Muroran-IT Academic Resources Archive Title Author(s) Citation Issue Date URL 放射熱伝達の解析(第2報) : 低温および低温度差における 放射・対流共存熱伝達の解析 媚山, 政良 室蘭工業大学研究報告.理工編 Vol.10 No.1, pp.111-119, 1980 1980-01-31 http://hdl.handle.net/10258/3704 Rights Type Journal Article See also Muroran-IT Academic Resources Archive Copyright Policy Muroran Institute of Technology 放射熱伝達の解析 ( 第 2報,低温および低温度差における放射・対流共存熱伝達の解析) 婿 山 政 良 AnalysisofRadiativeHeatTransfer (2ndReport,Combinedheattransferwithradiation andconvectioninthevicinityofatmospherictemperature) MasayoshiKobiyama A b s t r a c t c h a n g e r so p e r a t i n gi nt h ev i c i n i t yo fa t m o s p h e r i ct e m p e r a t u r e . I ng e n e r a l,t h e Therea r emanyh e a t巴x h e a tt r a n s f e rc h a r a c t e r i s t i c so ft h e s 巴 巴q u i p m e n ta r ea n a l y z e dw i t h o u tt h巴 c o n s i d e r a t i o no fr a d i a t i v eh e a t nt h i sr e p o r t,t h ea u t h o ri n v e s t i g a t e dt h ec h a r a c e r i s t i c s t r a n s f e re v e ni ft h ef l o w i n gmediumsa r er a d i a t i v巴 I o fcombinedh e a tt r a n s f e rw i t hs i m u l t a n e o u sr a d i a t i o nandc o n v e c t i o ni nt h ev i c i n i t yo fa t m o s p h e r i ctem p e r a a t u r ea n dc l e a r e dt h ec o n d i t i o nt h a tc a n n o tb u tb ea n a l y z e da sacombinedh e a tt r a n s f e r 1.緒 常温近傍を作動温度範囲とする熱交換器ないしは, それとみなしうる熱伝達系は多くある。 放射熱伝達の特性から,この温度範囲では,一般に,全体の熱伝達に対する放射熱伝達の寄与 は少ないものとされ,熱伝達の解析において作動流体が放射性を帯びている場合にもその考慮、 を払われることは少ない。したがって,本報において,常温近傍での放射熱伝達に関し低温な いしは低温度差とみなされる温度領域における放射と対流の共存熱伝達を解析し,定量する。 記 号 Cp:定圧比熱 qx:壁面熱流束 E:放 射 能 F ! .. ゲ スの吸収を考慮し Re:レイノルズ数 た一次元形態係数 Nux :局所ヌセルト数 Pr:プラントル数 qr:放射熱流束 λ:熱 伝 導 率 ro=κyo:二平面聞の光厚距離 T, t :温度 u :速 度 X: グレーツ数 y o:二平面聞の距離 κ :放射吸収係数 ( l l l ) 添字 m:平均値 R:放 射 g :流体 w 壁面 gg:流体から流体へ 1 1 2 制 肩 山 政 良 2 . 座標系および基礎方程式 半無限長平行二平面間流 丁 目 路を灰色放射性流体が定常 日 → 同 一 流動する場合の熱伝達 1)を TW2 u 取扱い,座標系を図 lのよ うにとる。