車 両のパフォーマンスを高め、メンテナン スを効率化します。 非常ブレーキに関するデータをビジュ アル化して運転手の技能を高め、お客様 の乗り降りを円滑化します。 ソフトウェアとサービス: Bing Maps Microsoft Excel 2010 Microsoft Power Map for Excel Microsoft SharePoint Server 2010 Microsoft SQL Server 2008 HelB は業績を上げるために試験的なプロジェクトを開始しました。非常ブレーキの使用頻度が 最も高い市内エリアで収集したセンサーのデータを、Power Map for Excel を使って分析し、ビ ジュアル化します。これにより、HelB は問題が起こる地点を物理的に調べて、これらのエリア 内の走行をスムーズにするためのソリューションを特定できるようになりました。HelB はこの 情報を市の道路整備グループとも共有しています。 Microsoft CityNext www.microsoft.com/citynext 「Microsoft のテクノロジを使った結果、燃料消費量 が 5 % 低下し、運転手の技能が向上し、さらに乗客の 満足度が 7 % 高まりました」 Helsingin Bussiliikenne Oy、テクニカル ディレクター、Michael Andersson このケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft はこの要約で明示または黙示を問わず、いかなる保証も行いません。発行日:2014 年 6 月 Microsoft 導入事例サイト www.microsoft.com/casestudies 詳細 住みやすい都市を実現する高度な輸送システム 南フィンランドにあるヘルシンキ市は同国の首都であると同時に、 最も人口の多い都市でもあります。ヘルシンキには 603,000 人が 居住していて、140 万人が生活する大都市圏を形成しています。 多くの大都市と同様に、ヘルシンキでは居住者と観光客の移動に おいて、高度な公共輸送システムが活躍しています。市の通勤者 の 72 % が公共の交通機関を毎日利用しています。ヘルシンキは 公共輸送に関する居住者の支持率に関して、ヨーロッパで最高の 評価を獲得しています。 ヘルシンキの公共輸送の要となるのは、複数の会社が管理する市 のバス路線です。これらのバス会社は、入札で契約を勝ち取るた めにコストと品質の両面で競い合っています。路線の 3 分の 1 は Helsingin Bussiliikenne Oy (HelB) が運営していて、毎年 6,000 万人の乗客を運んでいます。HelB のテクニカル ディレクターで ある Michael Andersson は「HelB は市が所有していますが、契 約を巡って民間企業と競合しています。」と述べ、さらに、「競 争力を維持するために、コスト削減とサービス品質の向上を実現 できる方法を常に探しています。」と続けています。 2008 年に、HelB は Microsoft CityNext テクノロジ パートナー として長期間の実績を誇る CGI と協力し、財政計画や資源計画 に定評のあるデータ ウェアハウス システムを導入しました。こ のシステムは Microsoft SQL Server 2008 データベース ソフト ウェア上に構築されていて、レポート作成には Microsoft SharePoint Server 2010 を利用しています。 HelB は企業運営に関するロジスティック計画を追加できるよう、 データ ウェアハウスの機能を拡張する必要がありました。2010 年に、HelB は試験的プロジェクトに着手し、CGI および Microsoft と再び協業することを選択しました。拡張されたデー タウェアハウスでは、それぞれのバスに取り付けられたセンサー を使います。このセンサーは運転手、路線、車両ごとに燃料使用 量などのデータを監視して、分析します。既存の車両管理製品に も車両単位でデータを管理できるものがありましたが、HelB は 400 台のすべてのバスのデータを統合できる包括的なシステム を求めていました。 運転技能の向上とコスト ダウン 2011 年後半に運用が開始された HelB の車両および運転手監視 システムは、バスに取り付けられたセンサーからタイムスタンプ 付きのデータを収集します。これらのデータはすべての運転手お よびバスに対して、加速度、速度、エンジン温度、燃料消費量、 ブレーキ性能、GPS 位置情報を測定したものです。毎日 400 万 行の情報が収集されて、 分析のためにデータ ウェアハウスに送ら れています。 このシステムは燃料使用量に関する詳細な統計データを提供する 以外にも、多くのメリットをもたらします。それぞれのバスのエ ンジン状態や燃料使用量を監視することによって、バスに機械的 な問題が発生する時期を通知したり、必要な予知保全を行ったり できます。また、新しい車両の購入について評価する場合も、こ のシステムを使うことで、最も燃料効率の高いバスのみを購入で きるようになります。このシステムにはコスト削減効果だけでな く、市の二酸化炭素排出量を押し下げる効果もあり、ヘルシンキ が環境配慮型の都市になるための取り組みにおいて重要な役割を 果たしています。 センサーのデータは、バス運転手のパフォーマンスを個別に分析 する際にも役立ちます。分析できるのは、運転速度、アイドリン グ時間、および運転手がバスを急停止させることを意味する「赤 いブレーキ」が点灯したインシデントの回数などです。この情報 は運転手と共有されるため、運転手は運転技能を向上させ、安全 かつ快適な移動を乗客に提供できるようになります。HelB バス が事故に巻き込まれた場合、 センサー データは企業が事故の内容 を正確に把握して、同じような問題が今後発生しないようにする のに役立ちます。 ビッグ データ テクノロジによる今後の計画の 促進 新しいロジスティック コンポーネントをデータ ウェアハウスに 追加することに成功した事例を基に、HelB はシステムに備わっ ているその他の分析機能も利用することにしました。HelB は Microsof と連携して、Power Map for Excel を使う新しいソリュ ーションを試験的に導入しています。このソリューションでは、 非常ブレーキの使用頻度が最も高いバス路線内の区画をビジュア ルに識別できます。Power Map for Excel は Microsoft Excel のビ ジネス インテリジェンス機能と Bing Maps を組み合わせるこ とで、3 次元形式の地理空間でデータを対話的に調べる機能を提 供します。 Helsingin Bussiliikenne Oy は Power Map for Excel を使っ て非常ブレーキ多発地点をビジュアル化 HelB は Power Map for Excel パイロットから収集されたデータ を使って問題のあるエリアを調査する作業に着手しました。これ により、このようなエリア内の走行を円滑化するために運転手が 実行できる手順が明らかになるだけでなく、問題のある道路や交 差点を改善するために市の道路整備グループに提供できる情報を 見つけることもできます。風雪の強い朝は、バスが路面を最初に 走行する車両になります。HelB は危険な状態に関するバス セン サー情報を、交通警報の発令部門と共有する仕組みを模索してい ます。 HelB はデータ ウェアハウスの拡張と Power Map for Excel パイ ロットの成果に全体的に非常に満足しています。Andersson は、 次のように述べています。「HelB は特定のデータの測定から着 手し、成果を上げました。」そして、「市が行った調査によると、 Microsoft のテクノロジを使った結果、燃料消費量が 5 % 低下し、 運転手の技能が向上し、さらに乗客の満足度が 7 % 高まりまし た。Microsoft はこのプロジェクトに最適なテクノロジ パートナ ーでした。世界的なソフトウェア企業であり、我々の成功に深く 関与しています。同様の成果を上げることに関心のある他の都市 から、既に問合わせを受けています。これらの都市でも同じよう な成果が得られることは間違いありません。」と結んでいます。 Microsoft CityNext
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