2013年度 慶應義塾大学 看護医療学部(化学) 解答解説 [1] 解答 設問1-1 A Ba D Cu E Zn 設問1-2 a 43 b 7 c 15 d 22 e 2 f 20 g 5 h 14 i 28 j 13 k 1 l 12 m 29 n o 38 p 6 q 25 r 4 s 27 t 42 u 44 v 39 語句2 合金 語句3 数字3 11 設問1-3 語句1 炎色反応 数字1 12 あ 設問2 黄 い 数字2 青 14 う G 赤 え Sn 白 ① Zn + H2O → ZnO + H2 ② ZnO + 2 HCl → ZnCl2 + H2O ③ Ag2O + 4 NH3 + H2O → 2 [Ag(NH3)2]OH ④ FeCl3 + 3 H2O → Fe(OH)3 + 3 HCl 設問3-1 設問3-2 J お Q Pb 41 R Hg Fe T Ag 同素体 黒 , ZnO + 2 NaOH + H2O → Na2[Zn(OH)4] 27,43 x AgCl y CuS z Zn(OH)2 設問4-1 T+,J 2+ 設問4-2 溶液c 設問4-3 溶液cには疎水コロイドの水酸化鉄(Ⅲ)が単独で存在し、溶液eでは親水コロイドのゼラチンが 保護コロイドとしてはたらくから。 解説 記述2 合金に関する記述。 「楽器の材料」「硬貨の素材」は黄銅(銅と亜鉛),「金属の接合」はハンダ(スズ と鉛),「台所用品」「調理器具」はステンレス鋼(主成分は鉄),「硬貨」「美術品の素材」は青銅(銅とス ズ)。 → D:銅,E:亜鉛,G:スズ,J:鉛,R:鉄,あ:黄,い:青 記述1 炎色反応に関する記述。 記述3 同素体に関する記述。 黄緑色 → A:バリウム 黄色 → a:ナトリウムを含む 硫黄の同素体のうち結晶構造をつくるのは斜方硫黄と単斜硫黄であるが、斜 方硫黄は選択肢にない。なお、単斜硫黄は針状結晶であり、二硫化炭素に可溶。 記述5 沈殿生成に関する記述。 銅(Ⅱ)と鉛(Ⅱ)から同色の沈殿が生成するのは黒色の硫化物。また、バリ ウムと鉛(Ⅱ)から黄色沈殿が生成するのはクロム酸塩。 記述7 Qの単体と化合物に関する記述。 液体の金属は水銀。赤色硫化物の「辰砂」として産出する。 記述9 Tの単体と化合物に関する記述。 酸化力の強い酸にしか溶けないのは、銅(D)と水銀(Q)と銀。 設問3 Tとbを硝酸に溶かした水溶液中に存在するイオンは、Ag+,Cu2+,Zn2+。この溶液に塩酸を加える と「x:塩化銀」が沈殿し、このろ液に硫化水素を通じると「y:硫化銅(Ⅱ)」が沈殿する。 試薬Xと沈殿zは「解答なし」である。このろ液には Zn2+が含まれているので、硫化水素が存在し なければ、アンモニア水または水酸化ナトリウム水溶液を加えると Zn(OH)2 が沈殿し、過剰に加える と[Zn(NH3)4]2+または[Zn(OH)4]2-を形成して溶解する。しかし、この問題の条件では硫化水素が存在す るため、塩基を加えると硫化亜鉛が沈殿し、これは塩基を過剰に加えても溶解しない。やむを得ず、上 記「解答」では、硫化水素が存在しないと仮定した場合のXとzを示した。 設問4 透析操作により、溶液cには水酸化鉄(Ⅲ)コロイドが、溶液dには塩化水素が含まれている。 [2] 解答 設問1 ア 脂質(油脂) イ タンパク質 ウ 炭水化物(糖類) エ 酵素 オ 加水分解 カ 高級脂肪酸 キ a -アミノ酸 ク カルボキシル基 ケ アミノ基 コ 水素イオン指数(pH) サ 等電点 シ 酢酸 ス 1.0×10-2 セ 水酸化物イオン ソ 遊離 設問2 A 双性 設問3 ① ② - + CH3COOH → ← CH3COO + H - CH3COO- + H2O → ← CH3COOH + OH ③ CH3COONa + HCl → CH3COOH + NaCl a H3N+CH2COO- 設問4 B 陽 C b 陰 Ka = ca 2 1-a c K a = ca 2 解説 空欄アイウ 炭水化物(糖類)とタンパク質と脂質を総称して三大栄養素という。なお、脂質は、化学Ⅱ「生命 と物質」分野で学習する化合物群であり、化学Ⅰで学習する油脂は、脂質の一部である。 それぞれを加水分解すると、炭水化物からは単糖類が、タンパク質からはアミノ酸が、脂質からは 脂肪酸などが得られる。これらのうち、アミノ酸と脂肪酸には酸性官能基が存在するが、単糖類には 存在しないから、空欄ウは炭水化物に決定。また、アミノ酸には塩基性官能基も存在するから、空欄 イはタンパク質に決定。したがって、空欄アが脂質となる。 