壁面1, 2はー 丁 目= c o n s t . ¥ I IoH 2 ¥ l T aPT 1 n d 2 。 定温度の黒体壁とし, 流れ T o は十分発達した層流であ T l A 1i れ ソ 図 1 座標系 物性値は一定とする。 速度分布は次式で表わされる。 ド 川 ( 去 ) ( 三} r (1) 流体および壁面のエネルギ一式は次式で表わきれる。 aT . (o2T¥ . (2) yucp 一一一一 =/¥1一一万一 j-QlV OX y" / ¥o 二 A ( 笠 ) ay d i vqRg, ここで〉 (3) jy~O-qR 叩 1 QRwlはおのおの流体の放射熱流束の発散および、壁面 lの放射熱流束であ り,式 (4)に示す放射熱伝達の一次元伝播の近似(前報2 1式 ( 3 2 ) 参照)および前報式 ( 7 ) で定義した「力、スの吸収を考慮、した一次元形態係数 Fつを用いると,式 ( 5 ), ( 6 ) をもって表 わされる。 OqRY" aqRx 一 oy一 . . 一 OX (4) -divqRg=-4KEg 十 214κEg(j)Flg(j) 十 ~EU;( i ) F年( i ) (5) -q 加1 二 (6) EW1+~4κ Eg(j)Fゐ (j)+E叩 2F~日 なお,数値解析では,微小要素の寸法,形状を一様とし, o n t eC a r l o法により求め ちM F1の値は共存熱伝達の解析に先立 ( E F D法 2))また,対流項の計算は差分法によった。 なお,計算 結果の整理にはつぎの無次元数を用いた。 x=(山 ) / ( RePr),Nux士 山/ { A (Tω ( 1 1 2 ) T m ) },Tm lYOTUdy/1YO附 二 (7) 1 1 3 放射熱伝達の解析 3 . 解析結果と検討 C )にある作動流体が,冷凍機等により冷却されるような場合 解析モデルは,室温状態(15O O O Cにある壁面が,それよりも高温の作動流 (冷却系と略称する),および氷の融解時のような 体および対向面により加熱される場合(加熱系と略称する)である。そのおのおのに対し,二 平面聞の光学距離 τ 。および入口作動流体温度 To ,対向面の壁面 T却2 を変数とし解析を行なっ 0 0 0,λ/ y o二 0 . 0 5Kcal/mhoC/mとした。また,全放射束数 た。なお,モデルによらず RePrニ 2 05,Y方向の要素数 n=20とし F [を求めた。なお ,Ffの値は前報図 9に示しである。 を1 3 . 1 冷却系 ( 1 5Cの作動流体が冷却される場合) 0 壁温を t 山 1ニ t 叫 = t ω とし ,t o > t却の条件下で解析を行なう。 3 .1 .1 Toによる変化:図 2, 3, 4にそれぞれ流体の温度分布 T,混合平均温度 Tm,局 所ヌセルト数 Nuxを示す。なお,上記条件下では τ 。=0は対流のみによる熱伝達を示している。 a)温度分布一一流路中心部付近の流体温度は,二平面聞の光学距離 τ 。が大きくなるにつれ 低くなる。また,グレーツ数 X ニ 0 . 0 0 0 5において,壁面近傍の流体温度は,流路中心部におけ 0.005においても一部表われている。これは, るらによる変化とは逆であり,この傾向は X= 流路中心部の高温流体からの放射受熱による現象である。 o 0 . 2 5で,非放射性流体 ( τ。=0) として解析を行ない,無 なお,作動流体の光学距離が τ 二 次元混合平均温度の差が 10%以下の領域(この領域を対流近似の温度に関する許容範囲とよ 1 . 0 ( 。 o 1 . 0 ト ト ヨ 三 ト ト く ミ 0.8 〆 町 、 く ミ 0.8 〆 戸 、 ト 片 ョ ヨ ト ト 、~ ) 0.6 0.6 0 . 4 0 . 4 0 . 2 X : : . O0 0 5 X=O.0005 1 50C t w =ペ50C 七0= 0 . 2 t o= 1 50C t 1 50C 凶=ー 。0.1 0.2 0.30.405 。 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 町 日 / 目 。 日 / 目 。 図 2 温度分布(冷却系, τ 。変化) (1 1 3 ) 1 1 4 煽山政良 │ ‘ 日 < : > トー ト ヨ " . 