ODA大綱改定プロセスの公開・参加・透明性を求める

2014年4月16日 外務大臣 岸田文雄 殿 ODA大綱改定プロセスの公開・参加・透明性を求める意見書 特定非営利活動法人 関西NGO協議会 私たち、関西地域の国際協力NGOのネットワーク組織である関西NGO協議会は、こ
れまでも日本の政府開発援助(ODA)に関する政策提言をたびたび行ない、相互の信頼
と協力のもとに「NGO・外務省定期協議会」等を通じて政策対話を重ね、政府・外務省
に対し、NGOの考える日本のODAの望ましい姿を伝え、実現を求めてきました。この
度、政府がODA大綱改定に取り組まれ、外務大臣のもとに有識者懇談会を設けて議論さ
れることについては、私たちも深い関心と協力の意志を持つものです。 一方で、有識者懇談会の設置・運用等のあり方が、過去の同様の会議に比べ、参加度や
公開性において限定的であったことから、私たちは、今回の大綱改定プロセスが前回改定
(2003年)に比べ、公開性・透明性ともに後退したものになるのではないかと懸念し
ています。今回の改定が、国際平和と国際貢献を希求する日本に相応しいODAの質を担
保し、多くの人々の関心と参加、有益な知見を基に行なわれるものとなるように、関西N
GO協議会は、ODA大綱改定プロセスにおける「公開・参加・透明性」の実現に向けて、
以下の意見を申し上げ、提案いたします。 1.有識者懇談会の公開性・透明性を確保する。 有識者懇談会は公開とし、一般市民の傍聴、資料配布、議事録の公開を行なってくださ
い。懇談会委員の求めに応じ、オブザーバーの出席・発言を認めてください。議題につい
ても公募提案を受け付け、必要に応じて懇談会と一般市民との意見交換会を行なうなどし
て、幅広い人々の意見がODA大綱改定に反映されるよう努めてください。 2.参加型の「ODA大綱改定プラットフォーム」を設置する。 有識者懇談会の終了後は、前回改定(2003年)時にODA総合戦略会議(当時)に
設けられたタスクフォースの役割に準じて、関係する各セクターの識見ある方から公募・
構成された「ODA大綱改定プラットフォーム」を設置してください。同プラットフォー
ムは、外務省事務方等とともに改定作業の実務に携わり、案文の作成や検討、関係する各
セクターや一般市民との意見交換、改定プロセスの公開などをコーディネートする役割を
担うものです。 - 1 - 3.改定プロセス各段階での骨子・案文の公開、意見交換を行なう。 ODA大綱改定に際しては、政府部内・外務省内等で作成される骨子の段階から、改定
の各プロセスで作成される案文等を一般に公開してください。また、骨子・案文を基に、
改定プロセス各段階で、関係する各セクターや地域ごとに意見交換会を実施し、
「2.
」で
提案した「ODA大綱改定プラットフォーム」の担当構成員、外務省担当者、各セクター
や各地域の市民などで対話を行ないながら、幅広い知見や提案が改定に反映されるプロセ
スを整えてください。 4.対話型の公聴会・パブリックコメントを実施する。 改定案が最終段階になった時点で、公聴会の開催が想定されますが、公聴会については
分科会形式を採り入れたシンポジウムやワークショップなど、多様な人々が疑問や意見を
表明し、改定作業の担当者と対話することのできる形式を採り入れて行なうことが望まし
いです。また、幅広い人々の参加を得るため、全国各地域でも実施するよう求めます。関
西NGO協議会は、前回改定時も公聴会の実施・コーディネートに協力した経験があり、
今回も関西地域などでの開催に協力することが可能です。 また、同様に実施されるパブリックコメントでも、意見を募集するに留まらず、寄せら
れた意見の改定案への反映の可否、その理由についても公表する(後日、外務省ホームペ
ージに公開)など、対話型の形式で実施するよう求めます。 5.案文の翻訳、裨益する人々へのヒアリングを実施する。 ODA大綱改定は、日本のODAが裨益する国や地域の人々にとっても大きな意味を持
ちます。そのため、改定案文はしかるべき段階で複数の外国語に翻訳して公開し、意見を
募集できるよう努めてください。また、日本のODAが裨益する地域の人々に対して、し
かるべき方法でのヒアリングなどを行ない、意見が反映されるよう努めてください。 以上、提案いたします。なお、関西NGO協議会は、こうした公開性と透明性をもった
プロセスの実施に一定の知見・経験をもっていますので、政府・外務省がこれらの提案を
実現される際には、志を同じくする他の国際協力NGOのみなさんとともに助言・協力を
惜しまない所存です。 以 上 本件に関する問い合わせ先 特定非営利活動法人 関西NGO協議会 (担当:加藤・榛木) 〒530−0013 大阪府大阪市北区茶屋町2−30 4F TEL:06−6377−5144 FAX:06−6377−5148 E-mail:[email protected] URL:http://www.kansaingo.net - 2 -