ÿþM i c r o s o f t P o w e r P o i n t

健診結果からみた
業態別の肥満者の特徴
全国健康保険協会(協会けんぽ)
山梨支部
1
目
的
協会けんぽ山梨支部の被保険者について、健診結果か
ら、 業態別での肥満者の実態と生活習慣との関連を検
討する。
検討内容
● 肥満者の業態別の割合
● 肥満と健診検査項目との関連
・収縮期血圧
・中性脂肪
● 肥満と生活習慣との関連
・運動習慣
・食習慣
・ 空腹時血糖
・飲酒
・睡眠
2
対
象
・H21∼23年度に継続して同一の事業所に所属
・35歳以上の男性
・3ヶ年とも生活習慣病予防健診 を受診
・3ヶ年とも服薬(高血圧,脂質異常,高血糖)なし
→ 上記を業態別としたとき500人以上となった業態
の11,172人
H23年度
BMI
25.0以上
肥満群
肥満群
N
年齢
3,161 48.1±8.0
18.5以上,25.0未満
標準群
標準群
N
年齢
7,615 49.3±8.4
18.5未満
やせ群
やせ群
N
年齢
396 49.2±8.4
3
H23年度 医療費(入院+入院外)の状況
肥満群
標準群
N 1人当たり医療費
N 1人当たり医療費
3,161
62,280円
7,615
やせ群
62,338円
N 1人当たり医療費
396
68,272円
傷病別の構成割合
100%
90%
6.9%
5.6%
80%
14.7%
70%
3.8%
60%
50%
3.7%
11.1%
3.9%
9.7%
12.9%
11.7%
12.0%
損傷、中毒及びその他の外因の影響
4.7%
12.6%
3.0%
15.9%
呼吸器系の疾患
4.1%
4.4%
2.4%
6.8%
循環器系の疾患
眼及び付属器の疾患
神経系の疾患
精神及び行動の障害
内分泌、栄養及び代謝疾患
13.7%
新生物
感染症及び寄生虫症
20%
3.2%
4.6%
2.7%
8.2%
4.5%
4.0%
3.1%
4.4%
10%
10.9%
12.2%
5.9%
4.2%
6.4%
肥満群
標準群
やせ群
0%
皮膚及び皮下組織の疾患
消化器系の疾患
11.9%
30%
筋骨格系及び結合組織の疾患
20.9%
11.3%
40%
腎尿路生殖器系の疾患
4
業態別の各群の割合
(
)内は平均年齢
対象計
合
計
11,172
肥満群
標準群
やせ群
3,161
28.3%
7,615
68.2%
396
3.5%
建設業
2,158 (49.1)
680
31.5%
1,420
65.8%
58
2.7%
製造業
3,633 (48.5)
893
24.6%
2,571
70.8%
169
4.7%
運輸業、郵便業
1,248 (50.1)
432
34.6%
781
62.6%
35
2.8%
卸売業、小売業
1,662 (48.2)
464
27.9%
1,141
68.7%
57
3.4%
医療、福祉
691 (46.4)
182
26.3%
480
69.5%
29
4.2%
複合サービス業
500 (47.8)
156
31.2%
332
66.4%
12
2.4%
1,280 (50.1)
354
27.7%
890
69.5%
36
2.8%
サービス業
(他に分類されないもの)
業態区分と各群のχ2検定 p<0.001
5
業態別の肥満群とメタボリックリスク保有者の割合
肥満群の割合
0.0
運輸業、郵便業
建設業
運輸業、郵便業
34.6%
建設業
31.5%
31.2%
複合サービス事業複合サービス事業
肥満度別の内訳(%)
10.0
20.0
29.8
30.0
肥満群のメタボリックリスク保有割合(%)
40.0
4.0 0.8 0.0
27.5
3.7 0.2 0.1
26.0
4.8 0.2 0.2
0.0
25.0
41.2
37.1
41.7
50.0
26.4
28.7
75.0
6.9
4.1
31.4
8.3
卸売業、小売業
27.9%
23.8
3.7 0.1 0.4
43.1
22.8
3.7
サービス業(他に分類されないもの)
27.7%
(他に分類されないもの)
24.1
2.5 0.9
41.0
23.7
4.2
医療、福祉
26.3%
22.9
卸売業、小売業
サービス業
医療、福祉
製造業
製造業
24.6%
21.4
0.2
2.6 0.9 0.0
2.8 0.4
0.0
36.8
42.2
25.8
22.6
100.0
3.8
4.3
: BMI 25以上 30未満
: BMI 30以上 35未満
: 腹囲+(血圧、脂質、血糖)のうち1つ
: BMI 35以上 40未満
: BMI40以上
: 腹囲+(血圧、脂質、血糖)のうち2つ
: 腹囲+血圧+脂質+血糖
6
BMIと検査項目との関連
●収縮期血圧
各群のリスク保有割合(%)
