10. 学習 3AM-088 日心第77回大会(2013) ! "# $ Individual difference in contingency judgment Takatoshi NAGAISHI (Graduate School of Humanities, Kwansei Gakuin University) Key Words: contingency judgment, individual difference, personality traits 目的 Table 1 本研究のデザイン 随伴性判断とは、「環境内の複数の事象間(手がかり刺激 Condition と結果事象)の関係性」を判断するものである。随伴性判断 は、動物を対象とした連合学習事態と実験の枠組みや確認さ Control れる現象が共通しており、多くの学習理論の試金石になるこ LI となどから、今なお多くの研究がなされている。しかし、随 伴性判断と性格特性に関する研究は数少ない(e.g., Msetfi et Phase 1 Phase 2 Test A-(6) A+(6) OV EF+(6) al., 2005)。 LIOV B-(6) BG+(6) そこで、本研究では随伴性判断と性格特性との関連性につ Fillers C+(6) HI-(6), J-(6) いて検討することを目的とした。具体的には、随伴性判断研 究において頑健に確認されている潜在制止および隠蔽が、性 格特性の違いによって確認されるか否かを検討した。潜在制 止とは、あらかじめ条件刺激(CS)だけを単独提示しておく と、その後にCSと無条件刺激(US)を対提示しても、CSに 対する条件反応(CR)が小さくなるという現象である。ま A B C D E F G H I J D+(6) 結果および考察 各質問紙の尺度得点の中央値を基準に、高群・中群・低群 の3群に分け、分析対象を高群と低群のみとした。 Figure 1の左図は、認知的熟慮性-衝動性尺度における高群 および低群に対する各食物の平均評定値を表している。両群 た、隠蔽とは条件づけ時に、標的となるCSと別の手がかり刺 とも各刺激に対する評定の傾向は概ね類似している。群(2) 激を複合してUSと対提示すると、標的CSが単独でUSと対提 ×Phase 1(2)×Phase 2(2)の分散分析を行ったところ、Phase 1お 示される場合と比べて、標的CSに対するCRが小さくなると よびPhase 2の主効果、群とPhase 2の交互作用がみとめられた いう現象である。 (ps < .05)。次に単純主効果の結果、刺激複合提示なし条件 方法 (Contorol条件およびLI条件)において、群の効果が有意で 実験参加者:大学生および専門学生77名であった。 あった。 実験課題:実験参加者が医者という設定上、架空の患者が示 Figure 1の右図は、批判的思考態度尺度における高群およ すアレルギー症状の診断において、患者が摂取した食物がど び低群に対する各食物の平均評定値を表している。両群とも の程度アレルギーの原因になっているかを判断させるもので 各刺激に対する評定の傾向は概ね類似している。群(2)×Phase あった。本課題は、教室のスライドを用いて集団実施した。 1(2)×Phase 2(2)の分散分析を行ったところ、 群(2)×Phase 1(2) 質問紙:認知的熟慮性-衝動性尺度(滝聞・坂元, 1991; 10項 ×Phase 2(2)の分散分析を行ったところ、Phase 1およびPhase 2 目, 4件法)、批判的思考態度尺度(平山・楠見, 2004; 33項目, の主効果、群とPhase 2の交互作用がみとめられた(ps < .05)。 5件法)を用いた。質問紙は、実験課題後に回答させた。 次に単純主効果の結果、刺激複合提示あり条件(LIOV条件 手続き:Table 1に本研究のデザインを示す。各アルファベッ およびOV条件)において、群の効果が有意傾向であった。 トは食べ物の種類を表している。当該食物を食べた後にアレ 以上の結果から、性格特性の違いによって随伴性判断の傾 ルギー反応が起きる場合は「+」、アレルギー反応が起きな 向が異なることが示唆される。 スライドで教示を提示してから練習試行を行い、その後、 Phase 1を開始した。Phase 1では、A-試行、B-試行、C+試行 を行った。Phase 2では、A+試行、D+試行、EF+試行、BG+ 10 High 9 Low 8 7 7 6 5 4 3 6 5 4 3 2 2 1 0 High 9 Low 8 Mean rating 数を表している。Phase 1終了後、すぐにPhase 2を開始した。 10 Mean rating い場合は「-」で示されている。また、カッコ内の数字は試行 1 Control LI OV LIOV 0 Cue Control LI OV LIOV Cue 試行、HI-試行、J-試行を行った。Phase 2終了後、Visual Figure 1. 認知的熟慮性-衝動性尺度における高群低群の各刺激に対す analog scaleを用いて、各食物がアレルギーを引き起こす程度 る平均評定値(左図)および批判的思考態度尺度における高群低群 を「0から10」の尺度で評定を行った。 の各刺激に対する平均評定値(右図). ― 716 ―
© Copyright 2024 ExpyDoc