空欄aABC 分子式 C2H5NO2 で表される a -アミノ酸はグリシンであり、これは通常 H2NCH2COOH と表記 されるが、実際には、中性付近ではカルボキシル基とアミノ基の中和で生じる「双性イオン」④,酸 性ではカルボキシル基が遊離した「陽イオン」⑤,アルカリ性ではアミノ基が遊離した「陰イオン」 ⑥ となる。 H3N+CH2COO- ④ 空欄コサ ⑤ H3N+CH2COOH ⑥ H2NCH2COO- アミノ酸の各イオンは電離平衡を形成するため、陽イオンと陰イオンの濃度比は pH によって変化 する。したがって、ある特定の pH では陽イオンと陰イオンの濃度が等しくなり、アミノ酸全体の電 荷がゼロとなるが、この pH を等電点という。 なお、pH の正式名称は「水素イオン指数」である。設問1では「語句または数値」を答えなけれ ばならないので、厳密にいえば空欄サの正解は「水素イオン指数」となるが、通常は略号の「pH」 が使われているので、上記の「解答」には両方を併記した。 空欄bc C mol/L 酢酸の電離度を a とすると、 電離なし 変化量 電離平衡 - + CH3COOH → ← CH3COO + H C 0 0 (mol/L) - Ca C(1-a ) + Ca + Ca Ca Ca これを電離定数の式に代入して、 Ka = 空欄ス Ca × Ca = C( 1-a ) Ca 2 ≒ 1-a Ca 2 … ⑦ ⑦式にデータを代入して、 2.7×10-5 = 2.7×10-1×a 2 → a = 1.0×10-2 [3] 解答 設問1 a 単量体 e 熱可塑性樹脂 縮合重合 c 付加重合 f 熱硬化性樹脂 g 陽 エ C2H6O 設問2 ア 2.6×10 設問3 あ H2N-(CH2)6-NH2 お HO-C-CH2-CH-C-OH ∥ | ∥ O OH O 設問4 2 イ b ウ 3.3 C4H6O5 い CH2=CH | O-C-CH3 ∥ O か う h 酸 CH3-C-H ∥ O d 合成樹脂(プラスチック) i 陰 え j カルボキシル HO-CH2-CH2-OH CH3-CH2-O-C-CH2-CH-C-O-CH2-CH3 ∥ | ∥ O OH O R-SO3H + NaCl → R-SO3Na + HCl 解説 <高分子化合物> 空欄abc 一般に、合成高分子化合物は単量体の重合によって合成される。重合は「付加重合」と「縮合重 合」に分類されるが、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの重合は「カルボン酸とアミンの脱水縮 合によってアミドを形成する反応」なので縮合重合に、酢酸ビニルの重合は「ビニル基の二重結合に 対する付加反応」なので付加重合に、それぞれ該当する。 空欄う ポリビニルアルコールの形式的な単量体はビニルアルコールであるが、この化合物は不安定であり、 直ちにアセトアルデヒドに変化するため、事実上は存在しない。 空欄ア ポリエチレンテレフタレートの「くり返し単位」は → 空欄イ -COC6H4COOCH2CH2O- = 192 重合度 n = 5.0×104 ÷ 192 = 260 テレフタル酸は C6H4(COOH)2 = 166 ポリエチレンテレフタレート 3.84 g → → これに含まれる繰り返し単位 0.02 mol 加水分解によって生成するテレフタル酸 0.02 mol[ 3.32 g ] <イオン交換樹脂> 空欄gh スルホ基をもつ樹脂に塩化ナトリウム水溶液を通すと、スルホ基の水素イオンと塩化ナトリウムの ナトリウムイオンが交換され、塩化水素水溶液(塩酸)が流出する。このように、この樹脂は陽イオン を交換する性質を示すので、陽イオン交換樹脂と呼ばれる。 <エステルの構造決定> 加水分解 加水分解の後、反応液を中和している点に注意。加水分解生成物はカルボン酸とアルコールであ るが、中和によってカルボン酸は陰イオンとなるので、陰イオン交換樹脂に吸着する。したがって、 化合物(Ⅱ)はアルコール、化合物(Ⅲ)はカルボン酸。 化合物(Ⅲ) 元素分析 → 炭素 2.4 mg,水素 0.3 mg,酸素 4.0 mg ジエステル(Ⅰ)の加水分解生成物 → 化合物(Ⅱ) → 反応式② ジエステル(Ⅰ) ①③ → 分子式 C4H6O5 → HOOCCH2CH(OH)COOH 決定 ジエステルの加水分解反応 組成式 C4H6O5 炭素7個以下 ジエステル(Ⅰ)1分子から化合物(Ⅱ)2分子が生成 不斉炭素原子1個 → 2価カルボン酸 エタノール決定 C2H4O(COOH)2 … ① C8H14O5 + 2 H2O → 2 [化合物Ⅱ]+ C4H6O5 → → → 分子式 C2H6O … ③ → CH3CH2OCOCH2CH(OH)COOCH2CH3 決定 … ②
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