各群の平均値(mmHg)
55.0
135.0
建設業
45.0
製造業
130.0
35.0
運輸業、
郵便業
125.0
卸売業、
小売業
25.0
医療、福祉
複合サービ
ス事業
15.0
120.0
115.0
サービス業
(他に分類さ
れないもの)
5.0
肥満群
標準群
やせ群
業態区分と各群のχ2検定 p<0.001
110.0
肥満群
標準群
やせ群
7
BMIと検査項目との関連
●中性脂肪
各群のリスク保有割合(%)
各群の平均値( mg/dl )
50.0
180.0
建設業
160.0
40.0
製造業
140.0
30.0
運輸業、
郵便業
卸売業、
小売業
120.0
20.0
医療、福祉
複合サービ
ス事業
10.0
100.0
80.0
サービス業
(他に分類さ
れないもの)
0.0
肥満群
標準群
やせ群
業態区分と各群のχ2検定 p<0.001
60.0
肥満群
標準群
やせ群
8
BMIと検査項目との関連
●空腹時血糖
各群のリスク保有割合(%)
各群の平均値(mg/dl)
60.0
110.0
建設業
50.0
製造業
105.0
40.0
運輸業、
郵便業
100.0
卸売業、
小売業
30.0
医療、福祉
複合サービス
事業
20.0
95.0
90.0
サービス業
(他に分類さ
れないもの)
10.0
肥満群
標準群
やせ群
業態区分と各群のχ2検定 p<0.001
85.0
肥満群
標準群
やせ群
9
生活習慣とBMIの関連
質問項目を目的変数に、BMIを説明変数とする重回帰分析
建設業
β
製造業
p
β
運輸業、
郵便業
p
β
p
卸売業、
小売業
β
p
医療、福祉
β
p
複合サービス
事業
β
p
サービス業(他に
分類されないもの)
β
p
1回30分以上の運動
を週2日以上、1年以
上実施していない
0. 058 0. 020
歩行又は同等の身体
活動を1日1時間以上
実施していない
0. 056 0. 023 0. 061 0. 000
食べるのが速い
0. 183 0. 000 0. 199 0. 000 0. 156 0. 000 0. 174 0. 000 0. 209 0. 000 0. 196 0. 000 0. 229 0. 000
就寝前2時間以内の
夕食が週に3回以上
ある
0. 064 0. 004
0. 082 0. 004
0. 052 0. 039
0. 076 0. 003
朝食を抜くことが週
に3回以上ある
-0. 068 0. 002
お酒を毎日飲む
-0. 119 0. 000 -0. 082 0. 000 -0. 093 0. 001 -0. 130 0. 000 -0. 103 0. 010 -0. 123 0. 005 -0. 091 0. 001
たばこを習慣的に
吸っている
-0. 034 0. 043 -0. 080 0. 006
睡眠が十分にとれ
ていない
0. 087 0. 003
-0. 06 0. 024
10
結 果
• 肥満群の医療費は他の群に比べ、内分泌系の代謝疾患の割合が2
倍以上になっている。
• 1人当たり医療費は、やせ群が高かった。消化器系疾患が一番多く
常時服薬している可能性が高いのではと推測される。
• 肥満群の割合が3割を超えていたのは、運輸・郵便業、建設業、複
合サービス業であった。
• 肥満度の内訳をみると運輸・郵便業と複合サービス業は、BMI30以
上の割合が、5%前後あり高度肥満者の割合も高い。
• 上記業種では肥満群の75%がメタボリスク保有者であり、特に複合サ
ービス業はリスク3つ以上が8.3%と特に高かった。
• 検査項別のリスク保有率では、血圧、中性脂肪、空腹時血糖のいず
れの項目においても肥満群が高く、検査数値(平均値)にも相関がみ
られた。
• 生活習慣においては「食べるのが速い」は、どの業種においても肥満
群の特徴としてあげられる。
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まとめ・考察
• 業態別の肥満者の割合が高い業種は、運輸・郵便業、
建設業であることは以前の分析からもわかっていたが、
今回の分析で、複合サービス業(おもに農業協同組合)
については、肥満割合の多さに加え、中性脂肪・空腹時
血糖高値など特徴的な傾向がみられた。
• 日常業務の中で営農活動や技術指導等で外勤も多く、
食事の不規則さやお茶等勧められる機会も多いなど、
肥満や検査項目を悪化させる要因があるのではないか
と推測された。
• 今回の分析で、保健指導の場面では、日常業務の背景
をより把握した指導が求められることが明確になった。
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