8 〆 ‘ 、 0 片 z ト ヨ 0.6 t o =1 5C 0 ・ c t凶 = ー I S 2d v a コ r ハ V 4 3 2 n v 。 0.4 図 3 混合平均温度(冷却系, To変化) 1 0 H ヨ z 5 3 2 10 2 t o =1 50C t ",=司 1 50[ 3 5 ワ . 1 0 同 2 3 X 3 5 " / 0 図 4 局所ヌセルト数(冷却系, τ。変化) ふ、)は X今 2.2X1 0 -3以下である。 b)熱伝達一ーらによる局所ヌセルト数 Nuxの変化は温度分布におけるより大きく表われ, 対流近似の局所ヌセルト数に関する許容範囲は, X今 O .25X1 0 -3 以下であり非常に小さな領域 に限られ,放射熱伝達を考慮して解析を行なう必要がある。 3,1,2 t wによる変化:結果を図 5, 6, 7に示す。 a)温度分布一一全般的に壁温 t却の変化による無次元温度分布の差異は少ない。なお,図 5 に示す無次元温度は t却が高いほど低い値を示すが,実際の温度は高い。 3,1 .1の結果と対比 して考えると,このような伝熱系では,無次元温度の変化に及ぼす影響は,壁温よりもむしろ 光学距離,すなわち流体の放射吸収係数 κの方が大きし熱伝達の解析では, κの見積りに注 意を払う必要がある。 b) 熱伝達 t 却の変化による Nuxの全般的な傾向の変化は本計算範囲では現われず, ま ( 1 1 4 ) 1 1 5 放射熱伝達の解析 。 町 │ !日 ← o ( ( Cコ ← ト ヨ ト ヨ く ミ 0.8 ' : : ' 0.8 ¥ 〆 ト ヘ 、 片 、 r ト ヨ ト ヨ o6 0.6r 0.4 X=0 0005 ‘ to=150C τ0=0 5 1 0.2 1 o2 0.1 0 . 2 0.3 0.4 0 . 5 百/jo 0 ~ 1 5 。 g I 1 0.4 o 1// ¥.ー I X::0.005 to=150C [0=0 . 5 0.1 0.2 0.3 0.4 0 . 5 ~/jo 図 5 温度分布(冷却系 t w変化) 1 . 0 ( ' " ト ョ ー ト ご と .8 r 、 、 0 E ト ヨ ト , _ . 0.6 to= 15.c て0 = 05 , w FhJ HコZ じ戸 O . C to= I SoC T o = 05 町 I 2 3 5 10 2 3 5 什O 10 ワ . 4 司 X 図 7 局所ヌセルト数(冷却系 ,t w変化) ( 1 1 5 ) ミd 1 0 X t w変化) nHU 図 6 混合平均温度(冷却系 RJ 2 3 4 0 VA ‘ 。4 1 1 6 煽山政良 I. 0 1.0 ー ヤ T 白 ト e 喝 向 さ 。 ← き0.8 、 、 、 ¥ ← 8 刷 ~o 6 ~ Q.6 0.4 0.4 x=o 0 0 0 5 c t o= 3 0・ t " ', = t o t " ' 2= O . C 。 2 、 口4 日1 o8 o6 ) ( = 0 . 0 0 5 t o = 3 0・ c iJ'= t o t t " ' 2 = 0 . C Q.2 o2 I. 0 ゴ / 目 。 0 . 4 0 . 6 0.8 1 . 0 ~/目。 図 8 温度分布(加熱系 ,r o変化) ( ロ トs l 、O . 508 ¥ 、 〆、 容 ト 1 . 0 t o,,30・ c t u 1. = t O . 、 F 己0.6 、~ t " ' 2 =O OC 0.4 2 0 3 4 x . ち , ,1 0 -3 図 9 混合平均温度(加熱系, τ。変化) た,差異も少ない。しかし , Xが大きくなるにつれて, t 却による差異は広がる傾向を示してい る 。 3.2 加 熱 系 (O O Cの壁面が加熱される場合) w1=t。とし, t >t 壁温を t 叫 O O Cの条件下で解析を行なう。 叫 = 3 .2 .1 τ oによる変化:結果を図 8, 9, 1 0に示す。なお,上記条件下では, τ。=0の場 ん , = 1 となる。 合, F a)温度分布一一 Y/ YO >0.5の領域での温度分布は 3.1. 1での結果と類似しているが,加 w a l l l)の存在により温度の低下割合は少なしまた,対流近似の混合平均温度に関す 熱壁面 ( る許容範囲は X キ 4.5XlQ-3 以下であり,冷却系に比較し広い。 