がん免疫療法の臨床試験 当科では、他の研究機関とも共同で進行消化器癌(食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、肝細 胞癌)に対して下記の臨床試験を行っています。 1. 細胞療法の臨床試験 ① 手術不能進行・再発消化器癌に対する高純度ナチュラルキラー(NK)細胞移入療法と IgG1 抗体薬併用療法に関する第 I 相臨床試験 (略名:高純度 NK 細胞療法と IgG1 抗体薬療法の併用療法) 臨床試験名 (略名) 対象疾患 高純度 NK 細胞療法と IgG1 抗体薬療法の併用療法 ・HER2 陽性胃癌 ・K-Ras 野生型結腸・直腸癌(大腸癌) ・20 歳以上、80 歳未満 ・Trastuzumab(ハーセプチン○)投与が可能な胃癌 R 適格基準 Cetuximab (アービタックス○)投与が可能な大腸癌 R 他 ・採血により得られた血液から高純度のNK細胞を培養する 試験の概略 ・Trastuzumab(胃癌)や Cetuximab(大腸癌)を用いた標準的 化学療法に培養した高純度NK細胞を計 3 回投与して安全性 と有効性を検証する ② 肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)後ナイーブ T 細胞リッチ T リンパ球移入療法 の再発予防効果に関する第Ⅱ相臨床試験 (略名:初発肝細胞癌ラジオ波治療後のナイーブTリンパ球療法) 臨床試験名 (略名) 対象疾患 初発肝細胞癌ラジオ波治療後のナイーブTリンパ球療法 ラジオ波焼灼術により根治の見込める肝細胞癌(初回治療例) ・20 歳以上、80 歳未満 適格基準 ・はじめてのラジオ波焼灼術をこれから行う予定の患者さん 他 ・採血により得られた血液からナイーブTリンパ球を培養する (ラジオ波焼灼術前に行う必要があります) 試験の概略 ・ラジオ波焼灼術後の画像検査で根治を確認後に、培養したナ イーブTリンパ球を計 6 回投与して安全性と肝細胞癌の再 発予防効果を検証する ③ 進行・再発悪性腫瘍に対する化学療法後の培養 T リンパ球輸注・MAGE-A4 ペプチド 投与による免疫治療臨床研究 (略名:切除不能進行・再発食道癌に対する培養Tリンパ球+ワクチン療法) 臨床試験名 切除不能進行・再発食道癌に対する培養Tリンパ球+ワクチン (略名) 療法 対象疾患 切除不能進行・再発食道癌患者 ・20 歳以上,75 歳未満 ・病理理診断がなされた食道扁平上皮癌 適格基準 ・腫瘍組織にて MAGE-A4 の発現が確認されていること ・HLA 検査で HLA-A*2402 and/or HLA-A*0201 (MAGE-A4 と HLA は当科にて調べます) 他 ・登録後に化学療法を 1 コース施行 試験の概略 ・化学療法 2 コース目と 3 コース目に培養Tリンパ球輸注およ び MAGE-A4 ペプチドワクチンの投与を行い、安全性と有効性 を検証する 2. ワクチン療法の臨床試験 ① 根治切除術後食道癌の NY-ESO-1 抗原発現陽性例に対する IMF-001 の多施設共同無作 為化比較試験(第Ⅱ相臨床試験) (略名:根治切除後食道癌に対するワクチン療法) 臨床試験名 (略名) 対象疾患 根治切除後食道癌に対するワクチン療法 根治術後の NY-ESO-1 抗原陽性の食道癌患者さん ・20 歳以上 ・根治的切除術を予定しているステージⅡ or Ⅲの進行食道癌 適格基準 ・がん抗原 NY-ESO-1 の発現が確認された食道癌(手術後に判 定) 他 ・化学療法後に根治的食道癌切除術を施行 ・がん抗原 NY-ESO-1 の発現が確認された食道扁平上皮癌患者 試験の概略 さんを登録 ・ワクチン投与患者さんと非投与患者さんにランダムに振り分 ける(1:1で振り分け) ・ワクチン投与群に振り分けられた患者さんに、NY-ESO-1 とい うがん抗原を CHP という多糖類で包んだワクチンを 1 年間皮 下投与して安全性と有効性(再発予防効果)を検証する ② 食道がんに対する CHP-NY-ESO-1 がんワクチンと Poly-ICLC の併用療法の第Ⅰ相臨床試 験 (略名:切除不能進行・再発食道癌に対するがんワクチン療法) 臨床試験名 (略名) 対象疾患 切除不能進行・再発食道癌に対するがんワクチン療法 標準的化学療法が効かなくなった食道癌患者 ・20 歳以上 適格基準 ・標準的化学療法に対して不応性の切除不能・再発食道癌 ・がん抗原 NY-ESO-1 の発現が確認された食道癌 他 ・NY-ESO-1 というがん抗原を CHP という多糖類で包んだワクチ 試験の概略 ンと免疫反応をたかめる作用のある Poly-ICLC の 2 つの薬剤 を 2 週間毎に計 6 回皮下注射して安全性と有効性を検証する ・同時に化学療法などの併用治療はできません ③ 切不能進行膵臓癌に対するゲムシタビン併用 WT1 ペプチドワクチン化学免疫療法とゲ ムシタビン単独療法のランダム化第Ⅱ相臨床試験 多施設共同研究 (略名:切除不能進行・再発膵癌に対するゲムシタビン+がんワクチン併用療法) 臨床試験名 切除不能進行・再発膵癌に対するゲムシタビン+がんワクチン (略名) 併用療法 対象疾患 切除不能進行・再発膵癌患者 ・20 歳以上,80 歳未満 ・病理理診断がなされた未治療膵癌 適格基準 (再発の方は、再発後に初めて治療となる方) ・HLA 検査で HLA-A*2402 and/or HLA-A*0201 (当科にて血液検査で調べます) 他 ・登録後にワクチン投与患者さんと非投与患者さんにランダム に振り分ける(1:1で振り分け) 試験の概略 ・両群ともにゲムシタビンによる化学療法を行う ・ワクチン投与患者さんに 2 週毎にワクチンを皮下注射して、 安全性と有効性を検証する <お問い合わせ先> 消化器内科 責任医師:石川 電話: 075-251-5519 剛
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