b)熱伝達一- r o =0の場合には,加熱壁から低温壁へ伝達される放射による熱量は,流体 による吸収がないため,作動流体が放射性 7ゲスである場合と Nuxの絶対量に大きな差異を示し ている。 ( 1 1 6 ) 放射熱伝達の解析 1 1 7 4 2 4 1 0 w . oP J 、 、1 『ーー・ w a O i2 ・ c 何言。註 凶 tω2:0 宇窓口冨 H32 ワ 1 01 0 一 - t o :30・ c t I= t o 。 -eu問 LQ干 U よ之司 U的 L 2 ︽H U "︽ ! "' υ H ワ 5 3 2 .7 -一 一 ー 一 一 τ 0=0 8 1 0 1 0 ワ J 1 . 0 d n 図1 0 局所ヌセルト数(加熱系, 2J HHu 2 -内 1 0 -4 、 v 5 ワ ) X化 変 o r 3 3 5 2 I0 。 円 0 ト ト N N E 、 、 08 ~ 08 ¥、 、 〆 ハ ← さo6 ト 内 戸o6 0.4 0.4 x=0.005 x=0.0005 ' τ 1 . 1 1 1=to tωI=to 0.2 ・ c 0.2 tW2=O'C tω2<0 τ, =0.5 。 0 . 2 0.4 0.6 τ 宮 。 0.5 o8 1 . 0 ~I 目。 o2 。変化) 関1 1 温度分布(加熱系, t ( 1 1 7 ) 0 . 4 0 . 6 0 . 8 1 . 0 : 1 / 目 。 1 1 8 煽山政良 1 . 0 〆 ' 、 ト o e l 三 i0.8 t o =1 0・ [2O ~ 3 050 1 0 0 ← V ) 【 3 ¥ S06l 目 目 目 t " ' l= t o t 凶 2 =0・ c で . =0.5 。 0.4 4 3 2 5.10・3 X 図1 2 混合平均温度(加熱系, t 。変化) 4 10 ーーーー- III09P 1 ーーー- I I I I lH 2 H コ z t . . 1 ' I= ! o t 凶2 =O O C て 。 =0.5 2I 3 10 ワ 5 3 2 10 ワ 2 3 57104 2 3 -3 X 5 " 1 0 図1 3 局所ヌセルト数(加熱系, t 。変化) 3. 2. 2 t 。による変化:結果を図 1 1, 1 2, 1 3に示す。 a) 温度分布 b)熱伝達 3 .1 .2における結果と同様,無次元温度分布に及ぼす t oの影響は少な 温度分布に比較し, t oによる Nuxの変化は大きい。これは加熱壁と冷却壁と の直接の放射による熱交換量が大きいこと (Fん=0.44400), および t oが高くなるにつれ,流 体温度が高くなり,流体からの放射熱伝達量が増加するためである。 ( 1 1 8 ) 1 1 9 放射熱伝達の解析 4 .結 言 常温近傍の放射熱伝達に関し低温ないしは低温度差とみなせる温度領域に対し,放射と対流 の共存熱伝達の解析を行ない,モデルを冷却系と加熱系に分割し,検討を行ない,本計算範囲 内でっき、の結果を得た。 1)両壁面が入口流体温度よりも低い冷却系 ( 1 5Cの作動流体が冷却される)では, 0 τ。 =0. 2 5と し た 場 合 と の 無 次 元 温 度 の 差 が 10%以 下 と な る 領 域 は X主 2.2X10-3以下であり, Nuxに関しては o .25X1 0 -以下である。 3 2)向上のモデルで,壁温の変化が熱伝達特'性に及ぽす影響は光学距離によるよりも本計算 範囲内では少ない。 3) 片 面 が 入 口 空 気 温 度 と 等 し し 他 面 が そ れ よ り も 温 度 の 低 い 加 熱 系 (OOCの壁面カミ力日熱 される)では,冷却系よりも対流近似が広い範囲で成り立つ。 (昭和 5 4年 5月 4日受理) 参考文献 1)たとえば, P a i,S .I . :R a d i a t i o nGasDynamics,1 9 6 6,S p r i n g 巴r V e r l a g,4 5 . 2)煽山:室蘭工業大学研究報告(理工編入 9 3( 昭5 3 -1 1 , ) 7 3 5 . 3)たとえば, S i e g e l,R .a ndHowe , ! l] .R .:T hermalR a d i a t i o nH e a tT r a n s f e r,1 9 7 2, McG r a w H i l l . 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